あの出来事から1年がたちました。
私―村雨―たちは江風ちゃんと一緒に傭兵業をやっていました。
基本的には騎士団の露払いや尻ぬぐいがメインのお仕事です。
今やすっかり江風ちゃんがトップの騎士団みたいな感じになっています。
規律が厳密にあるわけじゃないですが、基本的にお仕事をとってくるのは江風ちゃんばっかりで、私たちがとってくるお仕事は護衛や運搬が多いです。
基本的に分かれてみんなでお仕事して、何日かぶりにみんなで集まると安心します。
「よーしおまえらー、ちょっと話を聞いてくれー!」
2週間ぶりに全員が集まった夕食時に、江風ちゃんが叫びます。
「今回はかなりの大規模な仕事だぜ!なんと、修道院からお姫様を王都まで護衛する任務だ!」
おぉー、ついに私たちも認められたってことですね!
「へぇ?で、いつなの?選出メンバーは?」
五十鈴さんが食事の手を止めて、江風ちゃんに聞いています。
普段、こういった大きな仕事は、メンバーを限定する少数先鋭か、得意不得意で別れることが大半です。
そんななか、最近出番のなかった五十鈴さんがメンバーを気にするのは当然でしょう。
「任務は2週間後、オーボンヌ修道院からルザリアまでで、今回は全員で当たることになる!」
これまた珍しいです。全員で仕事に当たるなんてそれこそ2か月ぶりくらいです。
「珍しいね。全員で仕事に当たるなんて。」」
「仮にも王女サマを守ろうってンだ。むしろこの依頼の主である北天騎士団からすれば万が一にでも失敗は許されないだろうから、こうして人員を集めてンだろうしな。」
「北天騎士団・・・兄さんたちか・・・」
ラムザは難しい顔をしてます。私たちはともかく、ラムザが結果的に北天騎士団から抜けることになったことを、いまだに気にしているようです。
でも、いまだに追っての一つもないことから、特に気にしなくてもいい気がします。
「で、今回はどんな情報を仕入れてくればいいですか?」
最近シーフとしての行動が板についてきた青葉さんが、それはもうキラキラした目で江風ちゃんに聞いています。
情報収集に関しては本当に大好きなようですね。性分なのでしょうか?
「今回はどうも王家の親衛隊も直々に護衛にくるようだからな。そこらへん誰が来るかくらいか。」
「りょーかいです!それでは青葉、出撃・・・いえ、取材してきまーす!」
きっちり自分の分の夕食を平らげた後、青葉さんは軽快なステップと共に出発しました。
「戦いより情報収集がいいとはねぇ・・・彼女もよくわからないわ。」
霧島さん、貴方一応頭脳はじゃないですっけ?
そんなことは決して口に出しません。たぶん、青葉さんなら口が滑ってそのまましゃべりそうですが。
「まあ、あいつの情報には助けられたこともあったし、これからも助けてもらうこともある。得意不得意の差だ。」
そんな感じにあきれる江風ちゃんだけど、こうしてなんだかんだまとめ役になってるあたり、もしかするとラムザ以上にリーダー役があってるかも・・・?
「・・・」
当のラムザをちらっと見ても、特に何かを考えてる様子もなく、ただみんなを見守っているような・・・?
「・・・ん?どうしたの村雨?」
「あー、なんでもないですよー?」
そういってラムザをごまかす。確かに何かあるわけじゃないけど、突然降られるとどうしてもそう言っちゃって・・・
「・・・」
あー、やっぱりラムザが何か考え始めちゃった・・・
ただの考えすぎなんだけど、私が言っても意味ないんだよねぇ・・・
そんな楽観的なことを考える余裕は、その時はありました。
でも、すぐに余裕なんてなくなります。
そう、あんな事があったら・・・
オーボンヌ修道院
そこは、私たちにとって、二つ目のターニングポイントでした。
そして、そここそが「ポイント・オブ・ノー・リターン」でした。
様々な運命が一度に動き始め、そして、私たちを過酷な運命の流れに巻き込みました・・・
原作chapter2開始直前。
一部のキャラを変更しました。