とある怪異の移動制御   作:8号機

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展開が早すぎるけどどうしよう


一時撤退

柿傍を押し潰すように広がった爆風は風早の能力によって反らされた。

 

「ちっ…、これだから新米は!」

 

風早は気絶した柿傍を引き寄せると回れ右をして走り出した。

 

「ドッペルゲンガーじゃない…!」

 

不意に風が吹いて枯れた木の葉が飛んでくる。これを見た風早は鉄製のケースに入った盾を全て木の葉と自分の間に浮かべた。木の葉は爆弾に変形し、盛大な爆発を起こす。

 

「まさか…、狸!?」

 

風早が後ろを見ると、大量の木の葉が迫っていた。風早は即座に盾を後ろに移動させる。

爆弾が爆発し、盾の隙間から漏れた爆風が風早を襲う。

 

「ちっ…、爆弾狸とか初めてだ」

 

風早は柿傍のトイソルジャーを勝手に借りると後ろに乱射した。

 

「これで時間を…」

 

そう言いかけた風早ばが後ろを見て絶句する。

すぐ後ろにラジコンカーに乗った狸がいたからだ。

大量の木の葉が風早を球状に取り囲む。

 

「…ッ!?」

 

風早は咄嗟に身代わりの紙人形を辺りにばらまく。

木の葉が次々と爆弾に変化し順番に爆発する。

風早はさらに盾を周囲に配置するが爆風に揉まれて身動きが取れなくなる。

 

「不味いっ!身代わりが持たない!」

 

紙人形はじわじわと黒く染まり、その内完全に燃え尽きてしまった。

 

「ええい、なら、これだ!」

 

風早は細かい演算無しで自分の能力をフルパワーで使用する。

見えない力が爆発を起こし、木の葉が飛ばされ、窓ガラスが全て砕け散る。

風早は木の葉が追いかけて来ない内にトイレに駆け込み、鏡に飛び込んだ。

 

 

「あの野郎…なめやがって」

 

風早は昼に入ったカフェの裏に来ていた。ドアに数字が並んだパネルが置いてあり、風早はそれ を操作して鍵を開ける。

 

「おーい、誰か居るか?」

 

「あら、この声は風早かしら?」

 

中から大学生位の巫女装束を着た髪の長い女性が出てきた。

 

「神凪さん!こいつ宜しく」

 

風早はそう言って担いでいた柿傍を床に降ろす。

 

「ちょっと、どうしたのよこれ。あんたがやったの?」

 

「んな訳ないだろ!やられたんだよ。逃げて来るの大変だったぜ。身代わり全部使っちまった」

 

風早はやれやれと言ったように首を振る。

 

「ふーん。で、何にやられたの?」

 

「狸」

 

「狸?あんな雑魚にやられたの?」

 

神凪は口許を押さえて笑いながら言った。

「唯の狸じゃなかった。爆弾を作ってた」

 

風早が真剣な顔で答える。

 

「ば…爆弾!?科学技術を知っている妖怪だって言うの?」

 

「科学と怪異は相容れない物だと思っていたが…。厄介だな」

 

「もし学園都市の最新科学技術と融合されたら厄介どころじゃないわ」

 

「ああ」

 

風早は顔をあげる。

 

「だから俺が奴を式にする」

 

風早はそう言って立ち上がった。

 

「ちょっと、今から行く気?」

 

「いや、帰って寝る。やるのは明日だ。式にすること自体は止めないんだな」

 

「怪異狩りの発展には必要でしょ」

 

「まあな。じゃ、また明日」

 

 

風早は昼も怪異狩りとして働いている訳ではない。昼間は風紀委員として町の平和を守るために働いている。

「ふあ~ぁ。眠…」

 

「まったく、貴方がどれだけやる気が無いかを窺わせる台詞ね」

 

「んあ?綾釣だけ?」

 

欠伸をしながら支部に入ってきた風早をピリピリとした雰囲気を纏う黒髪の少女が迎える。

 

「そうよ。みんな幻想御手の取引現場をマークしにいったわ」

 

綾釣は風早に紙の束を手渡す。

 

「あんたも行ってきなさい」

 

「へいへい。あー眠…」

 

入ってきた時と同じように欠伸をしながら風早は出ていった。

 

 

「なんだぁ?兄ちゃん。俺たちの邪魔すんじゃねえよ」

 

不良の手から直径10cm程の火球が生まれ、風早に飛んでいく。

 

「うるせぇ。その攻撃、そっくりそのまま返してやるよ」

 

火球は向きをかえ、不良に戻っていく。

 

 

「なんだこのガキ。ぶっ潰してやる」

「倍返しだ」

 

 

「生意気いってんじゃねえよ』

「3倍返し」

 

 

「風紀委員風情が!」

「5倍返し…」

 

 

「死ねよあぁん?」

「10倍返しだコノヤロー!」

 

 

「た…ただいま」

 

「まったく、遅いわよ。それで何件ヒットしたの?」

 

風早が疲れきって支部に帰ってくる。

 

「全部、不良30人ボコってきた」

 

「流石最強の風紀委員ね。事件の方からやってくる。因みに家の支部の他の人は全員ハズレよ」

 

「マジか~」

 

「まったく。貴方が風紀委員を辞めたら犯罪が減るんじゃ無いかしら?」

 

「探偵が居るから事件が起こるみたいに言うな」

 

風早は報告を済ませると自分の荷物をまとめた。

 

「あら。帰るのかしら?明日も来なさいよ」

 

「へいへい」

 

風早は適当な返事をして支部から出ていく。

 

「取引現場全部あいつに任せようかしら?」

 

 

夜、とある高校に大型のトラックが停まる。

 

「風早、一体このトラックには何が入っているの?」

 

運転してきた神凪が風早に尋ねる。

 

「HSBP-007」

 

風早はすらすらと型式番号を答える。

 

「なにそれ」

 

「通称コアアーマー。坑道内での戦闘に特化した駆動鎧(パワードスーツ)

 

「そんなもの持ってたの?流石お坊っちゃんね」

 

神凪が呆れたように言った。

 

「まあ、科学狸を仕留めるにはこれくらい要るだろう。奴の武器は爆弾っぽいし」

 

「まあ、応援してるわよ」

 

神凪はそう言ってトラックに戻っていった。

 

 

柿傍は夜の学園都市を歩く。

 

「先輩に迷惑かけたままじゃいられないっすね」

 

柿傍は呟き、とある高校に向かう。

 

「もし、そこの小僧」

 

柿傍の耳にしわがれた老婆の声が入ってくる。

 

「誰っすか?」

 

柿傍が声の聞こえた路地に入っていく。

 

「ワタシは唯の占い師じゃよ」

 

「占い師がなんの様っすか?」

 

「お前さん、怪異狩りじゃろ」

 

「そうっすが。それが」

 

「お前さんを占って可能ならば物事が旨く行くように手伝ってやろうと思ってな」

 

 

 

とある高校に停められたトラックのなかに巨大な人型の鎧が立っている。

弾や爆風を受け流す為か、そのずんぐりとしたボディは全て曲面で構成されていた。

 

「さて、式神になってもらうには俺の血が要るな」

 

風早はそう言って懐から血の入ったカプセルを取り出す。

それからさらにポケットから不思議な模様の書かれた紙を取りだしそれを舐めた。

 

「猫、出番だ」

 

紙は一瞬で人の形をとった。

 

「久しぶりだにゃ~御主人」

 

現れたのはネコミミと尻尾装備の美少女だった。

 

「猫、これと札持ってろ。終わったら俺に渡せ」

 

「なんか捕まえるの?」

 

「ああ。珍しい奴がいてさ。ちょっと欲しくなった」

 

風早はそう言って駆動鎧のヘルメットをかぶる。

 

「よし、コアアーマー発進。猫、着いてこい」

 

駆動鎧の眼に光が灯り、夜の町に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 




原作の雰囲気ぶち壊しですがオカルトの詳しいことはよくわからないので独自で行きます。この話の式神はポケモンみたいなものです。
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