ハメ美『……くん、……太郎くん、ハメ太郎くん、ハメ太郎くんっ』
ハメ太郎『ハメェ…… 何ハメ、ハメ美…… まだ眠いハメ……』
ハメ美『だめミィ、起きるミィ』
ハメ太郎『ン……もう、おきる……ハメェ・・・?』
ハメ美『それじゃあハメランドの歴史、もう一度ミィ。準備はいいミィ、ハメ太郎くん?』
ハメ太郎『ハ、ハメェ……。やっぱり、難しいハメェ』
ハメ美『コホン。何回もやれば、大丈夫ミィ。それじゃあ、いくミィ。
……むかしの、むかしの、も~~~っとむかし、なにもないところに何かが生まれたミィ。誰かが何かをしたミィ。きれいな緑のところ、きれいな水のところ、きれいなお空のところが生えてきたミィ。そしてお空のところから、ハメ美やハメ太郎や、みんなみんなの種がふってきたミィ。にじ色の種ミィ。きれいな種ミィ。それがいっぱい、いっぱい、いーーーっぱいふってきて、ハメ美たちが出てきたミィ。
この絵本にかいてあるミィ。「ベータリータとサミアス」ミィ。この絵本にはこうかいてあるミィ。
「――やがてそれは増えていき、まるでとめどない無限の増殖を繰り返すかのようになった。あり得ない数、あり得ない。瞬く間にこの大地を埋め尽くし、それ以上のおおらかさをもってこの大地はそれらを迎え入れた。しかしその繁栄も長くは続かなかった、私の友人かつ長年の仕事仲間であるガーゴリが言うには、
『おお見よこの数この群れこの増殖! まさしく夢のようでありまさしく悪夢のようでもある、そうだとしたらこの世の神は何をなさっておられるのだ、これではわれわれが絶滅してしまうではないか! もしもそのためにこの者たちを天からつかわしたのだとすれば、それは私たちが何か都合の悪いことでもしでかしてしまったというのか! ……それにおいてもこのえげつないほどの群れ、このままでは我々はおしまいだ!! 君はどう思うのかね、君は! ……そうか、これはあり得ない妄想なのか…… 昔からの箴言、〈ネクハールは地上に落ちない。造物主の計らいによって〉。――この言葉のように、すべてわたしの思いすごしであってほしいものだよ……』
とのことらしいのだが、結局はそのようなことは起こらないだろう――そういって仲間内では笑い話の一つのツマミとして流されたのだった――」。なんだかむずかしいミィ。とにかくハメ美たちはどんどん増えたミィ。いっぱいになったミィ。マンパイになったミィ。増えすぎてこまったミィ。キレイにしようと誰かがいったミィ。たいらにしようと誰かがいったミィ。すると、伝説の戦士、ハーメリアがあらわれたミィ。この「マーハトトルン」にかいてあるミィ。
『アーミルがメヘスを生み、メヘスがアトゥーガを生み、アトゥーガがアポレパスを生み、アポレパスがヒュルスを生み、ヒュルスがネーサーを生み、ネーサーがデファンタを生み、デファンタがサーザーサを生み、サーザーサがウェンウェスを生み、ウェンウェスがウェンスターを生み、ウェンスターがベローサを生み、ベローサがメクフェスを生み、メクフェスがクトゥーラーファーを生み、クトゥーラーファーがアハを生み、アハがメトラスジアを生み、メトラスジアがペッボトボルを生み、ペッボトボルがアハンナテースを生み、アハンナテースがヤーラスを生み、ヤーラスがアタランタラスを生み、アタランタラスがジェジージャを生み、ジェジージャがチェジェスを生み、チェジェスがミミハルミタを生み、ミミハルミタが……』。そしてやっぱり、ハメ美たちは増えていったミィ。
怖いことやおっかないことがたくさん起きるようになって、最初の王国ができたミィ。小さな王国がいっぱい、大きな王国もいっぱい、できたミィ。長老のポポンガさまから聞いた話ミィ。『よく聞くゾナ、ハメ美。このハメランドの上のほう・下のほう・左のほう・右のほうには、それはもうたくさんのたくさんの、数えきれんほどたくさんの王国があったものゾナ。しかしゾナ、それは巨大な争いと長く続く混乱でみんなどこかへ行ってしまったゾナ。そうなるときには伝説の戦士ハーメリアがあらわれて、このポポンガたちを助けてくれるゾナ。よーーーく覚えておくゾナ』って、長老さまは言ってたミィ。長老さまから聞いたからまちがいないミィ。それに、この「ザツカリアール王国興亡史」にもかいてあるミィ。
『……すべての辺境から近いところ、遠いところ、誰も行ったことのないところ、遠く遠くに離れたところ、うら側のところ、暗いところ、明るいところ。それらを全て総べんと、何物かが果敢にも立ち上がった。いや、誰もが立ち上がった。それは雨後に一斉に地表に湧き上がるように生えるメネーシアスのようであり、空から降る大量のアハルシスのようでもある。とかくもこの地上の各地で大小とりまぜての多くの戦が起き、多くの命が失われた。その筆頭は、まずはネブーカ王国と真性ミミミリン王国のあのドゥランガの戦いである。かのネブーカ王国の伝説的な将軍、チャルンテラは「我の進むところに我あり、我の引くところに我なし! 全ての土は我がものであり、全ての水は我がものである!! 全ては我らネブーカ王国のものであり、全ては我らがネブーカ国王の総べるものである!」と言ったと伝わるが、それは彼の全盛期の話であり、そして悲劇はその直後から生まれる。まず将軍チャルンテラはミミミリン王国の右辺を攻め落とそうと巨大な湖たるミミリを大きく迂回したが、そこにもっとも致命的な欠陥があった。彼は知らなかったのだ、真性ミミミリン王国の大量の精鋭の技術者が、水に浮かぶ巨大な船を造っていたということに。これは全て真性ミミミリン王国の一番の策士、ミミミリン王国の参謀たるラーミスタスの計によるものだ。全てを悟られず、全てのことを隠してからこそ、あのような稀に見る戦いが起きたのだ。ミミミリン王国の横腹に食らいつこうとした将軍チャルンテラは、そのミミリの中原から悪夢のようにあらわれた数万の船にのった数十万の兵に食い破られ、ミミミリン王国を目前にしてその夢を終えたのだ。
それと同時期に起こったのが、この地からはるか下にある、正統王国トッキーンの惨劇だ。彼らトッキーンの民は選りすぐりの精鋭からなる超魔道兵団ザクーラなる集団を練り上げていたがそれが反旗を翻し出奔、たちまちにトッキーンの街は炎にのまれ、数万数十万の民が生きながらにして焼かれたという。そして彼らザクーラは隣国のクァータ国に落ち着き、しばらくして、一人、また一人と処刑されていったという。何が間違いだったのかはわからないが、トッキーンの街が焼け落ちる数年前、ザクーラの前団長たるマハイマハラが何者かによって暗殺されたときから、何かが始っていたというのがいまの通説で、それ以上はトッキーンの街が何も残っていないこともあって、そしてクァータ国王が彼らについての記録を残すことを全く許さなかったので、彼らザクーラ兵団の記録は、この小さな小さな手紙、本当かどうかもわからないようなこのちっぽけな紙切れにしか残っていないのだ。そして、この手紙を出したクァータ国の大臣も、本当にいたかどうかもあやしい。ともかくも、そのザクーラ兵団の処刑と暗殺と前後して、クァータ国王が毒を盛られて伏してしまった。
そこに目を付けたのが、ポッコラなるものが治めていたポッコラの国と呼ばれる地域だ。ポッコラは、〈ミヒャヤーとアハメラは一度に捕まえよ〉との言葉通り、弱ったクァータ王国に一気に攻め込んだ。それでもクァータ王国は民の粘り強い活動もあり少しは生き延びることができたし、なによりも、クァータ王国の一番の売りどころでもあるクァータの
やっぱり難しいミィ。でも、こっちの絵本はかんたんミィ。今朝、掘ったら出てきた本ミィ。読むミィ。
『……そのような大変なときに、わたしたちのハーメリアはこの地にやってきました。大きな水たまり、ピピルピピル湖。その隣の、もっと大きな水、ボピピル湖。その奥の、もっともっとの水、ボボボピル湖。そして、緑のあるところ、マハマパス。ここに、大きなお城と壁と門を生やしました。どこまで続いているか、誰も知らない壁でした。でも、その門はまだ空いていました。コンコンと、門のところを叩いて入ってくるものがいました。するとそれに気づいた他の者が、またコンコンと音をさせて、その門の中へ入っていったのです。その音はどんどんと増えて、たくさんの音となり、いつまでも鳴りやみません。そしていつしか、最後の音が聞こえたときに王さまがあらわれ、そこは誰ともなく〈ハメランド〉と呼ばれるようになったのです』。……この絵本のとおりに、他の国は見えなくなったミィ。ここからじゃあ、見えないところに行ったミィ。そして、危なくなったハメランドも、何回もハーメリアが救ったミィ。そしてようやく、ハメランドにハメガミさまが来たミィ! メルンの司書さんから聞いたミィ!!』
ハメ太郎『……やっぱり難しいハメ、わかんないハメ、もうやめるハメェ』
ハメ美『怖いの、また来たらどーするミィ』
ハメ太郎『来ないハメ。そんなの、ぜーーーーったい、来ないハメ!!』
ハメ美『ミィ……? 門がひらくミィ……???』
ハメ太郎『ハメ?! あけちゃ、あけちゃダメハメッ!!!!!』
ハメ美『たすけてッ、ハメたーーーーーーーーーーーーーーーーーー……』
ハメ太郎『ハメ美、ハメ美っ、ハメ美ーーーーーーッ!!!!!』
ハメ太郎「ハメェッ?!」
ハメ太郎「――見たことのない、天井ハメ……」