キャアアアァァァァァ~~~~~
とある村に一つの悲鳴が響き渡る。
その村は
のどかな村は本来であればお祝いの空気になっていてどこもかしこもお祭り騒ぎになる予定だった。
”村の長老の娘が出産する”
村にはいつになく助産師が出入りし長老の家はてんやわんや。
普段は鍛冶師で陳留に店を構えめったに帰ってこない夫も馬を使いすっ飛んできたものだ。
そんな出産というめでたい日になぜ悲鳴が響き渡ったのか.........皆が一様に顔を突き合わせ赤子の死という最悪の結末が頭をよぎる。
おぎゃ~おぎゃ~おぎゃ~
長老の家から赤子の泣き声が響く............やった~~~!!!!!
村人たちは抱き合いながら赤子の誕生を喜んだ。じゃあなぜ?落ち着きを取り戻した数人の村人は思った。赤子は無事産まれ何に長老の娘は悲鳴を上げたのだろうか...............
すると家から長老が出てくる。その顔は心なしか青ざめているようにも見えた。
長老に駆け寄る村人は「ナゼワタシノムスメガ......テンハナゼ..................」と消え入るような声を聴いた。
「ナゼワタシノムスメガ」ということはやはり何かあったのだ!そう思った村人たちは一人また一人と長老の家をのぞき込み一様に息をのむ。
家の中は別段変わったところは見られない辺境にも関わらず少し豪華な装飾の家具の数々、声はあまり聞こえないが嬉しさからなのか夫に抱かれながら泣き続ける長老の娘、表情からは何も読み取ることは出来ないが無表情にただ妻を抱きしめ背中を撫で続けあやす夫、そして助産師に抱かれた”白い髪”の赤子。
「かみのけがしろ~い!」
一人の子供が静寂の中声を上げる。
髪の毛が白い赤子..............................この村では禁忌とされる白髪の赤子。
かつて村は今の陳留のようにそれは栄え規模も今の倍ではきかずおよそ三十五町と約三倍もの広さを誇り今の陳留のように栄えてるといえばその賑わいは計り知れない。
その村には世にも珍しい白髪の赤子が産まれ成長するにつれ才覚を発揮していったそうだ。武芸に秀で頭も回る、ただときたまおかしな言動がよくあったそうだ。
ある日県令が村の巡回にやってきたとき白髪の才覚に目をつけ役人にならないかと勧誘、しかし県令と二、三言葉を交わすと首を振りなんと一言「無能め」である。
もちろん県令は自分のことを無能と言われたことに怒り捕らえるように指示を出す。
兵が白髪に迫ると白髪はすべての兵を切り捨て県令の首を刎ねた。
しかしこのことはすぐに太守に知らされ白髪は打ち首、白髪の一族も同じく打ち首になり村は辺境の
この時から村では白髪の赤子は村に厄災をもたらす存在であると禁忌になった。
その禁忌が今、目の前に現れた。
夜、緊急の集会が行われた。
あの赤子をどうするのか.........だ。
村人たちの答えは初めから決まっていた..................”死”である。
しかし、答えに待ったをかける人物がいた.........娘の夫である。
夫は今の仕事の場を村から数里離れた山に移し、赤子とそこで暮らすことを伝えた。
村から離れ何より、精神の不安定な妻から離れ赤子を育てていくと。
もし妻の精神が安定し赤子を許容出来るのならまた帰ってくる、出来ないならば私のことも忘れて別な幸せにしてくれる夫を探してくれ、今まで共に歩んでくれてありがとう、と。
夫は赤子をつれ集会を、そして村を後にした。
それから幾許かの時が流れた。
「............!ハッ!」
鋭い一閃が森の中で煌めく。
数瞬後目の前に見据えていた大木は滑らかな切り口を残し少しずつ倒れていった。
「ふぅ、今日はこの位にしていこうかな」
大木を切り倒したのは綺麗な純白の髪をなびかせる少女だった。
手には見たこともない反りの入った細身の剣、そしてそれを収めるための杖のように偽装された鞘。
「とうさん、いま帰った」
「あぁ」
お互い口数が少ない親子だが今日に限り父の口数が増える。
「使い勝手はどうだ、かなりお前向けに調整したんだが......」
「いいよ、使いやすい」
「そうか、ところでそのでこはどうした。またぶつけたのか」
「.........まぁ…ちょっと...」
「言い出したオレが今更言うことでは無いと思うが感覚を鋭くするために目隠しをしての生活は止めないか」
「うっ!......止めない...」
「......そうか、ならせめてオレのクロ連れてけ」
「...クロにはコレを振っているとこ見せたくないんだ......あの子は親を目の前で切られたから...」
「じゃあお前のカツ連れてきな」
「カツのことは大好きだけどボクから離れないからコレが振れないよ」
「...はぁ......まぁ何にしろ共にどいつでもいいからつけていけ、毎日毎日転んだりぶつけたりしてたらバカになるぞ」
「.........!?...バカ...バカ..」
「なんでこれで腕が立つのかね.........」
「............もう寝る、カツおいで」
少女の元に一匹のコウモリが飛んできて少女と共に眠りについた。
「.......おやすみ、”はじめ”」