ショッピングモールから帰る時であった・・・
「先輩!まだいたんですか?」
と白川がカフェから出るところを見て声を掛けてきた。
「あ、ああ。まあな。」
「あれ?緑は?」
とキョロキョロと白川は、周りを見渡す。
「あいつは先帰ったよ。」
俺は無理矢理な作り表情で答えた。
「そっちこそ、海中はどうしたんだ?」
「えーと、音げーして帰るって言ってました。だから私だけ先帰ろうかなーと思って。」
そう言って俺にマスコットのぬいぐるみを見せてきた。
「これ!海中君とってくれたんですよ!!」
「それはリラックマノミか。」
「はい!これ欲しかったんですよね!!」
そこに前絡まれた同じ中学の四人組の同級生が川村の視界に入った。
「まずい!逃げるぞ!!」
「え?」
川村は白川の腕を強く握って走った。
気づいたらショッピングモールの外にいた。
「はあはあはぁ。」
「いきなりどうしたんですか?」
川村は息を整えてから
「前俺が外周の時絡まれた同級生がいたんだ。」
白川は川村の優しいところを見てはっきり自分の意見を言おうと思った。
「先輩、きっと川端先輩は川村先輩のことが好きですよ。」
「いきなり、何を言うんだ。」
俺はまた突飛押しもないことを言われて混乱した。
「だから早く気持ちを答えてあげましょうよ。じゃないと川端先輩がかわいそうです。」
(川端先輩と緑のためにも・・・いやこれからの部活のためにも。)
「何を根拠に言ってるんだ?」
(確かに・・・でも俺は友達という関係を崩したくないからあえて距離を保ってきたのに・・・)
川村は歩き出した。
そして白川も並行して横に並んで歩いた。
「私には分かります!」
「だから何を根拠に言ってるんだ!!!」
川村は怒鳴った。
川村はつい言ってしまった。
「俺は今日黒川にいきなり告られたんだ。お前は知ってたのか?」
「え?」
(うそ、緑がこんなに早く告白したなんて。じゃあ私が今やってることは川村先輩を余計に苦しめているだけ?)
「その反応は知っていたようだな。そうやって人の三角関係に割り込んで楽しいのか?」
(違う!俺はこんなこと言いたいわけじゃないんだ!!)
パチンと音がした。
白川は川村の頬を叩き走って行った。
それを遠くから海中は見ていた。
次の日登校している時であった・・・
後ろから自転車に乗って海中が来た。
海中には川村が悩んでいるような雰囲気が背中でなんとなく伝わった。
「先輩、おはようございまーす。昨日叩かれたけどどうしたんすっか?」
海中はストレートに聞いた。
「昨日はいろいろあってなんかさ、家帰っても頭が整理できなかったよ。」
(俺はこのヤンキー崩れに何を相談しているのだろうか・・・)
「まさか告白されたんじゃないっすよね?」
「え?誰にだ!!!」
川村はそのことで悩んでいたために思わず声を上げた。
「そ、そんな怒らなくても。白川さんっすよ、じゃなきゃあ叩かれませんよ。」
「あ、ああ大丈夫だ。白川には告白されてない。安心しろ。」
「白川には?じゃあなんでぶたれてたんですか?」
「それより昨日ちゃんと水着届いたのか?」
川村は話を逸らした。
「ああ、特注の水着っすね!いやもうばっちり届きましたよ!!先輩マジで驚きますよ!!!」
そう言い放ち自転車をこいで先に行った。
その後、後ろから川端が来た。
「時太郎、おはよう。昨日はいきなり帰ってごめんね。」
「あ、ああ。」
川村は白川に言われた言葉が頭に残っていて上手く会話できなかった。
「あれ、どうしたの?いつもの時太郎らしくないじゃん。」
「そんなことないよ。」
川村は少し微笑んで言った。
「あんた、もしかして急に私の事意識しだしたの?」
「はっは、そんなことないよ。」
川村は少し苦笑いしてほとんど同じ言葉で返した。
「冗談に決まってんジャン!」
と言って川村は川端に叩かれた。
そのやり取りを黒川はこっそり後ろから様子を伺いながら見ていた。
授業中・・・
川村はずっと川端の背中を後ろの席から見ていた。
(俺はずっと避けてきたけど、もう避けられないのか?まあ、黒川に告白されるまで俺はどっかで逃避していたのかもしれない。でも頑張るしかない、この結末は誰かが傷つくし、少なくとも俺はもう前の俺に戻れない。)
昼休み・・・
「あんたまたぼっちで弁当食べてんの?」
川村はいつも一人青山先輩からもらったトレーニングノートを見ながら昼休みを過ごしていた。
川端はいつも他のクラスに行ってバスケ部の友達と飯を食べるのだが、
「同じ部活になったし、たまにはあんたとも飯食べないとね。まあつまんなそうだけど。」
「花恋、一言多いぞ。」
(まあ、たしかに俺あまり話さないけど。)
川村は突然川端に試しに質問してみた。
「もし、俺がお前の事を幼なじみから恋愛対象として見だしたらどう感じる?」
すると川端は一瞬驚いた顔をしてから明るく、
「何言ってんのよ!あんたには一中を黄金時代にするって目標を青山先輩からもらったんじゃないの?」
「そうだったな。変な事聞いてごめんな。」
(そのためにも風紀を乱したくないからはっきりさせたかったんだがな。)
「本当だよ、気持ち悪い。それより海中君の水着楽しみだね。」
(やっと、私の気持ちに気づき始めたのかな?)
放課後川村の教室で・・・
「花恋、一緒に部活行くか?」
「ごめん、時太郎。私今日バスケのほう行くから。」
「OK。」
川村は部活に行く途中に白川と会った。
「おお、白川。一緒に行くか?」
「はい・・・」
しばらく二人無言で歩いていた。
突然白川が申し訳なさげに、
「昨日は突然叩いたりしてすいませんでした。」
と立ち止まって頭を下げた。
川村も歩くのを止めて、
「何が?」
川村は昨日色々ありすぎて何が何か分からなかった。
「ああ、そういえば俺叩かれたな。まあお前も自分が正しいと思ってしたことなら俺は気にしない。」
川村はそう言って歩き出した。
その頃水泳部前で海中と黒川が話していた・・・
「黒川はさあ、もう市中大近いんだし泳ぐ種目決めた?」
「あーあ、でも平泳ぎか自由形だよね~。でもどっちに出てもいいんでしょ?」
「まあな、でもかなり疲れるぞ。」
「じゃあ、先輩たちに相談してみよっかな?」
「おお、いいんじゃねーか。」
そこに川村と白川が来た。
「ごめんな、待たせて。」
「全然待ってないっすよ!それより黒川が相談したいことあるらしいですよ!!」
川村は動揺して南京錠を解除中に手元が狂って鍵を落とした。
「そうか、じゃあ相談に乗るよ。」
また南京錠を開ける作業に入り、それぞれ更衣室に入った。
男子更衣室で・・・
「先輩、いいっすよ。」
川村は海中が新しくした水着を初めて見るためにロッカーのほうを向いていた。
海中に目を向けると、それはショートボクサー型であったが川村が青山から伝承した炎の柄が入っていた。
「これで俺達で二年かけて黄金時代作って行きましょうよ!!」
「お前がその炎の柄の一中水着を着るということは一中を背負うことになるんだぞ?」
川村は真剣に言った。
「はい、だから俺と先輩は運命共同体っすね。」
海中も珍しくきりっと真剣に言い放った。
川村と海中は腕を組んで共に一中黄金時代を築いていくと決めた。
そして二人はプールサイドに出た。
「女子はまだのようだな、よし先にアップするか。」
「はい、時太郎先輩!」
アップが終わったころに女子部員が出てきた。
脇から腰にかけての縦に赤いラインの入った黒い競泳の水着で二人は出てきた。
すると海中は早速白川に話しかけに行った。
「先輩、相談いいですか。」
と黒川は川村に話しかけてきた。
「先輩、昨日はいきなり色々自分勝手なこと言ってすいませんでした。でもあれが自分の正直な気持ちなんです。先輩はゆっくり考えて答えを出してください。それまで私は待ちますから。」
「分かった。そうさせてもらうよ。ところで相談ってなんなんだ?」
(黒川って意外に重いんだな・・・)
「はい、平泳ぎか自由形かで市中大に出る種目悩んでるんですけど。」
「そうだな・・・とりあえず得意な方を一本に絞って出たらいいんじゃないか。俺は一年の時そうしてたぞ。」
「分かりました!じゃあ、そうします!!」
と言って自分のコースに行き練習しだした。
その後白川が来た。
「どうした、白川?」
すると白川が一番端のコースに川村を連れて行き、海中や黒川に聞こえないように、
「先輩まじでどうするんですか?」
若干キレ気味に言ってきた。
「また恋話か?」
川村は勘弁してくれという表情を浮かべていた。
「だって、嫌ですよ。私ギスギスした感じで三年になるまでこの部で頑張るの。」
確かに川村も白川の言っていることに一理あるとは思ったが、
「俺は誰とも付き合う気なんてないからな。」
川村は強気で言った後一番端のコースで練習しだした。
「ちょっと!先輩~。」
それを遠くから海中は見ていた。
海中(やっぱり川村先輩のことが好きなのかな・・・天然なところあるけど精神年齢が顧問だもんな。そこはやっぱり他の先輩たちと違うよな・・・やっぱり俺もああならないと白川さんは相手にしてくれないのかな。)