よし、今回も失踪レベルにはならなかったですね。
相変わらずの1万文字超えです、いつも見にくい小説(笑)ですいません()
ではお楽しみください!
それから20年の月日が流れイザナミは今日の午前10時位に御産が始まった。
イザナギは部屋で立ったり座ったり部屋を右往左往したり頭を掻きむしったりと忙しない。
「おい、少し落ち着いたらどうだイザナギ」
「とは言ってもだな...」
「うるせぇ、お前が騒いでも何も解決しない。俺は少し寝てくる」
シャドーはコートを脱ぎ座布団の上に畳んで置き部屋に布団を敷き寝転がる。
アザトースもシャドーに着いていき同じように布団に潜り込む。
「珍しくピリピリしてるねぇ」
「まぁな、少し寝る。イザナギ達に変化があったら起こしてくれ」
そう言うとシャドーはもぞもぞと布団の中に頭を埋める。
「はいはーい」
アザトースはシャドーが完全に寝付くのを確認すると居間へ戻る。
目を覚ますと辺りはすっかり暗くなっていた。
「おはよ、そろそろ生まれるみたいだから待ってたら?」
「そうだな」
シャドーは縁側でタバコを一本吸うと居間へ入る。
すると奥の部屋から産声が三回ほど聞こえる。
「ほう、三つ子か。イザナギ行ってこい」
「おう、行ってくる」
イザナギは目尻に涙を浮かべながら奥の部屋へと向かう。
「ふぅ...少し散歩してくる、留守を頼んだ。それともしかしたら今日は帰らないかもと言っておいてくれ」
「は~い、じゃあ気をつけてね~」
アザトースは手を振ると布団の中に入った・
シャドーはイザナギの家から出てふらふらと足を進めると足取りは山へと向かっていた。
「おやシャドー、どうしたんだいこんな夜中に」
「ん、イザナギの子が生まれたから少しの間二人きりにしてやろうかと思ってな」
「へぇ、とうとう生まれたんだねぇ」
「あぁ、三つ子らしい」
シャドーはポケットからタバコを取り出し吸い始める。
「へぇ、今ちょうど酒盛りが終わったんだ。あたしの家にでも来るかい?」
「そうだな、邪魔しよう」
「じゃあついてきな」
勇儀は大きな杯で酒を飲みながら山を登っていき天狗たちが見えるとそこを曲がると深い森のような場所に入り、そこをしばらく歩いていると和風の大きい屋敷が見える。
「随分とでかいんだな、一人でこの大きさはどうかと思うんだが...」
「天狗たちに家の建造を頼んだらこんな大きくなっちまってねぇ...ま、そんなことより上がりな」
勇儀はシャドーの手を引き家の自分の部屋へ入れる。
「お邪魔しまーす、ここでタバコって吸ってもいいのか?」
「いいけど窓はあけるんだよ?煙で部屋が黄ばむのも嫌だしねぇ」
勇儀は窓を開け押入れから布団を出して敷き潜り込む。
シャドーは窓枠に灰皿を置き吸い始める。
「寝るのか?」
「いや、とりあえずごろごろするだけさ」
勇儀は布団に入ってまったりしていた。
「あ、そう言えばさ。あんたのコートの中どうなってんだい?いつもコートの中から色々でるから気になってるんだよ」
「あぁ、そんなことか」
シャドーはコートの左の内側を開く。
中には小さいナイフがたくさん入るような少し大きめのポケット、短剣が掛けられるであろう留め具が二つ、そして中央らへんに横に長いジッパーがついており開くと中には広大な異次元空間が広がっており中にはいろんなものが綺麗に並べられ収納されていた
そしてコートの裾の部分には大き目の瓶が留められそうな留め具が二つ付いて赤い液体の入った瓶が留められていた
そして右側のを開くと中央部分に二つ本を付けられそうな留め具が二つ並んでついている
「へぇ...そうなってたんだねぇ...随分と便利な物を持ってるじゃないか」
「俺特製だぜ、耐久性も抜群だ。俺が8億歳の頃創って今の今まで傷一つ付いちゃいないからな」
「そりゃすごいねぇちょっと触らしておくれよ」
「いいぜ」
シャドーはコートを脱ぎ勇儀に向かって軽く投げる。
勇儀はそれを掴み袖を通す。
「へぇ...感触は普通の布なんだねぇ」
「普通の布っぽいが全然違うぞ。オリハルコンを創りそれが糸状だと言う事実を創りそれを別の色に染め上げそして後は自分で縫って作った」
「おりはるこん...?ってのは何なんだい?」
「この世には存在しないと言われている幻の金属だ。世界最高強度を誇っているらしい」
「よくそんなの創れたねぇ」
「昔にオリハルコンっぽい物を見てな。どうやら本物だったらしい」
シャドーは二箱目が切れると少し大きめの息を吐き水を飲む
「お、寝るかい?」
「うむ、そうする。布団はどこにある?」
「私が寝てる奴だけさね」
「じゃあ俺は部屋の隅で寝てる、朝になったら起こしてくれ」
「何言ってんだい?あんたもこの布団で寝るんだよ」
「え、やだ床で寝る」
「なんだい照れてるのかい?」
「お前俺を何歳だと思ってやがる約8億36歳だぞ。いまさら何に照れる必要がある」
「じゃあ同じ布団でもいいじゃないか」
勇儀は立ち上がり強引にシャドーを布団にいれ自分も入る。
「...不服だ」
「いいから寝るよ」
勇儀は明かりを消すとすぐに寝息を立てる。
「もう少しタバコ吸ってればよかった」
シャドーもすぐに目を瞑り寝息を立て始める。
雀の鳴き声が聞こえ目が覚めると別の部屋から何か音が聞こえる。
シャドーは朦朧とした意識の中視界も定まらずゆらゆらと起き出して音の元へ向かう。
「おぉ起きたかい、とりあえずそこの座布団にでも座ってな。あと少しで朝飯が出来るよ」
勇儀はスカートを穿き服を着ずに半裸のままだった。
「ん...わかった」
シャドーはゆらゆら座り目も半開きで今に寝てしまいそうだった。
「ほい、出来たよ!」
勇儀は皿に焼き魚を盛り付け持ってきた。
そして次に米、みそ汁を持ってきた。
「ふむ、妖怪はこの頃から結構近代的な食事をしてたんだな...」
「何言ってんのさ、早く食べるよ」
「そうだな」
「いただきます」
二人は手を合わせそう言い食事を始める。
「今日は帰るのかい?」
「そうだな、そろそろあいつらも落ち着いているだろう、一夜明けたし。と言うかお前早起きだな」
「そうかい?あんたが遅い様にしか思えないけど...あ、でもあんたの寝顔は可愛かったねぇ」
「な、見られてたのか...」
「あぁ、天狗の写真とか言う機械で撮ってやりたかったねぇ」
「撮ったら殺すぞ、割と本気で」
「おぉ怖いねぇ」
勇儀は楽しそうに笑う。
二人は食事を終えると外に出る。
「んじゃ俺は帰るけどお前は?」
「あたしはまた呑み仲間を集めてくるよ」
「そうか、分かった。じゃあな」
シャドーは翼を大きく広げ次の瞬間目にも止まらぬ速さで大空を飛んで行った
そしてシャドーが足を着いた場所はイザナギの家だった
「ただいまー」
「お、やっと帰ってきやがったな」
「ガキの名前は決まったのか?」
「あぁ、女が天照、男二人が素戔嗚と月読だ」
「ふむふむ、んでガキは今どこにいる?」
「中でイザナミがあやしてる」
すると中から赤子の泣き声と思わしき声が聞こえてくる
「どれ、少し見てから帰るか」
シャドーは少しにやけて中に入る。
「あ、シャドーくんいらっしゃーい」
「おう、邪魔する。それがガキか」
「この子は天照で、その座布団で寝てる二人の中左が素戔嗚、右が月読だよ~」
「へぇ...少し育ったら素戔嗚に稽古をつけようと思う。いいか?」
「いいけど...あまり怪我させないでね?」
「善処しよう。じゃあ俺は帰る、また3~4年後来る」
シャドーは勢いよくしゃがみ前に跳ぶ。
数分で家の屋根へ着地して屋根から地面へ跳び下りる。
「ただいま」
「あ、シャドー!なんで昨日帰ってこなかったの!?せっかくご馳走作ってたのに!」
降りると庭で海波が洗濯物を干していた。
「あぁすまん、そうだと思って席を外した」
「なんでよ~」
「あまりそう言うのは好きじゃなくてな...すまん」
シャドーは困ったように笑い海波の頭を撫でる。
「まぁいいや、そう言えば最近グレイ君見ないんだけどシャドーは見た?」
「見てないな。多分ずっと地下で修行でもしてるんだろ」
「ヴラディミール君は見るんだけどなぁ、レイラさんも出てこないし...」
「じゃあ俺が少し様子見てくる」
「うん、お願いね~。ちゃんとご飯食べに来るように言っといて~」
「了解だ」
シャドーはタバコを吸い庭の中心から右に6歩、左に15歩、前に半歩行きそこを踵で地面に踵の跡が付くほど強く踏むと魔法陣が展開され地下室へ転送される
そこには巨大な図書館と思えるような空間が広がっておりその部屋の奥には書斎机に向かって腕を組み眠っている赤髪の女性が見える
「おい先生、起きろ」
「んん...シャドーか...どうした?」
レイラは目を擦りながら返答する。
「研究に耽るのはいいがちゃんと海波の飯を食ってやれ、心配してたぞ」
「あ、あぁ済まない...」
レイラはまだ寝ぼけているようで震える手で眼鏡をかけた。
「ところで...グレイはどこだ?」
「あぁ、グレイなら妹が来たとか言ってこの部屋の隅の応接室に居るぞ」
「そうか、ありがとう」
シャドーは応接室へ行くと見慣れなくも見覚えのある様な人物が三人いた。
「お、兄さん久しぶり」
服を着ずに黒いズボンだけに白衣をそのまま来ている水色の髪の男性がシャドーの方を向き声をかけてくる。
「...グレイか?随分と成長して髭も伸びたな...ちゃんと剃れ」
「いやぁレーラさんとの研究が楽しくてな~」
「んで、そこの二人は?もしかしてエルシアとシエルか?」
「正解だよ、珍しく兄妹がみんな揃ったね。シャドーくん」
後ろを振り向くとヴラディミールが本を読みながら来ていた
「お前ら最近俺らが兄妹だったってことを知って随分と早い対応だよな」
「そんなことよりお久しぶりです、兄さん」
シエルがシャドーに向かい頭を下げる。
「シャドー兄、久しぶり」
エルシアがシャドーに抱きつく。
「あぁ、久しぶりだ。シエルは大人になったが...エルシアはあまり変わらんな身長がほんの少し伸びただけだ」
「あまりそれは言わないの...」
エルシアが少し頬を膨らませぽかぽか叩いてくる。
「済まん済まん」
ちらっと横目をやるとグレイは電動髭剃りで髭を剃っていた。
「よし、終わった」
「おぉ、スカーレット家集結か。久しいな」
「お、レーラさん登場」
グレイは髪を結び直しレイラに抱きつく
「えぇい、人前でくっつくな。恥ずかしい」
「そういやお前先生と付き合い始めたんだっけ?」
シャドーが灰皿を置き吸殻を入れ新しいタバコに火をつける。
「そうそう、いやぁ昔は姉みたいな人としか思ってなかったんだけど...俺ってシスコンなのかな」
グレイもタバコを吸い始める。
「二人してタバコを...まぁいいです。とりあえずみんなで外出ませんか?」
「そうだな、ずっとここ居てもあまり楽しくないぜ」
シャドー達は自宅の庭まで戻りそれぞれの座布団に腰を掛ける。
「わっ、お客さん?」
「いや、グレイとヴラディミール。金髪と白碧髪は妹だ」
「シエル・スカーレットです、よろしくお願いします」
「エルシア、よろしくね」
無表情を頑張って笑顔に変えようとする
「まぁ無理に笑うな」
シャドーはエルシアを撫でると湯呑みに入った茶を啜る。
「無表情辛い...」
エルシアは少し不服そうにシャドーの膝に座る。
シャドーはちらっと外を見ると何かが光速でこちらに飛んでくるのが見える。
魔術【アンブル・メモワール】
グレイは本を開き何かを呟くと金色の礫が何かに向かって飛んでいくとそれを飲み込み消える
「新しい魔術か?」
「そそ、レーラさんと作った」
「全く...惚けやがって」
「ほ、惚けてなどおらん!」
「まぁいい、さて...俺は三年ほど寝る。三年経ったら起こせ」
シャドーは指を鳴らすと棺桶が現れその中に入り深い眠りにつく
「あ、寝ちゃった...」
シャドーの意識は遠い彼方へと飛んでいく。
そしてそれからぴったり三年後にシャドーは棺桶から出てくる。
「おはよ」
シャドーは珍しく寝起きが良かった
「おぉやっと起きたね」
グレイがタバコを吸ってくつろいでいた
「みんなはイザナギの家に行っちゃったよ?」
「よし、素戔嗚を鍛えねば」
シャドーは力強く駆け出しイザナギの家へ飛んでいく
空高くから飛び降りてきたシャドーに少女一人、少年二人は驚き他はなんも気にしていなかった
「素戔嗚はどこだ」
「お、おいたん誰...?」
少女はビクつきながら訪ねる
「おじさんじゃない、お兄さんだ。俺はシャドーエッジ・スカーレット、この世界の全ての妖を統べる妖王だ。今日は素戔嗚に稽古をつけに来た」
素戔嗚は阿呆な顔をして出てきた。
「ほう、お前が素戔嗚か...随分と間抜け面だな」
シャドーは手を打ち合わせ刀を創り素戔嗚の足元に投げ刺す。
「ガキ、それを持って俺を倒してみろ」
「...?わかった」
素戔嗚は訳も分からず刀を振り回す。
「そんなんじゃ当たるわけないだろう?刀はこう振るんだ」
シャドーは刀をもう一つ創り居合いを放つ。
その放たれた斬撃は遠くの山を斬り取る。
「うお~すっげ~!」
素戔嗚は目を輝かせる
「その刀はお前にくれてやる、鍛錬を惜しむなよ?」
「わかった!」
素戔嗚はすぐにシャドーが先程取った構えを取り居合いを放つ。
それを刀で弾いては回し蹴りを素戔嗚の頬に決める。
それを喰らい吹き飛び気絶する。
「ふぅ...アザトース、手当頼んだ」
「はいは~い!」
アザトースは硬く絞った濡れ布巾を額に乗せ座布団を枕代わりにして寝かせる
「お、おいたんつおい!」
「ふふ、だろう?」
シャドーはタバコを吸おうとしてタバコを箱にしまう。
「おぉ、珍しくタバコ吸わなかったな」
「子供の前だし控えた方がいいかと思ってな...」
「そんなことは思っても子供相手に手加減するってことは考えないんだな」
イザナギが笑いながら言う。
「これでも相当手加減したんだぞ」
「それであれかよ」
「お前が弱いんだな」
「お?やるか?」
「お前じゃ話にならないさ、出直せ。せめてエルシアに勝てる程度にはならないと」
「流石にこの女の子には勝てるだろ...」
「それは、心外なの」
エリシアは無表情のままイザナギに近づき踵の筋を蹴り転ばせ鳩尾を踏みつける
「ほれ、甘く見るとこうなるぞ。吸血鬼をあまりバカにしないほうがいい」
「お前らが神を馬鹿にしているとしか思えないんだが...」
「かもな、神って弱いし」
「こいつ本気で神を馬鹿にしてるぞ...八百万の怒りを買っても俺は責任取らないからな」
「はっ、だから何だ?そんなの...そうだなぁ、指一本で捻ってやる」
「言いやがったなこいつ...」
「さて、帰るか...」
シャドーが後ろを振り返ると見覚えのある女性が立っていた。
「ふふ、久しぶりですわねシャドー様」
「紫か、久しいな。お前も随分と年を取ったな、見た目なら俺の方が年下だな」
「あまり女に歳の話をするものではありませんわ、それよりもシャドー様。此度は私に稽古をつけて頂けませんか?」
「あぁ、いいだろう。その様子じゃお前も相当鍛錬を積んだようだしな」
シャドーは刀を構え、紫は隙間を開く。
次の瞬間紫はシャドーの刀を扇で受け止めていた。
「ふむ、この攻撃が止められる程度にはなってるのか」
シャドーは目を見開くといつか見せた自身が惨殺される景色を紫の記憶に創る。
「ふふっ、それくらいの覚悟はもうできてますわ」
紫は至近距離でシャドーの腹に弾幕を展開する。
シャドーはそれをモロに受け吹き飛びそうになるが何とか踏みとどまり勢いよくしゃがみながら回り、足をかける。
紫は転ぶと同時に隙間に身を隠しシャドーの真後ろから殴りかかってくる。
シャドーはそれを受け止めると地面に投げつけ地面に叩きつけ上に投げ飛ばし地面に向かってかかと落としを喰らわせる。
紫は吐血し立ち上がる。
「相変わらずお強いですわね...」
「俺だってお前が居なくなってからの39年間無駄にしてたわけじゃないんだ」
「3年間は寝てたけどな」
グレイがボソッとつぶやく
「それはイザナミの子が育つまで暇だから...」
「ま、まぁそれはさておき、私も修行をたくさんして強くなりましたのよ!」
紫は指を鳴らすと何か赤と青の妖力弾をレーザー状にした物を網のように交差した弾幕を貼って攻撃してくる。
シャドーはそれをすらりとかわし紫に向かって上段蹴りを喰らわせる。
シャドーの放った蹴りは見事紫の顔に命中し追い打ちに腹に5発殴る。
それで紫は倒れる。
「紫、よく頑張ったな、とりあえずは俺の弟子はもうやめろ。お前に俺はもう必要なさそうだ」
「ですが...」
「いいから。俺相手にそれだけ粘れるならどの大妖怪にも通用する、これからは弟子ではなく友人として俺の家に来い。敬語も無し、様も無し、呼び捨てだ」
「ですが...」
シャドーは迷う紫に向かって頭を撫でる。
「いいから俺の言う通りにしろ、俺がそうしたい。とりあえず幻想郷の住民、土地決めにでも励むと良い、出来る範囲で手伝おう」
「...分かりました」
「敬語」
「わ、分かったわ」
「そうだな、門出の祝いに日傘でもやるか」
シャドーはピンクの布地に赤い紐を通した帽子のような形をした日傘を創り紫に手渡す。
「ありがとう、大事に使うわ」
「案ずるな、それは俺の妖力を通してある。ちょっとやそっとじゃ簡単には壊れまい」
シャドーは愉快そうにニヤけるとタバコを吸い始める。
「あ、シャドーくん照れてる!」
アザトースが囃し立てた瞬間、彼女の額には6本の鋭い歪な形をしたナイフが刺さり、額から血を流し気絶する。
「さて、レーラさん。俺らはそろそろ家に戻ろうか」
「そうだな、研究がまだ山ほど残っている」
そう言うとグレイはレイラを抱き上げ家の方角へと跳んで行った。
「じゃあ俺は紫と土地決め兼住人探しでもするか」
あの天狗や鬼が居る山は恐らく木花咲耶姫が磐長姫の八ヶ岳を殴り八つに分ける前の姿、あの山は幻想郷としても妖怪のいい住処になるはず...
「紫、天狗がたくさん住んでいる山は幻想郷に入れとけ。妖怪たちの良い住処になる」
「そうね、後はこの山の麓にある湖と川も入れておきましょう。良い景観だもの」
「そうだな、あと湖から少し行ったところにある里の人間を説得し幻想郷に入れよう、人も住まなければ幻想郷の意味がなくなる」
「では早速行くわよ」
「待て俺は人間に化けて行く、一旦は家に戻ろう。って訳だ、アザトース今日は遅くなる、海波は戸締りを頼んだ」
「は~い」
「ちゃんと今日中に帰ってきてよね~?」
「了解だ」
シャドーはひとまず家の自室へと戻り【種族を変える程度の能力】を創り人間へと種族を変える。
すると背が高く肩まで伸びた青がかった黒い髪でYシャツと黒いズボンに白衣を羽織っている端正な顔の男性の姿へと変わる。
「あれ、俺が人間だったころの姿だな」
シャドーは手鏡を創り顔を見る。
「顔も人間の頃と全く一緒だ...と、それはさておきこんな姿じゃこの時代の人間に見えんな」
シャドーはまず髪をうなじ部分で結いその髪を胸の方へやる。
そして服とズボンを脱ぎ黒の布地に右腕の裾に紅葉が数枚描かれた模様の浴衣を着る。
「...随分と背が高いのね」
「人間の頃はただの男で背も高かったんだよ」
シャドーは手を握ったり拳を前に突き出したりする。
「何してるのかしら?」
「いや、身体能力はどうなったのか調べてたんだ。どうやら妖怪の頃と同じらしい」
シャドーはタバコを創りライターで火をつけ吸う。
「能力も使えるのか、じゃあ行くか...あ、この時代ならキセルの方がいいのか」
シャドーはタバコを潰し携帯灰皿へ入れると中くらいの長さのキセルと刻み葉の入った箱を創り。
キセルに刻み葉を嵌めライターで火をつけ咥える。
「キセルねぇ...最近私も吸い始めたのよ、でもあまり好きじゃないわ。すぐに終わってしまうし」
「長く吸いたいなら咥えたまま呼吸しとけばいい、キセルの煙は基本的に肺に入れないが慣れればそれも気にならなくなる。まぁ無駄話はここまでにしてさっさと向かうぞ」
シャドーはキセルを道中に吸い続けながら人里へと向かう。
「ほう、意外と活気づいてるんだな」
「まぁ、そろそろ神々に農作物などを納める時期だし当たり前じゃないかしら?」
「まぁそうか。じゃあさっさと済ませてしまおう」
シャドー達は5時間にわたり全住民に幻想郷の計画を話し何人かは「冗談じゃない、そんなことをするつもりなら私は此処を出て行こう」と言う意見の住民が少数だが3割ほど居た
正直この人里自体大きくはあるが全体的に見れば少ない人口なわけであり去る者が出るのは覚悟しながらもキツイ物があった。だが幸いなことに残りの7割は少々怯えながらも承諾してくれたのだ。
そして今は人里のとある茶屋で団子をつまみながら紫と幻想郷について話していた。
「ふぅ...少し人数が少ないな。別の里から何人か引き抜くか、後は幻想郷内で婚姻などあったりで子供も生まれるだろう。その過程で半人半妖なんかが生まれたりもするだろうがそれもそれで一つの形だ」
「そうねぇ...あ、それと妖王である貴方には幻想郷の妖怪の統率を執ってもらいたいのよ。私の考え的には幻想郷を一国にしたいのよ」
「妖怪の統率は任せてもらって構わないが...そうなると悪い妖怪が簡単に入ってこれるようになるな...こういうのはどうだ?お前が現実と幻想の境界で幻想郷を囲みこの世界と幻想郷を隔離する」
「それにどんなメリットが?」
「まずメリットとして現実世界で忘れ去られ幻想となった物は幻想郷のどこかに出現する、即ち忘れ去られた妖怪は自動的に幻想郷へ迎え入れられる、そうする事によって繁殖力の高い人間に比べ繁殖力が低い妖怪の関係で生まれる人間の過密化に対応できるだろう。デメリットとしては一般的には外の世界の情報が手に入れられない、結界の見張り、修正をする係人のような者が必要になる」
「そうねぇ...それを前提に考えてみるわ。でもそうなると隔離された世界になるわけだから幻想郷担当の閻魔が付くわよ?そうなった場合妖怪の悪さのまとめなど妖怪の事に関する書類を毎日処理することになるけども...」
「あぁ...ルーミアが言ってた後々大変な事ってのはこの事だったか...まぁ、その話で行くと現実世界もだな。気にするな、仕事が増えただけだ、書類処理は慣れているから任せろ。お前はお前なりに世界を創れ」
「ありがとう、この後は私が勝手に進めるわ。何かあったら相談するからお願いするわね」
「あぁ、任せろ。じゃあ今日はこれで」
シャドーはキセルの葉を携帯灰皿に落としまた新しい刻み葉を嵌め火をつけ山の反対側へと歩く。
一時間強道なりに歩くと一面黄色の向日葵畑が見える。
「随分と綺麗な花畑だな」
シャドーは灰皿にキセルの葉を落としキセルをコートの内ポケットにしまい奥へと進む。
「あら、人間がこんな場所に何の用かしら?」
不意に後ろから声をかけられ振り向くと後ろには日傘をさした緑色の長い髪をした女性が立っていた。
「済まない、綺麗な花だったからつい、な」
「ふぅん、人間風情にも花の美しさが分かるのね。と言っても里の人間はここの花を妖怪が育てた花だとか言って邪険にするのに、貴方はしないのね?」
「俺はこれでも妖怪だ、元人間のな。そして今また人間の体に居るだけだ」
シャドーは種族を吸血鬼に戻しいつもの女の様な姿に戻る。
「あ、先に言っとくと俺は男だからな。女みたいな見た目とか言われるが」
「あら、その姿はあの有名な妖王かしら?」
「ご名答、なんだ俺を倒して妖王になろうと思ってるのか?」
「それで名を上げるのもいいわね、でもここだとこの子たちが傷ついてしまうわ。奥の竹林でしましょ」
シャドー達は竹林の中に入り、タバコを吸い始める。
「とりあえず名乗っておくわ、私は幽香」
「俺は...知ってるだろうが一応。シャドーエッジ・スカーレット」
「じゃあ、行くわよ!」
幽香は竹を足場に踏み込み突進様に殴ってくるそれを受けとめようとすると腕が吹き飛ぶ。
「ほう、力は相当のものなんだな」
シャドーは即座に再生し幽香に殴りかかる
幽香も殴りかかり拳がぶつかり合う
そして合わさった拳を基点に強い衝撃波が発生し周りの竹が一瞬にして折れ景色が広がる。
「これなら久々に封印を一個程度なら外せるかもな」
【我鬼転生、壱之拳斗】
シャドーは一瞬力を入れたかと思うと薄紅色の妖気に覆われる。
「それで本気かしら?」
「まさか、今はまだここまでしか付いてこれる奴がいないのさ」
「そう...なら私が本気を出させてあげるわ」
「お前にできたら苦労はしないさ」
幽香は周りの竹を操りシャドーの体を取り押さえるが竹はシャドーの圧倒的な妖力の量により粉々になる。
「なっ!?竹を粉々にするほどの妖力って一体どうなのよ!」
「お前は俺を舐めすぎている、身をもって知れ」
シャドーは剣を創り、その剣身を軽く噛み自分に蓄積された何かを吹き込むように息をすっと吹く。
すると剣は漆黒に妖しく光りだす。
暗灼【Scorching dark】
剣は漆黒に染まり炎のように漆黒の妖力が揺らめぐ。
「これを使うのはお前が初めてだ。これは俺でも制御できない、お前の存在が消滅したらその時は済まない」
シャドーは剣を地面に刺すとその剣は地面に吸い込まれやがて見えなくなる。
そして指を鳴らすと幽香が踏んでいる付近の地面が漆黒に染まり次の瞬間地面から無数のとがった漆黒の岩のとげが幽香に襲いかかる。
幽香は回避するが全てを回避することはできず3本のとげが腹を突き破った。
シャドーはすぐに剣を取り出し技を解除する。
「幽香、生きてるか?」
「生きてるわよ失礼ね」
シャドーは水が半分入ったじょうろを創り幽香にかける。
「何してんのよ」
「なんか花女みたいな感じだったから水かければ元気になるかなって」
シャドーは笑いを堪えながらそう言う。
「あんた、絶対にしばいてあげる。それまで待ってなさい」
「別にいいけど、俺がその場で足踏みしてると思うなよ。まだ五つ封印を残しその他にあと15個俺には封印が残ってる、俺は強くなってその封印を外し全ての封印を解くつもりだ。五つも開いてるのに俺に追いつけるかな?」
「追いついてあげるわよ」
「そうか、なら楽しみにしてるよ。まぁそこまで反抗的なら元気か、帰ったらしっかり体拭いておけ、夏とはいえ冷えるぞ」
「あんたがかけたんでしょうが!」
幽香は手ごろな石をシャドーに全力で投げる。
シャドーはそれを気にせず自宅へと飛んで帰る。
家に着くころには空も暗くなり始めていた。
「ただいまー」
シャドーはタバコに火をつけながら戸を開け中に入る。
「おかえり~」
「シャドー、ご飯出来てるよ~」
いきなり二つの影が迫ってきたかと思うとそれはアザトースと海波が走ってシャドーに抱きついたものだった。
「ただいま、早速飯にしよう」
「わかった~、準備するからみんな呼んできて~」
「わかった」
シャドーは部屋から地下室へ転移魔法で移動する。
「先生飯だ、お前らも来い」
シャドーはレイラやグレイたちに声をかけ皆と一緒に居間へ出て食卓へと着く。
「ふむ...もう少し居間を広げた方がいいな、飯が終わったら早速リフォームだ」
シャドーは海波の首筋に噛みつき血を吸い、それが終わると身の丈程ある斧を創り森へ飛んで行ってしまった。
「さて...でかいテーブルを作れるような木はないか...」
シャドーが斧を担ぎながら森を見回しているとおよそ樹齢3千年は超えていると思われるヒノキの木を見つける
「お、これなんか良いな」
シャドーは根元から一振りでその巨木を伐り倒し担いで家へ戻る
「食い終ったか?」
「片付けも終わったよ~」
アザトースが手を拭きながら出てくる。
「じゃあ早速改築開始だ」
シャドーは家をすっぽり覆うほどの大きな魔法陣を家の真上に展開する。
「なにするの?」
「今から俺の能力と同期させた魔法陣を扱いあの家の範囲を視覚化して改築したりなどを魔力で入力する。すると俺の能力を介し魔法陣がその入力通りにあの家に変化を現実化させるんだ。その過程で幻を操る能力を創った」
魔法陣が家に向かってまっすぐ下りていき地面に魔法陣が着く。
するとシャドーの目の前に家の間取りが魔力で描かれる。
シャドーは魔力で居間の所をゆっくり大きくしていき、それに合わせ家全体も少しずつ大きくしていく。
それから10分後入力が終わる。
「終わったぞ、後はこの木ででっかいローテーブルを作る」
シャドーは大木を地面に置き鉛筆と長い定規を創る
木の真ん中に20cmの厚さの所に線を引き刀を取り出す
「ふぅ...」
シャドーは深く深呼吸をすると刀に妖力を纏わせ居合いを二回放つ
「おぉ、綺麗に板になったよシャドーくん!」
「そうだな、そこに少し手を加える」
シャドーは木の板の両端の時間だけを急激に進めたと言う事実を創る
すると木の両端は腐敗していた
そして腐敗したところだけを切り取り鑢を軽くかける
「なんでそんな面倒な事してるの?」
「なんとなくもっと自然感を出したかったんだ」
シャドーは木の板を居間へと運び脚をつけて真ん中に置く
「よし、これで大体全員の飯を食うスペースが充分にできたな」
シャドーは早速灰皿を机に置きタバコを吸い始める。
グレイはレイラと一緒に座りグレイが一方に甘え始める。
ヴラディミールは一人縁側で剣の手入れをしていて海波とアザトースはシャドーの隣に座り、エリシアはシャドーの膝に座っていた。
そしてエルザは部屋の隅でごろごろしていてシエルはシャドーに近寄ってきて声をかけてくる。
「両手に花ですねぇ、兄さん」
「うるせぇ、こいつらと居てもただのガキにしか思えない。はぁ...久々にいっぱい何か殺したいな、近々戦争でも起きてくれれば助かるんだが...」
「とは言っても兄さんの場合普通の人間だったら秒単位で終わってしまうんじゃ?」
「そうなんだよな...」
「シャドー兄、争いごと良くないの」
エリシアが眠そうな目でそう言ってくる。
「うるさい、争い無くしてこの世の均衡は保たれないんだよ」
「そうなの...?」
「そうなんだよ」
シャドーがタバコを灰皿に押し付け一息つくと何か嫌な予感がして家の入口へと瞬間移動する。
すると素戔嗚が戸を蹴り開けようとしていた。
「悪ガキは帰って寝てろ」
シャドーは足を掴みイザナギの神社まで投げる。
「ふぅ...」
シャドーが縁側から戻ろうとするが嫌な景色が見える。
グレイがレイラを押し倒し服を剥ぎ取っていたのだ。
「シャドー!ちょっと助けてくれ!」
「兄さん、見なかったことにして普通に戸から中に入ってくれ。今から少し営みしてくる」
「おう、元気なのはいいことだが程々にな。腰砕くんじゃねぇぞ」
シャドーはタバコを吸いグレイたちを地下に飛ばし中に入る。
「ただいま」
「ねぇ...シャドーくん、ボクもあんな風に乱暴にしていいんだよ?」
「黙れ、頸動脈掻っ切るぞ」
「やってもボク死なないし気持ちいいだけだから構わないよ!」
「ちっ、不死殺しの研究でもしてみるか...シエル、エルザ付き合え」
シャドーはコートの本を留めている留め具の鍵を一つ外し取り出した分厚い本を開いて自室へ籠ってしまう
「物騒ですねぇ...」
シエルは苦笑しながら眼鏡を指で持ち上げる。
「そしたらシャドーをいつでも殺せるようになるわね」
エルザは嬉しそうににやけながらシャドーについていく。