レナリア台地へとたどり着いたラムザ一行。
だが、そこには骸旅団が待っていた。
「ここも封鎖されていたのね・・・もう我々に逃げ道はないのね・・・」
その一団の中に、知った顔があった。
盗賊の砦で見逃したミルウーダであった。
「ミルウーダ!ティータを・・・オレの妹をどこへやった!」
「ティータ?・・・ああ、あのベオルブの娘のことね。」
「ティータを・・・オレの妹をかえせぇぇぇぇ!」
ディリータが剣を抜くと、一直線にミルウーダに突っ込む。
高雄の援護は間に合わない。五十鈴が慌てて援護射撃しようにも、またも敵のほうが高度がある状況に、射線が通らない。
青葉が黒魔法の詠唱に入る。一番早くてもディリータの露払いにはならない。
そんななか、ディリータの暴挙ともいえる行動についていったのが2人。
朝潮と村雨だった。
敵に魔導士がいるとわかると、一直線に狙いに行った。盗賊の砦やドーターのスラム街での戦闘で、いやというほど魔法の脅威はわかっていた。
だからこそ、重装備で耐えれる者が行かなければと、突出したのがきっかけだった。
「村雨!」
「わかってますよぉ~っと!」
3人いた魔導士のうち、明らかに黒魔導士だとわかる敵2人をそれぞれ狙いに行く。
しかし、この一手が最悪の悪手だった。
狙われなかった唯一の魔導士―時魔導士が、黒魔導士が襲われるよりも一瞬早く呪文を唱える。
「ひるがえりて来たれ、幾重にもその身を刻め・・・ヘイスト!」
時魔導士の唱えた呪文「ヘイスト」が、黒魔導士2人にかかる。
かかった2人は直前までの動きとは異なり、2倍のスピードで動き始めた。
「なっ・・・!」
身体ごとぶつけるつもりだった攻撃をよけられ、朝潮が体制を崩す。
村雨は何とか踏みとどまり、朝潮を背中合わせになる。
そうして2人の動きが止まり、固まった時を狙い、黒魔導士2人が呪文を唱えようとする。
だが、それは未然に防がれることとなった。
黒魔導士の片方が呪文を詠唱準備しているとき、真後ろから文字通り殴り飛ばされた。
モンクとして順調に鍛錬を続けているラムザの攻撃だった。
もはやその鍛えられたこぶしは、騎士の剣技にも匹敵する威力を持ち、軽装の魔導士程度なら一撃で持っていかれてしまう。
詠唱中だった黒魔導士も例外ではなく、殴り飛ばされた先でピクリとも動かなくなった。
「ディリータ!」
「うぉぉぉぉぉぉ!」
ディリータとミルウーダの激しい剣戟が繰り広げられる。
剣で剣を止め、盾ではじき、ときに離れて近づく。
だが、劣勢なのはディリータだ。
ミルウーダは巧みな回避と、ディリータの攻撃に見える隙に的確にカウンターを返していく。
まだ致命打はないが、ディリータが長くは持たないことは明らかだった。
「貴方は返してくれるの?貴族が、私たちから奪ったすべてのものを貴方は返してくれるの?最初に奪ったのは貴族たち。私たちはそれを返してくれと願っているにすぎない。だが、貴族たちは返してくれない。ただ、ひたすら奪うことを繰り返しているだけだ! だから、私たちは力を行使する!」
ディリータの攻撃が空振りする。そして、それは致命的な隙だった。
「あきらめなさい!貴方の妹を返さねばならない理由はどこにもない!!」
攻撃によって体制の崩れたディリータへ、ミルウーダの容赦ないカウンター攻撃が飛ぶ。
「―――――――――――っ!!」
ディリータはそのまま膝から崩れ落ち、そのまま倒れた。
「・・・ま・・・まだ・・・し・・・しねない・・・」
必死に起き上がろうとするディリータだが、やはり切られた傷は深いのか、立ち上がってこない。
「さようなら。貴方に恨みはないけど、私たちの革命のために死になさい!」
「させるものかっ!」
ディリータにとどめの一撃を刺そうとしているミルウーダに、ラムザがとびかかる。
「くっ!」
ミルウーダはとっさに下がり、ラムザから距離をとる。
「大地の怒りがこの腕を伝う!防御あたわず!疾風、地裂斬!」
ラムザが渾身の力を込めて大地を殴る。
そして、その衝撃は前方にいるミルウーダに正確に伝わった。
「ぐぅっ!」
ディリータとの戦いで少なくない手傷を負っていたミルウーダが、たまらず膝をつく。
「革命といったな!革命を起こす必要があるのかっ!」
「無知は罪よ!貴方が当然と思う世界は貴方に見える範囲だけ。でも、それだけが世界じゃない。本当なら貴方が悪いわけじゃない。でも、現状が変わらない限り、私は貴方を憎む!貴族であるというラムザ・ベオルブという人間を!」
遠距離攻撃の手段を持っているとわかったラムザから離れている意味がないと悟ったミルウーダが、距離を詰める。
「アーマー・・・」
「シールドぉ・・・」
「「ブレイク」」
朝潮と村雨が、それぞれにミルウーダに攻撃をする。
ただし、その攻撃は本人を狙ったわけではなく、本人のつけている武装に対しての攻撃だった。
朝潮の攻撃が、ミルウーダのつけていたチェインメイルのほころびを突く。
それと同時に、攻撃するために意識がおろそかになっていたブロンズシールドに、村雨の攻撃が入る。
結果、チェインメイルは壊れミルウーダから外れ、ブロンズシールドも、盾としての機能を果たせなくなる損傷を受けた。
「ちっ・・・!」
中途半端についていたチェインメイルを外し、ブロンズシールドを投げ捨てるミルウーダ。
「剣を棄てろ、ミルウーダ!これ以上の戦いは無意味だ!剣を棄てて戦いをやめ、話し合おう!どこかに解決策があるはずだ!それを見つけよう!僕が兄さんたちに言おう!いや、もうラーグ公に言おう!僕を信用してくれ!!」
「貴族の嘘は、もう聞き飽きたっ!」
「ミルウーダ!」
ラムザの言葉に耳を傾けないミルウーダが、ラムザに切りかかる。
説得できると信じていたラムザは、よけることができず致命打ともなり得る一撃を食らってしまった。
「ラムザ!」
朝潮がラムザの元へ駆け寄ろうとする。しかし、残存するミルウーダの仲間騎士に行く手を阻まれる。
「どけぇぇぇぇぇぇ!」
朝潮の渾身の一撃が、立ちはだかる騎士を吹き飛ばす。
「貴方には見逃してもらった恩があるかもしれないけど、あの時も言ったように私は貴方の敵よ。殺させてもらうわ。」
ミルウーダの剣が振り上げられる。
出血による一時的な意識混濁をしているのか、ラムザが膝をついたまま動かない。
朝潮が走る。
「あのとき見逃してくれてありがとう。そして、さようなら。」
「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
戦場が、静まり返った。
ラムザが痛みでぼーっとしていた意識をはっきりさせたときには、すでに始まっていた。
いや、終わっていた。
「うっ・・・あっ・・・っ・・・」
ミルウーダに深々と刺さったミスリルソード。
それは、直前に新調した、朝潮の新しい剣だった。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
朝潮が突き出した剣が、今まさに振り下ろそうとしていたミルウーダの胸に刺さった。
いや、正確には朝潮が刺した。
ミルウーダの手から剣が落ちる。そのまま地面に落ち、ガラランという音の次に、ミルウーダが倒れた。
朝潮は剣から手を放し、自分が何をやったのかを理解し、後ずさる。
「あ・・・あぁ・・・・あぁぁぁ・・・」
朝潮が絶望の顔をする。ミルウーダが助からないことを悟ってしまったから。
朝潮が涙を流す。自分がやってしまったとわかってしまったから。
朝潮が叫ぶ。こんなことに心が耐えられるほど強いわけではないから。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁああぁぁぁぁ!!!!!」
その悲しき咆哮は、レナリア台地中に響いた。
戦いは、それ以上続かなかった。
レナリア台地戦終了です。
ミルウーダ最期の時。
すみません、いろいろと活動報告にて。
読まなくても問題ないようにはする予定です。
・・・考えがまとまって、ちゃんと言葉にできればですが。