ダンジョンに救済を求めるのは間違っているだろうか 作:美宇宙
あれから進み、今は17階層、地上に向け歩いている途中である
その前に18階層でキャンプを行ったのだが、まあ酷かった
アイズと一緒に寝ろとか言われるわそれでベートが怒って全力の蹴りを何度ととされて避ける羽目になるわ、寝たら寝たらで抱き枕になってるし、しかも抜けようにも彼女のアビリティが高すぎて抜けれないし、それを覗きに来たアマゾネス姉妹に目撃されてまたベートに攻撃されるし、散々な1日だった
それはともかく出発し始めたロキ・ファミリアの後ろを歩く俺は今日も昨日同様にアイズと手をつないでいるわけで
最初は断った、ベートの事もあるし、何よりあれはあくまで俺に逃げる意思がないことを示すためのものであって、この階層までこればもうあと少しで地上に戻れるしやる必要がないと判断したからやらないと言ったのにその時のアイズの反応が反則且つ、周りが何故か痛い視線を送ってきたため手を繋ぐほかなかったのだ
「暴れ足りないよ〜」
「しつこいわよ」
「だってぇ……」
不満そうに告げるティオナ
ここロキ・ファミリアが遠征を行っていた理由は未到達領域である59階層に進出しようとしていたからである
しかし、あの芋虫モンスターのせいで万全の状態で望むことができなくなり、一旦帰還事を強制されたのだ
そのせいで暴れることができなかったのだろう、相当不満足そうだ
「そういえば、カイは1人であそこにいたの?」
何かを思い出したかのように俺に問いかけるティオナに俺は平然と答える
「俺に一緒に行くような人は居ないんだよ」
「え、じゃあ本当に1人で?」
「俺に仲間がいるように見える?」
俺の周りが一瞬固まった気がする
これをいうのは間違ってたかな、少し失敗感が残るがこの際置いておこう
彼女たちが固まった理由というのはあそこまで『1人』できたことにあるだろう
オラリオで最強の名を持つロキ・ファミリアが総力をあげて遠征という形であそこまで行っていたのに俺はたった1人、それがどれほど異質なものぐらい冒険者ならわかるはずだ
「と、到達階層は?」
「攻略という意味では45階層、探索と言う意味では貴方達と同じ58階層かな」
今度はファミリアほとんどが固まった
俺がこのファミリアと出くわしたのがちょうどその58階層の帰りに当たる
自分の金稼ぎを考えれば45階層がベストということを知っている俺はそこを狩場にしているため滅多にその下の階層に進まない
精々今回のように探索をするぐらいで、それも見るのはたったの一瞬だ、それだけでもわかるぐらい酷い場所だったけど
「それよりも、ミノタウロスが来ましたよ?」
話を流すように言った俺に合わせるようにルームに入ってきたミノタウロスは俺達を包囲する
この牛を人型にしたようなモンスターは中層モンスターであり、lv.2だ
仮にこのモンスターの攻撃を受ければ多分俺は重傷を負い、そこに這いつくばるだろう
まあ傷は条件を満たしていれば外傷はすぐ消えるのだが
「ぼさっとしないで早く戦闘準備を」
そう言われて動き出す彼ら
なんか俺が命令出したみたいになってる、俺じゃなくてフィンさんやリヴェリアさんの指示に従おうよ
「エクスブレイザー」
俺も戦闘準備を開始する
右拳を少し空間が開くくらいに握り、自分の武器の名前を呟く
そうすれば僅かに開けられた空間に剣の柄が刺さり、そこに1本の聖剣が姿を現わす
あいも変わらず鞘に収まったままの剣を構え疾走する
1体目、腕を切り落とし、そのまま核である魔石を砕き爆散させる
続く2体目、体を真っ二つにして地を吹かし爆散、3体目も同様だ
そうやこうやしているうちにミノタウロスの数も随分と減り、残り半数をきったところでモンスターがありえない行動をとる
自分達に背を向け一気に逃走し始めたのだ
「うっそだあ……」
あっけにとられている場合ではない、俺はモンスター追い始める
このままだと少なからず被害が出る可能性が高い、出来るならすぐに倒したいのだがモンスター達はさらに考えられない行動をとった
まさかの階層移動、上の階層にへと走りあがっていったのだ
それからさらに上層にへと走り去っていくミノタウロス達、いつの間にか6階層にまで来てしまった
ここにいるのはアイズとベートと俺だけだ、他の人達は他の階層に逃走したミノタウロスの排除に回っているのだろう
「どけぇ!」
ベートの蹴りが、ミノタウロスから冒険者を守り、ミノタウロスを倒す
ここは上層、多分ここにいる人のほとんどはあの牛に対抗できない
もしかすればこれより上に行けば家族がいるかもしれない、もしそこまでミノタウロスが移動すれば家族が殺られるかもしれない
「アイズ、ラストは!?」
「……見失った」
そう言われた時には既に剣に命令を下していた
「光走!」
自分の体が光に変換され、浮遊感に襲われながら光速移動を開始する
6階層には既にミノタウロスの姿は見当たらない、上の階層に移動したのだろう
俺は5階層に移動、そこを駆けまわればミノタウロスと冒険者の姿が見られた
白い髪の毛に赤い瞳、兎を連想させる少年はの名前を俺は叫んだ
「ベル!」
ミノタウロスの後ろに姿を現し眼前の敵に向け走り出す
剣先を相手に向けての突進、その剣が核を砕き、モンスターを葬った
「カイさん?」
俺の攻撃のせいでモンスターのちが付着しているベルが俺の名前を呼ぶ
「大丈夫?怪我はない?」
「はい、大丈夫です」
見る限り本当に無さそうだが大丈夫だろうか
彼が冒険者になってまだ半月、なのにミノタウロスに追いかけられるなんてレアな体験をした事は相当きついはずだ
「今日は帰ろう、まずはシャワー浴びて……」
「カイ」
俺の名前が聞い慣れた声で聞こえる
後ろを見ればそこにはアイズがいるわけで
……嫌な予感がする
「う」
「う、う?」
「裏切り者ぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
家族にすごい速さで逃走された
「く、くく」
俺のことをあざ笑うベートを一睨みする
「エクス」
大気に溢れ出す光を剣に纏わせ、1つの巨大な光剣を作り出す
標的は狼男、その剣を振りかぶり、そして
「ブレイザー!」
思いっきり振り下ろした