「でね!あたし今度ミラさんの家に遊びに行くことになったの!」
「下着とか盗んじゃだめだよ」
「盗むかー!」
「家具とか食べちゃダメだよ!」
「食べるかー!」
ハコベ山に向かう馬車の中、ルーシィがミラの家に遊びに行くことになったと聞いたハッピーとリュウはとんちんかんな注意をする。
特にリュウ、家具とか食べるのはリュウくらいだよ。
「「てかなんでルーシィがいるんだ?」」
ナツとハッピーは口を揃えて疑問を言った。
ハッピーはともかくナツは馬車に揺られて乗り物酔いでダウン中だというのにまだしゃべれる気力があるようだ。
「何よ、なんか文句あるの?」
「そりゃもう色々と……」
「あい」
「だって折角だから
「(株を上げたいんだ!絶対そうだ!!)」
ハッピーはルーシィの様子からルーシィが株を上げるために着いてきたと予想したがそれを口に出さなかった。
「それにしてもあんた本当に乗り物駄目なのね」
「うん、ナツは本当に乗り物が駄目なんだ」
馬車だろうが列車だろうが船だろうが“乗り物”に乗ればナツはすぐさま乗り物酔いになる。例外は“乗り物”でなく“仲間”のハッピーくらいなものだ。正直揺れはハッピーのほうが酷いと思うんだけど。
「マカオさん探すの終わったら住むところ見つけないとなぁ」
「オイラとナツん家住んでもいいよ」
「本気で言ってたらヒゲ抜くわよ猫ちゃん」
中々にテンポのいいコントのようなものに私は若干感心する。
「リュウたちみたいに女子寮に住むのもありだよ、月10万Jだけど!あと寮母さん怖い!」
「それはリュウが何でもかんでも食べるからだと思う」
リュウが何でもかんでも食べなければ怖くないよアイナさん。
「寮母さんはともかく……10万Jはちょっと高いかな……」
「まあ帰ったらミラに相談したほうが早いよ」
「うん、そうする。ありがとうシエルちゃん」
「シエルでいいよ私たちだって呼び捨てにしてるし。ね、リュウ」
「うん!呼び捨てでモーマンタイ!」
「うん!ありがとうシエル、リュウ!」
ルーシィと話していると馬車が突然止まる。ナツは止まった瞬間にがばっと起き上がる。
「止まった!」
「着いたの?」
「す、すんませんこれ以上は馬車じゃ進めませんわ」
──馬車の外は、一面の銀世界だった。
──猛吹雪の中私たちは歩く。
「ささ寒い!!いくら山の方とはいえ今は夏季でしょ!?こんな吹雪おかしいわよ!!?」
「そんな薄着してっからだよ」
「あんたも似たようなものじゃない!!シエルとリュウは寒くないの?」
「私はコート着てるし」
「リュウの衣は暖かいの!!」
私のコートは魔法の力を込めた特注品、リュウの衣はリュウ自身の魔力で作られている特別なもの。このくらいの寒さはどうってこともない、耐火性も優れているしね。
「その毛布貸して」
「ぬお」
ルーシィはナツの持ち物から毛布を抜き取り羽織ると鍵を取り出す。
「ひ、ひひ……開け時計座の扉【ホホロギウム】」
「星霊!ルーシィは星霊魔導士なんだ!」
「セーレーだ!」
どこからともなく古時計の姿をした星霊が現れる。そして、ルーシィは呼び出した星霊の中に入った。
「え」
「『私、ここにいる』と申しております」
「何しに来たんだよ」
あまりに早いルーシィのリタイア宣言のようなものにナツは至極真っ当なツッコミをいれる。
「『何しに来たと言えばマカオさんはこんな場所に何の仕事をしに来たのよ』と申しております」
「知らねぇでついてきたのか?凶悪モンスター“バルカン”の討伐だ」
その言葉にルーシィは強張る。
「『あたし帰りたい』と申しております」
「はいどうぞと申しております」
「あい」
「凍死だけはしないでね」
「りゅー」
ルーシィには悪いけど、こんな所で足を止めていられないので、私たちはすたすたと歩く。
「マカオー!いるかー!!」
「返事しないとぶっ飛ばすよー!返事しても見つけたらぶっ飛ばすけど!!」
私たちは何度もマカオに呼びかけながら雪山を歩く。こうも吹雪かれると視界も悪いし動きづらい。どうにか遭難者になる前に見つけたいところだけど……
その時、私たちは吹雪の音に紛れながらも頭上からかすかに聞こえる音に気が付く。
「「!!」」
リュウを抱えて飛び上がる。ナツも私と同時にその場から飛びのいた。わずかな差で私たちのいた場所に巨大な何かが落下する。私たちは何かが落下した場所に目を向けるとそこにいたのは。
「バルカン!」
猿のような、ゴリラのようなモンスターにすぐさま攻撃態勢にはいる私たち。
しかし、バルカンは目の前の私たちに目もくれず後方のホロロギウムへと向かう。
「え!?」
「人間の女だ!うほほーー!」
正確にはホロロギウムの中にいるルーシィに一目散に向かい、ホロロギウムを担いですたこらさっさと逃げて行った。な、なんという逃げ足の速さ……というより。
「あれ、私も女……」
なんで目の前の私やリュウを無視して後ろにいるルーシィを狙ったんだろう。いや、別に良かったけど。リュウに手を出したら八つ裂きにしていた自信があるけど。
「子供には興味はないんだよ、きっと!」
「む、どうせ私は子供ですよーだ」
子供というのは認める、実際に子供だし。けど、子供をなめてもらっちゃ困るね。
「てかバルカンって喋れんのか」
「喋ったんだから喋れるんじゃないの、それよりナツどこに行ったか分かるよね?」
「たりめぇだ!
「ねえねえ二人とも、あのバルカンの魔力「リュウ、置いてくよ!」
「りゅ!?待ってよー!」
私たちはナツを先頭にバルカンを追った。
しばらく走っていると洞窟のようなものにたどり着く。先頭にいたナツはただひたすら走り出す。
「うおおおおお!!やっと追いついたー!マカオはどこだー!!あが!ぐお!ブベ!?」
ブレーキなんか知った事じゃないとスピードを出して走っていた為かナツは洞窟の氷に足を滑らせ、見事な回転を私たちに見せて壁に激突した。
「普通に登場とかできないのかしら……」
「ルーシィ、ナツにそれは無理!!」
「でしょうね……」
普通に登場なんて
「おいサル!!マカオはどこだ!!」
「ウホ?」
「ねえねえ皆!だからマカオは……」
「マカオをどこに隠した!」
「隠したって決めつけてる!?」
「というよりそんな簡単に教えてくれるわけ……」
マカオの依頼がバルカンの討伐だったからには、マカオの行方はバルカンが握っている。そう直感したナツはバルカンを問い詰める。
バルカンはナツの言葉に少し考えると手招きをし、穴を指さす。
「通じた!」
「そんな簡単に教えた!?」
な、ナツの野生のオーラがバルカンに通じたのかな……ま、まさかこんな簡単にバルカンがマカオの居場所を教えてくれるなんて……
私は予想もしなかったことに茫然とする。その為、次の行動が遅れてしまった。
「どこだマカオ!」
ナツは穴をのぞき込む。その背中をバルカンが押し、ナツを突き落とした。
「あああああああああ!?」
「ナツー!?」
「だ、騙したの!」
「男いらん、オデ……女好き」
「死んでないわよね!!あいつ、あー見えてすごい魔導士だもんねきっと……」
「……大丈夫、ナツはきっと殺しても死なない」
保証はしないけど、ルーシィを安心させるためそう告げた。こんなとこで死んでたらとっくの昔に死んでる。ナツが今までしてきたことはこんなことの比じゃないし。落ちた人のことを気にしてても仕方がない、そんなことより今は目の前の敵をどうにかしよう。
「女~!女~!子供はいらん!」
「そう、奇遇だね。私もマカオを探すのにエロゴリラはいらないよ」
そう、まずはこの失礼なエロゴリラをどうにかすることを考えよう。
私は手を宙へ差し出し、槍を呼び出す。翡翠の宝玉がはめられた槍を手に取ると、私の髪とコートが風で舞い上がった。
「【疾風のごとく】」
「何もないところから槍が!?」
シエルの手に突然現れた槍にルーシィは驚く。ルーシィの横でリュウはひょっこりと顔をだし解説する。
「【換装】っていうんだ!別空間にストックされている武器を呼びだすの!今の槍だけじゃなくて、違う槍に持ち替えたりすることもできるんだよ!それがお姉ちゃんの
「ご丁寧に説明ありがとうリュウ。とにかくエロゴリラ、ひたすらぶっ飛ばして洗いざらいはいてもらう!」
「ウホ!?」
シエルは目にも止まらぬ速さでバルカンの懐に潜りこみ、バルカンを槍で弾き飛ばす。
「速い……」
「お姉ちゃんの槍にはね、様々な“属性”が付いてるの。その“属性”によって様々な効果が得られるんだ。今の【疾風のごとく】の属性は【風】!あの槍を手にしたお姉ちゃんは風を操り、風のように速く、風のように空を舞う!」
ルーシィの目には風を身にまとい、自分の身の丈以上の大きなバルカンを時に後ろに回り込み、時に空を飛び小さな体で翻弄しているシエルの姿があった。バルカンは中々捕まらないシエルにしびれを切らしたのか地面を何度も叩く。
「ウホ!ウホホ!」
「きゃ!」
「りゅ!?」
「地ならし?空を飛んでる私には意味が……!」
バルカンの意図に気付き、上を見上げる。地ならしの衝撃で洞窟にできた氷柱が落ちてきた。
「ちぃ!!」
これくらいなら槍と風で弾けるけど、ルーシィ達の氷柱まではカバーできない。
というか私はともかく目的?だったルーシィまで巻き込む攻撃をするとは思わなかった。だからリュウをルーシィのそばに置いてったのに、喋ったりナツを騙したから知能高いと思ったけどなんだかんだバカだったのかバルカン。
「リュウ!」
「りゅ!りょーかい!」
大声でリュウの名前を呼ぶ。
私の考えを読み取ったリュウはルーシィの前に立ち、頭上を見上げ大きく口を開ける。そして空気ごと落ちてきた氷柱を吸い込んで食べた。
「バリバリ……ごっくん!ご馳走様でした!」
「全部、食べちゃった……もしかしてリュウも
ルーシィはギルドで様々なものを食べた姿、そして今全ての氷柱を食べきった姿からリュウを
「リュウは、“
ニコリとリュウはルーシィに向けて笑顔を見せる。
「ウホ!邪魔するな!」
「りゅ、人の用事の邪魔してるのそっちだもん!そっちがその気ならこっちだって考えがっう!?」
バルカンに向け、大きく口を開けて何かを吐き出そうとしたリュウだが突然頭を抱えて蹲る。
「「リュウ!?」」
「あ、頭……頭キーンてした……」
「そりゃあんだけ氷食べればそうなるわよね……」
「よく噛んで食べないからだよ!!」
「それは関係ないと思う」
蹲るリュウを心配するシエル達だが、原因が分かり少し呆れた様子を見せる。
「ウホホー!」
「ってそんな場合じゃなかったー!開け!金牛宮の扉……【タウロス】!」
「MOーー!!」
ルーシィは迫るバルカンに金の鍵を向け、星霊界の扉を開ける。
現れたのは巨大な斧を持った牛人間だった。
「牛!?」
「何その牛人間!?」
「牛肉!」
「あたしが契約している星霊の中で一番パワーのあるタウロスよ!エロザル!コイツが相手になるわ!!後、食べちゃダメだからね!!」
ルーシィは前半をバルカンに後半をリュウに向けて言う。正直いくらリュウでもそんなことをしないとは思いたいが念のため釘を刺すことにした。というかタウロスを見た第一声が明らかに不穏な言葉だった。
「ルーシィさん相変わらずいい乳していますなぁMOーステキです!」
「そうだ……コイツもエロかった……」
バルカンと似たような性質のタウロスにガックシと肩を落とす。
「ウホッ!オデの女とるなっ!」
「オレの女?それはMO聞き捨てなりませんなぁ」
「そうよ!タウロス!!あいつをやっちゃって!!」
「“オレの女”ではなく、“オレの乳”と言ってもらいたい」
「もらいたくないわよ!!」
登場時の第一声でアレだなと思っていたが思っていた以上にアレだった。ちょっと星霊性を疑うんだけど。私の中でタウロスが苦手な部類に入った瞬間だった。
「タウロス!」
「MO準備OK!!!」
ルーシィの指示でバルカンに突進するタウロスとそれを迎え撃つバルカン。しかしその時、穴から這い上がる者がいた。
「よ~く~も~落としてくれたなぁ……」
「ナツ!!よかった!」
這い上がってきたものはナツの姿にルーシィは無事を喜ぶ。
「なんか怪物増えてるじゃねーか!!」
「きゃあああああああ!?」
タウロスは這い上がったナツに殴り飛ばされた。何という出落ち。
「ダメっぽいですな……」
「なんでよりにもよって新しく増えたほうを攻撃した……」
ナツに一発KOされ意識を失うタウロス。そこは最初から敵だと分かってるバルカンを攻撃しなよ……
「人がせっかく心配してあげたのに何すんのよー!てゆーかどうやって助かったの!?」
「ハッピーのおかげさ、ありがとな」
「どーいたしまして」
「そっか……ハッピー羽があったわね、そーいえば」
「あい、能力系魔法の一つ
私たちの頭上には羽を生やし飛ぶハッピーの姿があった。それもあってさっきは大丈夫と言ったつもりだったけどルーシィはそこをすっかり忘れていたようだった。
「あんた、乗り物ダメなのにハッピー平気なのね」
「ハッピーは乗り物じゃねえよ“仲間”だろ。ひくわー」
「そ……そうね、ごめんなさい」
なんか腑に落ちない気持ちを抱えながらルーシイは謝る。
ナツ、ルーシィはそういう意味で言ったんじゃない。ハッピーのほうが揺れが酷いと思うのになんで大丈夫なのか聞きたかったんだよ。まあ、その問いは“仲間だから”なんだけども。
「いいか、
この状況で説教を始めるナツ。
しかしバルカンはこっちの事情もお構いなしと突進してきた。まあその行動は間違ってないんだけど。
「そう簡単には行かせないよ」
ナツたちとバルカンの間に入って槍を構える。
「ウホッ邪魔!!」
「邪魔してるんだよ!」
バルカンの右の拳を風で弾く、私個人のお気に入りは【疾風のごとく】……でもせっかくナツが這い上がってきたんだ、ちょっとばかりかっこつけてみようかな。
「じっちゃんもミラも……うぜえ奴だがグレイやエルフマンも……」
「分かったわよ、分かったから!シエルのほうを!!」
「ハッピーもシエルもリュウもルーシィも仲間だ」
「りゅ!仲間です!」
ナツの言葉に私とリュウに笑みがこぼれる。
「……だから、マカオは必ず連れて帰る!!」
ナツは私が相手をしていたバルカンを殴り飛ばした。バルカンが離れたことにより、これ幸いと私は【換装】で槍を持ち替える。
「【紅蓮の炎】!」
紅玉の宝石がはめられた槍、【紅蓮の炎】この槍は火の属性を持ち、強靭な肉体と力を私に与えてくれる。これはナツと最も相性がいい槍、まあ……ナツと一緒に戦う時は“肉体”の部分があまり関係なくなるんだけど、私がただの補給係と化すからね。
「お!うめえ奴だ!」
「というわけであげるよナツ!」
魔力を籠め、炎の斬撃をナツに向けて何度も放つ。
「おう!むしゃむしゃ!ごっくん!よっしゃー食ったら力が湧いてきた!!」
ナツはその炎を食べて体力を回復そして強化した。うん、リュウほどじゃないにしてもナツだって中々の悪食だ。
「【火竜の鉄拳】!!」
「【真紅の炎華】!!」
私は炎の斬撃を、ナツは炎の拳をバルカンに向けて放つ。私たちの攻撃をまともに食らったバルカンは吹き飛び、ナツが落ちた穴に挟まった。
「この猿にマカオさんの居場所を聞くんじゃなかったの?」
「あ!?そうだった!!」
「完全に気絶しちゃってるわよ」
「おーけー殴って起こそう」
「行動が物騒よシエル」
気絶したというなら話は簡単。起きるまで殴り続ければいいだけだよ。
「りゅ!」
「リュウ?」
腕をぐるぐると回し、殴る準備をしてたら私の横をすり抜けてリュウがバルカンに走り出す。
「マカオ!」
「え!?」
「何!どこだマカオ!」
「え゙」
ようやく私は気づいた。今のリュウの言葉と行動、ここに来る前に何度もリュウは私たちに何かを伝えようとした。
それから察するにまさか……
私の予想を裏付けるようにバルカンが光を放ちその姿を変える。
「何だ何だ!?」
光が収まり、バルカンが消えるとマカオが代わりにそこにいた。
「サルがマカオになったー!?」
「バルカンに
「
「体を乗っ取る魔法!
バルカンが喋ったのはマカオを
「あーー!?」
「りゅ!」
一番早く動いたリュウはマカオの左足を掴むが重さに負け一緒に落ちてしまう。それを追ったナツはマカオの右足を掴み、私は【疾風のごとく】に持ち替えリュウを抱える。ナツの足をハッピーが掴み、私とハッピーの力で皆を引き上げようとした。
「重い……」
「これじゃ無理だよ!羽も消えそう!」
しかし思っていた以上に重く、私とハッピーの力じゃ全員を抱えて飛ぶことは不可能だった。
「ん!」
「ルーシィ!」
力尽き落下しそうになる私たちをルーシイが掴む。しかし女性の力では引き上げることは不可能でルーシィも一緒に落ちそうになる。
そんな私たちを救ったのが──
「MO大丈夫ですぞ」
気絶から復活したタウロスだった。
「タウロス!」
「牛ーー!いい奴だったのか!」
「うん。正直、ナツは後でタウロスに謝ったほうがいいと思う」
そんなことをこの状況下でふと思ってしまった。
タウロスに引き上げてもらい、私たちはマカオの手当てを始める。
「持っていた応急セットじゃどうにもならないわ……」
「……………」
ナツは手に炎を宿し脇腹の傷に押し当てる。
「ぐあああああああ!?」
「ちょ!何してんのよ!」
「今はこれしかしてやられねえ!我慢しろよマカオ!!」
ナツは傷口を焼き止血をする。確かに、今の状況はこれしか手がない、これ以上血を流すことはないけど。
それでもこの荒療治にマカオの体力が持つかどうか……こうなったら!
「リュウ!」
「りゅ!あいあいさー!」
「何を……」
リュウは私がしてもらおうとしたことが分かったのかマカオの手を取り、自分の魔力をマカオに分け与える。
「……リュウは食べたものを魔力に変換し、溜め込んだ魔力を他者に分け与えることができる」
リュウの能力は何でも食べて魔力にする【吸収】と魔力を吐き出す【放出】、ある事情で食べてできた巨大な魔力はその日のうちにすぐになくなってしまうが。リュウは食べるものさえあれば魔力を生産することができる。
「魔導士にとって魔力は生命の源に等しい。それでマカオの体力を少しでも回復させる!」
「死ぬんじゃねぇぞ!!ロメオが待ってるんだ!」
「ふがっ!?……ぐっ……情けねぇ…19匹は…倒したんだ」
止血の痛みからか、マカオが意識を取り戻し、途切れ途切れに何があったのかを伝える。
「20匹目に
そう言ったマカオの目から、痛みからではない涙が流れていた。
「リュウはそうは思わない」
マカオの手を握りしめていたリュウがマカオの言葉を否定する。
「ロメオから聞いた。ロメオは周りの子にマカオをバカにされて、悔しくてマカオにお願いをしたって。子供のために頑張ったお父さんを、リュウは情けないとは思わない」
リュウはまっすぐマカオの目を見て言った、それは嘘偽りのない本心で心の底からリュウが思ったことだった。
「リュウ……」
「リュウの言う通り、ここで一番情けないのは、帰ってくるって約束したのに約束破って帰ってこないこと!そんな情けない行動を取ったら地獄まで追いかけてでもぶっ飛ばすよ!」
「へっ……そりゃこえぇな……」
「心配かけたなすまねぇ……」
「いいんだオレは魔導士の息子なんだから……」
「今度クソガキ共に絡まれたら言ってやれ、テメェの親父は怪物19匹倒せんのか!!ってよ」
ロメオは帰ってきたマカオに抱き着く、それを見た私たちはこっそりとその場を離れる。
「ナツ兄――!ハッピーー!シエル姉――!リュウー!ありがとうーー!それとルーシィ姉もありがとうーー!!!」
何も言わずに立ち去る私たちに気づいたロメオはお礼を叫ぶ。ナツとハッピーは気の抜けた返事を返す。私とリュウは何も言わず黙って手を振る。ルーシィは照れくさそうに手を振った。
“マカオがロメオの約束を守った”ことにより、これにてこの件は一件落着したのだった。
主人公紹介
名前
シエル・フェンデス
年齢
12歳
魔法
様々な属性の魔法槍を換装して戦う。
現在判明している魔法槍
【疾風のごとく】
風属性 付与される効果は【速さ】 風を纏って空を飛ぶことも可能。
【紅蓮の炎】
火属性 付与される効果は【肉体強化】 NOUKIN一歩手前。
好きなもの
リュウ、ギルドの皆
嫌いなもの
約束を破る奴
備考
本名はシエルアーク・???。
シエル自身はその名前を嫌っていて
ギルドに入ったのは4年前。
1話で髪を魔法で染め上げているが本来の髪色は青色。
左手に白い
名前
リュウ
年齢
7歳
魔法
【吸収】
無機物、有機物、魔力のあるなしにかかわらず食べて、魔力に変換する
【放出】
溜めた魔力を吐き出す。他者に分け与えることもできるが本来は攻撃の手段。
属性を変換して吐き出すことも可能。
【変化】
いつもこれで竜の姿を人の姿に変えている。
魔力が消費される理由その1。
リュウの魔力で作られた衣。生半可な魔法じゃ破くことも裂くこともできない。
寒さにも熱さにも強くリュウがいつも着ている服はこれ。
魔力が消費される理由その2。
好きなもの
食べられるもの、お姉ちゃん、
嫌いなもの
食べられないもの、お姉ちゃんを泣かす人
備考
口癖は竜状態の鳴き声でもある“りゅ”、驚いた時や考える時、返事を返す時に活用する。
8年前にシエルに卵を拾われその1年後の7月7日に孵った。
リュウ本来の姿は白銀のまだ小さい竜。
ギルドに入ったのは4年前だが依頼を受けるようになったのは2年前。
右手に黒い