東方夕凪録   作:汐入 那月

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どうも鐳波です。
ふぅ...やっと書き終わった...あ、今度は新作を書かないと...んああああああああ!
失踪したいけどしたら楽しみが減ってしまうぅぅぅぅ!!

と、とりあえずお楽しみください()


死への慣れとその代償

昨日は色々いざこざがあったがそれはきれいさっぱり収まったようでどこにもシャドー達は居なかった。

そして相も変わらずアザトースが僕にくっついている。

 

「アザトース、起きて~」

 

「んん、もう少し~」

 

「やだよ~、もう9時だよ~?」

 

「んん...分かった起きる...」

アザトースは立ち上がって伸びをする。

 

「シャドーくん、服!」

 

「はぁ...はい」

セーターとデニム生地のロングスカートを渡す。

 

「ん、ありがと」

 

「アザトース、朝ごはんください」

 

「ん、分かった。はいど~ぞ」

胸を出してくる

 

「...また?」

 

「うん、また」

 

「えぇ~...あれ結構恥ずかしいんだよ?」

 

「ボクは気持ちいいよ?」

 

「アザトースはね!?」

 

「んも~、いいから~」

 

「えぇ~...」

シャドーは仕方なく胸に噛みつき血を吸う。

 

「よしよ~し」

アザトースがシャドーの頭を撫でる。

 

「ふぅ、ごちそうさま」

 

「血を吸ってるシャドーくん可愛かったよ~」

撫でながら満面の笑みを向けてくる。

 

「はぁ...とりあえずご飯作ってくるね」

 

「あぁいいよ、ボクがやる~」

 

「アザトースできるの?」

 

「できるよ~?これでもシャドーくんに呼ばれる前は自分で作ってたんだもん。食べる必要ないからあまり作ってなかったけど...」

 

「へぇ~、じゃ今日はお願いするね」

 

「は~い、僕に任せてね~♪」

少し心配だが今日はくつろぐ事にしようと思いリビングのソファでごろごろする。

ふとキッチンに目をやるとどこから出したかエプロンをつけていた。

なんだろう、お母さんと呼びたくなる感じだった。

そんなことを思いながらごろごろしているとみんなが起きてリビングに集まってくる。

 

「あれ、今日はアザ姉がご飯作るの?」

ヴラディミールが心配そうに言う。

 

「まぁ、一人の時自分でご飯作ってたらしいし大丈夫でしょ」

 

「へぇ~、まぁいいや」

 

「みんなできたよ~」

アザトースがフレンチトーストとコーヒーを持ってきた。

 

「えっと、アザトース?なんでフレンチトースト知ってんの?」

 

「えっとねぇ、1年くらい前にヘイセイ?とか言う時代の人間がボクをこの姿で召喚してね、その時教えてもらったんだ~」

 

「平成!?」

 

「なんだよシャドー知ってんのか?」

 

「ま、まぁね。なぜかわからないけど...すごく懐かしいのと...僕は昔そこに居た気がするんだ」

 

「まじでか」

グレイは手に持っていたフォークを落とす。

 

「何か憶えてる事ってある?」

 

「東京...?ってとこに居て...浅草ってとこに住んでた...と思う」

 

「へぇ~、そんな所があるんだ...気になるね平成」

 

「まぁ...いつかそんな時代が来るんじゃない?」

 

「まぁ楽しみにしとこう」

 

「まぁいいや、ご飯冷めるし食べよう。いただきます」

シャドーに続きみんながいただきますと言い食事を始める。

食事が終わると皆それぞれどこかに行く。

 

「ごちそうさまアザトース。結構おいしかったよ」

 

「ん、どういたしまして~」

 

「じゃあ僕は部屋にいるからなんかあったら呼んでね」

 

「は~い」

そう言ってシャドーは部屋に戻り棚から分厚い本を一冊手に取り椅子に座り開く。

数時間読みふとその本の一つのセリフが心に響く。

そのセリフは『俺は...人を殺すことに慣れたくはない!』というものだった。

 

「ぼ...僕は何人もの人を殺してきた...この前だって教会の奴らを殺した...でも、僕は何も思ってなかった...僕は...お、俺は...人を殺すことに慣れていた...?」

その時シャドーの頬に涙が一筋流れる。

 

「嫌だ...嫌だ嫌だ!!俺は...俺は人を辞めたくない!」

人を辞めたくない?俺はなぜ今自分を人だと思った...?

その時シャドーの脳内に稲妻が走る。

神により消された記憶が全て戻ったのだ。

 

「お...俺は...人を辞めたくない...誰か...俺を助けてくれ...殺人に慣れたこの俺を...誰か救ってくれ...」

その時一人の少女の笑顔が映りその少女は次の瞬間無残に殺された姿へと変わった。

その時思った。俺はもう人間ではないことを。

そうか、俺は...俺はもうとっくの昔に人間ではなくなっていたのか...。

シャドーはそれに絶望した。そしてその現実を受け入れた。

シャドーの目から血の涙が流れる。

それと同時に目に変化が起こる。三匹の龍が頭を追いかけ合っている模様の目に浮かび上がったのだ。

 

「そうか...俺は化け物になっていたのか...なら...化け物らしく生きようじゃないか」

 

「しゃ...シャドー?」

振り返るとドアを少し開けてこちらを見ている子供の姿があった。

 

「なんだ...エルザか。何の用だ」

 

「いえ、貴方の妖力の濃さがいきなり濃くなったので...あの...何かあったんですか?」

 

「なに、少し自身の事を詳しく知れただけさ」

 

「でも...血の涙が...」

 

「やめてくれ。俺はもう自分に絶望したくない」

 

「...分かりました、なにかあれば私に言ってください...力になりますから」

 

「ついさっきまで敵だったのに随分と仲良くするじゃないか」

 

「私はもう教会の人間ではないですから」

 

「そうか...まぁせいぜい俺の食料にでもなってくれ」

 

「食料ですか...貴方はほんと私達に辛辣ですね。教会の人間じゃなくなっても私は敵ですか?」

 

「敵ではなくなったさ。ただ人間に戻ったことによって俺の飯に変わっただけだ」

 

「そうですか...」

 

「気分が悪い。俺は外に出てくる」

 

「では、お気をつけて」

 

「心配されるまでもないさ」

そう言うと窓から出て奥の森へと進む。

外はもう橙の夕方から漆黒の暗夜へと変わり始めていた。

しばらく歩くと廃墟と化した教会が見える。

もう建物という面影はなく地面と小さい塀、そしてステンドグラスの張られた部分だけが一面残っていてそれの前には十字架の像が佇んでいた。

 

「こんなところがあったのか...」

一つの塀に腰かける。

 

「...俺は、いったい何者なんだ...」

それを思うとまた涙が出てきた。今度はすぐには収まらず、寧ろ色んな感情が混ざり合った物がこみ上げ来てそれが涙となって溢れ出す。

自分が何者だかわからない不安感、人を殺すことになれた恐怖、もしかしたらいつかは仲間たちも殺してしまうかもという恐怖。

 

「あら、今日は誰かいるのね」

 

「...あんたは誰だ?」

 

「相手を名乗らせる前に自分が名乗るってのが礼儀よ?」

 

「そうだな...俺はシャドーエッジ・スカーレット。きっと知ってる名前だと思うぞ...」

 

「あら、妖王様がどうしてこんな所にいるのかしら?」

 

「少し自分に失望して...」

 

「絶望って感じ、まさに鬱だ死のうってやつね」

 

「死ぬか...死ねたらいいけどな。まぁそんなことはいい、名乗ったからお前も名乗れ」

 

「私は宵闇の妖怪、ルーミアよ。よろしくね」

 

「ルーミアか...」

 

「えぇ、ルーミアよ。何だったら私が貴方の悩みを聞いてあげましょうか?」

 

「...頼む」

 

「えぇ、頼まれたわ」

 

「少し長くなるかもだが。俺は今吸血鬼だが以前は人間だったんだ。8億年前に神と名乗る奴に一つ能力を与えられこの世界に転生させられた」

 

「あら、そうだったの。人間ねぇ...貴方ほど妖怪らしい奴はいないのに元が人間ねぇ...どれだけ終わってる人間なのかしら?」

 

「犯罪者さ...人間を道具として使うときもあったし場所を択ばずに人間をバラしたこともあったな」

 

「あら、狂気に染まってるわね」

 

「かもな、俺はこの世界に転生させられると同時に転生以前の記憶をある程度消されていたんだ」

 

「それをついさっき思い出して別の事も相まって自分に絶望して今に至るって訳ね?」

 

「そう言うことだ」

 

「これは私の疑問なのだけれど...どういう事で自分に絶望したのかしら?」

 

「俺は一昨日に教会の奴らと戦い多くの人間を殺した。なのに何も思わなかったんだ...人を殺したことへの罪悪感や恐怖が一切...それに自分の人間の頃の記憶が戻り...そして自分が初めて人間を殺した時の記憶が頭に映ったんだ...その時俺は昔から化け物だと言うことを自覚した。それによりこうなったんだ」

 

「元が人間だからこその悩みね。私にはさっぱりだわ、人間なんてただの食料よ」

 

「そうなのかもな...」

 

「...貴方は仲間はいるのかしら?」

 

「あぁ...いるが、それがどうした」

 

「仲間がいるんだったら仲間を守る。それだけに生を尽くしなさい。それが生きる目的になってくれるわ」

 

「そうだな、皆を守れるようになるよう頑張るよ」

 

「具体的にはどんなことをするのかしら?」

 

「敵を作らないように全ての最強になる」

 

「あら...」

ルーミアは予想をはるか斜め上に行った返答に苦笑する。

 

「本気だぞ。敵がいなくなれば仲間に手を出しても一瞬で蹴散らせる...」

その眼には静かな闘志が宿っていた。

 

「それと...さっきから気になっていたんだけど...貴方の目って面白いわね」

 

「そうか?普通だろ?」

 

「鏡を見ればわかるわ」

シャドーは手鏡を創り目を見る

 

「...何だこれ」

 

「ね?言ったでしょ」

 

「うん...」

 

「何か変わったとことかはある?」

 

「どうだろ...」

 

「戦ってみればわかるんじゃないかしら?」

 

「ルーミアと戦うのか?」

 

「えぇ、きっと今の貴方くらいは勝てるわ」

 

「ま、負けたら妖王はその時点で移されるからなぁ...」

 

「あら、私は妖王なんて欲しくないわ、めんどくさいもの」

 

「別に他の妖怪と戦うだけだと思うが...」

 

「後々わかるわよ、きっとめんどくさいことになるわ。だって後々はその妖怪たちをまとめ上げなければならないのよ?そんなめんどくさい事私はしたくないわ」

 

「あぁ...先生に勉強教えてもらうか」

 

「頭のいい仲間でもいるのかしら?」

 

「あぁ、頭のいい奴がいるのさ。じゃあやるか」

 

「そうね、やりましょう」

シャドーとルーミアは構えることなく同時に最初の攻撃を繰り出す。

ルーミアはパンチを繰り出しシャドーはしゃがみながら回し蹴りを繰り出す。

ルーミアは体勢を崩し転ぶが、地面につく前に腹に拳をねじ込む。

 

「くっ...勢い良いじゃない、なに?絶好調なのかしら?」

 

「なんか...見えるんだ。この目の能力かも知れない」

 

「便利な能力ね」

そう言うとルーミアは手に力を集める。

それは赤黒い骸骨でできた手に変わりシャドーに襲いかかる。

それを蹴り飛ばしかかと落としを繰り出しナイフを創り力を纏わせルーミアに向けて投げる。

 

「あら危ない。と言うか貴方、力押しにもほどがあるわよ?今までこれで勝って来たんだからすごいわよね」

 

「戦い方を教わったことがないからな...仕方ないさ」

 

「人間だったころに殺し合いとかはしなかったのかしら?」

 

「基本が銃撃戦でな、殴る蹴るはあまり」

 

「ふぅん...今はこんなに染まっちゃってるのにね」

 

「反論すらできないな」

ルーミアの顔目掛けて回し蹴りを繰り出しそれと同時に剣を創りルーミアの脇腹を切りつける。

 

「少しは考えたようだけど、こんくらいじゃ私はたじろいだりしないわよ?」

片腕で回し蹴りを制され赤黒い何かで剣を弾かれる。

 

「それじゃあ、何が見えるか分かったことだし止め刺すわね」

その時シャドーの龍の首が瞳を軸に回転する。

すると力がどこに集まっているのかが見えるようになる。

シャドーはその部分に黒い炎を創り黒い炎でできた槍を創りルーミアに投げる。

ルーミアは赤黒い何かで守るが黒い炎でできた槍はそれをすり抜けルーミアもすり抜けるがルーミアはその場に倒れこむ。

 

「な、なにをしたのかしら?」

 

「黒い炎は物理をすり抜け魂を直接攻撃する、と言う事実を創っただけだ」

 

「なによ...事実すらも作れるなんて聞いてないわよ...それは強過ぎよ...」

 

「俺は関係ないさ。と言うかルーミアのあの黒いのはなんだよ」

 

「あれは闇よ」

 

「闇ってあんな風に使えたっけ...」

 

「使いようにもよるのよきっと」

 

「へぇ...。あ、ルーミアはどこに住んでるんだ?」

 

「ここよ。この教会の裏に住めるスペースがあるのよ」

 

「へぇ...よかったら俺の家に来るか?一人でいるよりかは賑やかでいいと思うんだが...」

 

「妖王様は優しいのね。そうねぇ、戦いも負けちゃったしお言葉に甘えようかしら」

 

「そうか、じゃあ荷物をまとめて行こう」

 

「荷物多いわよ?」

 

「荷台創るから問題ない」

 

「そう、じゃあ持ってくるわね」

三時間くらい待ったが一向に戻ってこない。

少し心配だし入ってみると全裸のルーミアが居た。

シャドーは一瞬でドアを閉めようとしたがルーミアがそれを阻む。

 

「あら、覗き?やっぱそんな見た目だし思春期なのかしら?」

 

「お、俺はもう8億歳だ!つかなんで全裸なんだよ!!」

 

「意外に年取ってるのね、年上だったなんて。全裸についてはさっきまでお風呂入ってたのよ」

 

「待たせてる人いんだから風呂とか入ってんじゃねぇよ」

 

「女の子は身だしなみが大事なのよ。とりあえずそこのソファにでも座ったらどう?」

 

「お前裸だし俺外にいる」

 

「もう終わるしいいじゃない~」

 

「わかった、早くしろよ」

 

「は~い」

ルーミアは髪を拭き着替える

 

 

「はい、終わったわよ。それじゃ行きましょ」

 

「荷物は?」

 

「たまに帰って使えばいいわよ」

 

「そうか、じゃあ行こう」

ルーミアと一緒に森をまっすぐ歩いて1時間くらいすると大きな館が見える。

 

「お、見えた。あれが俺の家だ」

 

「...相当大きいわね、ほんとうにあれ家なの?」

 

「あぁ、本当に家だ」

扉を開けるとアザトースが飛びついてきた

 

「シャドーくんっ!!心配したよ?怪我ない?大丈夫?」

 

「あぁ、大丈夫だ。心配かけてすまないなアザトース」

 

「うん...ってこの人だれ?」

 

「こいつはルーミア。これから俺の生き方を教えてくれた人だ」

 

「よろしくね」

 

「うん、よろしく」

 

「ルーミアはそこの部屋を使ってくれ」

シャドーは自分の部屋の隣を指差す。

 

「わかったわ」

 

「それじゃ俺は寝る。お休み」

アザトースの首に噛みつき血を吸ってから部屋に入り眠りにつく。

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