ドジっ娘は風紀委員長様のおきにいり!?   作:ひばりの

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しばらく音沙汰ありませんでしたが、こちらが第二章となります。今後ともよろしくお願いします。

ちなみに更新頻度は……今年中には終わらせたいと考えておりますw



センパイ来る!
ボンゴレと愉快な仲間たちの乱入


 

 桜も散った4月も後半――

 

 その日、並盛中学校に凄まじい轟音が響き渡った。

 

 

 

「…………ねぇ、何してんの」

 

 

 現在、移動教室からの帰り道。

 

 並盛の秩序とされる、ここ並中でも最恐の名を誇る鬼畜――風紀委員長の雲雀恭弥さんの、怒りにも呆れにも取れる、そんな声が彼方から聞こえてくる。

 

 さすがは泣く子も黙る鬼の風紀委員長様。鼻が猟犬並みに鋭いよ。もうこの事態を嗅ぎつけるなんて、恐れいりましたよ。本当に最恐の名は伊達ではなかったんですね。いやまあ、殊更軽く見てはいないんだけどね。

 

「まりやちゃーん? 生きてるー?」

 

 遠くから、教室まで一緒に帰っていた春奈ちゃんの呑気な声が聞こえる。入学式からなんだかんだで一緒にいるから、向こうももう慣れた感じだ。

 

 だけど、もう…… ここまでみたい……。

 

 春奈ちゃん…… 今まで仲良くしてくれてありがとう……。

 

「そこの君、この惨事の傍観者? あそこで勝手にダウンしてる当事者の代わりに説明しなよ」

 

 最後の時にこうして感傷に浸っているのに、その言い方はないよ……。雲雀さん……。

 

「ハッ! あの雲雀恭弥が、私に説明を催促している……!?」

 

 ……なんか、虚しい。

 

 雲雀さんに話しかけられて、何やら興奮状態の春奈ちゃんは、次の瞬間にはこちらにまで鼻息が届くくらいの声で一連の流れを語った。ぼんやり霞む意識の中で、私もそれをぼんやりと聞く。

 

「1-A在籍の花内まりやは、移動教室の帰りに落ちていたバナナの皮に滑り、そのバナナをスケボーの如く滑らせて廊下を走り抜け、結果空き教室に突っ込んだところ、今回のような惨事に至りましたァ!」

 

 言い切ったあ!みたいに最後のトーンが上がる。これが彼女のいいところであり、空気が読めないところでもある。

 

 そんな軍事報告のように嬉々として語ってくれたことで、すんなりとあの出来事が脳裏に浮かんできた。そうして、やっと思い出す。

 

 ああ…… 私、ゴミ捨て場同然に使われていない空き教室に、バナナの皮で突っ込んでいったんだ……。

 

 崩壊した教室の壁に、私が突っ伏している室内は埃臭い煙が舞っていて、校内でも特に汚いと噂で、生徒や先生からも手放されている空き教室。

 

 その埃臭い床の上で、起き上がる力もなく、屍のように倒れていた。

 

 ああ…… 私、また冒頭からドジ踏んで、雲雀さんに迷惑かけちゃったのかぁ。ははは、近頃ホントにドジだなぁ。ははははは、ははっ、笑えねぇー……。

 

 精神状態も半ば崩壊しつつある中、遠くで雲雀さんの声がした。

 

「バナナの皮? ……ここは猿の檻じゃないけど」

 

 ……そこですか、雲雀さん。

 

 気になるところだけども。それより先に保健室に運んでくれないのかなぁ……。私って、いつまでこうして埃被ったまま突っ伏してたらいいのかなぁ。棚まで倒れて、なんかよくわからない荷物が重いし、鼻がずっと埃臭いのですがぁ……。

 

 私もここ最近のドジっぷりで、だいぶ忍耐がついてきたのかな。こうなってから結構時間経ってるはずなのに、意識が未だにあるというか、鮮明だ。自分で自分がバケモノに思えてくる……。

 

 と、とりあえず、この事態に早く対応してくださいよ。風紀委員長様。

 

 埃が鼻の穴に詰まってくしゃみまでしていると、どこからか子どものはしゃぐ声が聞こえてくる。幼さがある元気で活発な声だった。

 

「ギャハハハハハ! 捕まえてみろ〜! ダメツナ〜〜!」

「ランボー!? どうしてお前が学校に来てんだよー!?」

「待ってー! ランボ君ー!」

 

 複数の人の声と足音が聞こえてくる。どうやら何か揉めているみたい。

 

 もう誰ですか…… こんな時に揉め事の上にさらに揉め事積み上げるような方々は…… しかも能天気に平凡な青春謳歌して…… 羨ましいじゃないですか、コンチクショー!!

 

「沢田綱吉、校内の廊下を走るのは校則違反だよ」

「ひ、ヒバリさん……! ていうか、なんでオレだけ注意されてんのー!?」

「大声を出すのも校則違反…… 咬み殺すよ」

「ヒィィー!! なんでこうなるんだよー!?」

 

 あっ。また誰かが、あのトンファーの餌食になってしまうらしい。ご愁傷様です。

 

 ところで、これの対処はー……?

 

「10代目ー! 助太刀に参りましたーっ!」

「ランボと一緒に追いかけっこしてんだろ? オレたちも混ぜろよなー、ツナ」

「獄寺君、山本……… た、助けてぇええッ!!」

 

 咬み殺される手前になって、また2人くらい乱入してきたらしい。

 

 私の存在はー……?

 

「オイッ、ヒバリィイイッ! 10代目に何手出してやがんだぁ!?」

「ふうん、また君たちか。獄寺隼人、山本武」

「オッス、ヒバリ! ヒバリもツナたちと追いかけっこか?」

「違うよ。そして君たち、全員咬み殺す」

 

 さすがは雲雀さん。咬み殺すのに理屈も理由も存在していない。要するに、無差別に彼らを咬み殺そうとしている。

 

 彼らの珍妙な会話が聞こえる一方で、ふとどこかで聞いたような声だなーと思った。でも、どこだろう? うーん、思い出せないなぁ。

 

 意識を手放すにももやもやして手放すどころじゃないところに、今度はつんざく彼らの叫び声が響く。

 

 うーあー、もうどうしろっていうのぉぉ……。

 

「おっと、危ねっ!」

「ヒィィ! ヒャアアアッ!」

「うおッ! こいつ、3人がかりに押すなんてなんつー奴だよッ…!」

「うるさいね。黙って咬み殺されなよ」

 

 雲雀さん…… それはさすがに無理だよ。それこそ諦めたら一生分の試合終了だよ……。

 

 この後、よくわからないやり取りが続いて、放置されている私は状況が少しだけ気になってさらに顔を上げてみる。案外元気だな、私。

 

 そこから見える光景は、なんかサイヤ人の頭の人が、雲雀さんらしき人物からトンファーをもろに喰らっていた。ここからじゃ煙で、顔がよく見えない。それにしても災難だな、同士よ。

 

「みんなー! ランボ君捕まえたよー」

「京子ちゃん!」

 

 すると、そこに現れたのは1人の女の子。ぼんやりだけど、学校指定の紺のベストを着て、その娘の腕にはもじゃもじゃした何かが見える。……何あれ? ブロッコリー?

 

「ん? あ、コレー、オレっちがさっき落としたバナナの皮じゃん」

 

 と思ったら、喋った!? 生きてる!? ていうか、子ども!?

 

 思い起こせば、男の子の声から始まった。

 

 って、アレ君の仕業かァァアアアアッ!!

 

「何学校でポイ捨てしてんだよー!?」

 

 あたふたとした影が見える。あのサイヤ人の人だ。やっぱりどこかで見たような……。

 

「へぇ…… 校内のポイ捨ても校則違反だよ。沢田綱吉」

「オレじゃねぇーー!! なんで毎回オレに責任転換されるのーー!? 態とーーー!??」

 

 うるさいのは校則違反だって、さっき言われたばかりなのに、懲りずに叫びまくってるサイヤ人の人……。

 

 なんか、苦労してるんだね……。

 

「てめぇ、ヒバリッ! これ以上10代目になんかしやがったら承知しねえぞッ!!」

「ところでヒバリは、どうしてこんなとこにいるんだ?」

「あれ? どうしたの、この教室? 壊れちゃってるよ?」

「ギャハハー! 黒いのモアモアしてるもんねーっ! ――ぶえっくしゅんッ! ギャーッ! カビ臭いもんねぇぇーーーー!!」

 

 そこでようやくこの事態に気づいてくれたらしく、雲雀さんは煙が上がる教室を見て、こう一言。

 

「あ、忘れてた」

 

 口を開くなり、雲雀さんはそう言って、トンファーを仕舞った。

 

 わ、忘れてたって……。

 

「なんじゃ、そりゃ…………」

 

 こうして私は、最後に力尽きたのでした。

 

 

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