「んん・・・?」
村雨が目を覚ます。
ベッドの上に寝かされており、その体の上にはシーツがかけられている。
おそらくは布団としての役割なのだろうと、村雨は1人納得する。
ベッドから降り周りを見渡すと、木で作られたログハウスの一室のような感じの部屋だった。
調度品や家具などはほとんどなく、数少ない家具であるテーブルとイスが2脚、ベッドとランタンだけの簡単な内装である。
「みんなは・・・?」
村雨はテーブルの上にあった服を着て、さらにそのしたに置いてあった鎧をつける。
流石に剣と盾はなかったが、それでも体が守れる者があるのはありがたかった。
部屋にあった唯一の扉を慎重に開けて辺りの様子を探る。
開けたところは廊下になっており、同じような扉が少なくとも5つ見える。
一番端の部屋だったらしく、廊下の反対は壁になっていた。
足音を立てないよう慎重に廊下の先へと進む村雨。
「多少なりとも徒手格闘はできるようにしてたけど、付け焼刃でどこまでできるかしら・・・」
村雨はナイトの傍ら、ラムザから格闘に関しての手ほどきを受けていた。
武器がなくとも、重い剣などを持つ力を応用して、多少なら拳だけで戦うこともできるようになっていた。
「・・・声?」
廊下の先には扉があった。その先からは光が漏れ、誰かが話しているような声が聞こえる。
そして扉を開けると、そこには大きな長細いテーブルと、大量の料理が並んでいた。
「・・・何コレ?」
よくわからない状態に呆然としていると、村雨に気が付いた1人の騎士が声をかけてくる。
「ようやく目覚めたのね。なかなか起きないから心配したのよ。」
ショートカットの黒髪に、緑のフレームの眼鏡をかけた少女騎士が近づいてくる。
「霧島さん・・・?」
「久しぶりね、村雨。しっかりこの世界になじんでるようで安心したわ。」
霧島がニコッと村雨に笑いかける。
「お久しぶりです。私はともかくみんながなじんでるかどうかはわかりませんけど・・・」
「まぁ、そういった話は後回しにして、今は食事にしましょう?みんながもうすぐお風呂から帰ってくるだろうし、食事の用意もほとんどすんでるわ。」
「テーブルの上の料理はすべて霧島さんが?」
「いいえ、私だけじゃなくて・・・」
「霧島の姐さんよぉ、準備はすンだのか?」
台所と思われるところから、また1人出てくる。
霧島よりも少し背が低いくらいだが、全身から立ち上るオーラみたいなものが違うと、村雨は即座に構える。
「おぉー!村雨じゃねーか!元気にしてたかー?」
そんな村雨の反応を全く気にしていないのか、台所から出てきたエプロン姿の女の子―江風が村雨に声をかけてきた。
「あ・・・江風!?」
「おう!その通りだぜ!」
豪快に笑う江風と驚きを隠せない村雨、さらにお風呂から帰ってきた五十鈴たちが、村雨の入ってきたのと反対の扉から、この大広間に戻ってくる。
そうして、大広間は一気に騒がしくなっていったのであった。
「・・・使えるのか?」
暗闇の中、ダイスダーグが目の前の少女を見て、付き添いに話しかける。
「今のままでは無理ですよ。少し『教える』必要があります。」
少女は頭を抱えながらずっとぶつぶつ言っている。
守れなかった 殺した 助けた
そのような感じの言葉を、ただひたすら永遠に。
「使えるようにしろ。今は戦力が欲しい。」
「彼女は仲間なんですけど?」
間髪入れない反論に、ダイスダーグも一瞬だけ口をつぐんだ。
「・・・別にこれを大事にする、というなら止めん。だが、そうなれば・・・」
「わかっていますよ、ダイスダーグさま。」
付き添いが諦めた口調でため息をつく。ダイスダーグもそれ以上追及せず、暗闇の部屋から外へ出ようとする。
「間に合わせろ。それが条件だ。」
それだけ言うと、ダイスダーグは部屋を出て行った。
付き添いと少女だけとなった空間に、少女のつぶやく声が響く。
「・・・これも罪、なのかな。」
付き添いは一言だけつぶやくと少女の元へ近づき、耳元でそっとささやく。
何かささやいたようで、その言葉を聞いた少女のつぶやきが途絶える。
「・・・それは、ほんとうですか?」
「ホント。だから、今はそんなに落ち込んでる暇はないよ、朝潮ちゃん!」
少女――――朝潮は力なく地面に座っていた身体を起こし、立ち上がる。
「・・・なら・・・私に『力』をください・・・」
「任せて。すぐとはいかないかもだけど、ラムザの敵を葬れるだけの『力』を用意してあげるからね・・・」
付き添いは朝潮を部屋の外に案内する。そして、2人はそのまま夜の闇へと消えていった。
江風、霧島とラムザ達が合流。
朝潮、何やら怪しげなことに・・・?
しゃべり方の問題で一部キャラを修正しました。