「ラムザ!無事だったのか!」
ラムザが馬車を降り、士官アカデミーの建物の前について早々、入り口のあたりから一人の青年が走ってくる。
「お前が盗賊に襲われたと聞いて、心配したんだぞ!」
青年はラムザの肩をつかんで前後にぐわんぐわんと降っている。
「で、ディリータ様・・・ラムザ様は病み上がりですので、あまり激しく揺らされては・・・」
「それもそうだったな。いや、すまないラムザ、それにウシオも。久々に姿を見れてついうれしくなってな。」
照れたように頭をかく青年―ディリータは、ラムザの反応が今一つということに気が付いた。
「・・・もしかして、まだ本調子じゃないのか?」
「い、いや、そうじゃないんだ。体調は万全だけど、少し疲れが出てね。」
「そうか。じゃあ今日はもう休もう。なれた旅とはいえ、短くない距離を移動したんだ。それに、盗賊の襲撃もあった。そりゃあ、疲れもでるか。」
「またな」と言って、ディリータは建物の中に入っていった。
「・・・漣さん?後で彼のことも教えてください。」
「あー、やっぱり知らなかったんですねぇ・・・」
了解ぴょん!などと、どこかの艦娘のお株を奪うような返事をしながら、漣はラムザを屋敷まで案内する。
その屋敷は、普段は使用されていないが、ラムザが士官アカデミーに入学することが決まってからは、ラムザ用の屋敷となっていた。
イグーロス城とは比べられないが、周りの民家と比べてかなりの大きさの建物であることがわかる。
「ささっ、どうぞどうぞ!」
扉を開け、中に入るよう促す漣を横目に、ラムザは玄関から屋敷の中にはいる。
外からの見た目に違わず、中も広々としていた。
「ここに僕一人で住んでいるのかい?」
「基本的にはご主人様だけですね!あとはかわるがわるメイドが出入りするくらい」
代わる代わるって、一体ナニをしていたんですかねぇなどと邪推する漣を窘め、案内の続きを促す。
「幸い、今は漣たち七駆だけがこのお屋敷のメイドとして派遣されてます。ほかの人に聞かれたくない話も、今のうちならできますよ?」
夜
ラムザは第七駆逐隊を自身の私室としてあてがわれた部屋に集めた。
全員がソファーに座り、それぞれ飲み物を用意したのを確認し、ラムザは話し始めた。
「さて、これからのことを話すと、やることは二つ。どれだけこの世界に仲間が来てるかを探すのと、元の世界への戻り方を探すこと。」
「多いと百人以上探さないといけないかぁ・・・先は長そうだね。」
朧がため息をつく。
「問題は、僕みたいに時間差でこの世界にくる子だね。もしかしたらこの先新しく流れ着く子もいるかもしれない。しばらくはこっちを優先しよう。」
そのラムザの提案に、第七駆逐隊全員がうなずく。
「あと、まだ僕が学生の身分とはいえ、この『ベオルブ』って名前が、実はとてつもない権力を持っていることもわかってる。イギリスではありきたりな名前だと思っていたけど、もともとの名前と合わせて、偶然がいい方向に集まってる。これを生かして探していこうと思う。」
これにもうなずく第七駆逐隊の面々。
「それと、君たち第七駆逐隊に関しては、この後の同行はしばらく控えてほしいんだ。」
「はぁ!?どういうことよ!このクソ提督!」
曙がテーブルをガンッとたたいて立ち上がる。
「この先、おそらく僕は戦いに巻き込まれる。その際に保護した子たちの安全を確保するための場所を、みんなには用意してもらいたいんだ。」
「ずいぶんと・・・断定するのですね、提督・・・」
潮が曙をなだめながらも、ラムザの提案を受け入れられないように言う。
「ザルバッグ兄さんが言っていた殲滅戦・・・士官アカデミーの生徒の実践投入・・・間違いなく、大なり小なり戦いが起こる。それに、道中で聞いた各騎士団の現状、骸旅団の規模・・・現代の深海棲艦との戦いに置き換えると、各騎士団は戦争初期の艦娘、骸旅団は戦争初期の深海棲艦と同じ。つまり・・・」
「どこを襲われてもおかしくない・・・?」
「その通りです、朧さん。遊撃的に動ける騎士団や部隊がない以上、現状自分たちの身は自分で守らなくちゃいけない。そのための場所の確保です。」
ラムザは、ようやく落ち着いた曙を含む全員を見渡し
「みんなの実力はこの前の襲撃でわかりました。今現状、僕は足手まといだ。だから、士官アカデミーでも、今度の出撃要請でもなんでもこなして、早くみんなに追いつけるようになってきます。その間は、よろしくお願いします。」
ラムザが立ち上がり、礼ををする。
「ほいさっさー!」「が、頑張ります!」「ふふん、そうこなくっちゃね!」「絶対に守ります」
だが、ラムザには疑問があった。
(なぜ・・・僕はもともとこの世界にいたような設定になっているんだ?)
ラムザの思考はそこからまだ続く
(そもそも、なぜ、ザルバッグ兄さんがここに・・・?いや、本当に僕の知っている『ザルバッグ兄さん』なのか?)
考えても考えても、答えは出なかった。
翌日
事前の通達により、講堂に集まるように言われていたラムザは、その途中で仲間に再会した。
「お久しぶりです、提督。それとも、今はラムザさんと呼んだほうがいいですか?」
ジョブ固有の服―アイテム士の服装に身を包んだ、高雄との再会だった。
「僕にとっては一週間程度だったけど、久しぶりだね。それと今はラムザって呼んでほしい。」
「ええ、ではそのように。」
講堂までの道を並んで歩き始める二人。
「で、高雄さん。どうして僕が提督のラムザだってわかったんですか?」
「昨日、朧ちゃんたちとたまたま出会ったんです。そしたら、提督の記憶が戻ったって聞いて。」
「なるほど。では高雄さんは僕たちに協力してくれるのですか?」
「もちろんです。と、言うよりも、今の士官アカデミーの子たちは、みんな協力してくれると思いますよ。」
「みんな・・・?」
「ええ。さ、早く講堂に参りましょう!」
講堂の中に入ると、昨日居た青年、ディリータの姿も見えた。
だが、ラムザが見て驚いたのはそれではなかった。
「陽炎さんに、村雨さん、朝潮さん・・・五十鈴さん、青葉さんまで・・・」
講堂出入口で固まっていたラムザだったが、その後ろから騎士団のマントを付けた騎士が入ってきたことにより、その思考は中断され、整列する。
「一同、整列っ!」
「士官候補生の諸君、任務である!
現在、我々北天騎士団は、大規模な掃討作戦を開始している。
盗賊や王家に仇名すものたちを一掃するのが今回の作戦の目的だ!
諸君たちもその作戦の一端を担ってもらう。
諸君たちはこの後イグーロスへ向かい、騎士団の代わりにイグーロス城の警護に当たる!」
そのとき、警報の代わりともいうべき鐘が、鳴り響く。
騎士が一人、講堂に飛び込んでくる。
「報告します!作戦中の北天騎士団の部隊より、壊走中の盗賊団がこのガリランドに逃げ込んだとの連絡がありました。」
その報告にうむ、と一つうなずくと
「諸君、武器をとって装備を固めよ!これより盗賊団の殲滅を行う!
諸君にとって実践は初めてだ。だが、私は諸君が盗賊団などに後れを取らないことを信じているっ!さあ!ラムザよ、部隊を指揮し、盗賊団を殲滅せよ!」
「えっ!ぼ、僕が指揮ですか!?」
「その通りだ!この士官候補生の中でも、常に上位の成績をとり続けているラムザ、君なら皆も納得する。さあ、いけっ!やつらを殲滅するのだ!」
「は、はいっ!」
第七駆逐隊と違って、なぜラムザが最初からこの世界にいたかのような扱いなのか。
そして、無条件に兄、と思っている「ザルバッグ」
そしてこの世界とは一体なんなのか
パーティメンバー
ラムザ―見習い戦士
新規加入
高雄―アイテム士
陽炎―???
村雨―???
朝潮―???
五十鈴―???
青葉―???
ディリータ―???
離脱
第七駆逐隊