「あっ、いた!」
ある日の並中の屋上。
少しずつ日常が戻り、平穏な学校生活は、それはそれは清々しい。
授業中の先生からこの世のものじゃない目を向けられようが、掃除の時間にクラス一致で「やっておくから!」の名目で追い出されようが、廊下で通りかかった知らない子たちから出会い頭に謝られようが、清々しい日常の出来事だった。――こん畜生ッ!
そして、暇な掃除の時間に私はあることを思いついたので、校内を一周するはめになってしまった。
「も〜、ここにいたんですか。雲雀さん。捜しましたよ。応接室にいなかったから、草壁さんに聞いたら、屋上で昼寝じゃないかって。やっぱり草壁さんはよくわかってますね」
屋上の上に寝そべり大欠伸をかいていた
もう一度言っておくけど、彼にどうこう文句言ってるんじゃない。
「……で」
寝そべった頭をこちらに見せて、一度も私へ視線を送るような可愛げのある態度なんて見せず、唯一彼の可愛いつむじが、こんにちは。
「何の用」
屋上の扉の前に佇む私へ、この時初めて彼が返してくれる。
「あの……」
本当に気に入らない人だ。素っ気ない返事、無愛想な態度、あなたの何もかもが気に入らない。
「あ――…… ありがとうございましたぁ!!!」
ずっと仕舞っておいた想いを、この壮大な青空の下ダイレクトに解放する。
彼にはいい騒音だったのか、僅かに石の頭が動く。
別にどうってことはない。彼が私に何をしてくれたわけでもない。むしろ何かされまくりだし、こんな気持ちを言ってあげる義理もない。
でもね、あの日から、こんなドジ娘が気負わず学校に通えるのも、一癖も二癖もある仲間に恵まれたのも、たぶんそこにいてくれたからかなって思うんだ。
考えすぎとは思うよ。私の日常にあなたはいてくれない方がいいんだけどね。でもまあ、いいんだ。一言くらい感謝しても。
「――私、少しだけ、前を向こうと思います。気づいたんです。どこかの誰かさんにダメだしされたように、後ろばかり気にしてても仕方ないって」
ここからは、一人語りだった。
彼が、いきなりやって来てうるさい草食動物の話に片耳向けてくれるかなんて期待していないけど、私だってそんなこと知ったこっちゃないもん。
心なしか、この空が応援してくれるようだった。
「……過去は、もう消えないから。
それなら、今を後悔しないように、そうして少しでも何かが変わるようにがんばろうって、今は思えるようになりました」
どう苦しんで足掻いても、ここに生きている限り、何も消えないから。
よく解ったんだ。だから、変わろう。
過去の私から、これからの私へ。
……ありがとう。気づかせてくれて。
「……どうして」
「えっ?」
私は口を開けて驚いた。まさかこの人が反応してくれるとは。どれだけ私の中で、彼の偏見は傾いているのか。
それはそれとして、獣の珍しい鳴き声にそっと耳を澄ませる。
「どうして、それ、僕に言う必要あるの?」
空を仰いで、彼は言った。
当然の質問だろう。いきなりなんだこいつ、とか思われるかもしれない。これはたぶん思っているな。彼への見方の偏りは凄まじいみたいだ。
改めて訊かれると、私もこれと言って理由はない。掃除を追い出されたから、思いついただけだから。
「――……でも、なんとなく、雲雀さんに聞いてほしかったんです」
にへら、ときっと彼にはだらしなく笑うように見えたんだろう。溜息を吐かれた。
神様、彼に今こそ灼熱の光を与え給へ。
「ふあぁ……」
こんな時に出た、大欠伸。どんだけ眠いのよ。冬眠でもするの。鬼も冬眠するのかな。もう春も過ぎてるけど。そろそろ夏眠かしら。
なんて、ゲーム画面の中だったらコテンパンにしてやれるのに、風紀委員長としての肩書きがあるのが憎い。
……寝る時間もなかったのかな。
「あのっ、またお礼させてください。また雑用でも、差し入れでも、雲雀さんが好きなものなんでも作ってきますよ!」
寝つきが悪そうに足を組み替える彼へ、そんな提案をしてみた。私なりには純粋な気持ちだった。
「いらない」
…………。一蹴された。一瞬だった。
鬼畜生がッ!!!
「それはいらないから、こっちへ来なよ」
「えっ?」
すごい悪口を言っていたところに、声をかけられた。心臓がうるさかった。勝手に口から漏れていてぶだれるのかとヒヤヒヤした。
彼がぽんぽんと示す場所に来いと言うので、突然の話に戸惑う。固まっていると、彼がひとつ欠伸をして、そのまま口を開く。
「……何してるの? 早くしてよ、眠い」
「いや、あの、私は何を……」
「何をやらせても仕事増やすんだから、枕ぐらいには役に立ちなよ」
雲雀さんの口から出たものに、衝撃だった。ふぁッ!??
「――ど、どどどどういう嫌がらせですかぁ!?」
あぁの雲雀さんの極稀に見る最大のジョークでしょうか。ここは笑ってあげないと! ハーハーハーッ! …………む、無理がある……。
「……へぇ。あの保険医には安く見せているのに」
ここに来て、どうしておじさんのことが急に出てくるのか、知らないけど、舐めている言い方にとにかくムッときた。稀に見る微笑がこんなにも腹立つ。
「……雲雀さんの、変態ッ!! もう知りませんっ! エロ風紀ッ!!」
わ、私は潔白だもん! 軽い女じゃないもん! 何言ってんだあの人は! 変態風紀ッ!!
もう彼のことなんて知らないと、バタバタと一人屋上を出て行く。
まんまとしてやられたことなんてそうして露知らず、鎮まった屋上の空の下にてほくそ笑む。
降り注ぐ光の下に
雲雀さんは、それからのんびりと昼下がりを過ごしたそうだ。
*キャラあと 〜キャラクターたちのあとがき part.2〜
まりや「第二章お疲れ様でした! そしてやって来ました! キャラあと・パート2!」
ツナ「あっ。花内さん、お疲れさま。……で、ここは?」
まりや「ふふん、沢田さん。ここはですね、本編のストーリーとは関係なく章が終わるごとに更新されるらしい、『ドジっ娘キャラによるドジっ娘キャラのためのあとがき』となっているんです」
ツナ「へぇ、そうなんだ。じゃあここにいるのってオレと花内さんだけ?」
まりや「そうですね……」
リボーン「ちゃおっス!」
ツナ「ゲッ! リボーン!?」
まりや「ちゃおっス! リボーン君! なんとここでリボーン君が遊びに来てくれました〜」
リボーン「ツナ。聞こえてるぞ。シバくぞ」
ツナ「ヒィ〜〜〜〜〜!!」
まりや「まあまあ、仲良くやりましょう。沢田さんも弟君に負けてちゃダメですよ」
ツナ「こんなの弟じゃねーーーー!!」
リボーン「まりや。お前今回で2回目のあとがきらしいな」
まりや「はいっ! ちなみに第一章では草壁さんと出させていただきました。ありがとうございます♪」
ツナ「草壁さんって、風紀委員の一番デカい人だよね?」←面識なし。
まりや「そうですね。でも意外と親切なんですよ。うちの飼っている犬の話でよく相談とかしてもらってるんです。本当にいい人ですよ」
ツナ「そ、そうなんだ……(意外となんだ……)」
まりや「あんなにいい人が、どうしてあんな変態風紀のすっとこどっこいなんかに……(ブツブツ)」
ツナ「は、花内さん……?」
リボーン「ニッ。これがうちのヒロインだぞ」
ツナ「誰に言ってんだよ、お前……」
まりや「雲雀さんなんて雲雀さんなんて雲雀さんなんて雲雀さんなんて……」
ツナ「(ヒバリさんと何があったのー!?)あ、あのさ、せっかくだから本編じゃできないような雑談でもしない?」
まりや「――ハッ! そ、そうですね! ナイスです、沢田さん! 忘れていました。ここでは今までを通してのキャラクターたちの感想や裏話、新章に向けての意見を聞こうと思います」
(いそいそと台本とマイクを持ち出す)
まりや「ではでは、今回重要な立ち回りをしていただいたお2人にお話を伺いたいと思います。ではまず、リボーン君からご感想をお願いします」
ツナ「(なんだか進行キャラが板についてるなぁ……)」
リボーン「そうだな。今回のポイントはオレの世界文明コスプレシリーズだぞ。原作のピラミッドパワーからインドのタージマハルパワー、さらにハワイのカメハメハ大王パワーを頂戴して世界横断に成功したんだぞ」
ツナ「ぜってーそこポイントじゃねーだろ!! つーか、ただ自慢したかっただけだろー!!」
リボーン「これからも注目だぞ☆」
ツナ「それだけーーー!?」
まりや「え、えーと、素敵なお話ありがとうございます。今後もリボーンさんの変装術を参考にさせていただきます」
ツナ「花内さん、無理しなくてもいいよ……!」
まりや「並中生ペンネーム、スモーキング・ボムさんからメッセージをいただきました」
ツナ「獄寺君〜〜!!」
まりや「沢田さんはいかがですか?」
ツナ「えっと…… 今回は出番が多くて、『vorbesc.沢田綱吉』も多かった感じかな」
まりや「そうですね〜。今回で3回もありましたよ! ちなみに雲雀さんは4回、リボーン君が1回、新垣君が1回ずつという結果です。がんばってください!」
ツナ「えっ、何を!?」
リボーン「てめー、オレを差し置いていい度胸じゃねーか」
ツナ「そそそそんなつもりは……!」
まりや「喧嘩するほど仲がいいお二人でーす」
ツナ「花内さんがちょっとめんどくさくなってきてるーーー!!」
まりや「わかってるならもうちょっと落ち着いて答えてください! 他にはないんですか? はいっ!」
ツナ「(ひーっ! そんなこと言われてもわかんないよー! この娘も案外スパルタなのー!?)」
リボーン「中盤からだいぶ展開が変わってったようだな」
まりや「そーいう感じです、リボーン君! 話せば二章を書き始める当初は、リボーン君が仕組んだ取引で私のドジっぷりで相手を倒して、マフィアの勧誘に逆ギレ!って展開だったんですよねー。かなりギャップがありますねー」
リボーン「まさかこんだけ書くとは思ってなかったそうだぞ。一番の想定外はイタリアだな。アレも諸々の事情があったらしいな」
ツナ「あの話を書いたのは、そのあとのオレ視点の話を27話に持っていきたかったとかってさ」
まりや「言われればそうですね〜」
ツナ「次の内容もどうなるんだろ?」
まりや「第三章、いよいよですね。いろんな伏線が回収されるようです。タグの設定もそろそろ出してくるようですよ」
リボーン「とりあえず見ろってことだ。ツナ、お前がシメろ」
ツナ「オレ〜〜〜!?」
リボーン「ボスとして当然だ。何弱っちいこと抜かすんだ。さっさとやれ」
ツナ「ででででもオレなんて言ったらいいかわかんないし……」
まりや「第三章のタイトルでもひとつ、ババンッと言っちゃってください! ボス!」
ツナ「花内さんまでなんでそんなにテンション高めなのーー!? えっ、えぇっと、そっそれでは、第三章『父来る!』をどうぞよろしくお願いします!」
リボーン「ニッ。よく言ったじゃねーか」
ツナ「オレ…… なんか急に恥ずかしくなってきたんだけど……」
まりや「気のせいですよ〜。それではお楽しみに!」
リボーン「ちゃおちゃお〜」