柊霧生が進む道   作:ダメオ

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EPISODE2 能あるガキは牙を隠さず

ドーモ、ミナ=サン。柊霧生です。

オレにIS適性があると分かった日から数日が経った。クソ母とクソ姉二人はオレの身柄を勝手に引き渡し、オレは政府の監視の下でビジネスホテルに缶詰状態でISのお勉強をしていた。奴等は大金ゲットでウハウハ、オレは監視付きだが大体一人の時間だからウハウハ。外に出なけりゃ大体自由だし、お陰で最近調子がいい。まあ、IS学園から配布された参考書で毎日お勉強なのはかなりしんどいが、オレはワンサマーと違ってYDDではない為必死に学ぶっきゃないと自身を元気付け、時に真っ黒空間で悪魔に笑われながらも日々を過ごしてきた。

 

そして現在、オレは入試試験を受けにやって来た。確か原作ではワンサマーがやまや先生とバトり、やまや先生が壁に突っ込んで自滅してワンサマーの勝利となったアレだ。ここでオレのISランクが決まることになる。

 

オレは量産機の『打鉄』を纏い、フィールドに立って相手を待つが……なんてこったクソッタレ!操作感マジ最悪だ。すごく重苦しい感じがする。まるで背中にゴリラの赤ん坊背負いながら牛の糞の山に足突っ込んで登山しているようだ。……我ながら最低の例えだな。何故こんなくだらねぇ戯言ばかり頭に思い浮かぶんだオレは。

まさしくBULL SHIT(戯言)(直訳:牛の糞)だ。

 

 

「ーーーあ、あのぉ〜」

 

「はっ、はい?」

 

 

ふと前を見ると、既に人がいた。緑の短髪で眼鏡をかけた可愛らしい少女の如く容姿、そしてISスーツによって強調された暴力的なバストの持ち主が量産機の『ラファール・リヴァイヴ』を纏ってスタンバっている。

 

彼女はやまや先生こと山田真耶(ヤマダマヤ)ではないか。原作では多少抜けてるが性格は良い人だった。悪く言えば天然ボケだが。こっちでもそういう風ならいいなぁ。

 

 

「あっ、えっと、は、初めまして!や、山田真耶と言います!」

 

「あっ、御丁寧にすみません……柊霧生です。じゃあ、始めましょうか」

 

「はっ、はいぃ!!」

 

 

やまや先生がかなり緊張している中、オレは落ち着いている。だがしかし、勝てる気はしない。あっちは元日本代表候補生で、こっちはろくに動けない素人。緊張しているとはいえ、向こうに負ける要素ないだろ。

 

そんなことを考えていると、試合開始のブザーが鳴る。すると、やまや先生が速攻で突っ込んできた!マズッ、速ッ、回避ーーー

 

 

「ーーー間に合わねぇーッ!!」

 

 

オレが叫びを張り上げると同時に轟音と衝撃が襲いかかり、視界に天井が広がる。チクショウ、クソッタレ……ワンサマーなら、避けれたんだろうなぁ…………。こんなことを考えていたら、オレの意識はあっという間に薄れて途絶えてしまった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー真っ先に目に入ったのは、知らない天井だった。

 

確か……やまや先生の体当たり食らって、それが『こうかはばつぐんだ!』で、そのまま目の前が真っ白になってポケセン直行……いや、ここは医務室か。とりあえず起きよう。

 

オレは起き上がり、ベッドから降りる。

 

結果どうなるかなぁ……ランクD?それともE?まあ、あの体たらくなら最低なのは間違いないわ。

 

…………あっ、ちょい待てよ。

 

オレ、たった今大事なことに気がついた。今日ここにはワンサマーも来ている。だが、やまや先生はオレとバトった。と、すると……ワンサマーは誰と戦うんだ?

 

やまや先生に連戦させるのか?でもなぁ……あの衝撃はかなりのものだったからやまや先生も意識飛んでると思うし。ならやまや先生以外の教員だろうか?

 

 

「ーーーあっ、柊君。大丈夫ですか?」

 

 

考え事をしていたら右から扉が開く音と女性の声が聞こえた。目で確認しなくてもやまや先生だと分かる。グッドタイミングだ、やまや先生。オレはやまや先生の方を向き、口を開く。

 

 

「はい……なんとか」

 

「ごめんなさい……私、あまり男の人と面識が無くって、緊張してたらあんなことに…………」

 

「大丈夫ですって。天下のISのお陰で無傷で済みましたから。それで、オレのISランクの結果って出ましたか?」

 

「はい!たった今出たので、お届けに来ました」

 

 

そう言うやまや先生から一枚の紙を受け取る。

 

 

 

 

 

オレのISランクは……F!!

 

 

 

 

 

WHAT THE F×CK!?(なんだこりゃ!?)

 

Fだと!?DやEより下!?Fワードばっか使ってるクソ中毒のファッ○ン野郎にはお似合いなランクだってかクソォ!!……いや、落ち着け。冷静になるんだ。このことを考えるのは止めよう。今はワンサマーのことが気になる。

 

 

「そういえば、一人目の男性操縦者……織斑一夏君は試験を終えたんですか?」

 

 

オレの問いかけに、やまや先生は少しばかり興奮した笑みを浮かべる。

 

 

「はい!もうすごかったですよ!?あの織斑先生と互角に戦った上、最後は勝っちゃうんですから!!」

 

「織斑……先生?もしかして織斑千冬ですか?あのブリュンヒルデの?」

 

「はい!そうですよ!」

 

「……で、織斑君のランクは?」

 

「Sランクの織斑先生に勝ちましたから即Sランクに決定しました!」

 

 

やまや先生は興奮しているがオレは興奮出来なかった。世界最強と互角で?最終的に勝ってISランクS?そんなのオレの知ってるワンサマーじゃない!ワンサマー初期はISランクBじゃなかったか!?

 

……いや、待て。ここはオレの知ってるISの世界ではない。原作より『女尊男卑が酷い』という違いがある。つまりここは原作の平行世界だ。故に、原作より『ワンサマーがクソ強い』という違いもまた、存在するのかも知れない。

 

 

「……柊君?どうかしましたか?」

 

「あっ……すみません。少し考え事をしてて」

 

 

考え事に耽っていたオレを見てやまや先生が問いかけてくる。オレはそれに適当に返す。こうなったら、接触する他ないか。

 

 

「そうだ。試験終わったんですよね?なら、帰ってもいいですか?」

 

「はい、大丈夫ですよ。今日はお疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいね!」

 

「はい。では、失礼します」

 

 

オレは足早に医務室から出て会場の中を歩く。ワンサマー……どうなってんだろう?やっぱそんだけ強いなら性格も変わってるかな?

 

冷静というより根暗な感じで自己紹介の時に『嫌いなものは女尊男卑に染まった人間だ……』とか言う系じゃないことを祈ろう。そういうのに巻き込まれるのはマジで御免だ。

 

 

「ーーーちょっといいか?」

 

 

背後から声をかけられる。この声は……ワンサマーだな。

 

オレは振り返り、背後に立つ人物を視界に入れる。そこに立っていたのは、織斑千冬の弟である織斑一夏だ。クソッ、なんてイケメンだ。あまりの眩しさにサングラスが欲しいくらいだな。

 

 

「……なんでしょう?」

 

「話したいことがある。ついて来てくれ」

 

「……分かった」

 

 

オレはワンサマーと共に歩き出した。オイオイ、嫌な予感がするぜ。ついて行きたくない。でも行くしかない。行くっきゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレとワンサマーは試験会場の中でもかなり端に存在する唯一の男子トイレにやって来た。ISは女の乗り物だから、そこの試験会場の大半が女子トイレオンリーなのだ。

 

ワンサマーに一目会いたいとは思ってたが、ワンサマーから発せられる雰囲気を感じた瞬間オレはこの場から離れたくなった。コイツ絶対オレの知ってるワンサマーじゃない。

 

 

「ーーーお前、転生者だろ?」

 

 

言葉からでもおわかりいただけるこのゲロ以下のにおい!そして殺気と威圧!この野郎……確かに転生者だが一般人だぞ!もっと優しく聞いてくれよクソッタレ!!

 

 

「……そうだと言ったら?」

 

 

オレが言った言葉、お気に召さなかったようだ。目の前のクソッタレはオレの胸倉を掴んで壁に押し付ける。背中痛いぞクソ。

 

 

「いいか、お前がIS学園にいるのは千歩譲って許してやる。でもな、オレのヒロイン達に手を出してみろ。マジでぶっ殺してやるからな」

 

 

目の前のクソッタレは高レベルな殺気と威圧を出しながら低レベルな発言をする。なんだこの香ばしいタイプのクソは。

 

 

「あー、その……前世でよほどモテなかったのか?」

 

 

売り言葉に買い言葉と言わんばかりに口に出してやる。その瞬間、目の前のクソッタレはオレをぶん殴り、オレはあっという間にボロ雑巾にされてしまった。多少流せるとはいえ痛いものは痛い。

 

 

「口のきき方に気をつけろ!オレは主人公だ!お前みたいなモブキャラとは価値が違うんだよ!!」

 

 

そびえ立つクソはそう吠えながらオレにストンピングかましてきやがる。この野郎……オレはバッ糞バニーじゃねぇぞ!

 

 

「忠告はしたからな……もし俺の機嫌を損ねることをしたら、この世界から排除してやるからな」

 

 

クソ野郎は満足したのか、立ち去ろうとする。この世界から排除してやるとか何様だコイツ。神が天よりこの世界に垂れて下さった排泄物サマですか?

まさしくHOLY SHIT(直訳:聖なる糞)だ。

 

 

「……力を持った途端コレか。もしや前世はいじめられっ子か?」

 

 

オレが呟くと、クソ野郎は振り返り憤怒の表情でオレの腹部にサッカーボールキックを叩き込みやがった。今回一番の威力、頂きましたー。うへぁ、メチャ痛ぇ……。

 

 

「……絶対、殺してやるからな!!」

 

 

クソ野郎はそう吠えてから足早に立ち去っていった。ドアを乱暴に閉めたせいで跳ね返って閉まってない。どうやら、前世の突かれたくないところを突いちまったようだ。

 

ザマァミロ、クソバカ野郎!

 

 

「よっこいしょっと……」

 

 

とりあえず起き上がり、壁に寄りかかる。少し痛みが引くまで休みがてらヤツのことを考えよう。

 

見た目はワンサマーだが、中身は違う。『ワンサマーとして転生』したのか『ワンサマーに憑依』したのかは知らん。あの殺気と威圧、そして攻撃力……あんな小便臭い発言するヤツがあそこまで自分を鍛えることは出来ないだろうから、恐らくは神から頂いた特典だろう。そしてあの発言から察するに……精神年齢は十五、六歳って所か。オレなんて前世は十八歳で今では十六歳なのに。なんで歳下のクソガキに生意気な口叩かれながら物理的に叩かれにゃならないんだ。クソが。

 

 

「……オレもああいう分かりやすい特典が欲しかった」

 

 

思わず本音が漏れながらも立ち上がる。まだ少し痛むが充分動ける。ハァ……あれが本物のワンサマーだったらなぁ。大なり大なり問題持ってくるだろうが、それでも性格は『友達としてはマシ』なタイプだしオレのお先真っ暗な学園生活も多少は良くなったやも知れないが……アイツじゃあ無理だよな。アイツの場合周りをけしかけて潰しに来るかも知れない。

 

……にしても、あんなクソに人生乗っ取られるなんて……オレはワンサマーそんな好きじゃないけど、嫌いなわけではなかったから同情するよ。イヤマジで。

 

…………さて、帰ろう。真っ暗なお先が近付いているが、仕方ない。その暗闇に飛び込んでやろう。なんだったら、出来る限り苦しまずに死ねればいいけど……。

 

オレは溜息を吐きながらホテルへと帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーいっくんがISを動かせるなんて……思いもしなかったなぁ」

 

 

暗い部屋にて、モニターに照らされながら一人の女は口を開く。だが、その表情は笑顔だが、心なしか暗く思える。

 

 

「それとぉ、柊霧生……」

 

 

女はモニターを見つめながら言う。モニターに映るのは何処かのホテルの監視カメラの映像。ベッドに寝転がる霧生の姿だ。

 

 

「なんていうか、平凡な感じだなぁ〜」

 

 

眠たげな眼で霧生を見つめながら女は言う。しかし、女の笑みは先程の暗さを感じさせない明るいものとなっていた、

 

 

「でも、キミなら……わたしを解放してくれる。わたしの『夢』を壊したこの世界から……世界に壊されたわたしの『夢』から……。なんてったって、完璧にして十全な存在であるわたしが言うんだから間違いない!」

 

 

女は一人、意気揚々と言ってからモニターを切って席を立ち、ソファーに飛び込んで寝転がる。

 

 

「それまで、わたしは待ってるからね……きーくん。いや、『■■■』さん」

 

 

女はそう言い、目を閉じて意識を手放した。




メイン人物紹介

織斑一夏(オリムライチカ)

皆々様御存知ISの主人公だが、この平行世界(小説)の一夏は神の手違いで死んだ転生者が当時六歳の一夏に憑依した存在。特典は『戦闘能力S』であり、凄まじい戦闘力を有する。前世では陰気で周りを見下す性格から不評を買ってイジメを受け、その果てに性格が更に歪んでいる為特典で得た歴戦の戦士のような力と殺気、威圧を戦いではなく、只ひたすら弱者に用いて弱者達の中で強者として君臨している雑魚専。精神面は前世のままである為非常に未熟で感情的になりやすく、冷静さに欠けている。


完璧にして十全な存在

『天才』、又は『天災』と呼ばれている女性。ISの生みの親らしいが現在は行方知らずの身であり、世界の何処かに潜伏している。並の人間には到底理解出来ない感性を持っており、二人目の男性IS適性者である霧生を一目見た時から『希望』を抱いている。
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