一色いろはは本物を追い求める【完結】   作:あんじ

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原作の様な書き方は難しいのでいつの間にか自分風の書き方になってるかも知れません


再会

3月。別れと終わりの季節。私、一色いろはは3年生となり、せんぱい達は卒業して大学や就職につく。様々な物や事が終わる中、私の恋も終わろうとしていた。本物を見つけて追いかけた。手を出せば届いた。でも出せなかった。後から来た私が手を出しては卑怯だと感じたのだ。せんぱいは選ばなかった。誰ひとりとして傷つけず、全て解が出ていたのに言わなかった。私の恋はそこで終わった。

 

 

それから2年後。せんぱいとは別の大学に行った。同じ大学に行ったら卑怯な気がして、私の気持ちもバレてしまいそうで怖かったから行かなかった。

 

「い~ろ~は~、起きて~」

 

ハッ!いけない、私としたことが講義中に寝てしまった。理由は簡単だ。完璧を保ちたいので夜遅くまで勉強をしていたのだ、それも入学からずっと。そのツケが今来たのだ。

季節は春と梅雨の境い目の5月。やっと緊張も溶け講義にも慣れて楽しいキャンパスライフをエンジョイし始めたこの頃。陽射しが暖かくつい寝てしまったのだ。

 

「いろはが寝ちゃうなんて珍しいね。遅くまで勉強でもしてたの?」

「まぁ、そんなとこかな」

 

今話しているのは友達の神薙瑞穂(かんなぎみずほ)だ。すごくかわいく、優しい感じの女の子だ。

 

「勉強もいいけど、今日の合コン忘れてないよね?」

 

合コン…そんな約束したっけ?あれれ?記憶に無いんだけどな~

 

「もう、わすれちゃったの?先週飲んでた時に約束したでしょ」

「うん、思い出した。それで、今日はどこの誰が何人来るの?」

「いいとこの私立文系の先輩方が5人でこっちも5人。メンバーは前回と一緒だよ」

「了解」

 

正直、合コンには行きたくない。いやらしい気持ちで寄ってくる人達ばかりで嫌になるからだ。

でも仕方ない。今回は自分から言ったぽいしやるしかない。ほんとお酒って怖い!

 

「待ち合わせは後でメールしとくね!」

 

変な人来ないといいな。

 

 

※ ※ ※

 

午後7時。メールに送られてきた場所に行くとほとんどのメンバーは揃っていた。1人遅れて来るらしいが、急遽行けなくなった人の代わりに呼んだらしい。先に店には入っていいとの事なのでみんな入っていく。

 

「どうも~、一色いろはです!」

 

簡単な自己紹介を済ませていく。代わりの人は30分後くらいには来るらしい。それまでに簡単な自己紹介を済ませて、ある程度飲む。その人はあまりお酒を飲まないらしいので先に飲んじゃおうかと男の人から言ってくれたのでみんな飲む。

 

「いろはちゃんて彼氏いるの?」

「いないんですよ~」

 

適当にあしらう。そこそこのイケメンだが、視線が胸やお尻に行っている時点でアウトだし、この変態はお持ち帰りしたいだけだと思うのであまり関わらないようにする。

ちょびちょびとお酒を飲み始めて30分。代わりの人が来たのか合コンの幹事話役の男の人が迎えに行く。片方は酔っているので喋りながら来る。

 

「やっと来たかよ、遅ぇよ」

「急に呼ばれたのに来てやったんだ感謝しろよ、それに酒臭い」

「そんな事言うなよ~」

 

聞こえてきた声は聞き覚えのある、めんどくさがりの声だった。

 

「かわいい子いっぱいいるんだから楽しめよ?」

「そもそも俺は人が嫌いなんだよ」

 

歩いてきたのは見覚えのある。いや、忘れもしない目の腐ったようなやる気のない顔をした、せんぱいだった。

 

「あっ…せんぱい」

「げっ…一色」

「あ~、こんなに可愛い後輩に久しぶりに会ったのに「げっ」とかひどいですよ~せんぱい」

「お、おう。か、変わんないな一色。」

「あっ、もしかしていま、「変わんないな」とか言って前から可愛いのは変わんないねって口説こうとしてます?久しぶりに会って嬉しいですけど無理です、ごめんなさい」

「何回目だよ、フラれたの。そろそろ八幡泣くよ?」

 

私は胸の鼓動が聞こえてないか心配になるほど高鳴っていた。止まっていた、恋の時計が動き始めたのを感じた。




今回はいろは視点でしたが、次回はこの続きから八幡してんで行こうと思います。

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