リリカル・デビル・サーガ   作:ロウルス

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――――――――――――

「……ウヅキもそんなヤツに殺されないで」

 いつもの憎悪と違った言葉に思わず振り返る。視界が捉えたのは、一瞥もせずに空へ翔んでいく黒い影。感情が読み取れないその背中を呆気にとられて見つめていたが、すぐ近くで炎が爆ぜた。

「ヒャハァァアア! 電波電波電波電波電波電波ァああ!!?!」

 後ろで咆哮をあげる須藤だったモノ。直視するのも憚られる程の狂気を撒き散らすそれに剣を向けながら、俺は折井に願いを託す。

「折井、早く行けっ! フェイトさんは、相手が悪魔と高町さんだと知らないんだっ!」

「分かってる。お前も負けんなよっ!」

 去り際に電磁砲を撃ち込んで翔んでいく折井。放たれた閃光の中を斬りかかり、

――与えたられた力が与えた者に効くと思うか?

 悪魔と化した狂人に届いた瞬間、刃も雷もかき消えた。

――――――――――――孔/シェルター裏口



第15話e 地下2500mの記憶《伍》

 その男、須藤竜也が初めて炎に触れたのは、小学校を卒業し、中学に入ろうかという時期だった。

 

――壊せ。この世界は間違いだ

 

 何処からともなく聞こえてくる声を聞きながら、竜也は燃え崩れる自宅を見つめていた。

 

 そこには母親と友達がいたはずだった。

 

 しかし、母親は死に、

 

 友達は声を残して消え去った。

 

 

 

 竜也は生まれながらにエリートだった。有力な政治家である須藤竜蔵を父に持ち、母もそれなりにステータスを持つ人物だ。自然、それに見合うようにと教育を受けさせられた。進学校に通い、実績のある塾に通う。金をかければそれだけ質の高い教育が受けられる。そんな現実を証明しようとしているかのように、竜也は英才教育を受け続けた。

 

「先生のお子さんですか。成る程、賢そうですなぁ?」

「将来は大物になりますよ」

 

 そんな声を聞きながらにこにこ笑う両親に支えられ、竜也もそれに応えるべく習い事に精を出した。努力は正しく教育費と結び付き、それなりに成果をあげた。両親はこどもに一定の役割を期待し、こどもはそれに応える。少なくとも外見上は順調な関係を築いているといえた。

 

「なんだこの成績はっ!」

 

 その関係が壊れたのは中学受験を始めてからだ。今まで他者と比べられることのなかった竜也に、テストの点数という分かりやすい数字による評価が与えられた。もっとも、その評価は決して悪かった訳ではない。少なくとも名門と呼ばれる学校には十分合格できる水準だったし、テストの点数も世間一般の基準から見ればそう悪いものではなかった。

 

「これから選挙も控えているのに、お前がこれでは……!」

 

 が、両親はその点数に納得しなかった。世間体に異常なほど敏感な両親は、竜也に誰もが素晴らしいと誉め称える評価を期待しており、「悪くない」では不十分だったのだ。

 

「塾で同じクラスの南条君はもっといい点を取ってるでしょう?」

 

 エリートであることに高いプライドを持つ母親は、ことあるごとに誰かを引き合いに出していた。社会的な地位があるだけに他の母親との交流も広く、同じようなステータスを持つ「友人」と付き合いがあるらしい。その「友人」は一種の集団を作っており、常に見栄の張り合いをやっていた。

 

「あの子の父親は医者らしいですよ?」

「あら、でも、この間、授業参観じゃ随分安い服だったようだけど?」

「きっと儲かってないのよ。付き合ってもいいことないわ」

 

 誰かを自分達の作る集団よりも下の存在だと主張し、また同時にその集団に止まろうと必死に自分の地位をアピールする。そんな会話を遠くに聞きながら、竜也は薄ら寒いものを感じていた。両親が愛していたのは須藤竜也という人間ではなく世間体であり、自分は社会的地位をアピールする道具に過ぎないのではないか。幼い竜也がそんな風に疑問を明確な形としていたわけでは勿論なかったが、漠然と母親の興味が自分以外の何かに向いているのだけは知覚していた。不安となって膨らむそれを誤魔化すため、両親の愛情を未だ求めていた竜也は逆に反抗してみせるという行動に出た。台所からナイフを持ち出し、自宅の高級車を引っ掻いたのだ。親の気を引くためのこどもの些細な悪戯。何となく頭に浮かんだ英語の教科書の一文、「I like dad and mom」をそのまま書いたその落書きは、

 

「何やってるの!」

 

 言うまでもなく、こっぴどく叱られて終わった。体面を気にする母親としては、キズのついた車を使うなどとおよそ考えられない事だったのだろう。その車は落書きと共にスクラップにされた。

 

 それでも竜也は悪戯を止めることはなかった。

 

 両親の反応は好ましいものではなかったが、少なくとも構って貰えるという目標は達成出来ている。ゆえに、勉強しろと言われればそれを放棄し、静かにしろと言われれば騒いだ。それは孤独から目を背け、自己を主張する叫びだっただろう。だが、その叫び声は決して届くことなく、成績は下がり、周囲からは疎まれるという結果だけが残った。

 

――この世界は間違いだ

 

 その頃から、声が聞こえ始めた。

 

 始めはそれが何か分からなかったが、ただその声はかつて聞いたことがあり、何か自分にとって重要な事を告げている気がした。

 

「洲藤 辰也(スドウ タツヤ)です。よろしく」

 

 そんなある日、通う塾にその声と全く同じ声を持つ少年が入ってきた。珍しい時期の新規生となったその少年は、その頃には既に不良少年と知られていた竜也と寸分変わらぬ容姿を持ち、周囲を驚かせた。

 

「そうか、君もスドウっていうのか」

 

 そのもう一人のタツヤである辰也は、積極的に竜也へ話しかけて来た。竜也の方も同じ容姿と名前に不気味さを感じることなく受け入れ、2人はすぐに打ち解けた。授業が始まる前は宿題を教えあい、塾が終われば寄り道して遊んだりする。届くことのなかった無意識の声が、ついに初めての友達という形で聞き入れられた瞬間だった。

 

――この世界は間違いだ

 

 同時に、その声は一段と大きくなった。時にそれははっきりと聞こえ、辰也が喋っているのか、声が何かを伝えようとしているのか判別がつかない事さえあったほどだ。膨れ上がり続ける疑問に耐えかね、竜也はついに辰也に声の事を話した。

 

「ああ、それは電波って言うんだ。無意識からの呼び掛けだよ。まあ、自分という存在に耐えきれず、他者のせいにする、人間らしいやり方だね」

 

 意外にも、辰也はその疑問に対する回答をすぐに提示してくれた。その異常なはずの現象をさも自然な現象であるかのように嗤いながら説明を加える。理解できていない様子の竜也に、笑みを深くする辰也。何時もよりも何処か辛辣な様子のその友人は、

 

「ああ、つまり――その声のいうことは運命で、逆らえないって事さ。人によっては神の声っていうけどね」

 

 解りやすく言い直した。正しくは「竜也が納得する言葉で」だろうか。意味は依然として理解できなかったが、辰也の言葉は声を正しく言い表しているように思えた。まるで難しい算数の問題の解説を読んで納得出来た時のように、頭の中へと収まっていく。そして、

 

「まあ、電波には耳を傾けるといいよ? 何せ君自身の声――本当の自分の声なんだ。抑え続けることはできないし、従った方がいい結果になる。だからこその運命なんだし」

 

 続く言葉は異常なまでに頭に響いた。難解なその言葉は理解以前に巨大な説得力を持って、竜也に「電波は自分の運命を告げる神のようなもの」と刻み込んだ。否。思い出させた。竜也の感覚としてはそう書いた方が適切だろう。なにせその声は「かつて聴いたことがあり」「同じ説得力を持っていた」のだから。既視感に意識を奪われ、思わず立ち止まる竜也。

 

「じゃあ、僕はこれで」

 

 しかし、その声で我に返る。いつの間にか辰也といつも別れている公園に差し掛かっていた。辰也の背中を見送りながら、同時に手の中の慣れた感触に気が付く。そこにあったのは黒い蝶のエンブレムが施されたライター。なぜそんなものがあるのか。そんな疑問を持つこともなくそれをポケットにしまうと、竜也は自宅へと戻っていった。

 

――この世界は間違いだ

 

 それから数か月、竜也は聞こえてくる声に耳を傾け続けた。その度に黒いライターをいじりながら、電波が伝えようとしている内容を考える。改めて周りを見回していると、世界は「間違い」だらけだった。大人は世間体にしがみつき、他人を指さして嗤い続ける。こども達もそれに習い、成績が悪い他の生徒を見下す。自分の存在意義を主張するため他の誰かを嗤うその姿は、竜也自身が嗤われる対象だったこともあり、「間違い」として映った。しかし、

 

――この世界は間違いだ

 

 電波の告げる「間違い」は、そうしたくだらない人間のつまらない一面を指すのではなく、もっと根本的なものを言っているように思えた。だが、それが何なのか分からない。否、思い出せない。辰也に聞いてみても、

 

「もうすぐわかるよ」

 

 という返事が返ってくるだけだ。知っている筈なのに思い出せない自分にイライラし、それが爆発しそうになった時、

 

「今日ぐらいには分かるんじゃないかな?」

 

 辰也からそう告げられた。塾で授業が始まる直前だったこともあり、その意味を詳しく聞くことは出来なかったが、それは強い予感となり、根拠のない確信を竜也に与えた。

 

 そしてその確信は、授業中に先生が倒れるという形で叶った。

 

 慌てる生徒や事務員にごしに救急車に運び込まれる先生を、竜也はそれをある種当然のように見ていた。別にその先生に何か病気の兆しがあったわけではない。それどころか、つい数分前まで雑談に笑う生徒を楽しそうに見ながら授業をしていた。そんな先生が突然倒れるという異常事態。だが、竜也はこれも運命がやったのだろうとひどく納得しながら見ていた。

 

――あの先生は、生きているのが間違いで、死ぬのが正しかったんだ。

 

 辰也を見ると、そこにはあの時と同じどこか辛辣な笑みでもってそれを見続けている。自分も同じ笑みを浮かべているのだろう。顔が歪んでいるのが分かった。

 

「まあ、運命だからね。仕方ないよ」

 

 授業が中止になり、普段よりずっと早い時間に歩きなれた道を進みながら、辰也がそんな感想を漏らす。頷く竜也。それに満足そうに笑うと、辰也は

 

「そうそう、せっかく早く終わったんだし、君の家に遊びに行っていい?」

 

 そう切り出した。再び頷く竜也。

 

「そう。それは良かった。きっと運命がもっと面白いものを見せてくれるよ?」

 

 そう言って先導するように歩く辰也。

 

 そして、たどり着いた自宅では、

 

「いかがでしたか?」

「ええ。なかなか良かったわよ」

 

 リビングから母親と男の声が聞こえた。辰也が不自然なほど静かにドアを開いたせいか、2人がこちらに気付いた様子はない。辰也はまるで自分の家の様に竜也を手招きし、丁度母親とその男を覗き見ることが出来る扉の影へと誘導する。そこには、乱れた服を治しながら話す母親と見知らぬ男が見えた。

 

「では、例の件は……」

「ええ。取り計らっておくわ」

 

 机の上に目を向ける母親。そこには、やけに分厚い封筒があった。中途半端に開いた中には札束が見える。

 

 ナンダコレ

 

 頭に響くのはそんな疑問。口に出してもいないその疑問に、辰也がささやくように答える。

 

「これは、不倫に賄賂だね」

 

 違う。

 

「まあ、政治家ならよくあるんじゃないか」

 

 そんな事を聞きたいんじゃない。

 

「相手は建設会社……談合での根回しじゃないかな?」

 

 そんなことより、

 

 死ンダハズノアイツガナンデ生キテンダ?

 

 

 

 竜也は目の前の光景に見覚えがあった。間違いなく母親は汚職に手を出していたし、その金を自分の体面を取り繕うために使っていた。誰かを嗤うために、また自分が嗤われないようにするためにあんなに醜い行為をしている。それを見た時、自分はどうしたんだったか。

 

 目の前が真っ赤に染まる。

 

 気が付けば、竜也は血まみれのナイフと黒い蝶のライターを持って炎の中に立っていた。目の前には、死骸が2つ転がっている。

 

――この世界は間違いだ

 

 炎に包まれながら、そんな声を聞いた。

 

――お前が今幻に見た、嘗てお前が存在していた世界こそ正しい。

 

 電波が、運命が告げる。

 

「イヒ、ヒ……」

 

 気が付けば、竜也は嗤っていた。

 

「ヒヒ、ヒ……ヒャーハッハッハッハッハッハッハッハッハァッ!」

 

 天啓のごとく響く電波に感化されてのものか、母親をもう一度殺すことでかつての狂気にとり憑かれたためか、長らく胸の中でくすぶり続けた感情が暴発したせいか。いずれにせよ、竜也はその時はっきりと殺人と放火に強い快楽を見出していた。どんなに努力しても認めなかったがために思い通りの評価を与えてくれない相手を殺害し、燃やす。その八つ当たりにも似た感情を満足させるのは、異常な興奮を与えてくれた。

 

 

 

 自宅の消失は単なる事故として処理された。やはり体面を気にした父・竜蔵が、自宅にころがっていた遺体を見て、すべてその男のせいにしてしまったのだ。有力な政治家である竜蔵の元に不法侵入した男が、家にいた妻に暴行を加えようとした。が、偶然塾から早く帰ってきた息子・竜也に邪魔をされる。逆上した犯人は家に放火。しかし、こどもを逃がそうとする妻に激しく抵抗される。結果、竜也は逃げることに成功するも、2人は焼死。都合のよいシナリオ。創り上げられた美談。それは竜蔵の迫真の演技もあり、多くの人々の同情と知名度を得ることが出来た。それはそのまま政治的な支持につながり、さらなる権力基盤を得ることとなる。満たされる権力欲に笑みをこぼす父親。竜也はそれを見て無意識に黒いライターをいじっていた。

 

 人間は醜い。それを散々見せつけられた。だから、

 

――この世界は間違いで、電波は正しい。

 

 

 

 竜也は電波に導かれるまま、放火と殺人を続けた。始めはボヤ程度の小さな事件しか起こさなかったが、中学、高校と上がるに従いそれは次第にエスカレートしていき、ついにはスーパーといった大規模な商業施設を燃やすまでになっていった。

 

「ヒャーハッハッハァ!」

 

 狂った笑い声を上げながら、現実を壊すように殺し続ける竜也。それは誰にも認められなかった竜也の唯一の逃避だったのかもしれない。が、その逃避行為は、通っている高校の先生――橿原明成と出会うことで単なる快楽を得る以上の意味を持つことになる。

 

「……その電波のこと、詳しく聞かせてくれないかな?」

 

 誰にも認められなかった竜也に初めて差しのべられた手。それは誇大な妄想にとりつかれた憐れな男の手だった。が、竜也はそれを掴んだ。今まで快楽を得るためだけの行為に、意義と大義が与えられたのだ。それも他人から。「電波が告げるから」という理由は言い訳から他人の正当な評価へと変貌し、

 

 そして投獄された。

 

 導かれるまま放火した神社で、気がつけば警察に拘束されていたのだ。今まで殺してしまうが故に受けることがなかった反撃に意識を失った挙げ句、訳の分からない化け物に殺されかけたショックで大して抵抗も出来なかった。いや、殺されかけたのではなく、事実死を経験したのだろう。あの少女の格好をした化け物の悪意に包まれた後、竜也は妙な場所に立っていた。神殿、とでも表現出来るだろうか。ギリシア神話にでも出てきそうな柱に、西欧の宮殿にでもありそうな天井。床と思しき足場には、複雑な魔法陣の様な図形が車輪の様に回っている。外にはまるで魂のように輝く星の海が広がっていた。こう描くといかにも美しい場所のようだが、まとわりつく空気の重さと不快感は尋常ではない。ただ立っているだけでも、まるで感情を逆撫でされたような錯覚すら覚えた。

 

「ようこそ。普遍的無意識の私の領域……私の世界へ。よくぞ来た」

 

 そこへ、辰也が表れた。あの事件以来、姿を消し、報道でも名前すら上がらなかった自分と同じ容姿を持つ男。成長してもなお同じ特徴を持つ辰也を、竜也は睨み付けた。その顔に張り付く嘲笑と傲慢さは、間違いなく自分を嗤い続けた人間のそれだったからだ。

 

「クックッ……そう睨むなよ。私はお前が気に入ったんだ。どうだ、似合ってるだろうが」

 

 が、辰也はその調子を崩す事なく続ける。まるでずっと竜也を見てきたかのような言いように、

 

――誰だ、テメェ?

 

 そう問いかけていた。

 

「ククク……俺は、お前だ。よく知っているだろう? お前が向こう側にいる時からずっと。願っていた筈だ。復讐を。抱いていたはずだ。理想を通り越した破滅を」

 

 それに実に楽しそうに答える辰也。否、そこにいるのはもはや辰也ではなく、竜也だった。それを自覚したと同時、

 

 廃墟が広がる世界。

 そこに上がる炎。

 その炎は地下に構築されたシェルターからのものだった。

 シェルターの奥で火をつけたのは、

 

 紛うことなく自分自身。

 

 それはまぶたの裏に甦った嘗ての記憶だった。不確かなビジョンや声などではなく、明確な記憶。かつて見たその光景は、ついに自分の末路まで映し出した。自らが火を放ったシェルターの床が崩れ、それに呑み込まれたのだ。対峙していた見知らぬ男に叫びながら堕ちていく竜也。

 

――お前が行く先にある世界は、間違いだ

 

 そこに響く電波の声。その声を背に記憶を抜けた先には、あの神殿で見たような星空があった。過去の邂逅を経て現実に戻り、死んだ木々に囲まれた神社で目覚めたのだ。その後、放り込まれた病院という名の監獄で、竜也は床に転がっている携帯型のコンピューターを見つける。まるで幻覚から抜け出してきたかのように、白い床に転がるそのノートPCに似た機械には「ヴィネコン」という文字が刻印されていた。懐かしさすら覚えるそれに手を伸ばし、手慣れた動作で立ち上げる。

 

――DDS Program Load

 

 文字と共に画面が表示される。内容は知っている。悪魔だ。

 

「ヒャハ……イヒヒヒ……ハハハッ……ヒァあーッはっはッハッハッハァ!」

 

 再び与えられた力に狂喜の声をあげる。

 

 この力で、神託を成就させなければならない。

 間違ったこちら側を壊さなければならない。

 復讐しなければならない。

 

 俺を殺したアイツにも、思い出させなければならない。

 

 そのために悪魔を呼び出した。

 悪魔から得た魔法や力を使って、邪魔をするマフィアも殺した。

 シェルターにも呼び出した。

 

 しかし、

 

「っ!? な、なぜだぁぁぁああ!」

 

 その結果は過去に見た幻想と何も変わらなかった。少女に蹴られて堕ちていく竜也。

 

 訳が分からなかった。今度こそうまくやったはずだった。嘗ての記憶を利用し、今度は自分を殺したアイツが穴に落ちるはずだった。自分は神託を授かる選ばれた存在の筈だった。

 

「認めねぇ!! 俺は誰だ!! オレは、俺はチャネラーだった筈だ!! あの世界は間違いだった筈だぁ! ぬぅああああああああ!?」

 

――力が欲しいか……? ならば望め……憎め……憎悪の炎に身を焦がせ……

 

 そこに響くのは、やはり電波の声。

 

――力が……欲しい……! アイツラをブチ殺せる力が……!!

 

 それに答えるは竜也の叫び。

 

――願いは届いたぞ……捧げられし贄はお前自身。ククク……。道に迷いし愚かな男よ。汝が欲する力とやらをくれてやろう。

 

 その声とともに、コートの下のヴィネコンが光る。画面に表示されているのは真っ白な顔の無い「無謀の仮面」。同時に自分の中に何かが入り込んでくるような感覚。それは電波を受信した時の感覚に似て、

 

「ああああああああ!? や、やめろぉおっぉぉ!」

 

 自分を蝕んでいった。慣れ親しんだはずの感覚に叫ぶ竜也。その電波は間違いなくいつも聞いている声だった。自分を導いてくれる存在だった。

 

 そして、その声は、間違いなく自分自身の声だった。

 

 その事実に初めて気づく竜也。電波は自分。神の啓示などではなく、自分自身の欲望の声。その無意識に抑圧してきた自分自身が、まるで今の自分を押し潰すように広がっていく。それは急速に湧いてくる怒りや悲しみに似ていた。逆らえない衝動が沸き上がり、

 

「ぉぉァァアア゛あ゛アア!」

 

 今の自分ごと、この世界を焼き尽くした。

 

 

 † † † †

 

 

 悪意を込めて撃ち出される炎。強い憎しみを持って襲いかかるそれを、孔はギリギリで避けていた。

 

《2時方向よ》

 

「っ!」

 

 I4Uの声に慌てて飛び退く。同時に響く爆発音。次いで襲ってきた熱風に吹き飛ばされながら、孔は自分の身に起こった異変を感じ取っていた。

 

(身体が、重いっ!)

 

 先程、目の前の異形に刃を触れてから、異常に動きが鈍くなっている。孔には思い当たる節があった。それは刀が届いた瞬間。期待していた硬質の物を切り裂く手ごたえは全くなく、代わりに何か自分から引き抜かれるような感覚に襲われたのだ。事実、いつも手に馴染んでいたはずの剣は刀身が半ばから消え去り、使い物にならなくなっている。

 

(やはり何かされたか……?)

 

 刀身が半分ほどになった剣を見ながら考える。ゲートオブバビロンを開こうともしているが、いつものように術式を起動しようとしても全く動く気配がない。どうやら、相手は力の一部を封じる能力を持っているようだった。

 

(狂戦士も使えない……こうなると幻想殺しも危険だな)

 

 意図して状況を冷静に分析する孔。そうしなければ、頭の中で渦巻く記憶に飲み込まれそうだった。

 

――下……崩れる……

 

 それは、つい先程、シェルターの掘削現場で起きた。追い詰めた筈の竜也がカウントを始めた時、女性の声が響いたのだ。

 

「はっ……?! 飛べっ!」

 

 気がつけばそう叫んでいた。床の崩落という一瞬の幻覚。それを再現するように本当に崩れる足場。フェイトが落ちかかった事もあり、その時は何とか抑えたものの、女性の声は未だ続いていた。

 

――思い出して

――捜して

――私の……

 

 断片的でよく聞き取れないが、何かを必死に伝えようとしているのが分かる。それはあの廃墟のビジョンや温泉の時に見た喰い千切られた女性を伴い、時に視界を奪った。

 

《10時方向……かわしてっ!》

 

「っく!」

 

 それでも、I4Uの声で何とか避け続ける孔。

 

(……意味不明な力に頼りすぎたな)

 

 何時もの力が使えないだけで苦戦する自分に自嘲する。だが、文句を言っても始まらない。孔は大部分が封印された魔力で反撃に移った。

 

「スティンガースナイプ」

 

《Stinger Snipe》

 

 いつもの百分の一にも満たない魔力で造り出した弾丸を打ち出す。強い貫通力を持ったその弾丸は、

 

「ばぁぁぁあああがぁぁあああ!」

 

 しかし前足で簡単に弾かれてしまった。そのまま足で踏みつぶそうと迫る悪魔。当たれば即死の攻撃を何とか避ける。

 

(……やはり狂っている……動きが雑だ)

 

 疲労に思考を奪われそうになりながらも、状況の分析を続ける孔。相手の直線的で大ぶりな攻撃は読みやすく避けやすい。問題はカウンターをとったとしても現状の魔力では有効打を与えられない事だろう。事実、本来ならば貫通して本体に届くはずの魔弾は容易に弾かれてしまった。

 

《My Dear, 顔よ》

 

 攻めあぐねる孔にI4Uが話しかける。視線をあげる孔。そこには、何もない空洞があった。

 

(っ!?)

 

 全身の産毛が逆立つような感覚に襲われ、思わず顔を背ける孔。その本来あるはずの顔に開いた穴からは異常な狂気を感じた。その狂気は纏わりつくように孔の五感を奪う。反らした筈の視界は目を閉じた時にまぶたに写る模様に覆われ、激しい戦闘を伝える耳には狂人の叫び声が響いた。吐き気がこみ上げ、

 

――後ろ……そこにいてはダメ……

 

 女性の声に後ろへ飛んだ。すぐ横で怪物の前足が空気を震わせる。吹き飛ばされる孔。激痛が走る。直撃は免れたものの、左腕が血まみれになっている。

 

《My Dear!》

 

「大丈夫だ」

 

 悲鳴をあげるI4Uに短く答えると、折れた剣で服を切り裂き、包帯がわりに巻き付けて止血する。孔は目の前の悪魔に目を向けた。後ろには修やフェイト達、脱出したであろうクラスメートもいる。場合によっては先生やアリスも様子を見に来ているかもしれない。このまま引き下がる訳にはいかなかった。

 

(まだだ……腕をえぐられた感覚じゃ、あの皮膚は破壊不能なほど固いものじゃない……多少のダメージは覚悟で、強力な一撃を加えれば……)

 

 激痛を思考で塗り潰しながら、孔はなけなしの魔力を両手に集め、I4Uへと指示を出す。

 

「接近する……I4U、タイミングが来たら、相手の顔の位置を教えてくれ」

 

《……Yes, My Dear.》

 

 造り出したのは60cm程の魔力の刃。それを構えて、

 

《Blitz Action》

 

 リニスから教わった移動魔法で一気に距離を詰めた。相手が爪を振り上げると同時、孔は目を瞑って飛び上がる。

 

《12時方向、60度下よ》

 

 空洞の顔がある方向を叫ぶI4U。それに従い剣を投合する孔。同時に襲ってくる衝撃。爪が振り下ろされたのだろう。I4Uがバリアを展開するも、普段ならいざ知らず今の魔力では受けきれない。

 

「ぐ……ぁっ!」

 

 声が漏れた。ミシリと左腕が音を立てる。折れた。そう認識する間もなく、地面に叩きつけられる。

 

「がァァああ?!」

 

 しかし、響いたのは狂人の咆哮。飛びそうになった意識が引き戻された。見ると、顔の空洞に魔力の剣を突き刺さした悪魔がのたうち回っている。

 

――summon

 

「ナイトメアっ! パスカル、頼んだ」

 

 孔は地面を這いながらも信頼する悪魔を呼び出す。自らを囮として召喚した悪魔はその役割を忠実に果たし始めた。

 

「ニンゲン、ちょっと弱った?」

 

――タルカジャ

 

「アオォーンッ! 主ヲ傷ツケタ貴様……八ツ裂キニシテクレル!」

 

――アイアンクロー

 

 ナイトメアが使ったのは攻撃の意思に反応して運動力を高める術式。それはケルベロスの爪で切り裂こうという闘志を確実にとらえ、普段の数倍の筋力を与えた。結果、鋼の強度を持った爪は驚異的なスピードでもって襲いかかる。

 

「いいぃぃいいいぎゃぁぁああ!」

 

 岩盤のように硬質化した皮膚を引き裂かれ、人外の悲鳴をあげる竜也だったモノ。しかし、孔は止まらない。I4Uに付属の銃を抜き、トリガーを引いた。ナイトメアの術式は撃ち出された魔力弾にも作用し、弾速を加速させる。それはケルベロスがつけた傷に突き刺さり、直接体内をえぐった。

 

「ぢ、ぢくしょう、畜生畜生畜生畜生畜生ぉぉぉおおおっ! 死、死死死ねぇぇぇええ!」

 

――アギダイン

 

 激痛にのたうちながら炎を撒き散らす悪魔。それは身長の数倍はあろうかという巨大な火球となって孔へと迫る。

 

「悪意ノ炎ヲ主ニ届ケルワケニイカヌ!」

 

 が、それはケルベロスによって阻まれた。まるでボールでも打ち返すように炎の塊を前足で殴り飛ばす。火球は逆に異形へと激突した。よろめく巨体。それを見逃さず、孔は再び狙いをつける。しかし、

 

(っ! 傷が再生しているっ!?)

 

 先程の傷はもうなくなっていた。構わず魔力弾を打ち込むも、固い皮膚に弾かれてしまう。

 

《あの悪魔の身体、魔力を弾くみたいね。しかも魔力を浴びて再生した……実弾じゃないと効果が薄いわよ》

 

「実弾、か」

 

 チラリとI4Uへ視線を送る孔。シェルターで走っていた時と同じ、チカチカとコアを点滅させて何か複雑な表情を伝えている。

 

(あの銃を使え、という事か……)

 

 言葉に出さずとも意図を察する。が、正直なところ気が進まなかった。今まさに過去のビジョンらしきモノに悩まされているのに、手にした瞬間それが浮かんだあの銃を使うのは憚られる。

 

(いや、怖い、というのが正直なところか……)

 

 そんな精神面での理由だけではなく、孔は自分に感情的な理由を見いだしていた。人格が経験により形成されるのならば、過去の記憶が人の精神を形づくるといっていい。ならば、過去の記憶――それも一度は失うほど悲惨なモノを取り戻す事で、今の自分にどれ程の影響があるだろうか。ちょうど目の前の異形に姿を変えた竜也のように、全く別の本性を持っているかもしれない。過去の記憶が気になりながらも最後の一歩を踏み出すには強い抵抗があったのだ。

 

《My dear. 戸惑うのは何故?》

 

 そんな葛藤を見透かしたように声をかけるI4U。その口調からは何処か苛立ちが感じられた。

 

「……いや、分かってる。I4U、銃をっ!」

 

 それを早く決断しない自分への声だと受け取り、孔は指示を送る。いずれにせよ他に選択肢がない以上、多少の精神的重圧と感情などは乗り越えるしかない。

 

《Yes, My dear!》

 

 光とともに手渡される銃。

 やはり異常なまでに馴染む。

 慣れた感触のまま悪魔に狙いをつけ、

 

「っ!?」

 

 一瞬、動きを止めた。そこにいたのは、竜也の成れの果てではなく緑の鎧を身につけた悪魔だった。その悪魔の前には自分を守るように立つ女性。しかし、その女性は悪魔の槍に身体を貫かれ、

 

「ォォォオオオ! 電波がァァあああ!?」

 

「コウッ!」

 

 叩き潰された。否。槍と思えた巨大な異形の腕を受け止めた。

 

「……ぁ?」

 

 異形は竜也。それを受け止めたのは移転してきたリニス。しかし、未だ過去の幻想のなかにいる孔にはそう見えない。

 

 リニスが悪魔の腕をシールドで防いでいる。

――最愛の人が悪魔の凶刃を自らの肉体で防いでいる。

 

 しかし、冷酷にもシールドはヒビが入る。

――しかし、無惨にもその身体は悪魔の槍に貫かれる。

 

 苦悶の表情を浮かべるリニスに、異形が放った炎が襲いかかる。

――血を流す恋人に、何処からか現れた悪魔の群れが襲いかかる。

 

 それは、容赦なく死を運び――

 

「うぁぁァァアアあ!」

 

 絶叫とともに引き金を引く孔。反動で吹き飛ばされたものの、その弾丸は悪魔を間違いなく撃ち抜いていた。しかし、過去の幻想はより鮮明になって続く。あの2500メートルの地下。喰い殺された恋人は悪魔の贄となってなお生き続け、助けを求め続けていた。そして、それは今もなお続き、ノイズ交じりの声となって響く。

 

 

――捜して……私の……

 

 

 そして、孔は幻想の中で目を覚ました。

 

 

 倒れ込む自分を心配そうにのぞき込むのは大切な人。

 

――メシアライザー

 

 自分を護ろうと傷ついた、その女神にあらん限りの祝福を。

 

――創世の昔、神は土くれより人を創られた

 

 そして、悪魔と化した憐れな男には

 

――塵は塵に、灰は灰に

 

 救済を。

 

――その祈りの詞に表されるように、人々は還るべきところが約束された、祝福された存在なのだ

 

 安息を。

 

――故に私は願いを欲する

 

 永遠を。

 

――人の道を外れ、悪魔と化したこの者にも、死の安らぎは等しく訪れますよう……

 

 そして、死を――。

 

 異形に向かって幾千もの煌めきが走る。それはまるでお互いに反応しあうように引き付けあい、輝きを増していく。その輝きは一瞬にして膨れ上がり、

 

――メギドラオン

 

 大爆発を起こした。その熱と風は炎となって視界に写る全てを焼き尽くしていく。それは過去の幻想も例外ではなく、一切の景色を無で埋めていった。しかし、無に帰した世界でも愛しい人の声と姿は消えることなく、優しく背中を抱いてくれる。

 

「……由宇、香」

 

 孔はその温もりに身を任せ、意識を薄めていった。

 

 

 † † † †

 

 

「コウ、コウッ! しっかりして下さいっ!」

 

 どのくらい意識が無くなっていただろうか。呼びかける声に引き戻されるように覚醒する。妙に重い瞼を開くと、

 

「……リ……ニス?」

「大丈夫ですか!?」

 

 孔を抱きしめるリニスがいた。

 

「あ、ああ……」

 

 答えながらも、孔にはリニスと過去の幻想に見た女性が重なって見えた。未だぼんやりとした頭でリニスを見つめる。リニスは泣きそうになりながら孔の体を確かめ始めた。その優しさに包まれ、ようやく現実に戻りはじめる孔。周囲に目を向けると、先ほどの爆発で巨大な穴――虚数空間が出来ていた。シェルターを空間ごと吹き飛ばしてしまったらしい。

 

(これは……俺がやったのか?)

 

 過去のビジョンの中での自分に唖然とする。しかし、はっきりと残る記憶と意識はそれを否定してはくれなかった。目の前の惨状を当たり前のように引き起こした自分に手が震えている。

 

「コウ……」

 

 その手を温もりが包み込んだ。リニスだ。手を握りしめながら、心配そうに声をかけてくれる。

 

「あ、ありがとう、リニス。でも、本当に大丈夫だ。外傷はない。魔力も元に戻っているし……」

 

 孔は慌てて誤魔化すように身体を離し、自分の力を確かめた。魔力は普段の量に戻っているし、ゲートオブバビロンも開くことが出来る。それどころか、アロンダイトも刀身が元通りになっていた。調子は悪魔との交戦前よりもいいくらいだ。が、リニスは再び抱きしめることで孔の言葉を遮った。

 

「コウ、何があったのかは無理には聞きません……でも、もし話す相手が必要ならいつでも言ってください。私は、貴方の使い魔なんですから」

 

 それだけ言ってすぐに離れるリニス。無理に聞く気はないというのは本当なのだろう。危険をかえりみず助けに来てくれたのだから、知る権利ぐらいはある。それを抑えこんでも気にかけてくれるリニスの心中はどれ程の感情があっただろうか。

 

「すまなかった。落ち着いたら、話す」

 

 孔はそれに甘える事にした。リニスまで得体の知れない過去に巻き込むのは憚られたものの、誤魔化すよりはその気持ちに応えたかったし、何より孔自身が痛みを聞いてくれる誰かを求めていた。そして、リニスならばその誰かにふさわしいと思えた。ただ、今は頭が混乱している。落ち着いたら、話を聞いてもらおう。他の誰にも話せない話を。

 

(これもリニスをあの人と重ねてか、それとも……)

 

 未だリニスに地下2500メートルの記憶に見た面影を見ながら、孔は後ろのシティホテルへと向き直った。

 

「フェイトさん達を助けに行こう。皆待っている」

「コウ、もう無理は……」

「止めないでくれ。もう、後悔したくないんだ」

 

 リニスに悪いと思いながらもそう告げる。少しの沈黙の後、リニスはただ孔の手を取り、

 

「私も行きます」

 

 そう言ってくれた。

 

 手を握り返す孔。

 そのまま引き裂かれた地上を飛び上がる。

 

 2人は魔力光を引いて、夕日で炎のように赤く燃える天上へと舞い上がっていった。

 




――Result―――――――
・厄災 ジュエルシード暴走体Ⅷ 封印
・外道 ブロブ   マジックアイテムの冷気により凍死
・堕天使 アイム  宝剣により斬殺
・妖獣 アペプ   電撃により消滅
・夜魔 エンプーサ 電撃により消滅

――悪魔全書――――――

邪神 顔の無いスフィンクス
 近代アメリカにて生み出された架空の神話体系、クトゥルフ神話に登場する、ニャルラトッテプの化身のひとつ。鋭くとがった鉤爪に禿鷹の翼、ハイエナの胴体、教皇冠を身につけた姿で描かれる。名前の通り顔は持たず、古代エジプトにおいて「暗黒のファラオ」ネフレン=カにより崇拝されたという。

――元ネタ全書―――――

道に迷いし愚かな男よ。汝が欲する力とやらをくれてやろう。
 女神異見聞録ペルソナより、某ボス・キャラクターにかけられた台詞から。勿論「無謀の仮面」も同ボス・キャラクターのドロップアイテム。

ヴィネコン
 デビルチルドエレンより、COMPの代わりとなるアイテム。召喚銃がグラフィックの中心なので、いまいち印象が薄かった記憶が……。

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