東方夕凪録   作:汐入 那月

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どうも鐳波です。
4000文字程で書き終えられたのでなるはやで終わりました。
ただ悩ましいことが一つ。どう頑張っても終わり方だけが苦手です、はい。
ではではお楽しみください。


異変の傷跡

異変を解決しグレイの支えもあり何とか家に着いた頃には意識がだいぶ薄れていた。

恐らくエルシアの回復魔術が無ければそのまま朝まで寝ていただろう。

回復魔術に中てられ10分ちょっとで回復した俺はすぐエルドレットの元へ向かった。

ノックを1回してからタバコに火をつけてから入る。

 

「調子はどうだ?」

 

「お前様か、もう元気じゃよ。腕のいい回復薬がいるじゃないか」

 

「まぁ、な。しかしここまで体力を消費するんじゃ40億年前とは話が違うのかもな」

 

「なんじゃ、昔はそんなに体力が有り余っていたのか?」

 

「そりゃティターン神族相手に40億年間ぶっ続けで殺してたんだ、当たり前だろ。あんな所に入れられたせいで戦ってる間に歳を取っちまった。もっと楽しみたかったんだけどな」

長くなった灰を灰皿に落とす。

 

「あ、そんな話をしに来たんじゃないんだ。お前、俺の部下になれ」

 

「いや...は?」

 

「俺が自宅を不在にしているようなことがある時妖王の仕事が溜まりに溜まって仕方ないんだ。だから同族で有能な奴を探していたんだが、お前が適任なんだよ。多分」

 

「な、童に下僕になれというのか!?」

 

「下僕とまではいかないだろ...眷属とかそこら、じゃないか?」

 

「すごく、ものすご~~く嫌なのじゃが...助けられた恩もあるし...うぬぬ、仕方あるまい。分かった引き受けよう」

するとシャドーは手短にエルドレットの首から血を吸う。

 

「これでいいな。早速仕事片付けに行くぞ」

灰皿を持ってエルドレットと一緒に執務室へ入る。

 

「お前はそっちのソファのある席を使ってくれ、よく分からないことはしっかり聞いてくれ」

シャドーは早速万年筆を取り出し慣れた手つきで書類に筆先を滑らせる。

それから約30分くらいするとエルドレットが声をかけてくる。

 

「なぁ、お前様?この今月の殺人と殺妖の記録と言うのは童には分からないのじゃが...」

 

「人間が305人、妖が17匹だ。そこに人口の推移と言うのもあるだろう?総人口は1万3571人減少はさっきの通り305人、増加が45人だ」

 

「増加に比べて極端に減少が大きいのう?」

 

「妖怪としての恐怖心を無駄に稼ぎ過ぎてるかもしれん。これが続くと妖の力が徐々に上がっていって人間が支配されかねない。閻魔と賢者と俺を交えて話し合いする必要があるな」

 

「しかし鶴の一声とはいかないんじゃろう?」

 

「まぁな、そのための資料だ。これが終わり次第人里へ潜入する」

 

「分かった。じゃあさっさと終わらせてしまおうかのぅ」

二人というのもあってか明日の早朝にはもう終わっていた。

 

 

「ふぅ、お疲れ。一休みしたら早速人間に化けて行くぞ」

シャドーはメイドにコーヒーと紅茶を淹れさせる。

 

「こんなのをいっつも一人でやっていたなんて、恐ろしいのぅ」

 

「なに、慣れれば簡単だぞ。それにこれは結構長い事サボっていただけで、普通なら少し頑張れば一日10分以内で終わるんだ」

 

「...童が来たからには仕事はサボらせないから、気を引き締めることじゃな」

 

「まぁ、これから当分やることもないだろうしいいさ」

シャドーはコーヒーを飲み干して人間の姿に変わり、黒い和服と羽織を着て首にマフラーをかける。

 

「お前は...和装っぽいし問題ないだろう」

妖刀を腰に差してエルドレットを連れ魔法の森をまっすぐ抜けて人里へ着く。

 

 

「ふむ、やはりこの前の人襲異変が効いているようだ。里は絶賛混乱中だな」

 

「う、う~む...罪悪感が」

エルドレットは耳があろうものならシュンと伏せているような表情で気まずそうにしていた。

 

「まずは心境を聞くのが一番だ。居酒場に行くぞ」

キセルを咥えてゆったり歩く。

居酒場では大勢の男が飲んだくれていた。

 

「酷い有り様だな」

シャドーは心の中で少し笑ってとある客の隣に座る。

 

「そらぁそうだろうな、4匹の妖物(あやかしもの)と1人の人間があれだけ大勢の人を殺したんだ。しかも被害者は殆どが腕利きの男だ。祓い屋も行ったんだが力がないとか言われて相手にされず返されたそうなんだよ」

 

「ふむ、烏天狗のブン屋からの情報だと主犯はただ戦を楽しみたかっただけの愉快犯らしい。故にってことだろうな。大体は分かったありがとう」

キセルの灰を落とし葉を詰めてから外に出る。

するとちょうど射命丸が目の前を通る。

 

「おい、ブン屋」

 

「おや、どなたですか?」

 

「シャドーだ。今は人の姿で人里の内情を探っているんだ、何か情報はないか?」

 

「そうですね~...このまま妖怪が人を襲う量がこれで決定してしまうと人間の立場が危うくなることぐらいしか...」

 

「だよな。俺もそれくらいしか思いつかん。やはり閻魔とゆかりに掛け合った方が良さそうだ」

 

「あ、それより博麗神社で今回の異変が解決したので宴会をやるそうですよ。それと解決者は絶対参加だそうです」

 

「紅霧異変以来だな」

少し口物に笑みが浮かぶ。

 

「あの異変の宴会のすぐに消えちゃいましたからねぇシャドーさん。今回はどうなんです?」

 

「多分大きな事件がない限りはここに留まってるんじゃないか?」

 

「なるほど、それは記事に使えそうですね。貴方の滞在は妖怪人間共に大きく影響しますから」

 

「へぇ、そんなにねぇ。まぁいい、行くぞエル」

煙を吐いてエルドレットを連れて人里の商店街に入り、博麗神社へ向かう途中で茶葉を土産に買っていく。

長い階段を無視して空から行くとまだ昼にもなっていないのに酒盛りが始まっている。

準備はまだ終わってないようで霊夢は腹を立てながらせっせと用意をしていた。

 

「おい霊夢、土産だ」

手が空いた隙に霊夢に茶葉の入った缶を投げ、少し離れた木の根元に座って日本酒をお猪口でちびちびやる。

しかし何故か知らないが妖怪たちがシャドーに寄ってくる。

シャドーは瞳だけ動かしてちらっと見てからまた酒を喉に流す。

 

「人間が俺たちを見てもビビらないなんて、態度のデカい奴め」

 

「...幻想郷は妖と人間が対等の立場で共存し合う場所だ。はき違えるな」

 

「はぁ?俺らは捕食者、お前は飯だ。立場は俺らの方が上なんだよ」

 

「やれやれ、どんな時でもお前みたいな逸れ物が居るからめんどくさいんだ」

シャドーは姿を吸血鬼に戻してその妖怪の顔を掴む。

 

「同族でありその祖である俺はお前の立場の下なのか?幻想郷での暮らし方をしっかりと考え直せ」

見た所低級妖怪だ。妖怪の山の中腹にでも捨てていけば天狗たちが処理してくれるだろう。

妖力を流すと文字が浮き出る印をその妖怪に付けて妖怪の山の中腹に投げる。

その場面を見ていた周りはシャドーの存在に気づきその場から逃げるものも居れば、寄ってくる者も居た。

シャドーはまたちびちびと呑み続ける。

 

「なんだよ来てたならみんなと呑めばいいのに」

蒼痲が隣に座って酒枡で呑む。

 

「俺はこうやってわいわいするのはあまり好きじゃないんだ。知ってるだろ」

キセルをしまってタバコに火をつける。

 

「とりあえずは混ざってくる」

タバコをふかしながら異変を解決しに行った者で固まっている所に腰を下ろす。

 

「お、解決者が来たな」

もうペースを速めて飲んでいる魔理沙がうっすらと顔を赤らめてこちらを振り返る。

 

「なんだよ、もう随分と呑んでるじゃないか」

 

「まぁな。と言うかそいつは昨日の異変で居た吸血鬼じゃないか、なんでここに居るんだ?」

 

「俺の部下になった。いい手足になりそうだったんでな」

タバコの先をエルドレットに向けるとこちらに気づいて寄ってくる。

 

「お、お前様。妾はこういう騒がしい場は苦手なのじゃが...」

 

「ふぅん、夜とは打って変わってしおらしいのね」

やっと準備を終えた霊夢が布の上に座って酒を飲み始める。

 

「俺の部下になったからだ。変な事しでかしたら一瞬で消すからな」

エルドレットは「ひええ」と怖がしながらも少し笑っていた。

 

「まぁ、妖の事情は俺が完璧に操る。心配はしないでいいさ」

吸い殻を灰皿に押し付けて間をおいてから酒を飲む。

そのまま夜中まで宴会は続きシャドーは珍しく酔い潰れていた。

隣では色んな奴が飲んでいるがシャドーには目もくれない。

 

「グレイ...紫呼んできてくれない...?」

冷えたおしぼりを額の上に乗せてうなだれている。

 

「分かった」

酒瓶片手にスキマの中からこっそり日本酒をくすねる紫の指を舌先で舐める。

 

「きゃっ!?」

 

「やぁ紫さん。兄さんが呼んでるから行ってあげてくれない?」

 

「分かったわ」

スキマから出てきてスタスタとシャドーの元へ行く。

 

「あらあら、随分飲んだのね。そんなに潰れちゃって」

 

「いやぁ...久しぶりにね。僕だって疲れてるのさ」

普段のシャドーからは決して発せられない一人称とまったりした口調。

まるで過去のシャドーの様だった。

 

「まるで小さい頃のシャドーに戻った見たいね」

口元を扇子で隠して微笑む。

 

「そうかなぁ、それならあまり酒は飲まないほうがいいね...」

軽く寝て起きると早朝の5時らしく周りには誰も居なかった。

そして階段で寝ていたはずが部屋にあげられ布団まで用意されている。

 

「...霊夢か。今度礼をしなきゃな」

外に出ると入り口の下で寒さに身を震わせて手を息で温める少女が居た。

 

「悪いなエル。行こうか」

赤のチェック柄のマフラーを作ってエルドレットの首にかけてタバコに火をつけて歩く。

散歩気分で歩いて帰ったら8時くらいになっていた。

 

「さて、仕事だ」

一日分はすぐ終わって朝食を済ませてからはエルドレットを連れて閻魔の元へ向かっていた。

 

「いやぁ、久しぶりだねシャドー」

 

「そうだな、もう十年以上会ってなかったんだな...時が流れるのは早い物だな」

 

「そうだねぇ、霊夢たちも結構な年だしね」

 

「あぁ、確かに俺より見た目が年上だったな」

宴会での霊夢たちの姿を思い出す。

 

「ま、人間なんて一生がすぐ過ぎちまうからね。っと、今回は随分と早く着いたね。善行を積んでるのかい?」

 

「...利害が合うことが多かっただけだ」

船を降りてまっすぐ四季映姫の元へ歩く。

我が幻想郷担当の閻魔様は今日も今日とて御多忙らしい。

 

「映姫、少し提案しに来た。幻想郷の人間の減少率が最近で格段に増えたのをこの前の資料で知っているな」

 

「えぇ、305人でしたね。いくら人襲異変があったからとしてもこの減り具合は異常です。恐らく妖が力をつけてきてるのでしょう」

 

「そう言う事だ。喰っていい規定量と言うのをもう少し下げた方がいい。今までは合計500人としていたがそれを200人に下げる必要がある」

 

「その数字の意味は?」

 

「まず妖怪は常に人を喰う訳じゃないし一口で一ヶ月は生きられる奴は生きられる。それに何も人食い妖怪だけが妖怪じゃない。そしてこれは喰いすぎたことによる罰と言うのも含んでいる。その意味合いを色づけるために今回の減少人数より100以上減らす。200人程度なら幻想郷の特殊出生率を上げればいいからな、問題はないだろう」

 

「私はいいと思いますが八雲紫は?」

 

「昨日酔っている隙に許可を取らせた。問題はないさ」

 

「分かりました。ではこの提案を受け入れます。その後の妖怪たちの動きは貴方に任せます」

シャドーはそのまま小町の船に乗って紅魔楼まで帰宅する。

 

「おっかえり~!」

まず先に飛び込んできたのはアザトースその次に汐音が抱き着いてくる。

 

「離れろ。酒を飲み過ぎたせいで疲れてるんだ」

その日はただ寝て終わってしまった。

しかし外の世界での異変をシャドー達はまだ知らなかった。

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