東方夕凪録   作:汐入 那月

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どうも鐳波です。
何とか人襲異変終わりました。
長らく更新できず申し訳ないです、色んな作品書いて寄り道してました。

ともあれ、お楽しみください。


人襲異変終戦、登場!分解する爆発魔、挙沙 摩殻

気絶したエルドレットを紅魔楼に運ばせてからは霊夢と魔理沙が先陣を切って進んでいる。

やけに気合が入っているが...何か腹立つことかいいことがあったのだろうか?

 

「...!」

私は気を引き締めるために顔をぱちんと叩いたが少し痛い。

 

「やけに気合入ってるじゃないか、珍しいな霊夢」

魔理沙は茶化すようでもなくただ笑って言った。

私がなぜ気合が入っているか分かっているからだ。

なぜ気合が入ってるかというと...後ろで私の嫌いな草の束を吸っているアホ吸血鬼に私の成長を見せてやるためだ。

14年前ふらりと現れたあいつ、シャドーは紅霧異変でいきなり出てきてはあっという間に解決してしまった謎の吸血鬼だ。

しかし私も何も知らない訳ではなく、幼い頃紫に見せられた妖怪図鑑の一番最初に載っていたのを覚えている。

彼は妖王であり世界の悪を象徴するかのような狂暴さ云々と書かれていたので正直恐ろしいと腰を引いていたのだが、会ってみたらただ馬鹿みたいに強いだけで何かと面倒見のいいただの女みたいな男だった。

図鑑で見たのも確かに美しい女性の絵が描かれていたが、図鑑の方には豊満な胸があり性別は女だと記載されていた。

見るからに女にしか見えないので仕方ないかもしれない。

ごちゃごちゃした頭の中を整理しながら進んでいるとあっという間に移動してから20分も経っていた。

するといきなりシャドーの声が放たれる。

 

「そろそろ見えるぞ」

シャドーの警告通りすぐにゆったりとした黒いTシャツにグレーのスエットズボンを着た短髪黒髪で長身の男性が岩の上で胡坐をかいて欠伸をしていた。

こちらに気づくと特に無表情のまま立ち上がり少しだけ口を開いた。

 

「俺は挙沙 摩殻。君たちと戦いに来た」

ただそれだけ言うとシャドーの方に向かって鋭い蹴りが入る。

シャドーとの距離はそれなりに離れているのだが摩殻はその距離を岩から一飛びで詰め、そのまま鋭い蹴りをシャドーに喰らわせた。

蹴りが自分に飛んでこないと思っていても気を抜いていなかったのかその蹴りを軽く避けることが出来たシャドーは霊夢の方を指差す。

 

「お前の相手はあっちだ。俺はここまでの道案内しかしてない」

 

「俺が集めた奴らを倒したのは大体がお前だろ」

後は分かるだろ?と語りかけてくるように拳を腹に捻じ込んできた。

霊夢の方をちらりと見ると珍しくこちらをガチで睨んでいた。敵に無視された事がそんなにも悔しいのだろうか。

そんな霊夢を尻目に妖気を荒立たせ、どこぞの戦闘民族の変身よろしく気が逆立つ。

赤黒い髪が舞う光景はまさに血を浴びる悪魔の様だった。

 

「今回の異変は俺が解決するみたいだな。紅霧異変以来か...腕が鳴る」

腹に押し込まれている腕を掴み地面へと叩きつけ、妖力波を飛ばす。

しかし摩殻がそれを視認してからそれは粒子を一つ一つ剥がされるように消えていく。

シャドーがもう一発妖力弾を放つとそれも同様に消される。

 

「視認しただけで消える能力...か、ただ所詮は人間。俺の身体能力についてこれるはずが無いさ」

高く跳びあがったシャドーは縦に回転してかかと落としを繰り出し、それを防御されてすぐに離れようとすると先程防御されて触れた部分や手のひらが爆発し激痛を伴う。

 

「爆破...?まだ能力があったのか」

次には先ほどのエルドレットのように繰り出す技全てを分かっていて対処されたような防がれ方をし始めた。

 

「随分と多めの能力を持ってるようだが、いくつ併用しているのか...」

摩殻は基本的に喋らずただ攻撃してくる。

それからしばらく広範囲での攻防戦が続くが、先に摩殻に苦しい表情が浮かぶ。

スタミナ切れだ。どう攻撃を捌けていても種族の違いには敵わないのだ。

 

「そろそろ、きついんじゃないか?」

 

「...そうかもな」

摩殻はただそういうと少しだけ瞳を動かした。

するとシャドーは膝を崩す、なんと触れずに爆破したのだ。

限界の縁に追いやられた摩殻は能力を更なる力を持たせて開花させたのだ。

摩殻は爆発を伴う連打を放ち、シャドーが距離を置いても爆発の勢いで縮め、殴りかかってきてもその前に爆風で追い返し圧倒する。

戦況は明らかに変わっていた、摩殻の方に運が向いていただろう。

霊夢たちが出ようとするがそれはグレイに制される。

 

「霊夢さんたちは邪魔しちゃダメ、殺されてもそれは自業自得だよ」

グレイは出ようとした霊夢と魔理沙の両肩を掴み、地面に押し付ける。

 

「形勢逆転、だな。どうするんだ?」

薄ら笑いを浮かべる摩殻を前にシャドーは考えを巡らせていた。

近づいても爆風で追い返される、故に近接攻撃はほぼ無理だ。

ならば遠距離から自然現象に左右されない攻撃をすればいい、シャドーは弾幕ごっこに使用される力弾がそれに相当すると思いついた。

先程使って妖力を剥がされるかのように消されてしまったが能力の覚醒で消えているかも知れないし、現在奴は絶好調。

気分がいい奴は難しい事を頭で考えないのが定石だ、一か八か試すだけ価値はあるだろう。

 

「なるほどな、こういう風に役に立つのか」

思惑通りその通りに事は進んだ。

形勢逆転してからはシャドーにツキが回っていた、とは言えこの後の試合はどちらも消費しきっていて泥試合であった。

多少の攻防はあった物の結果はシャドーの勝利。

 

「はぁ...帰るぞ」

 

「うん、おつかれ兄さん」

グレイはシャドーの腕を肩に乗せて飛んでいく。

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