真夜中の強行軍で、荷馬車のなかでわずかばかりの仮眠をとっただけの一行はようやく森を抜ける。
ラムザは結局一睡もせずボコを走り続けさせ、流石のチョコボ種にも疲労が見えてきたころ、滝が見えてきた。
「・・・?剣戟音?」
「あの橋の上だ!」
ラムザの疑問に、長門が叫んで飛び出す。
何かの予感を察したかのように、そのまま橋のほうへ走り出す。
「・・・ラムザ、行くぞ。」
江風の言葉に、ラムザがうなずいて続く。
ついていき、その後ろ姿に若干の違和感を感じたラムザは、その背中から橋のほうを見上げる。
剣士が1人、橋から滝の下に落ちたのが見えた。間違いなく、何者かが戦っている。
「・・・北天騎士団が戦ってる!?」
「そうだラムザ。急ぐぞ。」
江風が急ぎ橋の手前まで急いで駆け寄る。
そして、この戦いの全容がはっきりした。
「ちっ、追いついたか・・・カワカゼ!そいつらをやれ!」
橋の上には、オヴェリアをディリータ、高雄が両方から守ってる形になっていた。
「オヴェリア様ぁー!」
長門が叫び、オヴェリアの元へ急ごうとするも、北天騎士団の騎士に遮られる。
「何をする!私はオヴェリア様の親衛隊だぞ!」
「だから、邪魔なンだよ。」
ふと、江風が北天騎士団のほうへ歩みを進め、そして振り返る。
「・・・なんのつもりだ、江風!」
「あたしは、自分の仕事をするだけだ。」
江風が剣を抜き、長門に剣先を向ける。
「裏切るつもりか!江風!?」
「裏切る?とンでもないぜ。これがあたしたちの本当の仕事さ。このお姫様を無事に誘拐されるように仕向けることさ。」
「なんだと!この誘拐が狂言だというのか!」
「もうちょっと時期が遅くなれば、本当の奪還作戦が開始されただろうが・・・まあ、この際どーでもいい。行くぞラムザ、あのお姫さまたちをやるぜ。」
長門から剣先をオヴェリアのほうへ向けた江風が、視線だけをラムザに向ける。
「・・・どうせ殺すことになるのなら役に立ってもらおうと。南天騎士団に誘拐されたことにしてそのまま殺してしまえば、邪魔なライバルを表舞台から排除することができ、邪魔なお姫さまも処分できる。ラーグ公・・・いや、ダイスダーグの描いたシナリオがこんなところか。」
「そして、追いかけてくるであろう王家の親衛隊も、各個撃破すれば王家の戦力も削ぐことができて、戦力的にも売り込むことができる。戦後まできっちり考えたプランね。」
ディリータと高雄が、それぞれ話の詳細を語る。
北天騎士団側の部隊の隊長が、その話を聞いて一瞬しかめっ面をするが、すぐに剣を構えなおす。
「カワカゼ!」
「よくわからンことになってるが、契約だからな。ちゃんとやるさ。」
江風が、オヴェリアのほうへ一直線で向かう。
「行かせると思うか!」
長門が、江風の進行上で剣を構える。
「邪魔を・・・すンな!」
江風の剣と、長門の剣が交差する。
ガィンと、剣同士がぶつかった音がし、2人がお互いに後ろに飛ぶ。
相手との距離を取り、改めて剣を構えなおす。
「ラムザ!長門を止めろ!あたしらの仕事はお姫さまをやることだ!」
「・・・」
「ラムザ!!」
それまで、誰一人として動けなかったが、ついにラムザが動く。
が、ラムザが向かうのは長門でもオヴェリアでもなく
「がはっ・・・」
周囲にいた北天騎士団の騎士だった。
江風の近くにいた北天騎士団を全力で切り付けたラムザは、そのまま別のところにいた別の騎士に風水術をかける。
地面から生えてきた蔓に身体をからめとられた騎士は、動きを止められる。
「ラムザ・・・どういうつもりだ!」
「力の弱い者を犠牲にしようというのか!そんなことを許しはしない!これ以上、ティータのような犠牲者を出してはいけないんだ!!」
「こンのぉ・・・大馬鹿野郎が!」
剣先を長門から外し、江風はラムザに向かって剣をふるう。
直接の剣ではなく、剣技でだ。
だが、その隙を、同じ剣士が見逃すはずがなかった。
「不動無明剣!!」
長門から放たれた正確な聖剣技は、寸分たがわず江風に当たる。
流石に、一撃では致命打にはならなかったものの、勢いを殺すには十分だった。
そして、それを好機とみて、伊勢と日向が動き、霧島が突っ込み、青葉が翻弄する。
その様子に、江風は悪態をつく。
「ちぃ・・・そろいもそろってほだされて・・・」
オヴェリアを巡る攻防が、続く。
あけましておめでとうございます。
今年は一日に一投稿とかできないと思いますが、よろしくお願いします。
一月中は周に3回投降はしたいなぁ・・・