「バカな!黒獅子の紋章だと!」
長門が飛び出し、早々に見た騎士の紋章を見、叫んだ。
「黒獅子の紋章、つまり南天騎士団・・・。ゴルターナ公は、そうまでして戦争がしたいのかっ!」
「ん・・・?護衛にはアグリアスが付くとばっかり思っていたが・・・まあいい、そこの女っ!王女をこちらに渡してもらおうか!抵抗は無駄だぞ!」
黒獅子を付けた一団の、隊長らしき人物が長門に勧告する。
だが、長門もそんな提案を受け入れるわけがなく、剣を抜き敵と対峙する。
「伊勢!日向!やつらを追い返すぞ!」
「おうよ!」
「まあ、そうなるな!」
長門に続いて伊勢と日向も剣を抜く。
「ラムザ、一人残らずやるぞ!遅れンなよ!」
「まて江風!殺す必要はない!殺してしまったらやつらに口実を与えるだけだ!」
「そンな器用なこと、できるかわからンよ!」
長門と江風の口論の最中にも、敵騎士たちはじりじりと間合いを詰めてくる。
「あー!もう、江風!なるべく追い払うようにするで一端折れなさい!敵はもう待ってくれないわよ!」
見かねた霧島が江風を諭すように叫ぶ。叫んでいる段階で効果はあったかわからないが、江風と長門の口論はそこで止まった。
「天の願いを胸に刻んで心頭滅却!聖光爆裂破ぁ!」
「神に背きし剣の極意・・・その目で見るがいい!闇の剣!」
長門と江風がそれぞれの剣技をもって敵を殲滅する。
周辺に展開していた、黒獅子の紋章をマントに描いた騎士たちの一団は徐々に数を減らしていく。
もともとそこまでの大人数ではなく、護衛隊として来ていたラムザ達の人数でも、全員で当たれば何とかできる程度の戦力だった。
「はっ、ホーリーナイトとはさすが長門の姐さんだな。」
「そういう江風はダークナイトか。なかなか修羅の道をたどっているようだな。」
背中合わせで話す2人に、敵は容赦なく魔法を放つ。
致命傷にはならないが、疲労がだんだんと溜まってくる。
「ちぃ・・・そろそろ引けってンだよ!」
江風の剣技「闇の剣」で敵の隊長格に致命傷を与えた段階で、この戦いの行方は決した。黒獅子の紋章側の敗北である。
しかし、そうであろうはずなのに、敵隊長はニヤリと笑う。
「ここまでだな・・・全軍撤退だ!」
その不敵な笑みの意味が分からず、長門は身構えたまま、撤退する敵の動向を注意深く観察する。
しかし、撤退する敵はそれ以上攻撃を仕掛けることはせず、攻撃を避け、いなし、牽制程度の散発的な魔法などしか放ってこなかった。
敵の魔法の射程圏外になったと見た長門が、剣を納め一息をつく。
「最後の・・・あれは何だったのだ?」
「さぁな・・・なんにせよこれで―――――――」
「離しなさいっ!」
そんな大声が、修道院内から聞こえてくる。その声の主は―――――
「しまった!オヴェリア様!」
長門が開け放たれていた扉から、修道院内へと走る。
しかし、修道院の裏口あたりから、人影が見える。
「こっちへ来るんだ! おとなしくしないかっ!」
オヴェリアが黒獅子の紋章を付けた騎士に、強引に連れていかれようとする姿が見えた。
「だ、誰がいいなりに・・・」
そこまで言ったオヴェリアに、騎士は何かをして眠らせた。
そこに、チョコボに乗った魔導士が近づく。
「早くしなさい。追手が来ますわ。」
「わかっている。」
魔導士が連れてきた空のチョコボに、騎士がオヴェリアを乱暴に乗せ、自身もチョコボにまたがる。
「待てぇ!」
チョコボが走り出した時、ようやく裏口から長門が出てくる。
「悪いな。恨むなら自分か神様にしてくれ。」
それだけ言い残し、騎士と魔導士がチョコボで走り去った。
「・・・え?」
ラムザは、その走り去った2人に見覚えがあった。
「・・・なん・・・で・・・?」
その目の良さから、少し離れていた五十鈴も見えたらしい。
―――――そのチョコボに乗っていたのは、見間違えるはずもない、高雄とディリータだった。
イベントバトルのオーボンヌ修道院戦終了です。
うぐぐ・・・更新ができなかった昨日にこれを書いて投稿したかった・・・