FAIRY TAIL 竜騎兵と竜の子   作:MATTE!

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【呪歌】

「ゼレフの悪魔……」

 

 

 エリゴールを倒し(ナツが)、カゲを改心させ(マスターが)、後はカゲを病院に連れていくのと『鉄の森』(アイゼンヴァルド)に弁償とレンタル代を請求すれば一件落着かと思ったら最後の最後にとんでもないのが現れた。

 

 

「腹が減ってたまらん、貴様等の魂を喰わせてもらうぞ」

「何!!魂って食えるのか!?」

「知るか!!」

「りゅ、美味しいよ!!」

「「食えるのか!?」」

 

 

 ナツの言葉は流したグレイだがリュウの言葉は流せなかったらしい。すかさず二人はツッコミをいれる。

 

 

「てか食えるのか……」

「リュウに食べられないものはあんまりないんだよ!」

 

 

 えっへんと胸を張ってリュウは宣言する。

 ああもう、その姿が可愛いんだからリュウは。後その言葉は若干問いになってないような、なっているような……分かる人には分かりそうだけど。

 

 

「食ったことがあるんだな……魂を」

 

 

 良かったねリュウ、グレイは分かる人だった。“食えるのか”の問いに“食べられないものはあまりない”用はそういうことである。魂なんか食べて大丈夫なのだろうかの心配があった時もあったけど、リュウだし、別に心配は必要ないのかもしれないとも思い至り……

 

 

「りゅ、美味しかった!」

 

 

 当の本人がニコニコしているし、もう気にしない方向でいいかもしれないと私の中では結論が付いている。というかリュウの雑食に一々ツッコミをいれたら気が持たないもんね!!

 

 

「まじか……うめえのか」

「いやリュウが特殊なだけだよー私無理だし」

 

 

 一応やらないとは思うけどナツには釘を刺しておこう。うん、念のため念のため。

 

 

「さあて……どいつの魂からいただこうかな……決めたぞ、全員まとめてだ」

 

 

 ゼレフの悪魔はこちらの品定めをし、【呪歌】(ララバイ)を発動するため息を吸い込んだ。そうはさせないと“私たち”は走り出し、私とエルザはそれぞれ片足を攻撃して悪魔のバランスを崩す。

 

 

「!?」

「うおおおおおお!!」

 

 

 悪魔がバランスを崩したスキにナツが悪魔の体をよじ登り、その顔面に一発くらわした。その魔術師とは思えないフットワークに周りのマスターたちがどよめいていた。悪魔は魔弾を放つがナツはそれを器用に避ける。避けられた魔弾はそのまま地上にいるマスターたちに向かうが、グレイが前に立つ。

 

 

「アイスメイク……【盾】(シールド)!」

 

 

 氷の盾を創り出し、悪魔の攻撃からマスターたちを守った。そのままグレイは氷の形を変え、攻撃に移ろうとする。おっと、ボーっとしてちゃだめだ。私たちは私たちなりにやれることしないと。実のところ、あの三人がいれば私たちはいてもいなくても変わらない。しかーし、必要ないとは思っても……黙ってみてるかどうかはまた別の問題でして。

 

 

「出てきたからにはやれるだけやるのが私のモットー。リュウ、魔力ちょうだい」

「りゅー!」

 

 

 おぶっているリュウに魔力をねだるとリュウは景気よく魔力を送ってくれた。送られてくる魔力を体に馴染ませ、【疾風のごとく】を持ち構える。時間がないから簡略版で!!

 

 

「“七光の槍よ!” 【天と地を繋ぐ橋】(アルク・アン・シエル)!!」

「アイスメイク【槍騎兵】(ランス)!」

 

 

 私は七光の槍を、グレイは氷の槍を、それぞれ悪魔に向けて放つ。光と氷の槍は悪魔の体を抉り削り取った。グラリと悪魔はよろめく。

 

 

「今だ!!」

 

 

 グレイの言葉にナツとエルザは大技をそれぞれ放とうとする。そんな中私はニヤリと笑った。

 

 

「リュウ、美味しいところは譲ってあげる!」

「りゅー!りゅうううう……」

 

 

 皆だけ活躍してたらちょっと不公平だと思うし、美味しいところはリュウに譲ろう。リュウは頷くとがばっと口を開けた、そして魔力を収束させる。

 

 

「【リュウの咆哮】!」

 

 

 そしてそのまま【放出】で魔力の塊を吐き出した。ナツとは違って属性などない本当に単なる魔力の塊だったが、ナツたちの攻撃に劣らない威力でそれは放たれた。

 

 

「ばか……な……」

 

 

 ナツたちの総攻撃をまともに受けて悪魔はボロボロに崩れ落ち、倒れていく。その光景を『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)以外の人たちが茫然と見つめた。

 

 

「すごい……」

「ゼレフの悪魔がこうもあっさり……」

「どうじゃーーー!すごいじゃろ!!」

 

 

 マスターが周りの人間に私たちの自慢をする。その様子に……悪い気はしないけどちょっと調子に乗り過ぎではないかとも思う。

 

 

「りゅー……」

 

 

 マスターの様子に苦笑していると、おぶられていたリュウが腕の力を強めて強く抱き着いてきた。

 

 

「リュウ?」

「りゅー、りゅうぅ……」

 

 

 何事かとリュウの様子を伺ってみるとリュウは“りゅー”と鳴いて私に訴えかける。その様子に私はあー……となって先ほどとは違う理由で苦笑する。

 

 

「……おなかすいた?」

「りゅ!」

 

 

 私が問うとリュウは大きく頷く。……やっぱりちょっと無理させしすぎた。リュウはお腹がすいて、喋れなくなっていた。正確には魔力がなくて、自分の言葉を人の言葉に変換できなくなっているわけだけど。

そんな状態でもこっちの言葉は分かっているから、意思表示は一応できる。こつんこつんと私の頭に頭突きしているのも意思表示の一つだ。

 

 

「りゅー……」

「ちょっと待ってーはい、魔水晶(ラクリマ)

「りゅー!」

 

 

 秘蔵のおやつ(リュウ専用)、魔水晶(ラクリマ)をリュウに渡す。

 リュウは手に持った魔水晶(ラクリマ)をバリバリとかみ砕いた。これはどっかのディスコミュニケーションの不審者から貰ったものだけど今使っちゃえ。一個じゃあまりお腹は膨れないと思うけど多分喋れるくらいには魔力は回復したかな

 

 

「美味しい?」

「おーしー!おーかわりー」

 

 

 うん、たどたどしいけど一応喋れてる。それなりに質のいい魔水晶(ラクリマ)だったみたい。気に食わない気持ちもあるにはあるけど、まあ……アイツには一応感謝はしておこう、一応。リュウはたどたどしく魔水晶(ラクリマ)のおかわりを要求する。だけどごめんね。

 

 

「ごめんね魔水晶(ラクリマ)の手持ちはあれ一個なんだ。家に帰ったらご馳走作るからもうちょっと我慢してくれる?」

 

 

 まさかここまで魔力を消費するとは思っていなかったから、魔水晶(ラクリマ)は一個しか持ってこなかった。干し肉も魔導四輪車で食べきっちゃったし……リュウには帰るまで我慢してもらうしかない。

 

 

「ごちそー……がまん」

「ありがとねリュウ」

 

 

 リュウは少し考えるそぶりを見せ、そして頷いてくれた。本当にごめんねリュウ、帰ったらご馳走用意するからちょっとだけ耐えてください。そんな意味を込めてリュウの頭をなでるとリュウは嬉しそうに目を細めた。

 

 

「皆ー」

「ああああああ!?」

 

 

 リュウのため早くギルドに帰らせてもらおうとしたら突然マスターが叫んだ。いきなりどうしたんだろう。まじまじとマスターの様子を伺ってみるとどうやらある方向を見て叫んだようだった。何が原因かと私たちはその方向に顔を向ける。そして瞬時に理解してしまった。

 

 

「定例会の会場があああ!!?」

「粉々じゃ!!?」

 

 

 そこにあったのは定例会の会場が見るも無残に崩れ落ちた、悲惨な光景だった。おそらく多分……いや間違いなく原因はゼレフの悪魔だ。瓦礫を見るに上から何かがのしかかったような崩れ方、間違いなく悪魔の下敷きとなってああなった。

 

 

「こ、この場合悪いのはゼレフの悪魔かな」

「いや、ゼレフの悪魔を倒した結果、下敷きとなって粉々になったんだから間違いなく事の発端は俺たちともいえる」

「だよねー」

 

 

 グレイの言葉だけど……うん、分かってた。分かってたんだから現実逃避させてほしかった。目の前の惨状に私は乾いた笑いを漏らす。ナツなんかは盛大に笑いこけてるがそこは気にしないでおこう、私、ナツほど非常識じゃないもん。

 まあ、目の前の惨状を見れば私たちがすることは決まっている。それは周りが茫然としている今しかできないこと。

 

 

「逃げろーー!」

「イエッサー!!」

「さー!」

 

 

 誰がそれを叫んだのかは分からない。しかし、それを合図に私たちは一目散に逃げだした。

 

 

「待てー!」

「とっ捕まえろー!」

「待てと言われて待つやつはいない!ばいばーい!」

「ばいばー!」

「マスター申し訳ありません……」

「い、いーのいーのどうせもう呼ばれないでしょ?」

 

 

 こちらを捕まえようとするマスターたちから、『妖精の尻尾』(私たち)はすたこらさっさと逃げ出したのだった。……え、最期の最後にしまらないって?それはしょうがない、だってそれが『妖精の尻尾』(私たち)だもん。

 

 

「あ、『鉄の森』(アイゼンヴァルド)に弁償とレンタル代を請求するの忘れた!」

「いやもうそれは諦めろよ……」

 

 

 こんな感じにね。

 

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