「長門さん・・・?」
近寄ってきた騎士に、ラムザは驚いた。
戦艦「長門」その艦娘であったからである。
「同姓同名がいるとは聞いていたが、実際に会うと提督だとわかったよ。」
長門から手を差し出され、握手を求められたとわかったラムザはそのまま握手に応じた。
力強いその手から、表情に出ていない喜びが感じ取れた。
「なんで長門の姐さんがこンなところに?」
「なぜかって、シモン殿から話を聞かなかったのか?」
そういって、長門は高齢の男性のほうを見る。
江風がその男性を見て、そして長門のほうを再び見て納得した。
「なるほど、親衛隊ってのは姐さんのことだったンだな。」
「まあ、私だけではない。そうだ、皆にも紹介したい人がいるのだが、いいかな?」
「オヴェリア様の湯浴みはまだお時間がかかることでしょう。何やらお知り合いのご様子ですし、しばしの間再会を喜ぶのもいいでしょう。」
そういって恒例の男性――シモンは席を外した。
「では改めて。私は長門。ルザリア聖近衛騎士団の一員にして、今回のオヴェリア様護衛の責任者だ。・・・最も、周辺警護だけで、道中の脅威などは北天騎士団が対応するのだがな。」
「江風だ。今は傭兵業を含む何でも屋みたいな感じだぜ。後ろにいるのはみんな江風の配下さ!」
「配下?提督もか?」
「うん、今の僕は提督じゃなくて、みんなと一緒に戦う1人さ。それと長門さん、僕のことはラムザって呼びすててほしいな。」
「いやしかし・・・」
「無理なら、少なくとも提督って呼ぶのは、この世界だよ控えてほしい。」
「むぅ・・・仕方ない。何か事情がありそうだ。わかった。これからはラムザと呼ぶように心がけよう。」
そんなやり取りをしていると、長門の後ろから、2人の騎士が近づいてくるのがラムザから見えた。そして、その2人もラムザからすればなじみのある2人だった。
「あっれー?提督じゃん!」
「まあ、そうなるな。」
近づいてきた騎士は、伊勢と日向だった。
「伊勢!?日向まで!?」
「おひさ~提督~元気だった?」
「僕たちは元気だよ。そっちは大丈夫だったのかい?」
「いやー、あの最終決戦の時に発生した大渦に巻き込まれたときはダメかと思ったよー」
けらけらと笑う伊勢。そんな軽いノリは見慣れているのか、長門も苦笑するだけで特に何も言わない。
「こっちの世界についてからは、たまたま近くにいた日向といろいろ彷徨って、長門と会うまでは結構大変だったよー。もーだらだらできる時間なんてほとんどなかったしー!」
「まあ、そうなるな。」
腕を組み、しみじみと思い出している日向が相槌を打つ。
日向の代名詞ともいえる「まあ、そうなるな。」を久々に聞けて、ほかのみんなも少し笑い声が出る。
「・・・さて、感動の再会もできたことだ。これからのことを考えよう。」
「あぁ、そうだな。姐さんたちと連携がとりやすくなるなら、江風の仕事もやりやすくなるってンだ!」
そうして、長門と江風が打ち合わせを始める。それにラムザと日向が混じり、4人で大まかな方向性を決めてから話会うのだろう。
そんななか、長門たちとの再会から驚きの連続だった五十鈴たちは、近づいてきた伊勢に気が付き、ようやく呆然とした意識から戻ってくる。
「久しぶりね、伊勢さん。最終決戦前のミーティング以来かしら?」
「五十鈴も元気そうで何より。みんなも元気そうね。」
伊勢が周囲にいたメンバーを眺める。一通り眺めた後、五十鈴に耳打ちする。
「・・・この護衛、怪しいと思わない?」
「ええ、なんだか胡散臭いわ。」
「それだけ聞ければ満足よ。さ、今日みんなが休む部屋に案内するわ。荷馬車はこっちで動かすから、必要な荷物を持っていらっしゃい。」
伊勢がそうメンバーに言うと、各々が荷物を取りに行く。
伊勢もそれについて外に出る。
「・・・なんだか、明日は天気が悪くなりそうね。」
雲の多い空を見上げながら、伊勢は誰に言うでもなくつぶやいた。