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序章
彼女は初め柔らかくふわふわとしたぬくもりに包まれていた。一時は、その心地よさにただただ身をゆだね、己の輪郭さえ思い描けぬ暗闇の中、全てから孤立した
けれど、彼女はある時予感した。身を震わせる本能に従って、殻の内側で目を見開いた。熱く、力ある体を意識した。己の鼓動が、脈打つ心音が彼女を駆り立てた。
炎熱の血潮の躍動は孵らぬ卵に許された頼り無い拠り所の一つであり。
彼女は今、浅い眠りの中で夢見ていた殻の外へと――抜け出すために身悶えをする。
しかし内から囁くその兆候もまた、生まれ出でる景色を思い描く泡沫の夢の一抹でしかなく――