強すぎた男   作:@T

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なんでしょうか、この投稿してから思うこれじゃない感
自分の頭の中で思い描いていた感じとは違う感
まぁ、私の愚痴はともかく本編↓どぞ


強すぎた男と氷の女王

 闇の衣を身に纏い、吸血鬼(ばけもの)は優雅に橋の上へと舞い降りた

 その姿は妖艶を表したかの様に美しい。

 

「マスター?」

 

 茶々丸はその様子に疑問の声をかける

 姿形は先ほどまでと変わらない主人であるが、何かが違う

 茶々丸の機械で分からない部分の何かが告げていた。

 

「どうした、茶々丸?」

「イエ、何でもありません」

 

 茶々丸は告げようとした言葉を飲み込んだ

 目の前の者は何者かと言う言葉を……

 

「エ、エヴァンジェリンさん?」

 

 橋の上に降り立ったエヴァにネギは震える声で声をかける

 先ほどまでとは違いネギの人間としての本能がエヴァに近寄るなと警報を鳴らしていた。

 

「あぁ、坊やか……おめでとう、よく先ほどまでの私に勝ったと称賛の言葉を贈ろう」

 

 その言葉にネギは横に居た明日菜を守るように前へと出る

 先ほどまでの自分と違うとエヴァ自身が現に言ってきたのだ

 従者だとしても一般人の明日菜を傷つけさせる訳にはいかない。

 

「ほう、今の私を前にしても引かないとは流石だな。だが、何時までもつか……」

 

 エヴァがニヤリと笑う

 その時、茶々丸の中で警報がなった。

 

「マスター! 停電の復旧時間が11分20秒縮まりました!」

 

 茶々丸がエヴァに声をかけた瞬間、エヴァに呪いが降りかかる

 その呪いはエヴァを拘束する様にエヴァを包み込んだ。

 

「……ふん、あの狸が……」

 

 エヴァは手を横に振るう

 すると硝子が砕けた様な金属音と共に呪いが霧散した。

 

「な!」

「今の私がこの程度の呪いで束縛できる訳がないだろう。それでも、完全に解呪するまでは出来ないみたいだな……流石は英雄と言ったところか」

 

 茶々丸が驚愕の声を上げる中、エヴァは不敵に嗤う

 その笑みがネギと明日菜の身体を委縮させる。

 

 それを見てエヴァは更に笑った

 

「完全に解呪するために坊やの血を貰うとしよう。心配するな、死ぬまではとらんよ」

 

 そう言ってエヴァがネギ達に近づく

 ネギはせめてもの抵抗に魔法の矢を放つが、エヴァが手を横に振るうと矢は闇に消えた。

 

「抵抗は無駄だが……言っても聞かんか」

 

 エヴァは空へフワリと浮き上がる

 そして笑いながら言った。

 

「見ておけ、これが化け物の本気だ」

 

 空間を震わせるほどの膨大な魔力がエヴァから漏れ始める

 それは少しでも魔法を齧ったものが見れば異常と分かるほどの魔力量であった。

 

「リク・ラク ラ・ラック ライラック

 解放・固定『千年氷華《アントス・パゲトゥー・キリオーン・エトーン》』! 掌握!

 術式兵装(プロ・アルマティオーネ)氷の女王』(クリュスタリネー・バシレイア)!」

 

 その時、世界が氷った

 否、そうネギ達が思うほど空間が凍ってしまったのだ。

 

「あぁ、この魔法を使ったのは何時ぶりだろうな……」

 

 エヴァはそう呟きながらネギ達の傍に降り立つ

 近づいただけでネギ達の身体は凍り始めていた。

 

「がぁ、あ……」

「ふん」

 

 ネギは抵抗する為に杖をエヴァに向けるが、エヴァは鼻で笑いその杖を掴む

 それだけで杖は完全に凍結した

 そして、それを掴むネギの腕も徐々に凍結していく。

 

「く……」

 

 氷から逃れようと腕を引くネギだが、そこで足も凍っている事に気付いた

 

「諦めろ坊や。お前ではこの氷から逃れる事は出来ない」

 

 そしてエヴァは明日菜へと眼を向けた

 エヴァは明日菜に魔法を向かわせるが、何故か魔法は明日菜に弾かれる。

 

「……この魔法でも効かんか……なら、これならどうだ?」

「……イヤ……」

 

 エヴァは魔法を放つ

 そして、そのどの魔法も明日菜に届く事はなかった。

 

 明日菜は魔法をみないように顔を伏せ、エヴァを見ないようにする

 

「やはり面白いな貴様。完全に魔法を消し去るか」

 

 エヴァは不敵に笑いながら明日菜に近づく

 明日菜は恐怖で動く事も出来なかった。

 

「実験をしよう、神楽坂明日菜」

 

 そしてエヴァは右手に魔力で形成した剣を握る

 それは魔法と言う術式など存在せず、ただ純粋な魔力のみで形成された剣。

 

「魔力を無効化するのか、魔法を無効化するのか……後者の場合、死ぬかもしれんな。まぁ、祈れ」

 

 そしてその剣は無慈悲に振り下ろされた

 

「……なんのつもりだ、茶々丸?」

 

 しかし、エヴァの剣は明日菜には届かず、茶々丸の背中の装甲に阻まれた

 

「……私の知るマスターは女、子供を殺す事を嫌います」

 

 茶々丸は明日菜を無理やり立たせてエヴァを見る

 

「貴方は誰ですか?」

 

 目の前の存在に茶々丸は問いかける

 データは完全に自分のマスターであると言っているが、茶々丸の機械でない何かが目の前の存在を否定していた。

 

「……」

「もう一度問います。貴方は誰ですか?」

 

 茶々丸は腕の武装をエヴァに向けながら問いかける

 それは完全な主への反逆だった。

 

「茶々丸、貴様も私に武器を向けるのか? 主である私に?」

 

 エヴァは冷たい眼で茶々丸を見返す

 茶々丸は明日菜を背に隠しながらエヴァに言った。

 

「……私の中の“何か”が貴方は主ではないと言っています」

 

 それは機械であるロボットとは思えない言葉

 言葉では言い表せない何かを茶々丸は暖かいと感じた。

 

「……私はこの“何か”を信じます」

「そうか……なら、貴様はいらん」

 

 エヴァは茶々丸に向けて氷結魔法を放つ

 魔法は茶々丸に当たる寸前に自動展開された障壁に阻まれるが、数秒ももたず崩壊した。

 

「……」

「か、絡繰さん……」

 

 魔法は茶々丸の四肢を凍結させ、茶々丸は行動不能になる

 茶々丸は動く首を明日菜の方に回し、告げる。

 

「逃げてください、神楽坂さん。目の前の者は貴女を殺すつもりです」

「で、でも」

 

 その二人の会話を嘲笑う様にエヴァは魔力で形成した剣を水平に構える

 

「どうした、逃げないのか、神楽坂 明日菜? まぁ、お前がそのガラクタの前に立てば身代わりにはなるかもな」

 

 それは神楽坂 明日菜への挑発であった

 彼女にはクラスメイトを見捨てて逃げる事など出来ない

 それが分かるからこそエヴァはその手の剣を振るう。

 

「!」

 

 エヴァの予想通り明日菜は茶々丸の目の前に立ち塞がった

 エヴァはその行動に口を歪ませて笑う

 そして、その剣が明日菜に触れる瞬間……

 

「ごふっ!」

 

 横からの衝撃で身体ごと吹き飛ばされた

 

「……」

 

 そして代わりにそこに立つ男が一人

 

「せい……いち」

 

 それは生一だった

 しかし、その身体から発する気配は今までの彼とは違う

 

「……おい」

 

 今までの彼は本当に普通の高校生と変わらなかった

 だが、今はどうだろうか、まるで歴戦の兵士であるかの様にその眼はギラギラと燃えている。

 

「てめぇー、アスナに何しようとした?」

 

 生一の声に合わせるかの様に生一の身体を紅い何かが包み込む

 それは周りの氷を溶かし、茶々丸の氷も溶かした。

 

「……ほう」

 

 その様子にエヴァは眼を細め感嘆の声を漏らす

 

「それは火の精霊か……なるほど、精霊を魔力無しに操れるのか」

「操っているんじゃなくて、力を貸してもらってるだけだ。それに、てめーは最初から分かってんだろ」

 

 生一は拳を鳴らしながらエヴァに近づいていく

 エヴァもそれに併せる様に剣を形成しながら生一に近づく。

 

「てめー、“エヴァちゃんをどこにやった”?」

「さて、お前が何を言っているのか……」

 

「しらばっくれるな。さっき闘った時に器とかなんとかって言ってただろ。俺が分からないと思ってるのか?」

 

 生一の言葉にエヴァ……イヤ、影の魔王は嗤う

 

「既に(われ)の中さ」

 

 瞬間、生一の手がぶれて影の魔王に拳が叩きこまれる

 だが影の魔王は予測して後ろへと跳んでいた。

 

「っち!」

「次は我の番だ」

 

 無詠唱で放たれた闇を纏う吹雪が生一に向かう

 生一は紅い何かが纏った拳を下に殴りつける

 それが地面に触れた瞬間、炎の壁が生一の前に出現し吹雪を相殺した。

 

「どうした人間!」

 

 影の魔王は無詠唱の魔法を立て続けに放つ

 生一は魔法を避けようと動き出すが

 

「っち!」

 

 足を途中で止めてその場に留まる

 そして、魔法を相殺し始めた。

 

「なんで……」

 

 明日菜が生一の行動に疑問の声を出す

 

「……動けば後ろに居る私たちに当たるからでしょう」

「そんな……なら、ここから逃げないと」

 

 そう明日菜が言い、茶々丸の肩を持って後ろに退避しようとするが……

 

「うそ……でしょ……」

 

 後ろには視界一杯の氷の壁が存在していた

 生一はこれに気付いてあの場に留まっていたのだろう。

 

「どうしよう、このままじゃ……」

 

 明日菜は生一を見る

 生一の表情は先ほどと変わっていないが、明日菜には焦っていると感じられた。

 

「……」

「どうした人間! 手も足も出ないか?!」

 

 エヴァは嗤いながら無慈悲に魔法を放ち続ける

 生一はチラリと後ろを見て、舌打ちをした。

 

「……絡繰りさん……」

 

 明日菜は茶々丸を見る

 ロボットである彼女なら何か名案があるのではないかと。

 

「……」

 

 茶々丸は無言で明日菜を見つめる

 そして、氷に包まれているネギを見た。

 

「……方法はあります」

「ホントに!?」

 

「ええ……ですが、失敗した場合ネギ先生は死んでしまうかもしれません」

 

 その言葉に明日菜は固まる

 少し前まで一般人だった彼女に死をイメージするのは難しかった。

 

「……神楽坂さん。貴女はネギ先生の命を背おえますか?」

「……」

 

 明日菜は困惑したように茶々丸を見る

 そしてネギを見て、生一を見た。

 

「……このままじゃ、生一は死んじゃうんでしょ?」

「……このままですと生一さんが危ないのは確かです」

 

 その言葉で明日菜は決められた

 

「教えて。この状況の打開策を」

 

 明日菜の眼に迷いは無かった

 

 

ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー

 

 

 魔法を相殺しながら生一は少しずつ焦っていた

 

(このままじゃエヴァちゃんがあの変な奴に吸収されちまうかもしれん)

 

 先ほど闘った時助け出した女性は、既に事切れていた

 彼の友人が言うに、魂を抜かれた植物人間だと。

 

 既にその身体に意志はなく、ただ生命活動をする人形だと彼は生一に言った

 

(もうあの人の様な人間は作らせねえ)

 

 意気込んだものの、今の生一はその場から動く事が出来ない

 今動けば魔法は後ろの三人に直撃し、その命を奪いかねないからだ。

 

(くそ! 速くしないといけないのに……)

 

 散漫になった集中だが身体は来た魔法を迎撃している

 そして、散漫になった集中だからこそ、その動きができた。

 

「跳びなさい生一!」

 

 後ろから聞こえてきた命令の言葉に従って生一は空へと跳ぶ

 そして跳んでから何をしてるんだと現状を認識して下を見た。

 

「……」

 

 そこにはネギを回収して一か所に固まる三人が居た

 生一が避けた所為で魔法は三人へと向かっていく。

 

「逃げ」

 

 生一は言葉を放とうとするが彼女の眼を見てその言葉を飲み込んでしまった

 

『世界を救って、セイイチ』

 

 そう、それは覚悟を決めた眼

 生一の知る彼女の眼であった。

 

「はあああああああああっっっ!」

 

 彼女は目の前に迫る魔法をその手に持つハリセンで迎え撃つ

 普通ならそのような物は一瞬で粉々に砕けて終わりである。

 

 が、生一には確信があった

 

(あれは!)

 

 それは普通ではない。と

 

「やあああああああああっっっ!」

 

 ハリセンが魔法にぶつかり、衝撃音が周りに響き渡る

 そして数秒の内、魔法は切り裂かれた。

 

「はぁはぁ」

 

 その手に握るは覚悟の証

 背負うと決めた、逃げないと決めた証

 

「……ハマノツルギ」

 

 生一が友人に聞かされた話にその剣の話があった

 魔法、気を無効化し担い手の敵を切り裂く紅き魔剣。

 

 魔法を切り抜けた彼女の手にはハリセンの代わりにその剣が握られていた

 

「生一!」

「……はっ!」

 

 生一は呆然として明日菜を見つめていたが、明日菜の自分を呼ぶ声で現実に戻ってくる

 そして、彼女は笑っていた。

 

「やっちゃいなさい!」

 

 ただそれだけの言葉で生一は笑った

 

「Yes My lord」

 

 返事を返し生一は影の魔王に近づく

 影の魔王は生一と同じ様にしばしの間呆然としていた。

 

「食らいやがれ」

 

 呆然としている魔王に生一の抉りこむような拳が突き刺さった




……最初は茶々丸を全体的に推してからエヴァを推すつもりで書いてたんです
明日菜は今回、描写のついで程度で……
それが気付いてみればあら不思議。明日菜が覚悟を決めちゃってましたよ
ど・う・し・て・こうなった|д゚)

最初は普通に茶々丸の障壁発動→生一登場→生一無双
だったんですけどね……
書いているとキャラが自分勝手に動いてしまいますね

で、でも次はちゃんとエヴァ推しの話ですよ
明日菜は出張ってこないですよ!……多分
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