「そ・・・んな・・・」
ただ茫然と見送るしかなかった五十鈴が、崩れ落ちる。
無理もない。みんな表には出さなかったが、仲間がいなくなるということに慣れている艦娘などいない。
高雄がいなくなったショックは後々に爆発していた。五十鈴も、ほかの艦娘とはタイミングが違ったが、少なからず爆発している。
ラムザのおかげで落ち着いてはいたものの、完全に割り切ることは不可能であった。
「五十鈴!」
ラムザが慌てて駆け寄るが、五十鈴の表情はいつもの強気な表情ではなく、何かにおびえるような表情であった。
身体がガタガタと震えている。寒いわけではなく、見てはいけない者を見てしまったような、そんな恐ろしさに震えているようだった。
「・・・なあ、ラムザ。あれは見間違いじゃなかったってことか?」
江風がそんな2人に近づいて尋ねる。江風も見えた顔に覚えがあったからだろう。
「・・・多分、高雄で間違いないはずだよ。」
「そっか。あの人まで敵に回ったってことか。」
それだけ言うと、江風は高雄たちが走り去ったほうへと向く。
そんな言い方に、ラムザは違和感を感じたが、五十鈴の尋常ではない状態に、それ以上考えている余裕はなかった。
「やつらを追撃する。」
戦闘後の処理を北天騎士団に任せた後、長門が江風とラムザにそう言った。
「このままでは、今回の一件を任せてもらったアグリアス殿はおろか、王家にも顔向けできん!」
「構わンが、あたしらは付き合えンからな。契約の範囲外だしな。」
「いや、僕は付き合うよ。」
江風の否定の提案を、ラムザが遮る。
「・・・ラムザ、それはどういう意味だ?」
「連れ去った二人組に、見知った顔があったんだ。本人かどうか確かめたい。」
「おい・・・ラムザ・・・」
「いいのか?そこの江風の言う通り、これは確かに契約外の話になるはずだが?」
「江風、ごめん。でも、僕は何があったかを知りたいんだ。」
じっと、ラムザが江風を見る。しばらくじっと見つめられた江風が、折れたように自分の髪をくしゃくしゃとかく。
「・・・どーなっても知らンからな・・・」
江風が吐き捨てるように言うと、そのまま修道院の中へ入っていった。
「・・・ラムザ、追いかけるの?」
今の今まで、ずっと震えていた五十鈴が、ようやく落ち着いたのかラムザに話しかける。
「うん、高雄やディリータが生きていた。だとしたら、僕たちと連絡が取れなかったのはなんでなのか、聞かないといけない。それに、なぜ南天騎士団にいるのかも聞かないといけないしね。」
五十鈴の手をぎゅっと握っていたラムザは、その手を放そうとした。
だが、話したはずの手は、五十鈴に再びつかまれる。
「・・・私も・・・五十鈴も連れて行って!」
その五十鈴の瞳は、力強さが戻っていた。
「・・・いいのかい?つらいかもしれないのに。」
ラムザは、当然最悪も考えていた。それを言外に伝えようとしてそう五十鈴に言ったが、五十鈴はそれを察して、それでもなおうなずく。
「・・・わかった。でも、ほかのみんなには内緒でお願い。自分たちできちんと確認しないうちに、いろいろと話すのはよくない。」
「ええ、わかったわ。そうと決まれば、さっさと出発しましょう?」
五十鈴が、つかんでた手に力を入れて、立ち上がる。引っ張られそうになったラムザが、力を入れて五十鈴を支える。
「・・・ラムザ、またこういうことがあったら、支えてくれるかしら?」
口調や態度は、はたから見ればもとに戻ったかのように感じるが、ラムザはその言葉に、五十鈴の恐怖心を感じた。
「五十鈴の勘違いさ。僕はいつだってみんなを支えるよ。」
その言葉にしなかったところまでラムザは答え、つかまれていた手に力を入れる。
「さ、荷物を取りにいこう。時間が惜しいしね!」
「五十鈴の力、存分に見せてあげるんだから!」
今度こそ本気で吹っ切れた五十鈴が、ラムザをひっぱり始める。
空は、少しだけ晴れてきていた。
みしったかお→みしっ高雄
いや、すみません、三連休前に盛大に体調崩しました。
そのおかげで三連休+その直前に金曜日すべて寝込んでました。
今日復帰戦でしたが、まだ微妙に本調子じゃなくて結構きつかったですわ。
皆さんも体調管理に気を付けてくださいねー