シスターが懺悔室に居る所とか、神父さんが出てこない教会とか
では本編↓どぞ
シスターシャークティは麻帆良の教会のシスターである
彼女の一日は教会から始まり教会で終わる。
「おはようございます、シスターシャークティ」
「ええ、おはよう」
平日に朝から教会に来る人は少ない
少ないからと言って教会に誰もいないのでは祈りに来た人に申し訳ない
なので、彼女は毎日教会に居る
神の家は何時でも誰でも迎え入れるのだ。
「おはようございます、シスターシャークティ」
「おはようございます」
シスターシャークティが居る教会はキリスト教の教会である
この教会には神父が一人、シスターが複数にと居る
神父は一人しかいないので時々不在であるが、シスターは大体彼女か他のシスターが居るのだ。
そのシスターの中でも彼女は裏の関係者である
魔法に関連する事情などは全て彼女に行く為、他のシスターよりも忙しいのだ。
「……おはようございます。シスターシャークティ」
「……おはようございます」
教会には色々な者が訪れる
それは罪を犯した者、自らに罰を与える者、神を信じる者など様々だ。
「……」
これはとある少年が来た時のシスターの記憶である
ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー
今から4年前の春
新入生が麻帆良へとやってくる時期である
その日も桜が舞い散る暖かい春の日だった。
「……」
そんな春の日、シスターシャークティは懺悔室に居た
信者の者達も朝の祈りを終えて自らの仕事に行ってしまっている。
「……」
そんな静かな教会の中、扉は開いた
入ってきたのは学生服を着た少年
少年の表情は憂鬱気で今にも首を吊るのではないかと思われるぐらいに暗い。
「……」
少年は無言で教会の奥に進み
一番奥の椅子へと座る
祈るのでもなくただそこに座り続ける。
「……」
しばらくして、少年は懺悔室に気付いたのか、のろのろと懺悔室の前に来る
そしてゆっくりとその扉を開いたのだ。
「……」
少年は置かれている椅子にゆっくりと座る
彼女は少年に向けて何時もと変わらない言葉をかける。
「この部屋で話された内容は外には絶対に漏らしません。どうか心行くまで懺悔してください」
少年は彼女の言葉に肩を震わせる
そしてゆっくりと言葉を吐いた。
「……聞いてください」
「俺は……友達を見捨てました」
ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー
少年の言葉は重みがあった
考えて言ったなどではなくその言葉は真に迫っていた
それはすなわち少年はそう思っていると言う事だ。
「……それは虐めを受けている友達を無視したと言う事ですか?」
「……」
少年は何も言わない
その無言を是ととるか非ととるかは分からない
彼女はその気迫から非と取る
「……続けてください」
だが、まだ何も言う事はできない
ただ、懺悔しに来た少年は重いモノを抱えている事を理解した。
「……昔の事です。それでも俺はまだその事を引きずっています」
「あの時……どうすれば良かったのか分かりません。助けられたのかもしれないし助けられなかったのかも知れない。でも……今でも夢に見ます。アイツは俺を悲しい眼で見つめてくるんです」
少年はズボンを握りしめて下唇を噛む
そして呟く様に言った。
「アイツは俺を恨んでるんでしょうか……助けられなかった俺を……」
シャークティは何を言えば良いのか分からなかった
少年の言葉が本当ならこの少年は助けたかったが助けられなかった事になる
それがどの様な状況だったか彼女には分からない。
「……貴方はそれを後悔していますか?」
シャークティの言葉に少年は軽く頷く
そしてその後直ぐに首を横に振った。
「……後悔はしているけれど納得はしていない?」
「……後悔はしている……納得はしなければいけない。アイツが選んだから……俺は約束したから」
途切れ途切れで少年は呟く様に言う
シャークティは少年が重いものを抱えながら、それを背負おうとしている事が分かった。
「……」
シャークティは少年になんと言葉をかけて良いか迷った
少年の見た目にして背負おうとしている物はあまりにも重い
だが、少年はそれを背負わなければいけないと思っている。
(……困りましたね)
懺悔室は相談室ではない
懺悔したところで答えを返す訳にはいかない
自らの犯した罪をここで告白し、心の重みを取るところである。
だからと言って、生徒であると思われる少年に何も言わない訳にもいかない
「……もし、貴方がまだその子の事で後悔しているのならば……」
少年が顔を上げる
その顔は暗い。
「何かしてあげなさい」
「何かする?」
シャークティは肯定の声を上げる
「その子に出来ないのなら、その子にしてあげようとした良い事を積み重ねなさい。善行を積み重ねる事が罪を軽くします。たとえその子が貴方を恨んでいたとしても、善行に罪はありません」
情けは人の為ならず
情けを人にかければ巡り巡って自分にも良い事が廻ってくる
ならば、その子にもいつかその善行が廻っていくだろう。
「貴方が納得できるまで善行を積みなさい。そうすれば、貴方が見捨てた子も貴方を許してくれるはずです」
「……」
少年は椅子の背もたれへと体重をかける
その姿は先程と違い、気負った姿には見えない。
「……そんな難しい事言っても、普通は分かりませんよ」
皮肉めいた顔で少年は壁越しのシャークティを見る
その顔は先程と違って軽いものだった。
「……ま、やるだけやりますよ。あの時した約束を守る為にもね」
学ランの第二ボタンまで外し、懺悔室の扉を開ける
少年は振り向きざまにシャークティに笑いかける
その顔は吹っ切れたとばかりに晴れやかだった。
「……貴方はこの懺悔室で心は晴れましたか?」
その笑顔に釣られる様にシャークティも笑った
「暗い雲で覆われた心境に光が射し込んだ感じがしました」
その言葉と共に懺悔室の扉は閉まった……
「あ、タカミチ? 前のあの話しなんだが、ちょっとやる気になったわ。は? イヤ、正式な警備じゃねーよ。アルバイトだ、ア・ル・バ・イ・ト。昼にやりたい事ができたから、毎日なんてやってたら身体が持たねーよ」
電話の向こう側の人物は驚いた様な声を出す
「何がやりたいのかって? そりゃお前……」
少年……生一は笑って答えた
「善行よ、善行。アイツに許してもらう為のな」
夜の警備時に少年がシスターに頭を下げる姿が目撃されたが、それはまた別の話
「善行は積んでいますか、相川君」
「積んでますよ~。アイツに許してもらえると思うその時までね」
なんでシャークティさんが懺悔室の会話を外で生一にしてるかって?
それは生一が先にその話題をシャークティさんに出したからですよ
シャークティさんも懺悔した人が話題に出せば答えるかもしれませんし(白目)
まぁ、あれは懺悔と言うより相談っぽいものだったんで生一としては気にしませんし
シャークティさんも生一を生徒の様に見ているのでからかう様に言うのも仕方ない