翌朝。
出発前に、朝のお祈りをと言ってきたオヴェリアに、江風たちはしぶしぶ付き合った。
とはいっても、実際に一緒に祈ったわけではなく、出発時間をずらしただけであった。
長門は親衛隊としてなのか、オヴェリアの付き添いとして祈りの場に同席した。
伊勢と日向は護衛路の確認に余念がない。
「あーあ、早くしてくンねーかなー」
江風がつまらなそうに空を見上げている。空はどんよりとした曇り空だった。
「江風、荒れてるわねぇ。」
「ってもよー、いい加減出発したいぜ。お祈りとかってこンなにじかんかかるもンなのか?」
盛大なため息をつく江風に伊勢と日向、それに村雨が戻ってくる。
「ねえ、青葉見てない?」
「あン?青葉?むしろここに来てから見てないが・・・?」
「まあ、そうなるな。」
いつも通りの日向を放置し、村雨が江風に目を向ける。
「そもそも、情報収集にしてはやたらと時間がかかってるし、昨日も見てないとなるとちょっとおかしくないかしら?」
「確かにな。いつもの青葉なら途中報告でもなンでも一回はさむはずだ。ここまで連絡なしとなると・・・」
江風がハッとしたような顔をし、オーボンヌ修道院の入り口へと歩き始める。
「・・・こりゃあ、先手とられたかもな。」
「・・・我ら罪深きイヴァリースの子らが神々の御力により救われんことを・・・」
祈りをささげる少女―――オヴェリアの声がかすかに聞こえる。
長門はそんな姿を見続けていた。
「・・・さあ、オヴェリア様。そろそろ行きましょう。」
いつまでたっても祈りづつけるオヴェリアに、長門は出発するように促すが、オヴェリアはなかなか動かない。
「もう少し待って、ナガト・・・」
「すでに出発の時間を過ぎておられます・・・急ぎませんと・・・」
そうした軽い言い合いをしていると、扉が開き江風と霧島、ラムザが入ってくる。
「まだかよ。とっくに出発の時間はすぎてンだぜ?」
「江風、無礼であろう。王女の御前ぞ?」
そういう長門に、消え入りそうなくらいの小さい舌打ちをしたあと、江風は簡易の礼をし、霧島とラムザは膝をつく。
「・・・これでいいかい?こっちも一刻を争うンだ。」
「何かあったのか?」
「何もなさすぎンだよ。あからさますぎるような静けさ、これは罠の前兆だぜ。」
「何を言って・・・」
「わかりました、ナガト。参りましょう。」
そうして、ようやくオヴェリアが決意し、立ち上がったときだった。
「て、敵襲っー!」
あけ放たれていた扉から、北天騎士団の見張りの声が聞こえる。
張り上げた声からは危機感と焦燥感が感じられる。よほどの緊急事態なのだろう。
「まさかっ!」
長門が真っ先にかけていき、あっという間に外まで走り去った。
「・・・ま、そうじゃなけりゃ稼げねえからなー」
霧島も長門を追い一目散に飛び出し、江風がラムザの横を通り過ぎようとして、立ち止まる。
「・・・気に食わないかい?」
「僕は騎士団の一員じゃない。江風、君と同じ傭兵だよ。」
「はっ、それもそうだな。・・・行くぜ!」
江風とラムザがかけていき、外に出るころには
―――――外に、黒獅子の紋章を付けた騎士たちが並んでいた。
chapter0開始直前。
ペースが保てなくなってきた・・・