リリカル・デビル・サーガ   作:ロウルス

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――――――――――――

「ジュエルシード、シリアルⅨ! 封印っ!」

 目の前で桃色の光と一緒に暴れまわっていた化け物が縮んでいく。残された青い宝石を杖の中に吸い込んで、士郎とあの女の「愛の結晶」は嬉しそうに手を振った。

「夏織さ~ん、封印できたよっ!」
「ええ。ご苦労様。やっぱりなのはちゃんはすごいわね?」

 偽りの愛情で頭を撫でてあげると、その女の子は無邪気に笑う。きっとこの子は、私を「頼れるお姉さん」くらいに思っているのだろう。

 お母さんではなく、お姉さん。

「なのは、そろそろ戻らないと」

 屈託のないその笑顔を遮るように、肩の上に載っていたフェレットの格好をした悪魔が声をかける。

「じゃあ、移転させるよ? 僕はもう少し夏織さんと辺りを探してるから」
「うん。何かあったら、いつでも呼んでね?」

 なのはちゃんは頷くと、淡い光とともに消えていった。

――――――――――――夏織/海鳴市・無人の裏路地



第17話c 来訪者の悪意《参》

「なのはちゃん、ずいぶん張り切っていたけど、何かしたの?」

 

 夜の路地裏。月明かりも入らないビルの影で、夏織は深紅に目をぎらつかせるフェレットに話しかけていた。つい先ほど、野犬にとりついたジュエルシードの封印を済ませたなのはを見送ったところだ。

 

「別に何も? ただ少し、使いやすくなるよう術をかけ直しただけだ」

 

「こどもにドーピングかしら? 酷いことするのね」

 

 白々しく告げるフェレットの姿をした悪魔に全く心のこもっていない声で返す夏織。夏織からしてみれば、今のなのはは異常な状態にあった。良かれと思って撃った魔法がクラスメートを殺害し、それが元で同い年の女の子に憎しみをぶつけられ、入院するほどの痛みを経験したにもかかわらず、未だモチベーションを維持している。普通なら、幼い精神はとっくに破綻しているだろう。

 

「ふん。面倒はすこしでも少ない方がいい。フェイトちゃん、フェイトちゃんと五月蝿い小娘の相手をする身にもなれ」

 

「あら。悪魔に希望に満ち溢れたこどもの相手はつらいみたいね?」

 

 普段なのはの主導権を握っている悪魔がため息をつくのを見て、夏織はおかしそうに笑った。フェレットは不機嫌そうに鼻を鳴らすと夏織に問いかける。

 

「それはそうと、あの金髪の魔導師、なぜ助けたのだ? 見殺しにしてしまえばよかったものを」

 

「ほっといてもあのメシア君が助けたでしょ? なら、恩を売っておいた方がいいわ。あのイケニエちゃんと遅れてきた管理局の部隊なんかより、ずっと役に立ってくれるわよ?」

 

 不満そうな悪魔の声を軽く流しながら、黒衣の少女に想いをはせる夏織。どういう経緯かは分からないが、あの年齢でなのはを軽くあしらうほど戦闘に慣れており、同時に他人であるはずの自分を母親と間違えるほど愛情に飢えていた。

 

(ただの英才教育の犠牲者にしては思いつめてたわね……母親に捨てられたのかしら? だとすれば……貴方と同じね、恭也)

 

 笑みを漏らす夏織。それは自嘲だったか、それとも自身の抱える暗い感情への誤魔化しだったか。いずれにせよ悪魔が喜ぶ感情が出ていたことは確かなようで、フェレットが煽るように話しかけてきた。

 

「ふん。何だ? 情でも移ったか?」

 

「別に。ただもう一つ理由を思い出しただけよ」

 

 夏織は髪をかき上げて答える。そこにはもう、普段の余裕を持った笑みが浮かんでいた。

 

「だって、悪魔が苦しむくらい、なのはちゃんが元気になったでしょう?」

 

 

 † † † †

 

 

「お疲れ様、なのはちゃん。無事にジュエルシードを止めることができたのね?」

 

「はい、ちゃんと封印できました!」

 

 林間学校の宿泊先である山間の寺院。張りめぐらされた結界の中で、なのはは祐子に封印したジュエルシードを見せていた。成果を主張するなのはは年相応に褒められた喜びが見える。しかし、それを手渡すと同時にすぐ暗い顔になった。

 

「でも、フェイトちゃんは来てくれなくて……」

 

「そう……でも、ゴールデンウィークが明ければ学校でも会えるでしょう? 無理に会おうとしなくても時間が解決してくれるわ」

 

 それを慰めるように頭をなでる祐子。なのははそれに頷きながらも内心で早く会いたい――否、助けたいという欲望を持て余していた。なのはにとってフェイトはかつての自分だった。魔法を使う時のどこか思いつめた目は、数年前公園でひとり過ごしていた時の自分のそれと同種のものだ。あの時、アリスと会わなければ自分もまだフェイトと同じように寂しさを引きずって過ごしていただろう。アリスが助けてくれたように、今度は自分がフェイトを助けなければならない。それには、

 

(お話、聞いてもらわないと……)

 

 まずは話をする必要があった。管理局へ協力しているのも何か理由があるに違いない。ちゃんとその「理由」を聞いてあげて、困っているというユーノの意思を伝えることができれば、協力だってできるはずだ。

 

(今日、会えればよかったんだけどな)

 

 改めて会うことができなかったことを悔やむなのは。アリサやすずかなら仮に喧嘩したとしてもメールで簡単に連絡を取り合うことができし、すぐに仲直りできるという確信がある。しかし、連絡の手段もなければあまり喋ったこともないフェイトではそうもいかない。一緒に「話をする」という容易に行使できるはずの解決手段をとることができない状況に、なのはは焦りともどかしさを感じていた。

 

「じゃあ、そろそろ交代にしましょうか?」

 

 そんななのはの気持ちを知ってか知らずか、祐子は立ち上がるとなのはの手を引いて歩き始めた。相変わらず少ない会話のまま歩き続け、寝泊まりしている部屋へとたどり着く。祐子はそのままおやすみなさいと告げると背を向けて歩き去ろうとする。なのははそれを引き留めた。

 

「あっ! あの、先生っ!」

 

「何かしら?」

 

「その、先生はフェイトちゃんの家、どこか知りませんか?」

 

「ごめんなさい。私も担任じゃないから……」

 

 否定の言葉に落胆するなのは。林間学校の合間、魔法を使って直接家まで会いに行こうという思い付きは否定されてしまった。あまりにがっかりしてしまったせいか、祐子は優しく笑うと声をかけてくれた。

 

「なのはちゃん、そんなにフェイトちゃんに会いたい?」

 

「それは……はい」

 

「そう。なのはちゃんは本当に強い希望を持っているのね?」

 

 一瞬、祐子の顔に普段見せないような表情が浮かぶ。どこか羨むような、しかし同時に力のこもっていない目は、読み取れない複雑な感情をたたえていた。

 

「その希望、捨てなければいつか叶う……いえ、なのはちゃんなら、きっと叶えられると思うの」

 

 だから頑張って。そう言い残して今度こそ背中を向ける祐子。なのはは何か声をかけようと思ったが、言葉が思いつかずただ見つめていることしかできなかった。夏織やほむらと違ってずいぶんと儚く見えるその背中はやがて闇へ溶けるように消えていく。

 

(……先生、どうしたんだろう?)

 

 慰めてくれたはずなのに、自分よりもよほど傷ついて見えた祐子に戸惑うなのは。しかし、考えても何かわかるわけではない。夏織やほむらと違って、祐子とはそれほど長く話した経験がないのだ。

 

(今度、先生ともお話してみようかな?)

 

 そんなことを考えながら自室の扉を開く。そこには、なのはと全く同じ姿をした女の子が眠っていた。

 

(えっと、ドッペルゲンガーさん? 聞こえる……?)

 

 それはこの林間学校に参加するにあたって、ユーノが紹介してくれた「魔法生物」だった。自分と全く同じ容姿を持ち、仕草もそっくりだ。ただ、魔力はなのはより低いため、ジュエルシードの封印や暴走体との戦闘はできない。そのため、なのはが抜け出している間に身代わりとして部屋に残ってもらっている。

 

「……」

 

 その女の子はなのはの念話に起き上がると無言のまま歩き始めた。結界を隔てているせいか夜の寺院の廊下には足音ひとつ響かない。不自然な静寂に無音のテレビを見ているような一種の不気味さを感じるなのは。それに耐え切れず念話を送る。

 

(あ、あの……待ってる間、誰も来なかった?)

 

(……)

 

 しかし、返答はない。まるで何も聞こえないかのように歩き続ける。重苦しい沈黙は気味の悪い空気をさらに冷たくさせた。薄ら寒いものを感じながら女子トイレへ。個室に入ったところでようやく振り返り、こちらをじっと見つめてくる。

 

(えっと、こ、交代でいいよね?)

 

(……)

 

 沈黙のまま頷く女の子。表情が動かないだけで自分の顔はこんなにも不気味に見えるものだろうか。いつも鏡に映っているのとはまるで違うそれに耐え切れなくなって、なのははデバイスを掲げた。

 

「お、お願い、レイジングハート」

 

《Yes, My Master》

 

 指示を受けてデバイスが術式を走らせる。同時にバリアジャケットが解除され、強固な魔力の服が寝る時に身に着けているラフなものへと変わっていった。視界がぶれるようにして動き、ちょうど女の子がいた場所へと移される。逆に、先ほどまでいた場所には自分と同じ姿の女の子。だがそれも結界が閉じていくに従い闇の中へ溶けるように消えていく。しかし完全に消えるその直前、

 

「……人殺し」

 

「っ!?」

 

 自分と同じ姿の女の子は、そう小さくつぶやいた。否、声だけではない。まるでゴミでも見るようなその目は何かを訴えかけている。時間にして一瞬。しかし、なのははその声と目が残した恐怖に固まったまま、長い時間を思考の中で過ごしていた。

 

「……ぁ」

 

 襲ってきた異常な緊張感を抑えきれずにしゃがみこむなのは。足が震えているのがはっきりとわかった。なぜ自分はこんなにも震えているのか。なぜこんなにも怯えているのか。

 

 

――ダッテ、ワタシハヒトゴ……

 

 

「なのはちゃん、大丈夫!?」

 

 だが恐怖が絶頂を迎える前に、突然響いた扉をたたく音で我に返る。気が付けば扉にもたれかかるようにうずくまっていた。慌てて立ち上がり、聞き覚えのある声に向かって返事をする。

 

「さくらさんっ!? だ、大丈夫、大丈夫です」

 

「そう? 大きな音がしたみたいだけど?」

 

「あ、えっと、ちょっとぶつけちゃったかなって……」

 

 どうやら扉に向かって倒れこんだ衝撃で派手な音を立ててしまったようだ。誤魔化しながら周りを確認するなのは。結界はすでになく、デバイスは杖から赤い宝石へと姿を変えている。自分の格好もおかしいところはない。

 

「ぶつけたって……具合、悪くなったのなら保健の先生を呼ぶけど?」

 

「だ、大丈夫です」

 

 そっと扉を開くと、心配そうな顔を向けるさくらがいた。じっと目を覗き込んだかと思うと、トイレの中をざっと見渡す。何か不審なものでも残っていたのだろうか。なのはは確認したにもかかわらず不安になって問いかける。

 

「さ、さくらさん? あの……」

 

「……何でもないわ。それより、早く戻らないと先生に叱られるでしょう?」

 

 しかし、さくらはそれには答えず、急かすようになのはの手を掴んで歩き始めた。おとなしくついて行くなのは。来た時と同じ夜の廊下だが、先ほどとは違いさくらの手という温もりがあった。手を握り締めると、守るように握り返してくれる。なのははその手に安心感を覚え、

 

――ソノコとモブを返せぇぇぇぇえっ!

 

 しかし不意に声が聞こえたような気がして振り返った。勿論、暗い廊下には何も見えない。ただ吸い込まれそうな冷たい闇が、奈落に続く穴のように広がっているだけだ。

 

「なのはちゃん?」

 

「えっ!? な、何でもないですっ!」

 

 さくらに声をかけられて慌てて歩き出すなのは。さくらの手を握ったまま、逃げるように廊下を進む。先ほどとは逆に、さくらの手を引いて歩くような形になった。

 

「ちょっと、なのはちゃんっ!? どうしたの?」

 

 さくらの怪訝な声を気にする余裕はない。振り返れば闇の奥から聞こえる声に押し潰されそうだった。

 

「なのはちゃん、もしよかったら、一緒に寝る?」

 

 だから部屋の前まで来てそう言われたときは喜んで頷いた。さくらの手を握ったまま、先ほどまで自分の影が眠っていた布団に潜りこむ。ぞっとするほど冷たい寝床から逃げるように、なのははさくらの手を握り続けた。

 

 ひとりは、さみしくこわい。

 

 キットアノコモソウニチガイナイ。

 ダカラ、タスケナイト……。

 

 

 † † † †

 

 

「そう。なのはちゃんが……」

 

 翌朝。さくらは未だ眠っているなのはをよそに携帯を握りしめていた。那美からの連絡を聞き、時折うなされているなのはに厳しい顔を向ける。

 

「ええ。ガイア教団にうちが出資してる研究者がいるのよ……いえ、寝泊まりはできたけど、流石に林間学校の授業までは無理ね……大丈夫よ。昨日はずっと部屋で寝ていたのを見ていたから」

 

 状況を軽く伝えながら、さくらは自分の中で情報を整理していく。少し前にすずかを襲った人外の存在を使役している者がいる。狙いは魔法世界の遺産ジュエルシード。その遺産を扱う素養をなのはが持っていて、目をつけられてしまった。

 

(でき損ないの童話みたいね)

 

 心のなかで悪態をついてみるも、完全に否定することはできないこともよく理解していた。魔法使いについてはそれらしい存在を聞いたことかあるし、人外の化け物等いくらでも例がある。何より、自分も人間ではない夜の一族のひとりだ。

 

「そう。この間の卯月くんが魔法使い側の協力者……ええ。会ってみましょう。今度はちゃんと話を……分かったわ。じゃあ、昼過ぎにでも落ち合いましょう」

 

 携帯を切ってなのはに目を向けるさくら。昨夜から握りしていた手はもう離れているが、時折見せる苦しそうな表情は消えることなく、なのはは悪夢に捕らわれた様にうなされている。さくらはしばらく観察するようになのはを見つめていたが、いつまでも続くうめき声に耐え切れなくなり、揺り起こし始めた。

 

「なのはちゃん、もう朝よ? なのはちゃん……」

 

「ぅうん?」

 

 目を開けるなのは。布団から身を起こしたものの、ぼうっとした目のまま虚空を見つめている。

 

「にゃ? さくらさん……?」

 

 かと思うと、寝ぼけた顔を見せた。寝起きの反応は以前月村邸へ泊まりに来た時のなのはと何ら変わりはない。しかし、それはむしろさくらを不安にさせた。ついさっきまでの苦痛がまるで鎮痛剤でも打ったように消えている。異常なまでの落ち着きは、那美の言っていた「悪魔の術」に説得力を持たせるには十分だった。

 

「なのはちゃん、大丈夫?」

 

「はい。ちょっと眠いけど、大丈夫れす……」

 

「……そう。じゃあ、早く顔を洗って来なさい」

 

 だがさくらは何事も無かったかのように応じる。何かがとりついているならともかく、呪術となると自分では手の施しようがない。フラフラと洗面所に向かうなのはを見送りながら、さくらは自身の無力を噛み締めていた。

 

 

 † † † †

 

 

 昼過ぎ。翠屋を出た孔達はガイア教団の寺院を訪れていた。事情を説明した高町家から林間学校の宿泊先にさくらが潜入していることを聞き、会いに来たのである。

 

「生きる者はいつか死ぬ。形あるものはいつか壊れる。この世にカオスをもたらさんとする者よ。ガイア神殿に何の用かな?」

 

「すみません。さくらさん――綺堂さくらに会いたいんですけど……」

 

 寺院の一角に設けられた一般に公開されている神殿で、那美が司祭らしきガイア教徒に話しかけている。少し待っていろと一言告げて奥に引っ込む司祭。アルフは対応した那美を気遣うように言った。

 

「なんだい無愛想だね」

 

「あ、あはは。まあ、ガイア教団の人はちょっと職人集団みたいなところがあるから」

 

 気にしていないのか那美は笑って解説を加える。混沌と可能性をその教義の中心に据えるガイア教では可能性の源たる「力」が重要視される。その「力」は肉体的な力はもちろん、頭脳や経済力まで多岐にわたるのだが、とにかく何かしらの意味で「実力を持っている」事を証明しないと協力を仰ぐのは難しいという。説明を聞いて、修も孔にこれから接触する相手への感想を漏らす。

 

「力ねぇ。なんかいかにも悪者って感じだな」

 

「そうだな。でも、前に報道で有名な研究者がこの教団から出資を受けていると言っていた。一概にはなんとも……」

 

「正しくは、うちからガイア教団を通して、だけどね」

 

 しかし、その返事は先ほど司祭が去っていった方角から。声のした方を見ると、月村邸で見せたのと変わらない笑みを浮かべるさくらが立っていた。

 

「久しぶりね、卯月孔くん。リニスさんも、よく来てくれたわ」

 

「はい。お久しぶりです」

 

 返事をするリニスと共に孔は頭を下げる。久しぶりといってもあの一件からさほど時間が経っている訳はない。孔の異常性を目撃してから短い期間で、なおかつ大して話をした訳でもない自分が受け入れられるかは大いに不安なところだ。そんな孔の心中を知ってか知らずか、さくらは孔を特別扱いすることなく周囲に視線を巡らせ那美に問いかけた。

 

「ええっと、何人か始めて会う人もいるみたいだけど?」

 

「はい、リニスさんの妹のアルフとフェイトちゃんです。で、こっちが折井修くん」

 

 3人とも卯月くんと同じ魔法使いなんですよ? 周りに気を使ったのか、小声で付け加える那美。さくらはうなずくと、そのまま奥へと歩き始めた。那美達6人も後に続く。

 

「待てっ! 白き魂を持つものよ! ここより先通る事まかりならんっ!」

 

 が、孔が廊下に踏み出そうとした途端先程の司祭が凄まじい形相で前に立ち塞がった。思わず立ち止まる孔。なぜ自分だけ止められたのか、白き魂とはどういう意味か。その疑問を口にする前に、司祭は無表情に戻ると手に持っていた小鉢を差し出して続けた。

 

「……と言いたいところだが、金を払えば考えてやろう」

 

 固まる孔。修達も唖然としている。入場料の取り立てにしては大げさな上にまだ小学生でしかない自分へ声をかけたという常識外な行動に混乱しながらも、孔は取り敢えず財布を取り出そうとし、

 

「いいのよ。この子達は例外」

 

 しかしそこへ、聞き覚えのある声が響いた。

 

「随分会えなかったわね? 寂しかったわ、孔」

 

「百合子……さん?」

 

 目の前にいたのは妖艶な雰囲気を漂わせる女性。相変わらず舐める様な視線で孔を見ている。

 

「コウ、この人は?」

 

 その視線を遮るようにリニスが間に入る。孔からは背中しか見えないが、声からは強い警戒心と苛立ちをうかがうことが出来た。それはつい先日アリシア達とゲームをしていた時に見せた感情の露出に近いものがある。

 

「この人の永遠のパートナーよ」

 

 が、百合子はリニスを煽るように答えると、ほとんど気配を感じさせないまま自然な足取りで孔の背後にまわり、抱きしめる様に手を回した。慌てて振り払う孔。

 

「どうして百合子さんがここに?」

 

「仕事よ。取引先の人がガイア教団にいるの」

 

 払われた手をいとおしそうに撫でながら百合子は挑発する様に言い放った。その声には悪意とも好意ともつかない、不気味な執着が覗いている。そんな感情から守る様にリニスが孔を引き離す。

 

「では、孔に何か用があった訳ではないのですね?」

 

「あら? 大切な人には会うだけで十分な用事になるのよ」

 

 睨みあう2人。百合子の目からは孔に向けていた好意がなくなり、リニスも先程の警戒を敵意に変えていた。プレッシャーを感じながらも、孔はなんとか口を開こうとして、

 

「おやおや。まさかこんな事になるとはね」

 

 しかし、それよりも先に第三者の声が響いた。

 

「君が卯月孔くんだね? 私はルイ・サイファー。ルイと呼んでくれたまえ」

 

「……ルイ?」

 

 真っ先に反応したのは修だった。心当たりがあるのか、怪訝な目を向けている。

 

「シュウ、知ってるの?」

 

「あ、いや……」

 

 だがフェイトの問いかけを曖昧ながらも否定する修。前に似ている人に会ったが何かが一致しないという感じだ。そんな修を見たさくらが紹介を始める。

 

「テレビか何かで見たんでしょう。さっき出資している研究者の話をしたけど、それがこのサイファー博士。IQ300の天才よ」

 

 さくらの言葉に納得していないのか、修は相変わらず不思議そうな顔をしている。当のサイファー博士は自分の紹介――というよりも紹介された修の反応を楽しそうに見ていたが、やがて孔に向き直り話しかけた。

 

「ほう……随分と険しい表情になっているが、君は元々、向こう側――異世界の住人だね? そして……恐らく今は魔導師をやっている。違うかい?」

 

「なっ!?」

 

 言い当てられて孔は小さく声をあげる。思わずデバイスを構えた。しかし、サイファー博士はそれを制止するように続ける。

 

「警戒する必要はない。これは、ごく単純な推理の一種だよ。まず君の外見だ。苦労した様子はうかがえるが、あくまで皮膚は白く、目の色もコンタクトレンズで誤魔化す必要があるほどに違う。それは単なる色素異常ではなく、人工的に植えつけられた魔力異常に由来するものだ。そんな技術を加えられた人間は、まず異世界の住人である、と考えて間違いない。そして、君のデバイスだ。かなり特殊な機能を持っているようだが、そのタイプのフレームを所有しているのであれば、ほぼ間違いなく魔導師だ。種を明かせば、大したことは無いだろう?」

 

 平然と話すサイファー博士に唖然とする孔。後半のI4Uに関する考察はともかく、前半の外観に関する部分は看過できない。この力が人の手によるものなら、自分という存在は創造者の目的に沿って生み出された化け物でしかなかったことを意味する。

 

「サイファー博士。ちょっと無神経ではないかしら?」

 

 そこにさくらが割り込んだ。サイファー博士に厳しい視線を向けながらも、孔を気遣うように肩に手を置く。サイファー博士は表情を変えずに続けた。

 

「これは失礼。今は綺堂女史の来客だったな。ならば、ついでに見学でも行ってくるといい。それで少しでも、君達の様な健全な若者がガイアに対して興味を示してくれるのであれば、悪くは無い話だからな」

 

 そのまま踵を返して奥へと歩いていく。しかし、孔とすれ違う寸前、言葉を投げかける。

 

「何かあったら、また来れば良い。私はどうやら、君のことが気に入った様なのだよ。妙なことにね。その時は、是非とも向こう側の歪んだ思想抜きに話をしたいものだ……」

 

「っ!?」

 

 振り返る孔。しかし、サイファー博士は何事もなかったように歩き続ける。思わず後を追おうとして、

 

「それじゃあ、孔。今度会う時は貴方の魂が私と同じ色に染まっているのを願ってるわ」

 

 肩に手をかけられ止められた。百合子だ。その百合子も指で孔の唇をなぞると、サイファー博士の後を追うようにして去っていく。廊下の闇に消えていく2人をただ呆然と見つめる孔。

 

「っ! コウっ!」

 

 しかし、自分の体に走った魔力に我に返る。

 

「変な術は……かけられていないみたいですね。本当に大丈夫ですか?」

 

 見ると、リニスが魔力の流れに問題がないか確認しながら心配そうに覗きこんでいた。孔は一瞬でも固まってしまった自分に苦笑しながら大丈夫だと答えて意識を切り替える。自分の過去と大切な人を殺しかねない事態への対処では、どちらが重いか天秤にかけるまでもない。むしろ、こんなことで一瞬でも自我を見失った自分は未熟と言わざるを得ないだろう。

 

「ごめんなさいね? ちょっと変わり者だから」

 

 そこへ、とりなす様にさくらが話しかけてきた。軽くため息をつくと、出資している研究者について簡単に説明を加える。曰く、ガイア教でも崇拝の対象になるほどの天才。しかし、滅多に人前に姿を見せず研究室に引きこもっている。出てきたと思ったら狂言じみた言い回しでよく人をからかっている。

 

「だから、あんまり気にしないで?」

 

 そう言うと歩き出すさくら。フェイト達もそれに続く。那美は気遣うような視線を向けて口を開きかけたものの、修の「先行ってるぜ」という普段通りの軽い言葉に急かされ歩き始める。言外に気にしていないという意志と短いながらも考える時間を残してくれた友人に感謝しながらも、孔は周囲の反応が気休めであることは良く分かっていた。サイファー博士の自分の出自につながる言葉。それは何らかの形でいずれ追求しなければならいだろう。しかし、今は他に優先すべき事項を抱えている。

 

(コウ、もし、サイファー博士が気になるなら……)

 

(いや、それより今は高町さんだ)

 

 未だ心配してくれるリニスの念話にそう返しながら、孔はさくらを追うようにして歩き始めた。

 

 

 † † † †

 

 

「意外に普通の部屋だな」

 

「まあ、寺院っていっても建物は普通のビルと変わらないから」

 

 部屋を見渡す修に那美が答えたとおり、案内されたのはビジネスホテルの客室を少し広くしたような部屋だった。孔とリニスに修、フェイトにアルフ、那美の6人が入るとやや手狭に感じる。

 

「ごめんなさいね? 会議室でも借りればいいんでしょうけど、あまり目立っても問題だから」

 

 そう言ってさくらは外に目を向けた。窓の越しに引率の先生に見守られながら課外活動に取り組む生徒達の姿が見える。そこには、なのはの姿もあった。

 

「大体は那美から聞いてるわ。なのはちゃんが巻き込まれたとか」

 

「はい。実は……」

 

 これまでの経緯を簡単に説明するリニス。さくらは頷きながら聞いていたが、徐々に挨拶の時にみせていた余裕が消えていくのがはっきりと分かった。

 

「なのはちゃんまで利用しようとするなんて……分かったわ。私達も協力します」

 

「ありがとうございます」

 

「いえ。礼を言うのはこっちの方よ。それにしても……氷川に五島、ね」

 

「何か、ご存じなんですか?」

 

「いえ。詳しくは分からないわ。私たちの一族もガイア教と協力関係にはあるけど、信者ってわけじゃないから。ただ、2人とも表社会じゃそれなりの地位にいるから、噂では聞いたことはあるわね。特に氷川はガイア教徒の中でも異端とされる人物だって……」

 

 ごめんなさい。そう付け加えるさくらに、那美が問いかけた。

 

「でも、士郎さんの話だと、氷川って人はなのはちゃんの事は知っているみたいだったんです。ガイア教とつながりがあるんじゃないかって……」

 

「そうね。ガイア教については私の方で調べてみましょう。なのはちゃんの事は、確かに気になるし……」

 

「そのなのはちゃんですけど、何か変わった様子はありませんでしたか?」

 

「そうね……夜、何かに怯えていたみたいだったわ。今朝もうなされてると思ったら起きた途端元気になったし。態度は少し異常ね。でも、外に抜け出した様子も無かったから、その宝石を探しに行ったりもしていないはずよ。問題のフェレットも見ていないわ」

 

「じゃあ、さっさと保護しちまおう」

 

 2人のやり取りに声をあげたのは修。面倒な悪魔がいない内に捕まえようというのだろう。しかし、孔がそれを止める。

 

「待て、折井」

 

「何だよ、お前まで管理局待てとか……」

 

「いや。今高町さんがいる方向……悪魔の反応があるんだ」

 

 

 † † † †

 

 

 海鳴でも有数の敷地を持つ、ガイア教団の寺院。深い歴史を持つそれは同時に歴史的建築物でもあり、貴重な観光資源ともなっている。その一部は一般にも公開され、ゴールデンウィークともなるとそれなりの賑わいを見せていた。もっとも、大部分の利用者は宗教団体が運営している等という認識はない。

 

「さて、今日はせっかくガイア教団の寺院に来たので、自然魔術、ナチュラル・マジックについて話しましょうかね。アーダ・アーダ・イーオ・アーダ・ディーア……」

 

 しかし、この男――江戸川は別だった。聖祥大学付属小学校誇る怪人は、例え屋外だろうとその言動に変わりはない。

 

「この自然魔術には基本的な思想があります。人間も自然の一部だということを認め、その上で自然の力を享受すること。まあ、この辺はガイア教と通じるところがありますね……」

 

 もともとこの林間学校では寺院の厳しい戒律に即した生活習慣に触れることで規則正しい生活のリズムを身につけるという目的として掲げられていたのだが、そんな規格の意味を無視しておよそ普通の小学校では教えられることのない知識をいつものごとく説明する江戸川。もっとも、下手なガイドよりよっぽど詳しいその説明は、この場において他に適任はいないと妙な納得感を生徒たちに与えていた。

 

「特にこの鳴羅門石は鳴羅門火手怖(なるらとほてふ)という邪神を比麗文上人(ひれもんしょうにん)が封じた守護石と伝えられています。実際に見るのは私も初めてですが、どうやら妖しい電波を放っているようですね。あまり皆さんは近づいてはいけませんよ? フヒヒヒヒ」

 

 屋外に展示されている巨岩を前に意味不明な注意を混ぜて話す江戸川。偶然居合わせてしまった一般の観光客はあまりの不気味さに身震いしたが、慣れている生徒達は気にもとめない。あるものは面白半部に、あるものは周囲の壮麗な寺院を眺めながら聞いていた。

 

「みんな聞いてますかね。三途の川を渡ってはいけませんよ? ちょっと質問してみましょうかね……」

 

 だが、続く一言で注目が集まる。口だけだと分かっていても、誰もがこの得体の知れない先生の呪詛を受けたくないからだ。

 

「では最年少の高町さんは……」

 

 周囲を見回す江戸川。上級生の中で安堵が広がる。しかし、なのはの姿は見えない。

 

「どうやら異界に旅立ってしまったようですね。フヒヒ。仕方ありません。代わりに……ハイ、天田乾。汝に問う」

 

「えぇ! なんでっ! いなくなったのはいいのっ!」

 

 代わりに1つ上の優等生の悲鳴が響いた。

 

 

 † † † †

 

 

「今の、悲鳴?」

 

「悲鳴ってか呪詛に脅されたんだろ」

 

 それを結界ごしに見ていたのは修である。リニスが広げた結界は特殊な処理を加えなければ外界の声を通さないはずだが、悲鳴だけが鮮明に聞こえてきた。改めて怪人の異常性を認めてフェイトは身震いするも、魔法の事など大して勉強していない修にはよく分からない。

 

「まあ、取り敢えず高町は閉じ込めたんだ。後は悪魔がどうでるか……」

 

 ただ、この場合はそれがうまく意識の切り替えに繋がっていた。リニスが結界でなのはを切り離し、その隙に孔が結界の外も含めたサーチを使って悪魔を追う。寺院の敷地に詳しく、霊感も持つ那美とさくらは結界内から目視で悪魔を探す。フェイトとの通信役にアルフも一緒だ。残された修とフェイトの役割はなのはから目を離さない事。そのなのはは結界で切り離されたにも関わらず、江戸川の話を聞いていたのと同じ姿勢を保っている。不思議がる素振りも見せず、周りに先生と生徒が未だ存在し続けている様に振る舞うその姿は、ある種の異様な雰囲気を感じさせた。

 

「あれって、やっぱおかしいよな?」

 

「うん。動揺が少ない。この間よりもずっと……」

 

 思わず口に出した修にフェイトが同意する。この間とは月村邸の事を言っているのだろう。映像で見たのと違い、今のなのはは自分の行為を押さえつけるような仕草を見せていない。

 

「あれか。本格的に悪魔に乗っ取られたのか?」

 

 不気味な雰囲気に不吉な言葉を口にする修。憑依ではなく術をかけられただけとは聞いているが、知らない間になのはにも化け物が憑りついていないとも限らない。そしてそれは、

 

(っ! 確認したっ! あれは……高町さんの格好をした悪魔だっ!)

 

「……っ!」

 

 孔からの念話でより悪い方に実現した。瞬間、不快感が修を襲う。結界に包まれた時は少し空気が変わったと思う程度だったが、悪意のようにまとわりつくそれは明確な境界をもってリニスの結界を塗りつぶしていった。まるで自分を飲み込むような悪魔の結界に思わずうめき声を漏らす修。同時にそのクラスメートの格好をした化け物が首だけを此方に向ける。それに表情はない。仮面のように張り付いた無表情がこちらに向けられているだけだ。しかし、

 

(涙……?)

 

 その悪魔は泣いていた。修のイメージにあるなのはの強い意思は感じられず、ただ虚ろな瞳を濡らしている。まるで精神が崩壊し、自我を失った様な目のまま、

 

 なのはの格好をした悪魔は地を蹴った。

 

「シュウッ!」

 

 反応したのはフェイト。勢いのまま一直線に迫るソレに電撃を打ち込む。

 

「にゃは、ニャハハㇵㇵㇵㇵハはははははははっ!」

 

 しかしなのはの格好をした悪魔は勢いを失わずに距離を縮め続ける。狂った様な笑い声をあげて駆けながら身を捻り、正面に迫る雷槍をかわし、

 

「にゃははハガァぁ!?」

 

 横から走った稲妻に吹き飛ばされた。見ると、那美の肩に乗った久遠が雷を纏って立っている。後ろには厳しい視線のさくらとアルフもいた。どうやら移転してきたらしい。

 

「折井くん、大丈夫?」

 

「お、おう、助か……っ!」

 

 だが、それに安心する暇はない。吹き飛ばされた筈の悪魔が立ち上がり、桃色の砲撃を打ち込んできたのだ。

 

「ちっ!」

 

 慌てて飛び退きながら反射の膜を展開して軌道を反らす修。本来ならばその場に止まって真逆の方向に返すところだが、目前の魔力に恐怖を感じて体が反応してしまった。

 

「シュウッ!? 今のは?」

 

 それでもフェイトにとっては異常な光景だったのだろう。空中へ離脱しようかという体勢のまま驚いた目を向けている。

 

「何でもねえよっ!」

 

 が、修に答える余裕はない。精一杯の返事をして迫る悪意に電撃を放つ。フェイトや久遠の放った指向性をもつ砲撃ではなく、広範囲に及ぶ放電を前に、

 

「折井くんも、私を責めてくれるんだね……!」

 

 悪魔は笑っていた。狂喜の叫びをあげてバネの様に空へと跳躍する。修の放った電撃の波を飛ぶ越すほどに高く。

 

「じゃあ、いっぱいお話ししたいな……」

 

 太陽を背にその悪魔は髪留めを外した。ツインテールに上げていた髪が流れるように下りる。それは女性としての魅力よりも、呪いの人形のような不気味さを持って広がる。

 

「それで、教えてよ……」

 

 そして、握った髪留めを人間の関節ではあり得ない程に振りかぶった。

 

「なんで、なんでこんなことになっちゃったのぉぉぉおおおっ!」

 

 まるで抑えきれなくなった感情を起爆剤にしたかのように手から離れる髪飾り。それは人外の力も相まって弾丸のような速度で真っ直ぐに飛んでくる。

 

「撃ち抜け、轟雷っ!」

 

《Thunder Smasher》

 

 だがそれは修が反応する前にフェイトが放った稲妻で灰になった。同時に砲撃を連続で撃ち込みながら距離をつめるフェイト。反射神経で勝る相手に接近戦で挑もうというのだろう。スピード自体はフェイトの方が上なので、有効打を与えるには悪くない作戦だ。

 

「フェイトッ!」

 

 しかし、模擬戦の経験もない修はそれを理解できない。広範囲での電撃や強力なベクトル操作といった力で圧倒する戦い方しか知らないため、相手を分析して戦術を練ったフェイトの行動も無謀な特攻に写ってしまう。

 

「仕方ねぇ……!」

 

 故に追いかけるという行動をとった。普通ならば不可能な行為は、しかし無理矢理強化した加速で強引に実現される。

 

「ちょっ! 何やってるんだいっ!」

 

 はるかかなたで叫ぶアルフの声が届く前に、フェイトを追い抜かした修は悪魔にたどり着く。勢いのまま相手を殴り飛ばそうとして、

 

「なっ!?」

 

 その手は大きく空をきった。相手を見失い驚愕に目を見開く。

 

「にゃはは」

 

 背後から響いた声。

 

「これで、お話できるね」

 

 振り返った先には、黒い杖を喉元に突きつけられたフェイトがいた。

 




→To Be Continued!

――悪魔全書――――――

外道 ドッペルゲンガー
 ドイツ語で「二重に歩く者」の意味を持つ、生者の幻霊。日本でも「影わずらい」として古事が残っており、その伝承は世界中で認められる。自分自身がその姿を目撃するものから他人によって複数の箇所で目撃されるものまで様々であるが、多くの場合は不幸または死の予兆として描かれる。

――元ネタ全書―――――
サイファー博士。IQ300の天才よ
 言うまでもなくあの御方。今回は偽典・女神転生から天才博士の姿で登場。

鳴羅門石
 ペルソナシリーズより。某邪神がシナリオの根幹を務める1・2に登場。3になって中庭にこの石がなかったのを見た途端、「ついにラスボス交代か?」とか思ったのは私だけじゃないハズ。

髪留めを投げつけるドッペルゲンガー
 分かり難い人もいるかもしれませんが、漫画版『デビルチルドレン』より。主人公の刹那がヒロインの影と闘うシーン。この戦闘で刹那(小学生です)の腕が切り飛ばされます(そして、同作は児童誌です)。少年誌のベルセルク、と評されるだけに戦闘描写は秀逸。新装版も販売されたので、興味がある方はどうぞ。

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