ディリータが妨害していた騎士を切り倒し、ついにアルガスに切りかかる。
「アルガス!よくもティータを!殺してやるー!!」
「悔しいか、ディリータ! 自分の無力さが悔しいだろ?だが、それがおまえの限界だ! 平民出のおまえには事態を変えるだけの力はない!嘆き悔しがることしかできないんだ!はっはっはっ、いい気味だぜ!!」
力任せに剣を振るディリータの攻撃を巧みにかわし、アルガスはナイトキラーで反撃する。
ただ、距離が近すぎて簡単によけられてしまう。
「ディリータさん!・・・くっ!」
村雨が援護のために近寄ろうとするも、すぐにほかの騎士に道を遮られる。
「村雨ちゃん!今回復を!」
高雄が最前線から一歩引く。そして村雨の回復に回ろうとする。
しかし、黒魔導士からの魔法攻撃の目標にされている今、呪文の詠唱のために無防備になる隙をさらしたくはなかった。
「そんな時は青葉にお任せ!」
そう高雄が悩んでいたとき、青葉が援護のために合流する。青葉は直前でサブアビリティを白魔法に変えていた。高雄からの直伝である。
すぐさま呪文詠唱に入る青葉。その隙を逃すまいと黒魔導士が呪文の詠唱に入る。しかし、そこは織り込み済みな青葉。
「五十鈴さん、今です!」
「任せなさい!」
先ほどまで五十鈴をしつこく狙っていた黒魔導士はすでに青葉と五十鈴によって倒れ、自由に狙えるようになった五十鈴が、呪文の詠唱に入っていた黒魔導士を、チャージした弓によって狙い撃つ。
寸分たがわず黒魔導士を撃ち抜いた五十鈴は、すぐに目標を切り替え、村雨の援護射撃に回る。
「この距離で狙えるかわからないけど・・・食らいなさい!ウエポンブレイク!」
五十鈴が狙ったのは村雨を狙う本人ではなく、その武器であった。
いくら武器のウィークポイントを教えてもらったとはいえ、距離で言えば10も離れている。普通なら当てることすら難しい。
しかし、五十鈴も長いこと長弓を使いほぼ自分の狙ったとおりの場所に撃てるようになっていた。
五十鈴から放たれた矢が、勢いそのまま騎士の手に当たったように見えた。
実際は剣の付け根の腹に見事に当たり、騎士の握っていた剣は真っ二つに折れた。
騎士がその折れた剣を見て驚愕したその隙に、村雨は武器を壊された騎士を切り捨てでアルガスの元へ向かう。
北天騎士団との戦いは、ラムザ達の優勢で進んでいる。
一方、当のラムザはその戦いを呆然と見ているだけだった。
(・・・どうして?戦っているのは味方・・・?)
遠くに見えるのは、ディリータがアルガスに切りかかり、アルガスはそれを盾で防いで、つばぜり合いのような押し合いになっている。
(ディリータ・・・僕は・・・助けられなかった・・・ティータを・・・)
「ラムザ!」
回復のために下がってきた高雄が、ラムザの横まで戻ってくる。
「た・・・かお?」
「悩むのも、考えるのも、後悔するのも後にしなさい!今は・・・生き残ることを考えなさい!」
それだけ言って、高雄は詠唱に入る。
(僕は・・・)
ラムザは、自分の頬を両手で力いっぱい叩く。
「僕は・・・帰るんだ!」
ラムザがさけぶ。この世界にきて初めての戦いのときのように、力を入れ、足を動きやすい幅に開き、身体の奥底から勇気を湧きあがらせる。
足に力をこめる。狙いはまっすぐ一人だけ。
「アルガスぅぅぅぅ!」
高雄を追い越し、村雨の後ろを抜け、五十鈴の援護射撃を受け、青葉の攻撃に巻き込まれないようにアルガスを全力で、手加減なく、殴り飛ばした。
「ぐおぅあぁ・・・」
殴られた勢いで飛ばされたアルガスは、そのまま壁にたたきつけられた。
ラムザはそのままアルガスを追い、倒れそうになるアルガスに拳打を連続で放つ。
「熱き正義の燃えたぎる!赤き血潮の拳がうなる!連続拳!」
ラムザの、容赦ない拳の嵐が、アルガスを襲う。
後ろが壁のアルガスは、その拳の威力をまともに受け続けることとなった。
「く・・・くそがっ・・・オマエのような・・・軟弱に・・・やられ・・・ぐほぁ・・・」
そうしてアルガスを殴っているうちに、アルガスの後ろの壁が爆発した。
おそらく、ジークデン砦の中にあるという爆薬の一部が、衝撃で爆発したのだろう。
その衝撃で、アルガスは壁から吹き飛ばされ、地面を転がる。
そして、転がった先には、ディリータが立っていた。
ディリータは何も言わず、剣を真下に構える。
「ま、まてディ――――――――」
そのままアルガスの胸を突きさす。
一瞬の絶叫のあと、アルガスは目を開いたまま絶命した。
「ちっ・・・これだから外から来た奴は信用できなかったんだ・・・撤退だ!本来の任務はすでに達成している!」
村雨と戦っていた騎士が撤退の合図であろう信号弾を打ち上げる。
それに呼応して、アルガスを除く倒れた騎士や魔導士などを回収しつつ、北天騎士団は撤退していった。
それを見送っていると、ディリータがふいに動きだし、ティータの亡骸を抱き上げる。
「ディリータ・・・」
高雄がその様子を見て、何か言うつもりかディリータに近づく。
もう手が届く、といったところで、再び爆発が起こった。
「な、なんなの!?」
村雨が爆発によって飛んできた小石から身を守る。
その爆発を境に、建物のいくつかが爆発し始めた。
「さっきの衝撃で、爆発した火種が、砦全体に広がり始めたんだ・・・」
「ラムザ、ここから逃げるわ!爆発に巻き込まれる!」
建物の屋上から間一髪降りてきた五十鈴が、ラムザと合流する。
「高雄!ディリータ!そこは危険だ!早く離れ――――――」
建物の上部分から爆発が起こる。それによって大きながれきが、ディリータたちに降ってくる。
「高雄!ディリータ!」
「ラムザ!早く離れなさい!」
「あそこには高雄が!ディリータがいるんだ!」
「馬鹿ね!高雄がその程度でくたばるわけないわ!五十鈴は信じてるもの!」
五十鈴が無理やりラムザを引っ張り、爆発の起こっている建物から離れようとした。
しかし、爆発は他の建物にも飛び火し、いたるところで爆発が起こっていた。
「急いでラムザ!・・・大丈夫、高雄さんは絶対無事だから!」
村雨も、ラムザを引っ張る。そんな気休めにもならないかもしれない言葉を話しながら。
「・・・っ!」
ラムザは奥歯をぎりっとかみしめながら、ジークデン砦に入ってきたほうへと走り始める。
僕は今まで当然のように生きてきた。
その当然が何かの犠牲の上に成り立っていたと知ったとき
僕はすべてを棄てて逃げ出した
守るべきはずの高雄も
信頼するべきだったはずのディリータも
頼るはずだったイグーロスのみんなも
すべてを棄てて・・・
そうして、逃げ続けた。
ジークデン砦からどれだけ離れたのかわからない。
もう、動けないくらいに疲れた
雪道による疲労は限界に近く、それは一緒に逃げてきた艦娘のみんなも同じだった。
「・・・なンだ?お前たちは。」
そして、僕の運命を大きく変える人と出会うことになった。
原作chapter1終了です。
高雄とディリータと離別しました。
とある人と出会いました。
ここから先は、原作chapter1と2の間のお話を少し入れていきます。
原作だと語られてない部分をオリジナルで保管します。
あと、ちょっと前に言っていた裏ちゃぷたーも活動報告のほうで少し書いていきたいとは思います。