「ふたりとも眠ったのかしら」
さっきまで車内を賑わせていた会話は既にもう途切れて静まり返っていた。
長引く渋滞はさやかに睡眠を誘っていた。
ついに、横で寝息を立てる梓につられ眠ってしまった。
運転席から、ふたりとも眠ったのかしらと上がる声は母親の直子。
後部座席をミラーで確認する。
二人の双子の眠る顔は本当によく似ている。
髪型さえ違わなければまるでドッペルゲンガーだった。
色違いのワンピース。
お揃いのピンドメはまるで二人は双子だという事を強く表しているようだ。
しかし、双子といえど性格までは同じではなかった。
お姉ちゃんっ子の梓はなんでもさやかの真似をしたがった。
新しい服を買えば自分も欲しいと強請る。
気が弱くいつもお姉ちゃんの後ろに隠れては顔を隠していた
さやかは気が強く口が悪かった。
梓と違い人の真似はせず、「自分」というものをもっていた
だが、怖がりで傷つく事を恐れていたし怖いものには手を突っ込まないというのがさやかだった。
まったく性格の似ていない双子は問題を抱えていた。
今日はそれを解決するためにこんな渋滞に巻き込まれてでも向かう場所がある。
元々が都会ということもあり、少し出かけようとしただけでも渋滞に巻き込まれる。
今向かってる場所は長野県のとある田舎だ
なぜ、東京に住む私達が田舎に向かうかというとこの双子達が見る夢にある。
直子は視線を少し双子に向ける。
私の子供達がいうことが正しければ毎晩この二人は同じ夢を見て夢の中で会うのだという。
昨日は二人で仲良くカップラーメンを食べたらしい。その前は雲の上をジャンプしたんだとか
もしかして何かあるのではと心配になりインターネットで調べたのだが何も収穫はなかった。
まさか自分の子供が精神病なんて親からは考えたくのないのだが、その類も調べたのだがまったく収穫はなし
イタリアへ転勤へとなった夫にも連絡してみたが
「わからない。もしかして都会の空気が悪いのが駄目なのかもしれないな。」と都会の空気のせいにされてしまった。
確かに、東京は空気がいいとはいえない。
この子達が大きくなる前には治ってほしい、と考え思い切って引越しを決意し
東京から三時間以上かかる長野に決めた。
長野にした理由は空気がいいという理由と単に住みやすいという評判だったという理由だけだった。
引越しをすると伝えたときは引越しの意味を理解出来ず、固まっていたが日が近づくにつれ学校の友達と離れるという事を考え始め最初は嫌だ嫌だ。と言っていたが諦めたようだった。
転校の日は涙を流し泣く梓を「しっかりして」というさやかも涙ぐんでいた。
もう荷物は長野の方にあるからあとは、私達が新しい家へと向かうだけなのだが
どうもこの渋滞は終わりそうにない。
そしてさらに酷くなっているような気さえする。
「はー...。なんでこうなのよ。田舎にいくだけなんだからもっとこうスイスイ行きたいわね。」と吐き出すように言いハンドルに体重を任せる。
項垂れていると後ろで「おかあさん...。」と声が聞こえた。
「あ、起こしちゃった?ごめんね。」
というと目を擦りながら梓が
「違うの、お母さん。さや姉ちゃんと怖いお化け屋敷に入ったの。そしたらさやお姉ちゃん私の事おいていって...」
と今にも泣き出してしまいそうな声で言う
「そっか。じゃ、お母さんがいい事教えてあげる。」
怖い夢だったのだろう。
目を擦る手が震えているようにも見えた
「怖い夢とか、起こって欲しくない夢を見たときはお母さんに話すの。そしたら、その夢はなかった事になるのよ。」
梓から見えるバックミラー越しの私はやさしく笑っていただろう。
梓はうん、とでも言うかのように安心しきった顔で頷いた
初めまして、こんにちは。
いすき と申します。
初作品です。
どうか、お手柔らかに。
双子のは不思議ですね。
それを見ている母親は、自分にはない双子の感覚がわからず不安でしょうね。