FAIRY TAIL 竜騎兵と竜の子   作:MATTE!

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妖精の尻尾

 フィオーレ王国東方『マグノリアの町』

 人口6万人古くから魔法も盛んな商業都市、その街の中にある魔導士ギルド『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)

 

 問題だらけで評議会にもよく怒られるハチャメチャなギルド、私たちはそんなギルドに所属している魔導士だ。

 

 

「シエルー!こっちに酒追加―!」

「はーい!」

 

 

 ……魔導士だ、決してウェイトレスなんかではない。

 いつも通りの騒がしい喧噪、その中で私は料理や酒をみんなに運びまわっていた。

 

 

 

 もう一度言う、決してウェイトレスなんかじゃない。

 

 

「モグモグバクバクゴクゴクゴッキュン!お姉ちゃん!ごはん!追加!もっと!!」

 

 

 私が酒場を手伝っている間、リュウはカウンターに座りひたすら料理を処理していく。体積をはるかに上回る量を食べ続けてはいるがリュウの様子は特に変わらない。それどころかもっとくれと強請るばかりだ。

 

 

「はい、おまちどう!」

「いっただっきまーす!……りゅ?りゅー!」

「あ、こらリュウ!お行儀が悪いよ!」

 

 

 料理を机に置くとリュウは再び勢いよく齧り付こうとするが、何かを察したリュウは料理を放り出して、酒場の出入口に駆け出す。

 

 

「ただいまー!!」

「おかーりーナツ!」

「うぉ!リュウか!」

 

 

 勢いよく酒場の扉を開けて帰ってきたナツに、勢いよくリュウはタックルして出迎えた。ナツは倒れずにリュウを受け止める。

 

 

「ただいまーリュウ!」

「ハッピーもお帰り!」

「ナツ!また派手にやらかしたな!ハルジオンの港の件新聞に載……」

「てめぇ!火竜の話、ウソじゃねぇか!!」

 

 

 ナツは帰って来て早々、デマをつかまされた相手らしい人物に蹴りかかる。余波で机やイスなどが壊れているが問題ない、いつものことだし。むしろよく今日は今まで壊れなかったと思う。

 それがきっかけかどうかは分からないが、小さな騒ぎはすぐに大きな騒ぎへと変化する。

 魔法を使わないだけマシなレベルだけど、そんなバカやってる奴らなんて気にせず……

 

 

「リュウ、怪我をするから下がってなさい」

「はーい!」

 

 

 リュウの安全をまず確保する。リュウはカウンターに戻り食事を始めた。

 よし、これでリュウの安全は確保した、バカどもは知らない。

 

 

「で、そこの人はもしかして新入りさん?」

 

 

 この騒ぎにオロオロしている金髪の女の人に話しかける。

 

 

「は、はい!……えっ子供!?」

 

 

 “救世主来たり!”そんな様子でこっちに振り向いた女の人だったけど、私の姿を見て叫ぶ。

 

 

「うん、ピッチピチの12歳!育ち盛りの子供だよ!ちょっと待ってね、ミラー!」

 

 

 ギルドの新入りならミラに任せよう。私にできることはないし。

 

 

「あら、どうしたのシエル」

「新入りさん、だからミラに任せた!」

「なるほど……ええ、任されたわ」

「……あ、あれ止めなくていいんですか」

 

 

 普通に会話する私たちに女の人は恐る恐るといったふうに騒ぎを指さしながら伺う。私たちは騒ぎを見てにっこりと笑う。

 

 

「いつものことだからぁ」

「気にしないほうがいいよ!」

「あらら……」

「それに……」

 

 

 言葉を続けようとしたミラにどこからか飛んできた空き瓶が頭にぶつかりミラがバタリと倒れる。慌てる女の人だがすぐにミラはむくりと起き上がり言葉を続けた。

 

 

「楽しいでしょ?」

 

 

 ミラは額から血を流しながら満面の笑みで言い切った。うん、楽しいのは同意したいけどミラの笑顔がとてつもなく怖いや私。

 ……そろそろ誰かしら魔法を使い始めるころ合いか。

 

 

「あんたらいい加減に……しなさいよ」

「アッタマきた!!」

「ぬおおおおおおっ!」

「困った奴らだ……」

「かかって来いっ!!」

 

 

 予想通り、みんな魔法を使いだす。

 

 

「魔法!?」

「あらあら~」

「あーほんっと抑えが聞かない人たちだよ、リュウ!!」

 

 

 そんな騒ぎもなんのそのと、料理を食べ続けている妹を呼ぶ。

 

 

「ん~?」

「“デザート”。残さず食べてね」

「りゅ!はーい!」

 

 

 私の言葉に頷き、リュウは大きく口を開けた。

 

 

「そこまでじゃ、やめんかバカタレ!!!」

 

 

 ギルドにいる皆を巨人が一喝した。その声にギルドは一気に静まりかえった。──否、静まりかえったギルドの中で一人だけ騒いでいた勇者がいた。

 

 

「だーっはっはっは!!みんなしてビビりやがって!!この勝負はオレの勝っべ!?」

 

 

 しかし勇者(ナツ)は巨人にあっけなく潰された。勇者ではなく愚者だったか。いや、“マスター”に止められたのに騒ぎ立てるのは愚者以外の何者でもないか。

 

 

「む、新入りかね?」

「は、はい……」

 

 

 巨人は足元にいた女の人に気がつき声をかけるが、女の人はあまりの大きさに涙目で答えた。巨人は力を籠めると一気に縮み、小さな老人へ姿を戻す。

 彼は『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)のマスター、マカロフ。私たちにとって親ともいえる存在だ。

 

 

「よろしくネ」

 

 

 女の人にそう挨拶すると、マスターは二階に飛び上がる、途中目測を見誤ったのか手すりに衝突したのは見なかったことにし、マスターの話を黙って聞く。

 

 

「ま~たやってくれたのう貴様等、見よ、この評議会から送られてきた文章の量を」

 

 

 マスターは書類を手に持ち読み上げる。

 

 

「グレイ!密輸組織を検挙したまではいいが……その後街を素っ裸でふらつき挙句の果てに干してある下着を盗んで逃走」

「いやだって裸じゃマズイだろ」

「まずは裸になるなよ」

 

 

 グレイにエルフマンが至極真っ当なツッコミをいれる。うん、なんで裸じゃマズイと分かっていて裸になるんだろう。

 

 

「人のことを言えるかエルフマン!貴様は要人護衛の任務中に要人に暴行」

「“男は学歴よ”なんて言うからつい……」

 

 

 それで本来護衛するべき人を暴行したら意味はないと思う。

 

 

「次にカナ!経費と偽って某酒場で飲むこと大樽15個しかも請求先が評議会」

「バレたか……」

 

 

 カナ、流石に請求先を評議会にしたらバレるよ。いくら私でもそんなことはしないというのに。

 

 

「そしてロキ!評議員レイジ老師の孫娘に手を出す、某タレント事務所からも損害賠償の請求もきておる」

 

 

 ロキ、いつか後ろから刺されると思う。

 

 

「シエル!リュウ!安心してるが貴様等もじゃ!!」

「え、私たちも?」

「お姉ちゃん、何かやったの?」

「いや、リュウもだからな」

 

 

 全く身に覚えのないことに私たちは首を傾げる。別に何かを壊した覚えは特にないんだけど……

 

 

「フリド遺跡の調査、遺跡に安置されていた魔法アイテムが二人の調査後“消失”」

 

 

 フリド遺跡──魔法アイテム──

 マスターの言葉に私に電流が走る、それは身に覚えがありすぎる。アレだ、気が付いたらリュウが手に持ってて、気が付いたらリュウの手元から消えてたアレだ。

 

 

「ああアレ!美味しかったよ!」

「やっぱりリュウが食べたのか!!」

「拾い食いはしちゃだめっていつも言ってるのに……」

「毎度思うがリュウのは拾い食いってレベルか?」

 

 

 リュウが言いつけを破って拾い食いをしたことに頭を抱える。

 

 

「そしてナツ……デボン一家壊滅するも民家7軒も壊滅、チューリィ村の歴史ある時計台倒壊、フリージアの教会全焼、ルピナス城一部損壊、ナズナ渓谷観測所崩壊により機能停止、ハルジオンの港半壊」

 

 

 おお、相変わらずナツはいつも通り壊しまくっているようで。もうここまでくるとマスターも疲れたのか淡々と言葉を続けていく、最終的に他のメンバーの名前も言われた。

 

 

「貴様等ァ……ワシは評議員に怒られてばっかじゃぞぉ……

 

 

 

だが、評議員などクソくらえじゃ」

 

 

 マスターは手に持った書類を燃やし投げ捨てる。ナツはすかさず燃えた書類を食べた。

 

 

「よいか、理を超える力は全て理の中より生まれる。魔法は奇跡の力なんかではない。我々の内にある気の流れと自然界に流れる気の波長があわさり始めて具現化されるのじゃ。それは精神力と集中力を使う……いや、己が魂全てをつぎ込むことが魔法なのじゃ」

 

 

 

 マスターはニヤリと笑い、手を掲げる。

 

 

「上から覗いてる目ン玉気にしてたら魔道は進めん、評議員の馬鹿共を怖れるな!自分の信じた道を進めぇい!!!それが『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)の魔導士じゃ!!!」

 

「「「「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」」」」

 

 

 ギルドに皆の雄叫びが響く。

 そう、これが問題だらけで物もよく壊し、評議会にもよく怒られるハチャメチャなギルド『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)。私たちが所属するギルドだ。

 

 

 


 

 

 

「がぼぼぼぼぼぼぼ!」

 

 

 “ファイアパスタ”、“ファイアチキン”、“ファイアドリンク”、“火”と称してもおかしくない料理を見事な食べっぷりで食べているのは先ほど帰ってきた滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)ナツ。

 【滅竜魔法】自らの体を竜の体質へと変化させる竜迎撃用の太古の魔法(エンシェントスペル)。それを扱える滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)は自分の属性の物質を食べることで体力の回復や強化ができる。ちなみにナツの属性は“火”、だから火を食べることができるというわけ。

 まあ、それ以上に“悪食”な子がこのギルドに一人いるんだけど。

 

 

「もっと残骸持ってこーい!」

 

 

 リュウは先ほどの騒ぎで“壊れたイスの脚”を噛み砕きながら残骸を要求する。その姿は残飯処理ならず残骸処理と言ってもいい。

 うん、ギルド一の悪食は私の妹です。火、氷、木、鉄、etc……ずいぶん前に毒すら食べてなんともなかったのは驚いた。好物は魔力が込められたもの、だから魔法でも魔水晶(ラクリマ)でも関係なしに食べる、例えそれが歴史的重要文化財でも食べる。

 

 

「ナツに負けてたまるかー!」

 

 

 そんなリュウはナツの隣に座りひたすら残骸を処理していった。

 片や滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)片や(ドラゴン)、立場的には天敵な筈なのに、なぜかリュウはナツと仲がいい。リュウの正体を知らないナツはともかく、リュウはナツが滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だと分かっててナツを慕っているしさっき料理をほったらかして出迎えたことからしてそれがうかがえる。

 まあ、ナツの経歴を考えると例え正体がバレたとしても悪いようにはならないと思うけど……リュウが竜だと知っているのはマスターのマカロフ含め一部の人間だけ。それ以外は皆、リュウの“正体”を知らない。

 

 

「ナツが火竜(サラマンダー)って呼ばれていたのか!?他の町では」

「確かにおめーの魔法はそんな言葉がぴったりだな」

「ナツが火竜(サラマンダー)ならオイラはネコマンダーでいいかなぁ」

「じゃあリュウはリュウマンダー!!これからリュウはリュウマンダー!!」

「いや、リュウは別にマンダ―いらないよ?」

 

 

 パッピーに張り合ってリュウは自分がリュウマンダーだと言ったけど、竜にそれはないと思う。

 

 

 

「ナツ―!見て!『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)のマーク入れてもらっちゃった!」

「良かったなルイージ」

「ルーシィよ!!」

 

 

 先ほどおたおたしていた女の人──ルイージ……ではなくルーシィが右手の甲のマークを見せに来た。それを見たリュウが嬉しそうに右手の甲のマーク見せびらかした。

 

 

「お揃い!リュウは黒だけど」

「ええ、えーとあなたたちは……」

「そういえば自己紹介がまだだった」

 

 

 ポンと手をたたく、私としたことが自己紹介を忘れるなんて。

 

 

「私はシエル、シエル・フェンデス。それでこの子が──」

「お姉ちゃんの妹のリュウ!今後ともどーぞおねがいします!」

 

 

 自分の自己紹介をして、リュウの紹介をしようとしたらそれを遮ってリュウは自分から自己紹介をした。リュウは自己紹介を終えるとペコリと頭を下げる。

 

 

「ど、どうもご丁寧にありがとうございます」

「ねえねえ!リュウ、ちゃんと自己紹介できた!偉い?」

 

 

 リュウはくるりと私に振り返り自分で自己紹介ができたと自慢してきて、自分が偉いかどうか聞いてきた。リュウはニコニコと笑い、褒めてもらえると思って体を揺らす、私はそんな姿が──

 

 

「もー!!リュウは可愛すぎる!!!」

「りゅ!?」

 

 

 あまりにも可愛すぎてガバッとリュウを抱きしめた。

 もう体裁なんか気にせずリュウを抱きしめる。というかこのギルドではそんなもの無いに等しいし。

 え、シスコン?ハッ!!!シスコンの何が悪い!!!!私の正義はリュウだ!!

 

 

「宣言しよう!!!リュウは天使だと!!」

「リュウはリュウだよー!!」

「シエルちゃん!?」

「ルーシィ。シエルはリュウが絡むといつもこうだよ、ほっといても大丈夫」

 

 

 急に豹変したシエルにルーシィは驚く、どうしたものかと周りを見るといつもの事かとギルドの仲間は我関せず、ハッピーにほっといても大丈夫と言われ、とりあえずルーシィは見なかったことにした。

 

 

「ナツ、どこに行くんだ」

「仕事だよ、金ねーし」

 

 

 ナツもいつものことで慣れているのか隣の騒ぎを気にせず依頼版(リクエストボード)に向かい、報酬が良い依頼を依頼版(リクエストボード)から剥がす。

 

 

「父ちゃんまだ帰ってこないの?」

「くどいぞロメオ、貴様も魔導士の息子なら親父を信じておとなしく家で待っておれ」

 

 

 ナツが声のするほうを見ると一人の少年がマスターと話していた。

 

 

「だって三日で戻るって言ったのに……もう一週間も帰ってこないんだよ……」

「マカオの奴は確かハコベ山の仕事じゃったな」

「そんなに遠くないじゃないか!探しに行っておくれよ!心配なんだ!!!」

「冗談じゃない!貴様の親父は魔導士じゃろ!自分のケツもふけねぇ魔導士なんぞこのギルドにはおらんのじゃあ!!」

 

 

 ロメオはマカロフにそう強く怒鳴られるそれに対しロメオは体を震わせ──

 

 

「バカーー!!!」

「おふ」

 

 

 マカロフに将来有望性のある拳を繰り出し、泣きながらギルドを出て行った

 

 

「厳しいのね」

「ああは言っても本当はマスターも心配してるのよ」

 

 

 ズドンと何かが壊れる音がした。周りの人間が音のなったほうを見るとナツは持っていた依頼を依頼版(リクエストボード)にめり込ませる形で戻していた。

 

 

「おいナツ!依頼版(リクエストボード)壊すなよ!!」

 

 

 いつもは騒がしいナツは何も言葉を発さずギルドを出ていく

 

 

「マスター、ナツの奴ちょっとやべぇんじゃねえの?」

「アイツ……マカオを助けに行く気だぜ」

「これだからガキはよぉ」

「んな事したってマカオの自尊心が傷つくだけなのに」

 

 

 ナツが出て行き、少しの静寂の後ギルドの皆は口々にマカオの話をする。彼らはただマカオを見捨てているわけではない。彼らにはギルドの魔導士としてのプライドがあるからこそ、マカオのためにも手を出すことはしない。そんな空気の中、シエルは立ち上がる。

 

 

「………………」

 

 

──必ず迎えに行く

──三日で戻るって言ったのに

 

 

「お姉ちゃん?」

「リュウ、おなか一杯かき氷食べたくない?」

 

 

 心配そうに私を見つめるリュウに一つ問いかけをする。答えは分かりきってるけどそれでも一応。

 

 

「りゅ!かき氷!?食べたーい!」

「よーし分かった、それじゃ今から行こう」

「あいあいさー!」

 

 

 リュウを連れて私たちはギルドから出て行った。

 

 

 


 

 

 

 シエルとリュウが出ていきギルドに再び静寂が訪れる。今まで妹に夢中だったシエルが唐突に立ち上がり、理由付けてギルドを出て行った。ナツ同様、二人もマカオを助けに行ったのは一目瞭然で、ナツはともかくシエルとリュウは連れ戻したほうがいいのではないかと何人かが口にする。

 しかし──

 

 

「進むべき道は誰が決めることでもねえ、放っておけ」

 

 

 ギルドマスター、マカロフの一言により皆、口をつむぐ。

 

 

「ど、どうしちゃったの……あの二人は」

「ナツもシエルもロメオくんと同じだからね、自分とだぶっちゃったのかな」

 

 

 明らかにおかしかった二人の様子にルーシィが疑問を抱いていると、ミラは皿を拭きながら意味深なことを口にする。

 

 

「ナツのお父さんも出て行ったきりまだ帰ってこないのよ。お父さんって言っても育ての親なんだけどね、しかもドラゴン」

 

 

 ミラから発せられてた衝撃の言葉にルーシィはイスから崩れ落ちた。

 

 

「ドラゴン!?ナツってドラゴンに育てられたの!?そんなの信じられるわけ……」

「ね。小さい時ドラゴンに森で拾われて言葉や、文化や、魔法なんかを教えてもらったんだって。でもある日ナツの前からそのドラゴンは姿を消した」

「そっか……それがイグニール」

 

 

 ルーシイはハルジオンの出来事を思い出す、ナツはイグニールを探して火竜(サラマンダー)がいると情報があったハルジオンまで来たのだ。

 

 

「ナツはねいつかイグニールと会える日を楽しみにしているの、そーゆーところがかわいいのよねえ」

「アハハ……そ、そうだシエルちゃんは?」

「シエルも同じ。昔……まだリュウが生まれる前の事、森で怪物に襲われたらしいの。シエルのお兄さんはシエルを助けるために一人囮になってシエルを逃がして、結局……お兄さんは帰ってこなかった」

「そんなことが……」

「私たちは……妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士たちは……皆、皆何かを抱えている。傷や、痛みや、苦しみや……私も」

「え?」

「ううん、何でもない」

 

 

 


 

 

 

「リュウ、マカオの魔力は覚えてる?」

「りゅ!覚えてるよ!ハコベ山のナビゲートは任せて、マカオ助ける!」

「違うよリュウ」

「りゅ?」

 

 

 マカオを助けようと意気込むリュウにそれは間違っていることを告げる。

 

 

「私たちはかき氷を食べる、つ・い・で・に!約束破ったマカオを一発ぶっ飛ばしに行くだけ!」

 

 

 私は力強く語って拳を握る。物騒だって?何とでもいえばいい。私は、約束を破られるのだけは許せない。

 どんな事情があろうとも、絶対一発ぶっ飛ばす。

 

 

 私たちはナツたちと共にハコベ山へ向かった。

 

 

 

 

 

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