メダロット異界異聞戦記伝   作:隔離世テロル

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第2話 カクリヨノ中デ夢カラ醒メル~吉祥寺Ⅰ~

 ウェルギリウスと康孝に名を呼ばれると、彼は目を見開き禍々しいものが身体中から溢れ出したように康高とシエミヤには思えた。

 

「おい、これって危なくない? ドス黒い靄があふれているんだけど……」

 康高がこう口にすると、悪魔の方は真っ赤な顔だった顔が一瞬にして青く染まると、歯をガタガタ震わせ慌て始めた。

 

「や、ヤバいってもんじゃねぇ! アイツにムチで打ち付けていたのは、単にいたぶる事じゃないんだよ」

 

どういうことだと、康高達は悪魔を問い詰めようとしていたが、例の悪魔は呻き声をあげて一目散に逃げ出した。

 

「これは相当厄介だと思うんだが……どうかねシエミヤ君?」

「いやどうって言われても分かる訳ないが、これだけは言えるはず。逃げるしかないだろう」

「それには同意見だよ。フハハハさらばだ明智君」

 

 二人は長い回廊を走り抜けるが、真の悪魔は後ろから迫ってきていた。ウェルギリウスは眼を赤く光らせていた。

「マチヤガレええええ、イイ夢を見ていたのにいいい!」

 

 声の距離からすると追い付かれそうだったが、目の前に穴が見えると康高達は恐怖心でわき目も振らずに走り、穴へと入っていった先では泉で女が水浴びをしていた。

 

「だれ? そこにいるのは?」

 

 康高達はまずい、これじゃまるで変態だと思った。しかし不可抗力だから仕方がないため、足早に釈明しようとした。

 

「いや俺たちは、のぞきに来たわけじゃないんです! 逃げているんです」

「そう、というより後ろから迫ってきてるけど大丈夫?」

 

 大丈夫だと安心しきる様は、まるで疾走後にやり切った清々しさにも似ていためだろう。女は後ろを指すまで康高達は忘却していたが、ゆっくりと後ろを振り向き後悔した。

 

「夢を、快楽の夢を見せろおおお!」

 

 ウェルギリウスの目が格段に赤々と光を放ち、霧はさらに濃くなっている。これを見て康高達は女を気にせずに恨み節を言ってまた走りだす。

 

「くそ! あの悪魔め今度会ったらとっちめてやる」

「これがランナーズハイかよチクショウ!」

 

 二人はまた長い長い回廊を走って走った、しかし黒い靄が一気に近づき頭に触れた時だった。どこからか声が聞こえた。

 

「英雄、康高起きなさい。起きなさいったら、休みだからって寝坊しないの」

 

 ……この声が康高の意識を引き上げた。目を開けると右側に古いパソコンがあるのが見えた。

 康高には今の状況把握ができないでいる。見知らぬ部屋に自分がいたからである。何よりパソコンが勝手に起動している。気味が悪いのもあったが興味本位で画面をのぞいた。

 

「えーっと何々DDS-NET……スティーブン? なんじゃこりゃ」

 

DDS-NET

DATE:199X‐9‐XX

NEME:STEVEN

 

 このNETへ接続しているすべての人へ

 現在……我々人間に深刻な危機が迫っている。

 伝説の悪魔達が闇から目覚め、異界の者達もこの世界に来てしまった。

 すぐにもこの者達は襲って来るだろう。

 この者達と戦うためには悪魔の力を利用することだ。

 添付したプログラムがあればできるだろう。

 勇気ある者がうけとってくれることを祈っている……悪魔と異界の者達と戦い、人々を救うために

 

 これを康高が読み終わるとダウンロードが勝手に開始され、終わると同時にパソコンが切れた。しかし流石に受け取る気にはなれなかった。悪魔やら異界という単語が恐怖をあおったからだ。

 

「なんか大事なことを忘れてる気がする」

 

 康高は記憶が抜けていた。この原因はウェルギリウスが追ってくる夢の黒い靄だ。あれは記憶を奥底に沈ませてしまうものなのだ。

 だからボケッと考え込んでいたが、思い出せないのは当たり前だった。思い出そうとして、頭が微弱ながらに響いた。

 

「康高起きなさい。英雄はもう起きたわよ」

「あ、ああ今行きます!」

 

 康高は変に身構えざるおえなかった。知らない場所に変な夢や、記憶があやふやでおまけに少し頭痛もするからだ。しかし考えてもしょうがないと決め、机の引き出しを漁ると中から水なし頭痛薬を取り出して一錠飲み込むと、部屋を出て下へ向かった。

 

 下に向かうと母らしき人と英雄という人がいた。英雄は母親らしき人にお使いを頼まれたようだったが、嫌な顔しながらも外へ出て行った。一方康高はソファーに座りテレビの電源つけると、ちょうどニュースをやっていた。

 

『きょう未明、井の頭公園にて女性のバラバラ遺体と男性服が発見されました。警察は殺人事件として捜査しており、消えた男性についても行方を追っています』

 

 何やら物騒だと康高は思い。何故だかわからないが英雄を追わなければならないと感じ家を出ようとした。すると母親らしき人がついてきた。

 

「俺なんか胸騒ぎがするから行ってくるわ」

「そう、気を付けて行ってらっしゃいね。じゃあこれおこずかいね」

 

 そう言って1万円渡されると康高は家を出て行った。

 




スティーブンのメールは本来なら10月ですが歪みによって9月になっています。
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