しかも結構な時間を使った。
更新まで時間をいただきますが、何卒ご容赦くださいませ。
最終日である23:55。強制ログアウト5分前に玉座の間に到着した。
「さて、最後の勝負やな。できるかわからんけど。ほんまにこの世界、ありがとうな。」
誰に言うわけでもない。誰に聞かせるわけでもない。そんな小さな独り言を発して左手で腰に装備している剣の柄を握る。
まだモモンガさんは来ていない。多分仲間さんが来て話してるんだろうと想像ができる。
それに比べ俺は仲間はもう居ない。というか元ギルメンだった俺がギルマスであるとか前マスターが引退した日より前の人とか知らないだろうしね。
想像したらちょっと羨ましい。
「待たせてしまい申し訳なかったな。」
突如自分が入ってきた玉座の間の入り口から太く低い声が聞こえた。
振り返るとそこにはモモンガさんが居た。よく見ると後ろには美人という言葉がふさわしいNPCを筆頭に、執事風の男やメイド達を従えて登場したのだ。
何の為にNPCを連れて来たのかは理解できないが、あのNPC俺欲しいわ!美人とか俺の妄想が捗る!
ただし、もし戦闘に加わられると俺は多分なんもできずにフルボッコゲームオーバーだね。
そんな事はモモンガさんはしないと思ってるけど。いや、信じてる!
とりあえずNPCはスルーしてロールプレイの再開としよう。
「そうでもない。最後というこの時に貴様という宿敵と戦える事、誇りにさえ思う。この剣に、消えていった仲間達の思い、モモンガを討つ事を命をかけて誓おう。」
最後のロールプレイだ。恥ずかしいとかそんなの今更!じゃなく全力でタイマン勝負なんだ。時間もおしている事だし、温存お互いせずの初っ端から大技乱舞しかないな。
「ふん。私が守護者達を移動させてやったことに感謝してほしいものだ。それに私の仲間とはいかないが、誰も観客が居ないのでは寂しかろう。
その為にいくらか観客という雰囲気でも楽しんでもらおうと思って連れてきたんだが喜んでもらえたかな?勿論手出しするような事はさせない。そこは安心したまえ。」
おお、さすがモモンガさん!さすモモっすわ!めっちゃ似合ってるわ~。
まぁ、でも先でもあるように時間はもうない。その為提案をしてみよう。
「嬉しい配慮感謝する。貴様はまがりなりにもこの組織のトップだと理解しているし、そんな小細工などしてこないと奴だと信じている。
しかしながら時間も押している事だし、お互い遠慮は無しの全力といかないか?」
「ふむ。それもそうだな。煮え切らない戦いではお互い悔いも残ろう。そんな事はお互い望まない結果を招きかねないのでよければ少々時間をくれないか?
ザンギエフが良ければ全力の為考えつく使えるバフをつぎ込もうと思っているのだが?」
「かまわんさ。宿敵であるモモンガの本気と戦えるなら戦士である俺としては光栄さ。その間に俺も準備させてもらう。」
「そうか。それでは準備させてもらおう。」
そう言うとモモンガは呪文を唱え始める。
<飛行><魔法詠唱者の祝福><無限障壁><魔法からの守り・神聖><生命の精髄><上位全能力強化><自由><虚偽情報・生命>――――――――――
え?魔法多くね?想像してたより多いんやけど、しかもまだ終わりそうにないんやけど!これどうなん!?
そんな俺の考えをよそにモモンガは詠唱を続ける。
<看破><超常直感><上位抵抗力強化><混沌の外衣><不屈><感知増幅><上位幸運><魔法増幅><竜の力><上位硬化>――――――――――
うん、時間押してるって言ったよね俺?本気とは言ったけど、時間考えてんの?このハゲ・・・
<天界の気><吸収><抵抗突破力上昇><上位魔法盾><魔力の精髄><魔法三重化・爆撃地雷><魔法三重化・上位魔法封印><魔法三重最強位段上昇化・魔法の矢>―――――――――
何か攻撃魔法も準備してね?これ?マキシマイズトリプレットマジックとか聞こえたんやけど・・・
これ大丈夫やんね?ある程度自信は持ってるけど、初撃で終わるパターンとかならマジ笑えるんやけど。そもそもモモンガさん何個魔法唱えたんだ?
「再度待たせてすまなかったな。本来は全力を出すべきなのだろうが、申し訳ないが仲間との思い出である場所。
流石にナザリックを必要以上に壊したくないのでね。これでこちらの最後だ。<根源の火精霊召喚>」
モモンガさんが右手に掲げた金色の杖、その先端には虹のように7色の綺麗な魔法が込められたような宝石が埋められている。赤い宝石から見事というような白い輝きが周囲に放たれる。
その瞬間、ゴウッ―――――
空気が揺れ、視界が歪み、灼熱とも感じられる濃く赤い炎が舞い上がり、いかつい牛の顔を持った上半身全裸の精霊が召喚された。
え?これ全力じゃないの?手抜きなの?何あの全裸?いや、半裸?てかあんた達ギルドぶっ壊れてると思ってたけど、やっぱぶっ壊れで正解でしたやん!
と内心自分でツッコミをいれながら俺も答える。
「あ、あぁ・・・俺の方も準備は完了だ。」
ちょっとびっくりし、声を発しようとしてもうまいこと言葉が出てこなかった。
だってさ、召喚ってわかるよ!でもさレベル80ってなに?
こっちレベル100で一人やで!
相手も同じレベル100よね?しかも強化スゲー状態、それにレベル80の精霊召喚ってレベル100よりはマシだけど、十分ウザイくらいには役に立つでしょう。
しかも赤い宝石からってことは、残り6体召喚できる可能性があるって事やんね?そうやんね?
はぁ~・・・頭いた~・・・
まぁこっちも
<上位全能力強化><看破><上位抵抗力強化><疾風怒涛><精霊の癒し><悪魔への断罪><最後の根性><死者への鎮魂歌><最高位階・神域><会心必中><魔力浄化吸収>―――――――――
その他諸々魔法、薬物、食物ドーピングも含めて行ってるけどね。
とりあえず1体は会心必中で速攻で火の精霊ぶっ倒すしかないな。
他に召喚するタイプなら詰みだわ。モモンガさんからの攻撃はある程度受けて一気に回復してと・・・そんなシミュレーションをしながら硬貨を取り出す。
「では、残り時間も1分程なので、俺がこのユグドラシル硬貨を投げて、地面に落ちたら開始ということで問題ないか?」
「ああ、それで構わないとも。それでは最後の殺し合いを始めよう。」
了解したというモモンガさんの声と共に空中に硬貨を投げる。
ほんの一時が長く感じた、今までを思い出せる程に・・・
チンッ―――――――――甲高い硬貨の着音が響くと同時に両者は動き出す。
「サモン・プライマル・ファイヤーエレメンタル!目の前のザンギエフを攻撃せよ!」
「そうはさせん!食らえ!<魔力浄化吸収>からの~<解放・会心必中>」
命令を受けた精霊はその灼熱の質量と共に右手を大きく振り上げザンギエフめがけて叩きつけようとする。
まるで某マンガの、我が生涯に一片の悔い無し!状態とも見える行為から振り下ろされたパンチは綺麗にザンギエフの疾風怒涛によって躱される。
これをまともに受けてもあまりダメージはないがユグドラシルの仕様上、炎や闇など視界が見えなくなるのだ。
万が一燃焼効果でもつけられれば殴られる威力よりも遥かに脅威だろう。
その為、出し惜しみは無しで速攻での処理をする事にした。
攻撃対象者が直進猛ダッシュからのいきなりの機動変化に対応しきれないのか、火の精霊は戸惑ってるように見えた。
いくらレベルが高くてもプレイヤーではない知能の持ち主が相手なら、勝つのは容易。
答えは簡単だ、<上位全能力強化>によって基本ステータスを強化し遅めの初速から一段速度を上げる、殴られる瞬間に<解放・疾風怒涛>により肉体のスピード能力と筋力と回避を上昇させて、瞬間的二回目の加速を行う
そのまま精霊の後ろに回り込んで一閃という流れである。
ぐぉおおおおおお!という叫び声と共に精霊が霧散消滅する。
<解放・会心必中>―――――――――
7階位相当であるこのスキルは文字通り、会心をストックして攻撃の際に任意のタイミングで解放して100%クリティカルヒット攻撃、さらに言えばこれは他のスキルや魔法にこの効果を付与できる。
今回はこれを4階位相当である<魔力浄化吸収>に効果を付与して魔力の塊である精霊から、体力ではない源(MP)を断ち切ったのだ。
精霊系統は体力HPとは別に、魔力であるMPが無くなっても存在ができないというのがここユグドラシルでの仕様だ。
この相手からの魔力は自分のMPへと1/100が転化されるようになっている。正直対ボス用にしか使えない難儀な仕様ではあるのだが。
このおかげでMPが回復したが、そんなものは今はどうでもいい。
本当に時間が押しているのだ。あとどれくらいなど確認している時間はないのは確かだ。
精霊が霧散したのを視界の端に捉えながらモモンガさんめがけてダッシュ!
モモンガさんも先程仕掛けたであろう魔法を起動しようとしている。
こちらのダメージも今はどうでもいい!時間的に一撃でもいい!最後なんだ!ダメージを与えたい!
これでモモンガさんともお別れだ。
「さよならです!モモンガさん!今までありがとうございましたぁあああああああああ!!!!」
その瞬間、視界に執事風の男が立ち塞がるのが見えて、同時に悶絶するような痛みが腹部から込みあがってくるのを感じたのを最後に俺の意識はそこで途絶えた。
ナザリックが大好きすぎる。
本当にナザリックの敵とか個人的に許せないっす!
ということで、頑張っていきます。