随分時間たってると思ってたら案外経ってないんですね、前の投稿からたったの15日間。
まぁ今回も1万文字超えです、ではお楽しみください!
ルーマニアの空港に下り改札を通り首都のブカレストに向かい現在は喫茶店で一息ついているところだった
「さて、これからの事だが...当分は宿を取り魔女の情報探しだ、あわよくば幻想郷や吸血鬼の情報が取れると嬉しいところだが...」
そう言うとコーヒーを啜り席から立つ
「もう行くの?」
汐が嫌そうな顔をする
「あぁ、アリア。お前はもう動けるか?」
「はい、大丈夫です」
アリアは疲れた目をしながらも気丈に答える
「じゃあ、疲れたら言え。無理をして体調を壊すよりしっかり休んで探索した方が効率がいい」
喫茶店を出ると聞き込みを始める
それから夜になるまで聞き込むが有力な情報は得られなかった
「ダメだな、今日はもう休もう」
シャドー達は手ごろなホテルに部屋を借りる
「俺はこれから酒場でまた情報を集めてくる。お前たちは寝ててくれ」
「わ、私も」
「一緒に来るなんて言わないよな?俺が行くのは酒場だ、子供は来てはいけない場所だ。大人しく寝てろ」
「...はい」
「なるべく早く帰ってくるからあまり心配しないでいい」
シャドーはタバコを吸うと鍵を閉め、フロントを出て落ち着いた雰囲気のバーに入る
「マティーニ」
シャドーがそう言うとバーテンダーは少し嬉しそうにニヤけると作り始める
事無くしてマティーニがテーブルに置かれる
シャドーはそれを一口飲むと口を開く
「魔法使いの事について調べているのだが、住んでいる場所などは分からないか?」
「あぁ、それなら詳しい人を知ってますよ」
「本当か?」
「えぇ」
バーテンダーにそいつの住んでいる場所をメモに書いてもらい、それを受け取るとシャドーはホテルへ戻る
「お、おかえりなさい」
汐がアリアのベッドで爆睡しているのにアリアはベッドの端に座って扉の方をずっと見ていたらしく、帰ってきたシャドーと目が合う
「起きてたのか?」
「はい...すいません」
「まぁいいさ。情報を手に入れた、明日そこに向かうから今日はしっかり休め...と言っても汐が邪魔か。分かった、俺のベッドを使え」
シャドーはコートをソファにかけTシャツも同じようにかけると布団に入り眠りにつく
アリアは戸惑いながらもシャドーのベッドに入りすぐに寝息を立てる
次の日シャドー達は昨日バーテンダーに教えてもらった奴の家に向かう
そいつの家に着くとインターホンを鳴らす
「は~い
「とある人に聞いてここを教えてもらった。魔女の情報を持ってると聞いたんだが、それを教えてもらいたい」
扉が開くと手だけが出てきて手招きをしてくる
シャドー達は家の中に入るとテーブルにコーヒーが三つ用意されていた
「えっと...魔法使いの事を知りたいとの事ですが...何を知りたいのですか?」
声の主は黒に少し紫がかったローブを着た女性だった
「住んでいる場所だ」
「な、何で知りたいんですか?」
「現代の魔術がどのようになっているかを知りたい」
「現代の...?昔の魔術を知っているんですか?」
「あぁ、知っているか分からんが...お前シャドーエッジ・スカーレットの名を知らないか?」
「知ってますがあれは御伽話や伝説のはず...」
「どのように伝えられているのかは知らないが今目の前に居る俺こそが、シャドーだ。俺の容姿はどのように伝えられている?」
「赤黒く長い髪に緋色の目、漆黒のコートを着て少女に姿を変える刀を腰に下げている...と」
「俺をよく見ろ。伝承の通りだろう?」
「ですが刀が...」
「頭の悪い奴だな。汐」
汐波月は刀に姿を変える
「これでいいかな」
「ほ、本当に本当なんですか?」
「本当だ。そろそろしつこいぞ」
「あ、あの、今までどのような事をしてきたのか聞いてもいいですか?」
「そうだな、わかった。話すからそれが終わったらお前の番だ」
シャドーはこれまでどのような事があったか事細やかに話す
「とまぁ、こんな感じだ」
「タルタロスってギリシア神話のあれですよね?」
「それだ。中にティターン族が居て色々大変だったんだ。すぐ出るつもりだったのに40億年ほど経ってしまった。それより、早くお前の方の話をしろ」
シャドーは灰皿を置き、タバコを吸い始める
「えっと、まず具体的には何を教えればいいんでしょうか?」
「ここいらの魔女たちの住処を教えてくれ」
「わ、分かりました...私も早く村に戻りたいので助かりました...」
「お前も魔女なのか?」
「はい、一応...と言っても魔術がそこまで得意じゃないから村から出たはいいんですが、戻るときの道の魔物に勝てなくて半ば閉め出しを喰らってしまいまして...シャドー様ならお強いので直ぐに戻れるかと...」
「そうか、なら荷物をまとめろ。すぐ行くから」
「は、はいっ。あ、私ブリジット・カミーユっていいます」
カミーユは自身の名を言うとすぐに荷物のまとめに取り掛かる
荷物はすぐにまとめられカミーユは大きなリュックを背負い戻ってくる
「カミーユ、戻ったら初級魔術くらいは教えてやる。コツも色々教えるから中級魔術からは教えたことを思い出しながら練習すると良い」
「ありがとうございます!」
カミーユは嬉しそうに頭を下げる
それからシャドー達はカミーユに廃墟となった地下鉄に案内される
「ここのどこに村があるんだ?」
「ここではなくその壁に魔法陣式の鍵がまずあるんです。これは解けるんですが...」
カミーユは不安そうに鍵を開けてシャドーを先頭に中に入る
洞窟の中は魔素で溢れかえっていた
「魔素が多いが...魔界ほどじゃないか」
つまらなさそうに案内される道を歩いていると一匹の魔物が道を塞いでくる
シャドーはそれを蹴り飛ばし殺すとまた何食わぬ顔で歩き始め、数分で出口が見える
「...雑魚一匹蹴り飛ばしただけで終わったが、ここの魔物はあれか、臆病なのか?」
「さ、さぁ?この村の魔法使い2人以上で倒す魔物を一蹴りで倒す程の強さを感じ取って巣に籠ってたのかも知れません」
「所詮は低級魔物か。魔界の奴には敵わんな」
そこからも村までカミーユに案内してもらう
村まで着くとカミーユは「村長の所に行くから挨拶も兼ねて行ってみてはどうでしょう?」と言うからその通りに村長の家までついていく
「おお!戻ってきたかカミーユ!随分遅かったがなにかあったのか?」
いかにも魔法使いらしい老人がそうカミーユに聞いてくる
「その...私が弱い故に魔物が強くて戻れなかったんです...で、それで困ってルーマニアの首都での生活に慣れ始めてきたころにこの方に助けて頂いて...」
「その姿...もしかしてシャドー様の親族の方ですかな?」
「済まないが、シャドー本人だ」
「そ、それは真ですか!?」
「生憎俺に子は居なくてな。養子と多勢の兄弟がいるが、全て俺には似ていないさ。ここに来たのは現代の魔術がどうなっているのかを見るためだ。これから数年ここで世話になりたいのだが...いいだろうか?」
「えぇ構いませんとも!では宿を直ちに用意させます故、少々お待ちを」
村長は女中に最高級の宿を用意しろと命じてからこちらに向き直る
「あぁ、済まない。これは多少の気持ちだ」
シャドーが二冊のグリモワールをテーブルに置く
「どれも大魔術レベルの物、扱いには気をつけてくれ」
村長はそれをパラ読みすると目に涙を浮かべ、頭を下げる
すると女中の一人がシャドーの隣に立つ
「どうやら準備ができたらしいな、これから世話になる」
シャドーはタバコを吸いながら女中についていく
宿に着くと女中は特別室と書かれた扉を開けシャドー達を部屋に通すと村長の家に戻る
「随分と良い部屋だが...また三人同じ部屋か」
シャドーは窓を開けてタバコを吸う
「この後の予定は何なの?」
「この村の見回りだ」
「すぐ行くの?」
「あぁ、お前たちはここで休んでくれて構わないが...どうする?」
「そうねぇ、アリアちゃんがお疲れだから私はここに居るわ」
「そうか、分かった」
シャドーは髪をウザったそうに払うと窓から外に出て村を歩き始める
数分歩いていると学校の様な建物が目につく
シャドーは興味を惹かれその中へと入っていく
廊下を歩いていると
シャドーが校庭らしき場所を歩いていると丁度魔術の実習をしているようだった
その中で一際苦手そうな女学生の肩に手を置く
「体の力を抜け、深呼吸だ」
その少女は言われた通りに深呼吸をする
そして少女が息を完全に吐いた瞬間に首を絞め、そのまま上に持ち上げる
「さぁ、早く魔術を使え。でなければ俺はお前の喉をこのまま握りしめ、殺すぞ」
少女は必至に声を絞り出し詠唱を唱え現在行っていた初歩炎魔術をシャドーに撃つがそれはシャドーに当たるも傷一つ与えずコートが弾き、少女は絶望に満ちた顔をする
それと同時にシャドーは手を離す
「こんな風に命の危険に晒されれば幾分かは成功率が高くなる。お前はさっき撃った感覚を忘れるな」
シャドーはそう言うとそこから立ち去ろうとするが教員に止められる
「あの...よ、よろしければ何か一つ魔術を見せて頂けませんか?」
「あぁ、そうだな。じゃあお前らがやった炎系統の魔術の究極形を見せてやる」
魔術【アビス・ブレイズ】
辺りに無数の黒い魔法陣が展開され黒い劫火が放たれる目の前の的を消し飛ばすが、黒い炎はそこでまだ揺らめいでいる
シャドーはそれを見て何かを思いついたように剣とほぼ同じ大きさの木の棒を拾い上げる
暗灼【Scorching dark】
木の棒は漆黒に染まり炎のように漆黒の妖力が揺らめいでいる
それを見た生徒、教員は目を剥いている
技を消すと妖力に耐えかねたのか木の棒は木っ端微塵になり風に吹かれて消えてしまう
シャドーはまた行内をうろついて中庭に着く
すると二人の生徒がベンチに座って話し合っていた
「ふむ、堂々とサボりか」
「あっ、ベル君見つか...て、誰?」
「馬鹿お前!授業で習っただろ!?妖王シャドーエッジ・スカーレット!お伽話だって言われてたけど...まさか本当に居るとは...」
「わ、忘れちゃった。そんな人がいるの?」
「目の前にな。ま、まぁいい。それにしてもなぜ妖王がこんなところに?」
「簡単に言うと、とある世界に戻る為に情報を集めてる。ここには現代魔術がどうなってるかを見に来た」
「そうですか...多分現代魔術は昔の頃と違い新しくなってると思います。なんせキリストにネクロノミコンやらを改変され、本書を焼き払われましたから...」
「キリストがまた?」
「えぇ...」
「そうか、また近いうち滅ぼさなければならないか...」
シャドーは怒りを露わにしタバコを掌に押し付ける
「あ、あの...なぜ貴方が怒るんです?あれはキリストと俺たち魔法使い側の問題じゃないですか」
「あのな、俺はキリストを恨んでるんだよ。俺は昔からキリストに命を狙われててな。俺の存在自体が極まった悪なんだそうだ。おかげで俺の周りにいる仲間たちも危険な目に遭ってな。俺も危険性を感じキリストを破滅させたんだがそれから何年かしてギリシアの神共に喧嘩を売られ、タルタロスで起きたティタノマキアのせいで40億年ずっと戦闘続きだったんだ」
「あ、せっかくだから自己紹介しよ~よー」
「あ、そうだな。じゃあ改めて、シャドーエッジ・スカーレット。妖王だ」
「あぁ、申し遅れました。俺はベルセイル・アクシリオン。魔法使いです」
ベルセイルはそう言うと頭を下げる
「ミシェル・ハーベスト、同じく魔法使いだよ~」
「お前敬語使えよ、シャドー様だぞ」
「え~...そんな偉い人なの?」
「いや、偉い奴じゃないさ。くそ野郎だ、一般人から見ればな。神への冒涜と呼ばれる物をよくやっているからな。っと、話し過ぎた。授業も終わったな」
「今日はこれでお終いですね、俺も帰ろ」
「私はシャドーさんのとこ寄ってから帰るね~」
「まぁ、構わんが...門限とかは無いのか?」
「なんかあったら魔術で何とかすればいいって言われてるから大丈夫!」
「...分かった、こっちだ」
シャドーはタバコを吸いながら宿へ案内する
「ただいま」
「おかえりさない、シャドー様」
アリアは椅子から立ち上がり頭を深く下げる
「シャドーお帰り、早くもナンパしてきたの?」
「違う、半ば強制的に家に来られただけだ」
シャドーは土足で部屋に上がりソファに腰かける
ミシェルは向かいのソファに勝手に座る
「あのさっ、シャドーて何歳なの?」
「48億くらいだ」
「わぁ結構おじいちゃん、見た目はすっごい可愛い女の子なのに」
ミシェルは驚き口を手で覆う
「喧しい、お前こそ何歳なんだよ」
「私は2400歳くらいだよ~」
「若いなぁ...」
「若いですから」
ミシェルはふふんと鼻を鳴らし胸を張る
「確かに若いが、人間からしたら婆さんだ」
「それは女の子に言ってはいけません!」
「あぁ、確か女は年齢に過敏なんだったか...。っと、暗くなてきたし帰れ」
「ほんとだ、ばいば~い」
ミシェルは窓から飛び出していった
「さて、なにするか...」
「今日はもう休んで明日から色々初めてはどうですか?」
「それもそうだな、今日は寝るか。おやすみ」
シャドーは次の日から魔道学校の教師として魔術を教えながら家では錬金術の勉強を始める
そしてそんなことが3年間続き現在は魔道学校の4限目が終わった頃
「ね、シャド~。今日暇?だったらさ、街の方行ってなんか食べよ―よ!コーヒーとかケーキの美味しいお店あるんだって!」
「へぇ、俺食事は血だけでいいからな...まぁいいか、分かった。6限目が終わったら付き合ってやる」
「やったぁ~、あ、お金は割り勘ね?」
「またか...お前俺の所持金が無尽蔵だからって甘えてないか?」
「そ、そんなこと...ないよ。多分」
ミシェルが瞳を震わせながら目を逸らす
「はぁ...とりあえず今は授業に専念しろ」
シャドーは職員室に向かい昼休みを錬金術の書類を見て過ごし残りの授業を終わらせタバコを吸って正門でミシェルを待つ
「あ、シャドー」
ミシェルがこちらに気づき手を振りながら走ってくる
「早速行くぞ」
シャドーはミシェルをおぶり空を飛び人目につかない路地裏に下りるとミシェルの言う店に案内してもらう
「ここがお前の言ってたコーヒーの美味い店か」
「そそ、ネットで話題になってたんだよね~」
そう言いミシェルが勝手に店内へ入る
それに続きシャドーも中に入るが人がわんさか居る訳ではなかった
「ご注文は何になさいますか?」
「ショートケーキと紅茶のセットで」
とミシェルが慣れた口調でそう言う
「モンブランとコーヒーを」
シャドーは咥えていたタバコを一旦手に取ってからそう答える
それから事無くして頼んだものが運ばれてきた
そしてミシェルと色々話しているが、時間が経つにつれてミシェルの反応がギクシャクしてくる
「...どうした?言いたいことがあるならしっかり言った方がいい」
「わ、わかった...あのね、私ね」
「あぁ、なんだ」
シャドーは新しいタバコを吸いながら話を聞く
「シャドーが好きだから付き合ってくれたらうれしいなぁ...って...!」
シャドーはいきなりの告白にタバコの煙をモロに吸い込み咳き込む
「げほっ、お前。それ本気で言ってるのか?」
「ほ、ほんとだよ。じゃないとこんな静かな場所来ないよ...」
「それもそうか。じゃあ返事は...良しとしておこう、お前は嫌いじゃない」
「そ、そっか...えへへ」
「さて、飲み終わったら帰るぞ」
「は~い」
それからミシェルを家に送り自分の宿へ戻りそれからなんやかんやあって5年がたち俺とミシェルは結婚した
ベルセルクはミシェルの事が好きだったらしく、片思いは伝えずして散った
「ねぇシャドー」
俺は今ミシェルに膝枕されていて、ミシェルに顔を覗き込まれた
「なんだよミシェル」
「私と結婚してよかったの?」
「まぁな、でも...もう数年ゆっくりしたらまた旅に出るからなぁ」
「その時は私も行くよ~、私だってある程度強いし、シャドーが守ってくれるからね~」
ミシェルはシャドーを見てにへらっと笑う
「あのなぁ、守る物が多いと本気も出しずらいんだよ...来てもいいけどさ」
シャドーはタバコを吸ってごろごろを続ける
気づくともう空は暗くなっていて宿の中は何故かやけに静かだった
そして村の入り口の方でとても大きな魔力を感じてそこに瞬間移動する
「お前達大丈夫か!?」
シャドーは上手く村の魔法使いと敵の間に割り込めた
敵の服装は白いローブを着た男が一人黒いローブを着た男、女が不特定多数
どうやら敵はキリスト教員らしい
「お前達、俺を敵に回すとどうなるか教えてやる」
『妖へと零落し、百鬼夜行を誘うその刃。我が身に突き刺せ』
妖刀【幻夢・汐波月】
シャドーは詠唱を唱えてから妖力を乗せた居合いを放ち炎属性の魔術を放つ
すると汐波月が赤く光ってから炎に包まれると中からレイピアが見えてくる
シャドーはそれを掴み高速でキリスト教員を切り刻んでいくがそこまで手ごたえが無い
「ゼウスめ、何をしやがった...!」
シャドーが
目前の敵に苦戦してい居ると奥の方から悲鳴が聞こえる
「ミシェル!!」
シャドーは無意識に封印が全て解け光速で神父たちを気絶させると悲鳴の元へ急ぐ
ミシェルの前に立っていた神父を付いた時の衝撃で吹き飛ばす
「ミシェル!ミシェル!!」
シャドーはミシェルの遺体を胸に抱きかかえ泣き叫ぶ
「お前たちを...もう一回闇に葬ってやる...!!」
シャドーから揺らめくように荒々しい妖力がシャドーを包み込み、シャドーはレイピアをでたらめに振り回す
レイピアの刃は一回も当たらず神父たちに拘束される
シャドーはそのあと銀の銃弾により深い傷を負い気絶する
深く落ちた意識の中で声を掛けられる
「ねぇシャドーくん、そろそろ起きてくれないかしら」
「ん、んん...あんたは...」
とても見覚えのある顔だが、服装が違った
金色の髪が背中まであり碧色の瞳を持った女性、服装は広く胸元が開いた黒い肌着に黒レースのカーデガンを羽織っていて、黒いロングスカートで中には黒タイツを穿いていた
「忘れた?んっん...ここは天界です。このまま貴方をあちらに行かせるのは、なんかつまんないです」
「あっ、あのときの神様か」
「やっと思い出したねぇ、でも少し違うの。私、シャドーくんに嘘ついてたんだ~。ほんとは君のこの世界でのお母さんなんだよ~」
「えっ、さすがにそれは嘘だろう?」
「ほんとだよぉ?君が生まれた時の事教えてあげようか?」
「あ、あぁ。頼む」
「そうだねぇ...君の体をまず私の力、【創り直す能力】で作るの。そして次に全宇宙中の闇を君の体に入れるじゃない?そして死んじゃった君、間淵京助の魂を入れて君の誕生!」
「とりあえずあんたが俺の母親ってことは分かった。ただなぜ俺の意識の中にいる?」
「言ったでしょ、あたしの能力。そんなことよりやっとまともに君と話せたよぉ」
その女性はシャドーに抱きついて頬にキスをしてくる
「お、俺はキリストを滅ぼさなければならない。離してくれ」
「わかった、でもね。ひとつ言っとくね?キリストは確かに悪い奴が多いけど...ほんの一握りでもいい人達が居るのを分かってほしいなぁ」
「そんな奴が実際に居たら信じよう」
シャドーは意識を取り戻すとアリアが宿のベッドに運んでくれたのか額には濡れタオルが当てられていてアリアは俺の手を握って同じ布団で寝ていた
「随分と心配かけたみたいだな...」
「ほんと、女の子を泣かす男は最低よねぇ」
先程夢に出てきた女性が何故かシャドーの隣で横になっている
「...なんでいる?」
「あら、居ちゃダメなの?」
「だってさっきまで俺の意識の中に...」
「意識の中にいるから現実世界に存在していないって訳じゃないのよ?」
「もうこの際だ、何も言うまい」
シャドーは異世界に続く扉を創りその中に入る
なぜかその女性も無理やり入ってくる
「なにするの?」
「...キリストを完璧に殺すのさ。今から強力な呪いの一つ
シャドーは複雑に木の組み合わさった木箱とメスの牛、七歳の子供を8人と、30畳程の部屋を創りその中に人間を10人創る
「わぁ...随分本格的ね」
「まぁな」
シャドーはまず牛を斬り、血と臓物で木箱を満たす
「コトリバコはこの後一週間放置。あいつらは...少し時間がかかりそうだ、あんたの事を教えてくれ」
「は~い、私はメルタ・レイヴンス。まぁこの世界に貴方を転生させた張本人よ~、ママって呼んでくれていいのよ?」
「いやだね、誰が呼ぶか」
シャドーがそっけなく返しタバコを吸うとメルタは顔を赤らめ息を荒げる
「やっと貴方に罵ってもらえるのね...嬉しいわぁ...!」
「俺を転生させた奴がこんな奴だってのは俺の一生の恥だな」
シャドーは溜め息を吐き部屋の中に入る
「もう終わったの?」
「あぁ、最後の一人になってそいつも死んだ」
シャドーは最後の一人になった死体に防腐剤を打ち棺桶の中にいれる
「恐らくこれで両面宿儺もできたはずだ。キリストに奇襲をかける、m...痛っ!?」
「お母さんを呼び捨てにしていいわけないでしょう?とりあえずこの世界での母親は私なんだからしっかり呼んでほしいわね」
そう言いメルタはむくれる
「...か、母さんは...残ってくれ...」
シャドーは珍しくどもりながらそう言う
「私の協力は要らないの?」
「いや、モロ船頭って訳じゃないから問題ない」
「ふぅん...」
「じゃ、じゃあアリアに状況を話すからまずは出よう」
シャドー達は異世界から出てアリアに状況を説明する
「分かりました、私は何をすれば?」
「あぁ、今回は何もしない。自分から死んでもらうのを待つんだ、今回はそう言う呪いだからな。じゃあ行ってくる」
それから一週間後
「さて、時は満ちた。まずはこいつに妖の力を混ぜる」
シャドーは手首を斬り、血をコトリバコの中に入れ子供の人差し指の先を入れ子供のはらわたから絞った血を入れ、蓋をする
シャドーは教会の人間が残していった気配をたどり教会へ着く
「聖ニコラエ教会...確か正教会派のキリストだったか...」
シャドーは人間に姿を変え門に居る神父に話しかける
「あの...僕、神への感謝を形にしたくて...この木箱を作ってきたんです。神の前に供えてくれると嬉しいです...では!」
そう言うとシャドーは照れくさそうにその場からそそくさと立ち去り遠くになってから口元を歪ます
「ふっ、どうせ粗末なものなど飾りもせず適当に倉庫にでも置いとくだろう。元よりそれが狙いだ。さて、次に両面宿儺か...」
「はっ、作戦練りもご苦労なこったな!シャドーエッジ・スカーレット!」
何処からともなく青年の声が聞こえる
「誰だっ!?」
「ここだよ、こ~こ」
声の主は木の上から跳び下りてきては槍を構える
シャドーは吸血鬼に戻り妖刀を構える
「ここでお前を殺せば俺は晴れて英雄になれる。神により授かった力とこの体、お前を殺すために捧ぐ...!」
「やれやれ、人間相手に俺がやられるわけないだろう?」
「お前相手に一人で来るわけないだろう?」
そいつが指を鳴らすと100人を超える武装集団が現れる
「あのなぁ、質より量とは言うがそれはやり過ぎだ」
シャドーは呆れるようにそう言い捨てると目にも止まらぬ速さで武装集団を切り捨てていく
「おい!お前ら、絶対役に立つから連れて行ってくれって言うから連れてきたのになんだよ!!立派なのは見た目だけかよ!」
青年は絶望に満ち満ちた顔で叫ぶと胸にナイフの柄を自分の胸に当てこちらに突進してくる
シャドーはそれを妖刀で払うと右腕に切り傷が生まれる
「...?」
シャドーが青年に妖刀を振り下ろすが、それをナイフで受け止められる。すると今度はシャドーの足の筋肉が切れる
「ま、まさか...」
「やっと気づいたかうすらトンカチ。てめぇの攻撃は俺には通らずてめぇにとんぼ返りの如く帰ってくる!」
シャドーが力を込めてナイフを青年から離れた場所に投げると、青年はそれをわざわざナイフで食らいに行く
「しかしそれは...そのナイフに攻撃が当たったときのみだ。つまりは物理攻撃をしなければいい。間接的にでも攻撃すればそれはお前の痛みとなる」
シャドーは魔法陣を地面に焼き付けるとそこに手を叩きつける
次の瞬間青年の足元から巨大な手が出てきて青年を握る
「れ、錬金術!?...なるほど、まさに神の冒涜者って訳か。少し手加減するつもりだったがやめだ。ぶっ殺してやる」
「悪いがこれでも神なんだ。俺は魔界神...つまりは唯一神さ」
シャドーは空気を殴りそれを青年にぶつける
「んぐっ...こんなの神父のおっさんの修行に変えたら痛くもなんともねぇ!!くたばれ!シャドーエッジ・スカーレット!!」
青年はシャドーでも目に負えないような速さで体を斬りつけてくる
その速さは今まで一つの傷もつけることが無かったオリハルコンの布で創られたコートをも切り裂きシャドーの体に深い切り傷をつける
傷からは血が噴き出すがそれでもシャドーは踏ん張り青年の突きを刀で反らし続ける
「おらおらぁ!守るだけかぁ?そんなんじゃやられるぜ?」
「あまり...好き勝手言うなよ...」
シャドーは内ポケットからナイフを取り出し自分に突き刺し赤く光り始めるナイフを青年の腹に突き刺す
「はっ、こんくらい痛かねぇよ!」
そう言い槍を投げようとすると青年の体から赤い結晶が飛び出てくる
「はぁ...はぁ...、あまり...妖王を舐めるなよ...」
シャドーは血を垂れ流しながら森の影へと隠れては、気絶する
それからの記憶は無く気づくとベッドの上に居て治療を施されているが、それと同時にものすごい吐き気に襲われる
「こ...ここは...」
シャドーは朦朧とした視界を巡らせると辺りにはシスターが沢山いる
「おめざめですか...?」
「おい、女。ここはどこだ?」
シャドーは少しきつめでそう尋ねる
「こ、ここは辺境にある教会です」
「教会!?」
シャドーは飛び起き腰に手をやるが武器が無い
着ていたものは部屋の中にあるソファに畳まれ、武器は綺麗に机に並べられていた
「まだ傷が完治していません!寝ていてください」
「断る、誰が好き好んで神の犬どもに助けられなければならんのだ!第一なぜいつも俺を殺そうとしかけてくるのに俺を助けた!?そのまま放っておけばいい物を!」
「命を粗末にした物言いはやめてください!!」
シスターは自分が叫んだことに気づきすぐに口元を隠す
「ご、ごめんなさい...」
シスターはすぐに頭を下げてくる
「傷が治ったら、すぐ帰る」
シャドーはベッドに入りまた寝息を立てる
そして次の日の朝に家へと戻ると相当心配された
「大丈夫?怪我はないの?」
「シャドー様、大丈夫ですか...?」
「怪我はしたが、大丈夫だ。問題ない、シスターに助けてもらった」
そう言うとメルタとアリアがポカンと口を開けている
「頭でも打った?」
「至って正常だ。母さんが言ってたじゃないか、ほんの一握りでもいい奴がいると。そう言う奴に助けられたよ」
シャドーはどこか雰囲気が変わったようだった
「で、これからはどうするの?」
「一か八かの賭けをやる。下手すると俺の妖気で地球が崩れるか大災害が起きる」
シャドーは出来るだけ小さくした妖力を地球全体に放つ
するとシャドーの懸念は少なからず的中したようで、地球全体で中くらいの地鳴りが起きる
「今のは何をしたんですか?」
アリアが何も理解できてないように聞く
「俺の妖力をセンサー代わりにして地球全体を読み込んだ。それで幻想郷の場所を割り出すんだ」
「で、結果はどうなったの?」
メルタが首を突っ込んでくる
「分かったが...俺、一つバカしてた。幻想郷の結界張るとき目印に俺の妖力で創った苗木を植えてて...それにワープすればいいだけだった...」
「...バカ!」
メルタが思いっきり頭をグーで殴る
「痛ってぇ!?何だよその馬鹿力...それよりさっさと行くぞ」
シャドーは二人の手を掴んで転移魔術を使う
すると辺りに墓が沢山ある平原へと着く
「...ここが無縁塚?随分と様子が変わったな」
「ここが幻想郷、ですか?」
「そうみたいね。で、どこ行くのかしら?」
「まずは博麗神社だ」
シャドーは二人を連れて博麗神社へと飛んでいく
「飛んで来るなんて随分と礼儀を知らないわね」
境内に着くと赤いリボンに腋を出した巫女の様な服を着た少女が文句を言ってくる
「...お前は、博麗の巫女か。随分と霊力が多いな。紫もいい人材を見つけた物だ」
「ちょっと、あんた私の話聞いてる?て言うかあんた誰よ」
博麗の巫女が箒の柄をこちらに向けて、さも面倒そうに問うてくる
「俺はシャドーエッジ・スカーレット、妖怪図鑑とか見たことあるなら知ってるんじゃないか?」
「妖怪図鑑は分からないけど紫に話を聞いたことはあるわね」
「そう言うことだ」
「死んだって聞いたけど?」
「そりゃあ40億年も失踪してたんだ、死んだと思ってもおかしくないよなぁ」
「じゃあホントは生きてたの?」
「じゃあお前の前に立ってるやつは誰なんだよ」
「そうね、バカ、かしら?」
博麗の巫女は表情を少しも変えずに答える
「手厳しいな。じゃあまた来る」
シャドーは財布から500円を親指に乗せて弾き賽銭箱に入れる
「お賽銭感謝するわ、もう来なくていいわよ」
シャドーはその言葉を無視して紅魔楼に向かう
「久しいな...」
シャドーは門を潜り中に入るとメイドがシャドーを見て唖然とする
その中で銀髪の女が走って飛びついてくる
「シャドーくん!」
「ただいま、アザトース。心配かけたな、少々手こずった」
「あまり心配かけないでよぉ...ボク心配だったんだからぁ!!」
アザトースは目に浮かんだ涙を隠そうともせずシャドーの胸に顔を押し付ける
「済まない、バカだった俺はゼウスとの力量を測れなかった」
「もう...とりあえずみんなに報告しないと...君たち、皆にシャドーくんが帰ってきたこと教えてあげて」
メイドにそう命じるとわらわらと散っていく
「で、その人達は?」
「こっちの黒い服の人が俺の母さん」
「メルタ・レイヴンスよ~、よろしくね~?」
「アリア・メラニーです」
「こいつは奴隷売りから譲り受けた奴だ。よく働いてくれる」
「そうなの?ならここのメイドにしたら?」
アザトースがそう提案をする
「それがいいかもしれないな、どうだアリア」
「やります...!」
アリアは珍しく表情を変え力強く返してくる
最近のアリアは心を開き始めてくれているのか、表情が変わりやすい
「じゃあここのメイドたちに色々聞いたりすると良い。それと...エルザ達は、やはり死んだのか?」
「...うん、死んだよ。後シャドーくんのお気に入りだった子も。でも一応血筋は続いてるからまた造ってもらったら?」
「そうだな、腕次第...と言ったところか」
それからすぐにみんなが集められた
「嘘だろ...本当に生きてやがった...」
真っ先に声を発したのはグレイだった
「シャドー...くん、よく生きてたね」
ヴラディミールは驚きながら薄ら笑いを浮かべている
他のみんなにも同じような事を言われる。シャドーはひとまず40億年間の事を大まかに話す
「タルタロス内で二度目のティタノマキア...か」
レイラが興味深そうに考えている
「残念だが、ティターン族は俺が絶滅させた。恐らくもうティタノマキアのようなことが起きることはないだろう」
「そうか...少し残念だな」
「俺は長旅で疲れた。今日はもう寝させてもらう」
シャドーはそう言い自室へと入り眠りにつく