FAIRY TAIL 竜騎兵と竜の子   作:MATTE!

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鉄の森

「そういやあたし……『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)でナツやシエルやリュウ以外の魔法見たことないかも」

 

 

 ルーシイが、エルザやグレイの得意とする魔法を聞く。あーギルドの喧嘩は見たことにならないよね。何せ状況が目まぐるしく変わるもん。誰がどの魔法を使ったなんてわかるはずがない。

 

 

「エルザさんはどんな魔法を使うんですか?」

「エルザでいい」

「エルザの魔法はキレイだよ。血がいっぱい出るんだ、相手の」

「キレイなのそれ?」

 

 

 ハッピー、誤解を招くような説明は止めよう。相手の血が舞うのはエルザの腕前の結果であって、エルザの魔法が直接の原因ではないエルザの魔法がそんな風に認識されてしまったら私にちょっとした飛び火が来てしまう。

 

 

「たいしたことはない……私はグレイの魔法のほうが綺麗だと思うぞ」

「そうか?……ふん!」

 

 

 グレイは右手をグーに左手をパーにして合わせる。すると氷の紋章がグレイの手のひらに現れた。

 

 

「わあ!『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)の紋章ね!」

「氷の魔法さ」

 

 

 グレイは氷の紋章をムシャムシャと最後のお弁当を食べていたリュウに放り投げる。リュウはすかさずそれを口でキャッチしてバリバリ食べた。その後ラストスパートをかけて一気にお弁当を“箱”ごとおなかの中に放り込んだ。

 

 

「ごちそーさまでした!」

「おかしい……おかしいって……」

「ルーシィ、気持ちは分からないでもないがこれがリュウだ。深く考えるのは諦めろ」

 

 

 グレイはポンとルーシィを労わって肩を叩く。4年前自分たちが受けた衝撃を彼女はまとめて今味わっているのでルーシィの気持ちは痛いほどよく分かった。その為もう初期から諦めるほうが得策だとルーシィを諭す。

 

 

「えー……」

「つーかそろそろ本題に入ろうぜエルザ。一体何事なんだ、お前ほどの奴が人の力を借りたいなんてよほどだぜ」

「そうだな……話しておこう。先の仕事の帰りだ。オニバスで魔導士が集まる酒場に寄った時、少々気になる連中がいてな」

 

 

 エルザが言うにはその変な連中は封印された【ララバイ】という魔法の解除に手間取って愚痴をこぼしていたらしい。それだけならエルザも普通の依頼だと思い、その時は見逃した。しかし『エリゴール』という名前を思い出したことで状況は変わった。

 

 

「魔導士ギルド『鉄の森』(アイゼンヴァルド)のエース、『死神』エリゴール」

「し、死神!?」

「暗殺系の依頼ばかり遂行し続け、ついた字だ」

 

 

 本来暗殺依頼は評議会の意向で禁止されている。しかし『鉄の森』(アイゼンヴァルド)は金を選び、暗殺依頼を遂行し続けた。そのせいで6年前に魔導士ギルドを追放されたというのに、認可されてない闇ギルドとして今もなお活動を続けている。

 

 

「不覚だった……あの時エリゴールの名に気付いていれば……全員血祭りにしてやったものを……」

「過去をくよくよしても仕方がないよエルザ!今は目の前のことをやろう!!」

 

 

 拳をつくりにかっと笑う、過去なんてどうあがいても変えられないんだし、そんなことより今!『鉄の森』(アイゼンヴァルド)をどうするか考えないと!……ん?なんだろ、何か足りない気が……あれ?まさか……まさか……まさか!!!?

 

 

『鉄の森』(アイゼンヴァルド)の場所は知っているのか?」

「それを今からこの町で調べるんだ」

「あれ?うそでしょ!」

 

 街に降り、『鉄の森』(アイゼンヴァルド)の情報を調べようとするエルザたちしかし、ルーシィがあたりを見渡し衝撃の事実を話した。

 

 

「ナツと「リュウウウウウウウウウウウウ!!!!」……がいないんだけど」

 

 

 ルーシィの言葉を遮り、シエルが凄まじい形相そしてスピードで駅へ引き返す。残された三人は開いた口がふさがらず一瞬茫然となったがすぐに意識を戻し、シエルの後を追った。

 

 

 


 

 

 

「りゅー……ナツー?起きないのー!置いてかれたよー!」

「うっぷ……」

 

 

 何とかしてナツを起こそうとリュウはナツを揺さぶる。乗り物酔いにプラスされリュウの行動は逆効果となっているが起きないナツもナツなのでそこに関してはイーブンというところだろう。

 

 

「ここ空いてるかい?」

 

 

 リュウが乗り物酔いでダウンしているナツに悪戦苦闘していると、ちょんまげの男がリュウたちの目の前の席に座る。

 

 

「りゅ?空いてるけど……」

「じゃあ座らせてもらおうかな。……お兄さん気分悪そうだけど大丈夫?」

「それはいつもの事だから大丈夫!」

 

 

 ちょんまげの男はリュウの右手の甲とナツの右肩のマークに目ざとく目をつける。

 

 

『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)、正規ギルドかぁ……うらやましいな」

「知ってるの?」

「有名だからね君たちのギルドは、ミラジェーンとかたまに雑誌に載ってるし綺麗だよね。なんで現役を止めちゃったのかな」

「なんでだろうねー」

「名前知らないんだけど新しく入った女の子が可愛いんだっけ?」

「りゅ?……“傭兵ゴリラ倒したって武勇伝は聞いたけど可愛いかなぁ?”」

 

 

 リュウは首を傾げ、考えるそぶりをする。しかし、目の前のちょんまげの男から目を離さない。

 

 

「うちのギルドは女っ気がなくってさぁ、少し分けてよ……なーんつって」

「!!」

 

 

 ちょんまげの男は足を大きく上げる。リュウはナツの体を引っ張り横に転がった。ナツの顔を目がけて蹴られた足はイスの背もたれに当たる。

 

 

「人を蹴っちゃいけないんだよー!」

「ごめんごめん君のお兄さんがシカトするからさーシカトはやだな、闇ギルド差別だよ」

「ああ!?」

 

 

 意識が戻ってきたナツがちょんまげの男を睨み付ける。

 

 

『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)って言えばずいぶん目立っているらしいじゃない。ムカつくんだよね正規ギルドだからってハバをきかせてる奴って。うちら『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)のことなんて呼ぶか知ってる?ハエだよハエ!!」

 

 

 『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)であるリュウとナツを目の前の男は嘲笑う。それどころか『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)も嘲笑した。リュウは身の内から湧き上がる怒りを抑え、男の目をまっすぐ見た。

 

 

「そっちだって目立ちたかったら真面目に警告聞いてお仕事すればよかっただけだよ。リュウ、知ってる。人間って楽なほう楽なほうに逃げるとろくな奴にならないんだって!」

「このガキィ!!」

 

 

 男は影を伸ばし、影はリュウに目がけて襲い掛かる。リュウは避けようともせず真正面から迎え撃とうと口を大きく開けた。そして迫りくる影を吸い寄せ、影を食べた。

 

 

「なっ!?食べた!?」

「ごっくん……まっじゅい!!」

 

 

 リュウはべーっと舌を出し、咳き込んだ。

 

 

「例え魔法が食べられるとしても、この数は対処できないはずだ!」

 

 

 男は影を増やし、その数は一つから四つに増える。リュウは先ほどと同じように食べようとするが、思い直しそのまま突撃する。

 

 

「血迷ったか!!っ!?」

 

 

 影はリュウの貫こうするがそれはリュウの着る衣に弾かれ、ねじ曲がった。

 

 

「な、なんでっ……」

「この程度で、リュウの衣を貫けると思わないで。お姉ちゃんの教え!!家族をバカにされたら…… “とりあえず一発ぶっ飛ばす!!”」

 

 

 リュウは男の懐に潜りこみ、口を大きく開けて今出せる最大の一撃を放とうとした。しかし、突然の急停止でリュウはバランスを崩し、列車内を転がった。

 

 

「急停止か!?」

「りゅーー!?りゅ!?」

 

 

 そしてイスの手すりに頭をぶつけ頭を抱える。

 

 

「ガキィ……ずいぶん調子にのってるじゃないかぁ……」

「……っ!」

「さっきはよくも『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)を侮辱したな……!」

「え!?」

「お返しだ!!」

「がぁ!!?」

「ナツ!」

 

 

 リュウに迫る男をナツは殴り飛ばした。男は列車の壁を突き破り何度かバウンドする。バウンドした男の荷物から三つ目の髑髏の笛が転がり落ちた。

 

 

「りゅ!」

「笛?」

「み、見たな!!」

「おう、見たぞ」

〔お客様にお知らせします、先ほどの急停止は誤報によるものと確認できました。まもなく発射します〕

「やば!!逃げるぞリュウ!!」

「りゅ!あいあいさー!」

 

 

 列車が動き出したら明らかに不利になるのはこちらの方。それが分かっていた二人は今のうちに逃げ出すことにした。

 

 

「逃げるなぁ!『鉄の森』(アイゼンヴァルド)に手を出したんだ!ただで済むと思うなよハエがぁ!」

「こっちも覚えたぞ!さんざん『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)を侮辱しやがって!」

 

 

 売り言葉に買い言葉、そこに紛れた重要な言葉に気が付いたのはリュウだけだった。

 

 

「今度は外で勝負してや……うっぷ!」

「りゅ!?待ってナツ!あいつが『鉄の(アイゼン……)「とう!」

 

 

 リュウが止まるのも聞かず、ナツはリュウを脇に抱え、列車の窓から飛び降りた。

 

 

「ナツ!?」

「リュウ!!」

 

 

 丁度、魔道四輪車で追いかけていたエルザたちの姿が見えた。その後、ナツは屋根に乗っていたグレイと顔面衝突し、その影響で吹き飛ばされたリュウを【疾風のごとく】で飛んでいたシエルが保護した。

 

 

「お姉ちゃん!あり「リュウ!大丈夫!?ケガしてない!?」だ、大丈夫!」

「良かった!」

 

 

 リュウが無事なことにホッとしてシエルは力の限りリュウを抱きしめる。そのあまりの締め付けにリュウは息ができなくなり、ポンポンと肩を叩く。

 

 

「りゅ~~!?おねちゃ、息が……」

「あ、ごめん!」

 

 

 リュウは息を整える。そして今すぐにでも伝えなければいけないことを伝える。

 

 

「お姉ちゃん!列車を追って!!『鉄の森』(アイゼンヴァルド)の人が乗ってたの!!」

 

 

 リュウの言葉に皆顔色を変えた。

 

 

『鉄の森』(アイゼンヴァルド)!?」

「何だと!?」

「そうだ!そいつに絡まれて逃げ「バカモノォ!!!」

 

 

 ナツがエルザに平手打ちで飛ばされた。なんという威力……ナツが吹っ飛ばされたのを見たリュウが、震えて私の後から離れないので頭を撫でて落ち着かせる。大丈夫だよリュウ、流石のエルザも7歳の子供は殴らな……いと思うし。本当のところ確証は持てないですけど。

 

 

『鉄の森』(アイゼンヴァルド)は私たちの追っているものだ!!なぜ逃げてきた!!」

「そんな話、初めて聞いたぞ……」

「なぜ私の話をちゃんと聞いていない!」

 

 

 A.エルザが気絶させたからです。

 

 

 皆そう思ったが、口にするのは憚った。

 

 

「さっきの列車に乗っているのだな今すぐ追うぞ!!どんな特徴をしていた」

「あんまり特徴なかったなぁ」

「ちょんまげに糸目だった!」

 

 

 よく人の顔を覚えてないナツと違い、リュウはきちんと人の特徴を告げる。

 

 

「あとなんか、髑髏っぽい笛持ってた三つ目がある髑髏だ」

「その笛ね、口にしたくもない魔力だった!」

「リュウが口にしたくもない魔力?」

 

 

 笛の魔力を思い出したのかウベーっとリュウは顔をしかめた。

 並大抵のものは食べることができるリュウだけど、そんなリュウにも嫌いなものはある。その笛の魔力が嫌いということは……

 

 

「三つ目の髑髏の笛……」

「どうしたのルーシィ」

「ううん、まさかね……あんなの作り話よ、でも、もし本当だとしたら。それが……その笛がララバイだ!!【呪歌】(ララバイ)……死の魔法!」

「何!?」

「呪歌?」

 

 

 【呪歌】(ララバイ)、三つ目の髑髏の笛、エルザとリュウたちからその話を聞き、ルーシィは昔本で見た【呪歌】(ララバイ)についての情報を思い出した。

 

 

「禁止されている魔法の一つに呪殺ってあるでしょ?」

「ああ、その名の通り対象者を呪い、“死”を与える黒魔法だ」

【呪歌】(ララバイ)はもっと恐ろしいの。……黒魔導士ゼレフが進化させた魔笛、その笛の音を聴いた者、全てを呪殺する……“集団呪殺魔法” 【呪歌】(ララバイ)

「んな!」

「待てよそれが本当かどうかは分からないんだろ!?」

「いや、ルーシィの言ってることは間違いない」

 

 

 ルーシィの言葉を信じきれないグレイだったが、私はルーシィの言葉に同意した。

 

 

「その理由は?」

「……リュウ、あなたその笛は食べたくなかったんだよね?」

「りゅ。口にしたくなかった。なんか持ち主よりまっじゅい感じした!」

「大抵なものはなんでも食べるリュウが嫌いなものは、“性根が腐った奴の魔力”と“死を与える黒魔法”」

 

 

 前者はともかく後者に至っては絶対に食べれない。笛に性根は関係ない。

 だからリュウが食べたくなかった理由は──

 

 

「あの笛には【黒魔法】が宿っている。だから、それは本当の話だ」




投稿して少し経った後に見直して修正前の奴を載せていた時の衝撃。
あまり変わってませんが修正しました。
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