FAIRY TAIL 竜騎兵と竜の子   作:MATTE!

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正直に言っていいこと

 『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)『幽鬼の支配者』(ファントムロード)にお礼参りをしている頃……

 

 

「というわけで、今のギルドは関係者以外立ち入り禁止!!何人たりとも(ギルドメンバーを除く)ギルドには入れさせないよ!」

 

 

 シエルはギルドの前で仁王立ちして来訪者達を追い返していた。

 

 

「いや何がというわけなんだよ」

 

 

 今、シエルが追い返そうとしているのは事情を知らずにギルドに遊びに来たロメオだった。

 マカオめ……そりゃ起きてすぐにあんなことになってみんな一斉に飛び出していったから、説明とかそういうのできなかったんだろうけど。自分の息子には説明しないとだめだよ。危ないでしょう!

 

 

「そう、私はエルザから重大な使命を受け取った!エルザの信頼と期待に応えるためにも!ギルドには何人たりとも入れさせない!例外はいない!」

「なんだよ、シエルのケチー!!」

「ケチじゃないですー!」

 

 

 うん、私はケチじゃない。約束はちゃんと守らないと。

 私は約束を破られるのも破るのも大っ嫌いなんだから。ギルドの皆以外誰も中に入れるなって言われたんだ。ロメオはマカオの息子だけど、『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)のメンバーじゃない。だからロメオは絶対に中に入れてあげない。

 

 

「モゴゴゴゴンゥリョメロウグググ」

「リュウ、その口に含んだペロペロキャンディを食べきるか、取り出してから喋りなよ。私はなんとな~くわかるけど、多分他の人には意味不明だからね」

 

 

 私は隣にいるリュウに呆れ半分で注意する。多分、“残念だったね、ロメオ”って言ってるんだろうけど。ペロペロキャンディを口にくわえた状態では意味不明な言葉をモゴモゴと口にするだけだった。

 

 

「うぅー?」

 

 

 リュウは私の言葉に頸を傾げる。口にくわえたままじゃいつもの口癖も言えてないよ……そういうところもかわいいけど。

 

 

「とにかく、マカオもナツもギルドにはいないし。危ないから家に帰りなさい」

「なんだよ……どうせ置いてかれたくせに」

「うぐ!?」

 

 

 さあ、帰った帰ったと私は追い返そうとする、ロメオが悔し紛れに放った言葉は私の心をグリグリと抉った。やるじゃないロメオ。さすがマスターの顔面に渾身の一撃をクリティカルヒットさせた勇者だよ。

 

 

「むぐ!バリバリゴックン……ロメオ!正直に言っていいことと悪いことがあるよ!お姉ちゃん、エルザに言いくるめられて置いてかれたこと気にしてるんだから、それは言っちゃだめ!」

「そだねーリュウ……本当にそれは正直に言ってほしくなかった」

 

 

 完全にリュウにトドメさされた。意外な伏兵だった。正直ロメオより、私の心にグサッと刺さった。別にいいもん……事実だから別に言われても気にしないもん。

 

 

「…………ッグス」

「りゅ!?どうしたのお姉ちゃん、なんか悲しいことあったの!?」

「いや今のはリュウが悪いだろ」

 

 

 涙ぐむ私を見てリュウはアワアワと慌てふためく。その姿を見てロメオが突っ込みをいれた。

 

 

「……とにかく!!どんな形であろうと私はエルザと約束したの!約束は絶対に守るのが私のモットー!!私は、約束を破られるのも破るのも大っ嫌い!私がいる限りギルドの敷居は部外者は足一本いれさせない!」

 

 

 涙を拭い、私はロメオに再び宣言した。うん、エルザに言いくるめられたのは事実だけども……確かに私は約束した。それを破るのは絶対に嫌だ。

 けど、言いくるめられたことは気にしてるから、あまり言わないでほしい。私にめっちゃきく。

 

 

「まあ、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。皆……エルザやナツ達それにマスターもカチコミに行ったんだから。ファントムなんかちょちょいのちょーいってボッコボッコにされるよ」

「だよな。ナツ兄ちゃんも強いし!」

 

 

 そんなことをロメオと話していたら慌ただしくこちらへ走ってくる皆の姿を遠くに見た。ほら、やっぱりすぐに帰ってきた。

 

 

「ほら、噂をすれば皆元気に……」

「マスターがやられた!!ポーリュシカの所に早く!!」

「……え?」

 

 

 帰ってきた皆の言葉に私は耳を疑った。

 

 

 


 

 

 

 マグノリアの東の森にある治癒魔導士ポーリュシカの家、マカロフはそこに運び込まれた。そこでリュウは横たわるマカロフの手を握り、自分の持つ魔力を分け与えていた。

 

 

「りゅー……」

「フン、年甲斐もなく無茶をするからこんなことになるんだ」

 

 

 横たわるマカロフと魔力を一心不乱に渡すリュウを尻目に呆れたようにポーリュシカは言う。そしてマカロフを連れてきたアルザックとビスカを睨みつける。

 

 

「あんたらもいつまでいるんだい!とっとと帰りな!」

「し、しかしマスターの容態が……」

「看病させてください」

「帰りな……辛気くさい顔は病人にとって一番の毒だよ」

 

 

 食い下がるアルザック達をポーリュシカは突き放す。そしてマカロフをここまで苦しめている原因をつぶやいた。

 

 

「これは風の系譜の魔法だね 【枯渇】(ドレイン)……対象者の魔力を流出させてしまう恐ろしい魔法だ。流出した魔力は空中を漂いやがて消える」

 

 

 この系統の魔法は対象の魔力が強大であるほど苦痛がともなう。聖十魔導士であるマカロフにはこれ以上相性の悪い魔法はない。

 

 

「……漂っているマカロフ本人の魔力を集められたら回復も早かったんだがね……もう遅いね、こいつは長引くよリュウの魔力じゃ軽い応急処置にしかならない」

「そ、そうですか……」

「皆に伝えておきます」

 

 

 返事を返されてたことでポーリュシカはまだ家に残っていた二人に気がついた。

 

 

「あんた達まだいたのかい!!さっさと帰りな!人間くさくてたまらん!!」

「し、失礼します!!!」

 

 

 ポーリュシカに追い回されてアルザックとビスカは家を後にする。二人を追い返したポーリュシカはただ一人残ったリュウに視線を向けた。リュウは決してマスターの手を離さず、自分の魔力をただひたすら受け渡していた。

 

 

「りゅー……うぅ!?」

 

 

 しかし急にポーリュシカがリュウの頭を叩く。いきなり頭を叩かれたリュウは涙目でポーリュシカを睨みつけた。

 

 

「あんたも少しは休みな。魔力が空になって困るのはあんただろう?」

「でも……」

「いいから外でて何か食べて回復してきな!」

「りゅ、りゅー!暴力反対!ラジャ了解!!」

 

 

 休むことを渋るリュウだったが、ホーリュシカが箒を振りかぶったのを見て、リュウは慌てて外に出た。

 

 

「全く……昔から世話のかかる男ね。……本当に馬鹿なんだから」

 

 

 


 

 

 

 皆が帰ってきて一気にギルドは慌ただしくなった。怪我が酷いメンバーは手当てをしたりされたりしてて、比較的怪我が少なくて頭脳派のメンバーはもう一度ファントムに殴り込む作戦を立てていて、それ以外のメンバーは武器をかき集めたりしてた。

 そんな慌ただしいギルドの中で少しだけ静かな場所があった。

 

 

「……大丈夫?」

 

 

 私は俯いているルーシィの顔を恐る恐る伺う。ギルドに帰ってきてからのルーシィはとても浮かない顔をしていた。

 

 

「……うん、大丈夫だよ。ごめんね」

 

 

 そう言ったルーシィの手は震えてた。私たちがギルドの門番をしてた頃、レビィ達の所にいたルーシィはファントムに攫われちゃってた。ナツが助けだしてくれたから大事は免れたけど、ファントムはルーシィを確固たる目的があって狙ったらしい。

 なんと、どうやらルーシィはハートフィリア財閥の令嬢だったらしい。

 で、ファントムはその財閥のトップ……ようはルーシィのお父さんから依頼されてこっちにちょっかいを出してルーシィを攫った。でも……

 

 

「ルーシィが謝る必要はないよ。ルーシィは悪いこと全然してない」

「そうだぜ、悪いのはパバァ!?」

 

 

 ものすごい馬鹿な発言をしようとしたエルフマンの足を思いっきり踏みつける。そういうところだよエルフマン!漢を磨くだけじゃなくて乙女心もちょっとは勉強しないとだめだよ!

 

 

「でも……私の身勝手な行動で皆にこんなに迷惑が……ごめんね。私が、家に帰ればすむ話、なんだよね」

「………………」

 

 

 何かに耐えるように俯いているルーシィを見て、私の堪忍袋の緒が切れた。

 

 

「てーい!!」

「いた!?」

「いきなり何してんだ!?」

 

 

 私はルーシィの頭にチョップを放った。私の突然の行動にグレイは驚いた。だってしょうがないじゃん、こうでもしなきゃわかってもらえないと思ったんだもん。

 

 

「謝らなくていいって言ったんだから謝らない!!そもそもルーシィ一人の問題じゃないし!!」

「そ、そんなこと……」

「そんなことある!家族(仲間)の問題は家族(仲間)で解決する!それが私たち『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)!」

 

 

 胸を張って私はルーシィに宣言した。

 

 

「というかルーシィがお嬢様ってのも似合わねえよな。この汚ねー酒場で笑ってさ、騒ぎながら冒険している方がルーシィって感じだ」

 

 

 ナツの言葉に私たちも頷く。うん正直に言ったら怒られると思うけどお淑やかなルーシィはちょっと想像できないね。

 

 

「ここにいたいって言ったよな。ならそれでいいじゃねえか。お前は『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)のルーシィだろ?ここがお前の帰る場所だ」

「…………うん」

「泣くなよ、らしくねぇ」

「そうだ!漢は涙に弱い!!」

 

 

 ナツの言葉にルーシィは泣き出した。その姿を見て男性陣はたじろぐ。情けないな男性陣(というかグレイとエルフマン)みんなこれじゃ彼女はなかなかできないね。

 

 

「とにかくもう一回!今度はどっかへほっついてる男どもも呼び戻して総力戦だよ総力せんん!!?」

 

 

 今度はラクサスとギルダーツあとついでのついでにディスコミュニケーション馬鹿野郎も呼んでカチコミしなくちゃ、やられっぱなしではいられないもんね。

 そんなことを考えていたら突然ズシーン!と地面が揺れて様々な物が落ちる。え!?何!?地震!?

 

 

「つ、机の下に隠れなきゃ!!あと頭にクッション!」

「いや、この揺れは地震じゃねぇ!」

「皆!外だ!!」

 

 

 突然の揺れに慌てふためいていると、外で見張りをしていたアルザックの声に私たちは何事かと外へでた。そこで大きな建物が手足を生やして湖からこちらへ一直線に向かってきてるのが見えた。

 

 

「な、何あれ!?」

「まさかファントム!」

「あれが!?」

 

 

 湖をアメンボのように渡ってきた“ギルド”に驚いているとギルドは立ち止まり、砲台を突出させる。

 砲台はこちらに狙いを定めると膨大な魔力を集束させる。“あれはやばい”リュウも似たようなことができるけど、あれ以上にやばい。

 

 

「全員伏せろおおおお!!」

 

 

 皆が呆然とする中、真っ先に動いたのはエルザだった。誰よりも前に出て【金剛の鎧】を身に纏う。

 

 

「まさか、受け止める気か!?」

「よせエルザ!いくらその鎧でも……」

「「エルザ!!」」

「止まれお前ら!ここはエルザに任せるしかねぇんだ!!」

 

 

 私とナツはエルザの元に向かおうとしたがそばにいたグレイに引き留められた。ジタバタと拘束を解こうとするが、そうこうしている間にその魔力砲は放たれた。

 

 

「エルザアアアアアアア!」

「ギルドはやらせん!!!」

 

 

 魔力砲とエルザは拮抗する。二つがぶつかった余波で様々な破片が飛び散り私たちを襲った。それでも一人でギルドを守ろうとするエルザから目を逸らさなかった。

 魔力砲が消えるのとエルザが私たちの後方へはじき飛ばされるのは同時だった。私たちはすぐにエルザに駆け寄った。

 

 

「エルザ!」

「しっかりしろ!!」

 

 

 エルザが持つ鎧の中でも抜群の防御力を誇る【金剛の鎧】はボロボロに砕け散ってエルザ自身も魔力切れを起こしていた。

 

 

〔マカロフ……そしてエルザも戦闘不能。もう貴様らに凱歌はあがらねぇ。ルーシィ・ハートフィリアを渡せ、今すぐにだ〕

「ふざけんな!」

「仲間を敵に差し出すギルドがどこにある!」

 

 

 向こうの要求を私たちは突っぱねた。そもそもこんな手段をとるようなやつに私たちが屈する訳がない。こんな奴らに仲間は渡さない。

 

 

「仲間を売るくらいなら死んだ方がましだ!!」

「俺たちの答えは何があっても変わらねぇ!!お前らをぶっ潰してやる」

〔ならばさらに特大のジュピターを食らわせてやる!装填までの15分恐怖の中であがけ!!〕

 

 

 ジョゼはそう言って、【幽兵】(シェイド)を大量に放ってきた。仲間ごと撃つのかと思ったけど、カナが言うには【幽兵】は造り出した兵士、巻き込まれても問題がないらしい。ナツは15分までにジュピターを破壊することを宣言してハッピーと一緒に飛び出していった。

 

 

「私も行く!」

 

 

 【疾風の如く】を取り出す。ハッピーの他に空を飛ぶことができるのはこの場で私だけ、地上の“幽兵”なんて気にしない、空の上から急襲する!

 

 

「行ってきま――」

「待てシエル!」

「わっとと……急に掴まないでよ!」

 

 

 ナツ達を追いかけようとしたら。足首をグレイに捕まれた。

 

 

「連れて行け!」

「俺もだ!」

 

 

 ……え、大人二人を子供に運ばせるの。リュウがそばにいないからいつもみたいに魔力のごり押しできないのに。まあ、文句を言ってもしょうがない。そもそも私一人で突っ走ってもどうにかなる問題じゃない。ごめんねリュウ、“魔水晶(おやつ)”使わせてもらう。

 ディスコミュニケーション野郎から渡されてた風の魔法が込められた魔水晶を使ってグレイとエルフマンを浮かび上がらせる。

 

 

「行こう!」

 

 

 私たちは、ファントムのギルドへ向かった。

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