FAIRY TAIL 竜騎兵と竜の子   作:MATTE!

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オシバナ駅

 ドギャギャギャギャギャと魔動四輪車がドンドンとスピードを上げ、暴走しているかのように突き進む。

急いで『鉄の森』(アイゼンヴァルド)を追いかけたのはいいが、クヌギ駅にはすでに居なかった。列車を強盗してその先のオシバナ駅まで向かったということで、私たちはオシバナ駅に向かっているのだ。

 しかし肝心なことを忘れちゃいけない、この魔動四輪車は運転手の魔力を消費してスピードを上げる。ということはこんなキチガイじみた速度を出すためキチガイじみた魔力を供給する子とそのキチガイじみた速度でキチガイじみた運転技術を披露する運転手がいるということを。

 

 

「りゅーーーーー!!!」

「よしいいぞリュウ!!」

 

 

 腕に着けたSEプラグからリュウは大量の魔力を魔動四輪車につぎ込む。燃料-リュウ。ハンドル-エルザ。この最強タッグの組み合わせで今ここに暴走魔動四輪車が完成した。

 

 

「ナツ!落ちるわよ!」

「落としてくれ~……」

 

 

 そしてこの暴走四輪車の被害者(ナツ)は窓に引っかかっていた。ナツ……本日二回目のなーむーだね。リュウがいないから合掌はしないけど。

 

 

「リュウ!SEプラグが膨張してるしいくらなんでもやり過ぎだ!いくらお前でもこのままじゃ魔力切れを起こすぞ!」

 

 

 暴走四輪車の屋根にへばりついているグレイがリュウを心配して、魔力を抑えるように言う。しかしそんな心配はご無用だ。

 

 

「りゅーー!まだまだ大丈夫!!」

「甘いよグレイ、私の財布を生贄に得た魔力がこんなことで尽きるわけがない」

 

 

 私はグレイに空になった財布をアピールする。流石リュウ!財布の中にあったお金を丁度全部使いきるなんて買い物上手!駅弁マスターだね!

 

 

「おいまさか、それ所持金全部だったんじゃ……」

「大丈夫大丈夫、そこは安心していいよ」

 

 

 私の財布を見て、最悪の考えが過ったのか恐る恐るとグレイは私の金銭状況を聞く。しかしそんな心配はいらないと私はグレイに笑った。

 

 

「“家に帰れば”非常時のためにとっておいたヘソクリがまだ残っている」

「それ大丈夫じゃねーよ!!今無一文じゃねーか!!」

「そうともいう、まあ、それは置いといて……冗談抜きで急いだほうがいいでしょ!!ここでノロノロしていて沢山の人の命が失われたらどうするって話!!リュウ!後で美味しいものいっっっぱい!!!食べさせてあげるから!ありったけを吐き出しちゃえ!!」

「りゅーーーーー!!!」

 

 

 


 

 

 

 リュウとエルザの暴走四輪車で着いたオシバナ駅、そこは人がごった返していた。エルザは魔動四輪車を人がいない所に停め、みんなは駅へ走り出す。

 

 

「リュウ、頑張った!」

「お疲れさまリュウ!」

 

 

 お仕事が終了したリュウが飛びついてきたのでそれを受け止めて抱きしめる。本当ならもう少し褒めてあげたいところだけど。まだまだ事件は終わっていないのですぐにリュウをおんぶし、私もみんなの後を追った。

 

 

「皆さんお下がりください、ここは危険です!ただ今列車の脱線事故により駅へは入れません!!」

 

 

 拡声器を手に持つ駅員が集まった野次馬たちに呼びかける。それに構わず私たちは人の波をかき分けて突き進む。

 

 

「駅内の様子は?」

「何だね君!!……うほっ!?」

 

 

 問いかけに即答しなかった駅員をエルザは頭突きで物理的に黙らせた。なぜ黙らせる必要があるのかものすごく疑問に思うが、多分エルザ的には即答できる人しか必要ないということだと思う。

 そんな犠牲者が増える横で私たちは各々駅内に入る。駅に入り、真っ先に目にしたのは倒れ伏す軍の小隊だった。

 

 

「ひいいっ!!」

「全滅!」

「相手は一つのギルド、すなわち全員魔導士。軍の小隊ではやはり話にならんか……」

「急げ!ホームはこっちだ!!」

 

 

 私たちはホームへと向かう。そこでは『鉄の森』(アイゼンヴァルド)が私たちを待ち構えていた。

 

 

「やはり来たか『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)、待ってたぜぇ」

 

 

 その中でひときわ異彩を放つのが大鎌を持った男だった。

 

 

「貴様がエリゴールだな」

「あれ……あの時の鎧の姉ちゃん」

「なるほど……計画バレたのオマエのせいじゃん」

「貴様らの目的は何だ?返答次第ではただでは済まんぞ」

「まだわかんねぇのか?駅には何がある?」

 

 

 エリゴールは私がいつもしてるように風を纏って飛び上がる。

 

 

「列車!」

 

 

 私のおぶられていたリュウがエリゴールの問いに答える。そうだね、駅にあるのは列車だね。さっすがリュウ!これ以上ないほどの正解だよ!!

 

 

「ぶー」

 

 

 リュウの答えに不正解を出すとスピーカーを叩く。

 

 

「そこは列車でいいじゃん、風使いなのに空気読めないねあの風使い。スピーカーなんて駅以外どこにでもあるし。その代わり列車は駅にしかない!!ということでリュウのほうが正解だから!!というかなんでスピーカー!」

【呪歌】(ララバイ)を放送する気か!!」

 

 

 エリゴールの意図に気が付いたエルザが叫んだ。

 

 

「これは粛清なのだ権利を奪われた者の存在を知らず、権利を掲げ生活を保全している愚か者どもへのな。この不公平な世界を知らずに生きるのは罪だ、よって死神が罰を与えに来た。死という名の罰をな!!」

「そんなことしたって権利は戻ってこないのよ!?」

「……くっだらない!!」

「なんだと?」

 

 

「不公平というのは認めてあげる。この世界が公平なんてきれいごとを言うつもりもない」

 

 

 世界は不公平。それは私の持論でもある。だからエリゴールの言葉のその部分を否定することはない、だけど──

 

 

「だけど──“前を向いてる者を羨むな” 自分の非を認めず、欲しい欲しいとほざくだけのダメ人間が!」

 

 

 そんな不公平でも前を向いて進む者はいる。そんな不公平でも希望を持つ者がいる。そもそも、こいつらの言う権利が取られた原因は全て自分たちの行動の結果、自分の責任から目を背けて欲しい欲しいとほざくダメ人間が、前を向いてる者の邪魔することは許さない。

 

 

「ふん……後は任せたぞ、オレは笛を吹きに行く。『鉄の森』(アイゼンヴァルド)の闇の力を思い知らせてやれ!」

 

 

 エリゴールは窓ガラスを突き破り向こうのブロックへ逃げた。

 

 

「ナツ!グレイ!二人で奴を追うんだ!」

「「む」」

「お前たち二人が力を合わせればエリゴールにだって負けるはずはない」

「「むむ」」

「ここは私たちで何とかする」

「何とかってあの数を女子四人で?」

「ハッピーもいるよ!」

 

 

 リュウはルーシィが忘れかけてたハッピーを指さすが、正直【翼】(エーラ)の魔法で乱闘を生き残れるかは微妙なところなんだけど。

 

 

「エリゴールは【呪歌】(ララバイ)をこの駅で使うつもりだそれだけは何としても阻止しなければならない」

 

 

 エルザはそんなことを言っているがナツとグレイは睨み合う。二人ともーそろそろ向かわないとエルザの雷を食らうと思うな。

 

 

「聞いているのか!!」

「「も……もちろん!」」

 

 

 あ、肩組んで二人ともハッピー化した。

 

 

「行け!」

「「あいさー」」

 

 

 予想どうり、エルザの迫力に押され二人は肩を組みながらこの場を去っていった。……やっぱりなんだかんだ息ピッタリだね。というか走りづらくないのかあれは。

 

 

「二人逃げた!」

「エリゴールさんを追う気か!」

「任せろ、オレが仕留めてくる!」

「こっちも!あっちのガキも許せねえが何よりもあの桜頭は許せねえ!!!」

 

 

 ナツたちを追って『鉄の森』(アイゼンヴァルド)の二名もこの場から離れる。まあ、あの二人なら何の心配もいらないや。寧ろ追いかけた『鉄の森』(アイゼンヴァルド)のほうがご苦労様です。

 

 

「こいつ等を片付けたら私たちもすぐに追うぞ」

「了解!」

「あいあいさー」

「うん」

「女子供に何ができるやら……しかし女の方はいい女だな」

「いや子供の方もそっち方面には上玉だ、とっ捕まえて売っちまおうぜ」

「下劣な、それ以上『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)を侮辱してみろ。貴様らの明日は約束せんぞ」

「いや、もう明日は約束しなくていいよエルザ。こいつらに約束するのは……“地獄”だ」

 

 

 エルザは魔法剣を、シエルは【紅蓮の炎】を取り出して構える。『鉄の森』(アイゼンヴァルド)のメンバーが言った一言が許せなかったのかシエルの目は完全に据わっていた。

 

 潰す、絶対にリュウを変な目で見た奴を潰す。

 

 

「めずらしくもねぇ!」

「こっちにも魔法剣士はぞろぞろいるぜぃ!」

 

 

 襲い掛かる『鉄の森』(アイゼンヴァルド)に対し、エルザはまっすぐ突き進み、様々な武器を【換装】しながら。時に敵の武器をいなし、時に敵の武器を壊し、敵を切り倒していった。

 

 

「シエルと同じ【換装】!?」

「うんエルザもシエルも同じ【換装】の魔法を扱う、だけどエルザの凄いところはここからだよ」

「まだこんなにいるのか……面倒だ、一掃する」

 

 

 エルザの纏っていた鎧が剥がれ落ち、光り輝く。

 

 

「通常、【換装】はシエルのように“武器”を呼び出す魔法。だけどエルザは自分の能力を高める“魔力の鎧”にも【換装】しながら戦うことができるんだ。それがエルザの魔法【騎士】(ザ・ナイト)!!」

 

 

 光が収まった時、エルザは天使の鎧──『天輪の鎧』を身にまとっていた。

 

 

「……それって、エルザはシエルの上位互換ってこと?」

「ぐっは!?」

 

 

 ハッピーの説明でふとそう思ってしまったのか、ルーシィの何気のない一言が私の心に深々と突き刺さる。というかハッピーの時点で私の心は少々傷ついていた。た、確かに【換装】の速度も負けるし、“槍”しか【換装】できないけどそんな真正面からいうことはないんじゃないかな!!?い、一応エルザほどじゃないにしても私の槍も属性によって付与されるものがあるもん……

 

 

「あールーシィがシエルをいじめたー」

「りゅー!!ルーシィ、お姉ちゃんをいじめないで!」

「ええ!?あ!!ご、ごめんねシエル!!」

「……い、いいもん!私は私ができることを最大限生かすんだし!!」

 

 

 心の涙を拭い。私は地面を蹴ってエルザの攻撃が届かない『鉄の森』(アイゼンヴァルド)の後方まで跳ぶ。

 

 

「空を飛んだ!?」

「正確には跳んだ、だよ!」

 

 

 そのまま槍で宙に魔法陣を描く。私は魔法槍の属性によって様々な恩恵を得られる。【疾風のごとく】は【速さ】を私に与えてくれて、今扱っている【紅蓮の炎】は【肉体強化】し私に力を与えてくれる。与えてくれる恩恵は魔法槍によって違う、だけどただ一つだけ共通することがある。その魔法槍の属性……今回の場合【火】の魔法を、私は扱うことができる!……まあ、その属性のエキスパートの方には負けるんだけどね!!(血涙)

 

 

「“地獄の中でも燃える光!”【地獄を照らす太陽】(アンフェール・ル・ソレイユ)!!」

 

 

 『鉄の森』(アイゼンヴァルド)に向けて私は黒い火球を放つ、その魔法は『鉄の森』(アイゼンヴァルド)を飲み込み、大勢のメンバーが倒る。エルザの猛攻と相まってほとんどの『鉄の森』(アイゼンヴァルド)が地面に倒れ伏した。

 

 

「ま、間違いねぇ!こいつは『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)最強の女!!……『妖精女王』(ティターニア)のエルザだ!!」

「あっちの子供は『もの探シスターズ』の片割れだ!!」

「おいこらぁ!何その異名!!闇ギルドでも有名なの!!?」

 

 

 まさかの闇ギルドが『もの探シスターズ』なんて異名を知っているとは思わず、声を荒げる。せっかく有名なのに、喜べばいいのか悲しめばいいのか分からないんだけど。というかそれはリュウの功績で着いた異名だよね!妹の功績で着いた異名で姉の私も呼ばれるってなんかちょっと複雑なんですが!!

 

 

「ひ、ひいぃ!!」

 

 

 残った数人の『鉄の森』(アイゼンヴァルド)が逃げ出す。

 

 

「あ、逃げた!!」

「エリゴールの所に向かうかもしれん、シエル、リュウ、ルーシィ追うんだ!」

「わかった!!」

「りゅ、あいあいさー!」

 

 

 エルザの指示に私とリュウはスパッと敬礼する。

 

 

「えー!あたしも!?」

「頼む!私は外に集まっているものを避難させる!!」

「は、はい!!」

「リュウ!」

「りゅ!!」

 

 

 エルザの気迫に押され、ルーシィはハッピーを連れて駆け出す。私もリュウをおぶって奴らを追った。

 

 

 


 

 

 

「リュウ、奴らの魔力は?」

「食べてない!」

 

 

 リュウがもし『鉄の森』(アイゼンヴァルド)のメンバーの魔力を食べていたら探すのも楽だったが残念ながらリュウは食べてなかった。それはしょうがないか、リュウは性根が腐った奴の魔力が大嫌いだし。自分の身が危ない時や、誰かに頼まれなきゃ食べることはない。

 正直に言えばエリゴールの魔力を食べてほしかったけど……本当にダメな時は吐くから無茶はさせられない、食べる機会がなかったのもあるしね。でも──

 

 

「よね、奴らの気配は?」

「何となくならちょっとわかる!」

 

 

 幼くてもこの子は“竜”(ドラゴン)!私よりも魔力を察知する能力は長けている。たとえ食べてなくてもこの子の索敵能力は高い!

 

 

「よーし。それじゃ探すよ!!」

「りゅ!探すの!!」

 

 

 私たちは駅内を走り回り、『鉄の森』(アイゼンヴァルド)を探し回るのだった。

 

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