ショッピングモールの中で・・・
川村は五人の中で一人他中の人に絡まれないか心配していた。
「時太郎。時太郎!」
川村は心ここにあらずであった。
「うん?」
「うん?じゃねーよ。着いたし。」
川村は周りを気にしすぎてスポーツ用品店に着いていたのに気付かなかった。
「早速、水着コーナーね。」
女子三人は楽しそうに行った、そして紛れて海中も行こうとした。
川村は海中の首根っこを掴み、
「お前はダメだ。」
「やっぱ。そうっすよね~。」
海中は下心丸出しの笑顔で川村に言った。
そしてモヒカンの側頭部を川村はグーで殴った。
五人は散らばって水着を選んでいた。
このスポーツ用品店は水泳が盛んな市であるために結構水着コーナーが広いのである。
川村は海中に似合いそうな水着を探してた時であった。
「先輩、先輩。」
と小声でする方に行った。
すると川村を呼んでいたのは黒川であった。
「先輩、着替えるんで見てもらっていいですか?」
「え?白川や花恋は?」
「一緒に水着選んでます。」
「そうか、まず着ようとしてる水着見せくれないか?」
すると黒川はもったえつけるように、
「それは着替えてからのお楽しみですよ!あと見張っといてくださいね!!」
そう言って着替え用の個室に入り、カーテンを閉めた。
川村は着替え用個室の横の等身大の青山先輩を見た。
川村(さすが!世界を相手に戦うスーパースターは宣伝効果絶大だろうな。)
川村は五分待って黒川に向かって声を掛けてみた。
「おい黒川?黒川!黒川!!」
(なんで返事がないんだ?)
川村は黒川の応答がないので心配になった。
(周りには人もいないしな~。)
川村は心配になってカーテン中を少し覗いてみるとパンツしか履いていない背中を向けた黒川を見た。
川村は初めて見る女性の綺麗な背中に少し固まった。
黒川の背中がタンクトップのように小麦に少し焼けているのが目に入った。
そして黒川が顔だけ振り向いた。
川村・黒川「あ。」
川村はすぐにカーテンを閉めて、何もなかったかのような待ち方を不自然にしていた。
(ああ、俺の中学時代終わったな。もう覗き間だな。いや変態だ。変態時太郎ってあだ名だ・・・)
すると川端と白川が着替えにやってきた。
「あれ、時太郎?海中君が中に入ってるの?」
白川は脱いである靴を見てすぐに黒川が個室に入っていると分かった。
「着替え終わりました!」
と個室から声がしてカーテンを開けた。
すると脇から腰にかけて赤の二本のラインが入った黒の競泳水着だった。
「緑!似合ってんジャン!!」
「本当だ、赤は緑ちゃんにふさわしいね。」
「・・・」
川村はさっきの出来事で混乱し動揺していた。
「時太郎もなんか感想言いなさいよ!」
「お、おう、速そう。」
そして今度は川端と白川がそれぞれ個室に入って着替えた。
川村は一緒に黒川と二人で待っていた。
川村は気まずく思っていたが、黒川はいつものように何もなかったかのようにふるまっていた。
「二人はどんな水着なんすかねー。楽しみですね。」
「あ、ああ。きっと速そうなんだろうな。」
そして川端と白川はカーテンを開けた。
すると二人とも黒川と同じ水着であった。
「やっぱり、一中といえばちょっとした赤の柄を取り入れた黒の水着でしょ!」
「川端先輩の言う通り!これで連帯感が出るね!!」
「結、川端先輩!」
三人は抱擁していた。
そしてそれを見た川村も少し感動していた。
「ところでモヒカンは?」
「そういえば海中君見当たらないね。」
そこにちょうど海中はやってきた。
「はぐれてすいませーん。俺は特注で頼みました。」
「え?特注で頼んだのか!」
川村は驚いた。
「はい、同じショートボクサーっすけどね。」
なぜか照れながら海中は言った。
すると川端は思い出したかのように突然白川にお金を渡して、
「悪いけど、私バスケの練習あるから結ちゃん一緒に勘定しといて!」
川端は走り去った。
水着を三着買った後四人はとりあえずスポーツ用品店を出た。
「海中、お前の水着はいつ届くんだ?」
「今日の夜家に届くっす、だから明日の部活にはもう履いてますよ。」
(今がチャンス!)
白川は提案した。
「海中君、ってクレーンゲーム得意?」
「ああ、お!もしかしてほしいものがあるのか?」
「そうそう!だからゲーセン行かない?」
「全然いいよ。先輩はどうっすか?」
「いや~俺ゲーセン怖いからやめとくわ。」
「私もお金ないから。」
「じゃあ緑頼みますね!」
そう白川は言った後海中と二人モール内のゲーセンに直行した。
「黒川はゲーセンいいのか?」
「はい。それよりちょっと相談したいことがあって・・・」
「相談?俺にか?」
(ほぼ黒川の全裸みたようなもんだから断れねーしな。それにここであの着替え事件を処理しとくのもいいかもな。)
「じゃあ近くのカフェテリア行くか?」
「はい!」
川村と黒川は近くのカフェに入った。
川村はアイスコーヒー、黒川はチョコパフェを頼んだ。
「先輩見ましたよね?」
川村は飲んでいる途中のアイスコーヒーがむせた。
「ぶふぉ、な、なんでいきなり。」
川村は動揺した。
「どうでしたか?」
黒川は顔を赤くしながら言った。
「え?」
(どうでしたかって何?何を言わせたいんだ。)
「私、実は先輩のこと好きだったんです!部活紹介の時は外がタイプでしたけど、入部してからはさらに好きになっちゃいました!!」
「・・・」
(こんなの初めての状況だ。)
川村はただ黙るしかなかった。
「先輩にはほかに好きな人がいたとしてもこの気持ちは抑えきれませんでした!!!」
そう言い放ちカフェから走り去った。
にやにやしながら女子高生くらいの店員が、
「こちら、チョコパフェになります。ごゆっくりどうぞ。」
川村はその後二時間カフェにいた。
手に付けていないチョコパフェはほとんど飲み物みたいに液体化していた。
(ずっとだ、その少し小麦色に焼けた背中が頭から離れなくなっている。どうしたらいい、せっかく後輩が出来たのに・・・でも振ったら黒川を傷つけてしまう。でも煩悩が俺をむしばんでいく・・・俺は・・・)