FAIRY TAIL 竜騎兵と竜の子   作:MATTE!

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判明する目的

 リュウが見つけ、私が倒す。それを繰り返してできた『鉄の森』(アイゼンヴァルド)の山にドカリと座る。

 

 

「納得がいかない」

「にゃ~に~が~?あ~ぐ、バリバリモグモグ」

 

 

 そんな私の呟きを、倒した奴らの武器を食べていたリュウが拾った。

 

 

「……いくら自分たちの不満をぶつけたいからって、その対象が一般市民になるのかな」

 

 

 『鉄の森』(アイゼンヴァルド)が追放された経緯からして、どちらかといえば評議会や正規ギルドへの恨みのほうが強いはず。私たちを見下していたし【呪歌】(ララバイ)の対象が私たちになることもあの時は考えられた。なのに、あの時エリゴールは笛を吹きに行くと言ってあの場から逃げた。

何か……大事なことを見逃している気がしてならない。

 

 

「まあ、大量殺人なんてさせるわけにもいかないから倒すことは変わりないんだけどさ」

 

 

 どんな目的でも【呪歌】(ララバイ)を吹かせるわけにはいかない。私たちの目的は変わることはない。けど……何かが納得がいかない。

 

 

「……お姉ちゃんお姉ちゃん!」

 

 

 何かを思いついたらしいリュウが私の服の裾を引っ張る。

 

 

「どうしたのリュウ?」

「リュウ、難しいことは分からないけど。【呪歌】(ララバイ)をどうにかする方法は思いついたよ。駅中のスピーカーを全部壊しちゃえば【呪歌】(ララバイ)を吹いても放送されることはないんだよ!!」

「そうか、そうだった!それに気づくなんてリュウはやっぱ天才だね!!」

 

 

 リュウが思いついた方法に、私は盲点だったとハッとなり気付いたリュウの頭を撫でて褒めてあげる。確かにスピーカーさえ壊せば音が拡散されることはない。

 流石私の妹。よし!そうとなれば私たちのすることはただ一つ!!私は速さを上げるため【疾風のごとく】を取り出す。

 

 

「よーしリュウ!駅中のスピーカーを全部壊すよ!!」

「りゅ!あいあいさー!」

 

 

 私たちはスピーカーを壊すために駅中を駆けずりまわることにした。

 

 

 


 

 

 

「りゅ~~!ごめんなさいお姉ちゃん~~!!リュウが~!リュウが至らないばっかりに~!」

「いーや、リュウは悪くない。気が付かなかった私が悪い」

 

 

 順調にスピーカーを壊していた私たち。しかし五つ目のスピーカーを壊した時点で私たちはある答えにたどり着いてしまった。

 

 

 

 “わざわざ駅中のスピーカーを壊しまわらなくても(そんな事しなくても)、放送室を襲撃すれば万事解決じゃない?”

 

 

 

 そんな答えにたどり着いてしまった私たちはスピーカー破壊を中断して、放送室に向かっているのだった

 

 

「あーもう!廊下走るのもめんどくさい!!リュウ!しっかり捕まっててね!!」

「りゅ!!」

 

 

 私に背居られているリュウがしっかりと抱き着くのを確認して私は槍を構えた。

 

 

「私だって『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)、器物損壊は得意技!!【蜂のように刺す】!!」

 

 

 風をまとい、そのまま針を刺すように壁に突貫して破壊する。私たちが通った後は太い針が通ったように丸く穴が開いていていく。これでショートカットして放送室まで直行する!!

 

 

「悪い奴はいないかぁああぁぁぁ……あ?」

「?」

 

 

 壁を何度も破壊してやっと着いた放送室はすでに何者かに破壊されていた。え、無駄に無駄を重ねてまさかのここも無駄足?というか放送室破壊されてるんじゃ『鉄の森』(アイゼンヴァルド)の目的はほぼ阻止したと言っていいんじゃ……

 

 

「…………りゅ!」

 

 

 リュウが私から降りて破壊された機材へ向かい、壊れた機材を口にした。

 

 

「リュウ、何か気になることがあるの?」

 

 

 リュウが私に何も言わないで物を食べるのは三パターンある。

 

 その1 命の危険があるとき。

 その2 それをそのままにしておけないとき。

 その3 何か気になることがあるとき。

 

 その三つに該当しない限り、リュウが私に許可を取らず黙って物を食べることはない。

 ……ちなみに、前にマスターに叱られた“フリド遺跡の魔法アイテム”は後で話を聞いたところその2に該当した。どうやらあれは“三人以上の人間がそのアイテムに触ると中身が入れ替わってしまう”昔の人が遺した悪質な魔法アイテムだったらしい。悪質と言えど込められた魔法は黒魔法ではなくただの魔法、すぐにリュウに食べられてリュウの糧となったけど。

 モグモグと機材を食べていたリュウは口の中のものを食べきるとべーっと舌を出す。

 

 

「……これ、ちょっとまじゅい。ナツやグレイが壊したんじゃないよ」

「ナツやグレイじゃない?それにまずいって……まさか『鉄の森』(アイゼンヴァルド)が破壊したの!?」

「だと思う、まじゅいもん」

 

 

 【呪歌】(ララバイ)を放送するはずの『鉄の森』(アイゼンヴァルド)が自分から計画を潰した?目の前の出来事に訳が分からなくなり私は頭を抱える。分からない、行動があべこべだ。評議会やギルドの恨みを一般市民にぶつけて、その手段を自ら潰す。その中で一番の謎は──

 

 

「なんでこの街を選んだんだろう」

 

 

 ただ単に無差別に選んだという可能性も否定できない、けど何かが引っかかる。

 

 

「……ちょっと情報を整理しよう。まず、『鉄の森』(アイゼンヴァルド)が闇ギルドになる」

「闇ギルドになった『鉄の森』(アイゼンヴァルド)は逆恨みして表の人間に“しゅうせい”を考える!」

“粛清”(しゅくせい)だよリュウ。その手段のために選んだのが笛の音を聴いた者、全てを呪殺するという【呪歌】(ララバイ)

「封印されてた【呪歌】(ララバイ)を糸目の人が解呪してちゃって」

「それを運んでいた時にリュウとナツに遭遇、リュウたちが逃げた後に『鉄の森』(アイゼンヴァルド)はクヌギ駅で列車をジャックしてオシバナ駅に向かう」

【呪歌】(ララバイ)を放送するために駅をせんりょー!」

「で、放送するはずだったのに自分たちからその機材を壊した……と」

 

 

 状況を並べてはみたけどまったく意味が分からない。だけど一つ考えられる可能性がある。

 

 

「元々、オシバナ駅で【呪歌】(ララバイ)を放送するつもりがなかった?」

「りゅ!?放送するって言ってたのに!?」

「いや、思い出してリュウ。エリゴールはスピーカーを叩いただけ、そこから【呪歌】(ララバイ)を放送すると言ったのは私たちだ。エリゴールが逃げる時も笛を吹きに行くとしか言ってなかった」

 

 

 自分たちから放送室の機材を壊した事実から、オシバナ駅で吹く予定はないと断言できる。

 

 

「じゃあ、オシバナ駅をせんりょーしたのは?」

「……駅で吹くつもりはないけど、駅は抑える必要があった?」

「りゅー?でもこの駅を抑えても次の駅はあと一つだよ?リュウ知ってるよ、こういう場所を中途半端って言うんだよね!」

 

 

 そういいながらリュウはポケットから一枚の紙を取り出した。

 

 

「リュウ、なにそれ」

「路線図!!駅弁のおばちゃんがくれたの!いろんな駅の名前が書いてあるから駅名を覚えるベンキョーになるって!」

「へーじゃあ、オシバナ駅の次の駅は?」

「えっとね!く……ろぅ……ばぁ?」

 

 

 リュウは紙に書かれてある最後の駅名をたどたどしく読み上げる。本来の姿が“竜”だから仕方ないと言えるけど、リュウは文章を読んだり書くのが苦手だ。とはいえ最初はまともに話すこともできなかったのでそれを考えると結構な進歩。頑張ったねリュウ!

 

 

「クローバー!クローバーだよお姉ちゃん!」

「よく読めたねリュウ!」

 

 

 だから簡単な言葉でも読むことができたリュウを私はぎゅーっと抱きしめて褒める。

 

 

「なるほどクローバーか……クローバー、クローバー……クローバー!?」

 

 

 その名に私は一つ重要なことを思い出した。そうか、だから奴らはこの駅を占領したんだ。大渓谷の向こうにあるあの町に向かうにはこの駅からの列車しかない。

 

 

「……何かあるの?」

 

 

 腕の中にいたリュウが私を見上げる。

 

 

「……“あるんじゃない”……“いるんだよ”。あべこべなんかじゃなかったんだ!あいつらの目的は変わってない!!」

 

 

──定例会があるからしばらくいないのよ

 

 

 ミラの言葉が頭に過る。

 

 

「クローバーはマスターたちが定例会をしている場所!エリゴールの狙いはマスターたちだ!!」

「りゅ!それじゃオシバナ駅は!?」

「クローバー駅に向かう交通手段を抑えた今となっては、私たちを足止めさせるための場所でしかない!!」

 

 

 そしてその目的は達成されてしまっている。

 

 

「リュウ!ナツでもグレイでもエルザでもルーシィでもこの際ハッピーでもいい!!誰かを探そう!今すぐ他の皆に伝えないと!!……っ!」

 

 

 ドゴオオオオンと、突如轟音が鳴り響く。ナツ、グレイ、エルザ、ルーシィ……その中でこんな轟音出して敵を倒す奴と言えば……

 

 

「ナツだ、あっちに向かおう!」

「あいあいさー!」

 

 

 


 

 

 

 向かった先にはナツと倒れている糸目の男がいた。

 

 

「かっかっかっ!オレの勝ちだな!!約束通りエリゴールの場所を言えよ!」

「くくく……バカめ、エリゴールさんはこの駅にはいない……」

「ナツ!そいつの言う通りだよ、エリゴールはもうこの駅にはいない!」

「は?」

 

 

 私は事情を説明しようとナツに駆け寄る。

 

 

「こいつらの狙いはオシバナの人たちじゃなくて、その先のクローバーにいるマスターたちだよ!」

「はっ今頃気が付いてももう遅い……」

「んだと!!」

「お前たちそれ以上はいい!」

 

 

 殴り掛かろうとするナツをエルザの声が制止させた。その声がした方向を見るとエルザとグレイが走ってきた。

 

 

「エルザ!?」

「彼が必要なんだ!」

 

 

 エルザは剣を取り出し、糸目の男を壁に叩き付ける。

 

 

「四の五の言わず魔風壁を解いてもらおう、一回NOと言う度に切創が一つ増えるぞ」

「わ、わかった……ガハッ」

「カゲ!?」

 

 

 エルザの気迫に押され頷く糸目の男、しかし突然うめき声をあげ崩れ落ちる。その背中にはナイフが突き刺さっていて、その後ろの壁にナイフを刺したであろう『鉄の森』(アイゼンヴァルド)のメンバーがいた。

 私は慌てて、糸目の男の手当てをしようと駆け寄った。

 

 

「仲間じゃ……ねえのかよ」

「ひっ」

 

 

 ナツに怯え、仲間を刺した男は壁の中に逃げ込む。

 

 

「同じギルドの仲間じゃねえのかよ!!それがお前たちのギルドなのかっ!!!」

 

 

 しかしナツは逃げ込んだ壁ごと男を殴り飛ばした。

 それを横目に見て私は糸目の男改めカゲの手当てをしていく、まさか敵を手当てするとは思ってはなかったけど、応急セットは持ってきてよかった。

 

 

「シエル!死なすわけにはいかん!!何としても解除してもらわなければいけないのだ!」

「怪我の手当はできる。けどその後に意識を取り戻せるかは別の問題だよ!」

「やってもらうったってこんな状態じゃ魔法は使えねえぞ!!」

「やってもらわねばならないんだ!!」

「そもそも魔風壁ってなに!」

「エリゴールがオレたちを追わせないために残していった魔法だ、それをどうにかしない限りオレたちはエリゴールを追えない」

「そんな……」

 

 

 グレイの言葉に目の前の男が仲間に刺された理由が分かった。この場から脱出する手段である解呪魔導士(ディスペラー)を消すため。その為にこいつは仲間に殺されかけた。そして殺されはしなくても気を失ってこの大けが、目覚めたとしても解呪ができるかどうかも分からない。私たちには魔法を解呪する手段がない……“魔法”を?

 

 

「……リュウ、解呪はできないけど魔法なら食べられるよ?」

 

 

 リュウの言葉に全員がリュウの方を振り向く。

 

 

「そうか、リュウ!!頼む、魔風壁を食べてくれ!」

「りゅ!あいあいさー!」

「待ったリュウ!あなた、性根が腐った奴の魔力は大っ嫌いでしょ!!下手したら吐くくせに!」

 

 

 リュウに魔風壁を食べさせようとするエルザに待ったをかける。これ以外に手段がないのは分かっている。けど魔力が魔力だ。うかつに食べさせるわけにはいかない。

 

 

「それ以外方法がない!」

「てか緊急事態だ、吐くぐらいいいだろ」

「リュウの“吐く”は普通の吐くと違うの!今まで食べた魔力を全部吐き出しちゃうんだ!下手したら街が一つ軽く壊滅するくらいの!」

「めっちゃはた迷惑だなそれ!!」

 

 

 いくら『妖精の尻尾』(フェアリーテイル)と言えど街一つ壊滅させる……のはダメだと思うんだ!!一瞬頭にナツが過ったけどその考えは頭の中のゴミ箱に投げ捨てる。

 

 

「しかし!」

「待て二人とも!」

「「!」」

 

 

 二人の口論がエスカレートする前にグレイは二人を止める。

 

 

「リュウ、その魔力が吐くか吐かないかの区別はつくか?」

「りゅー……大体は?」

「とにかく状況が状況だ、一度実物を見てからでも問題ないだろう。リュウでもダメだった場合、また他の手を考えるぞ」

「それしかないか……」

「……分かった」

 

 

 グレイの言葉に渋々ながら私たちは納得する。遅れてきたルーシィとハッピーに合流し、事情説明しながら私たちは外へ向かった。

 

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