この作品はTwitterでの「深夜の東方SS走り書き」企画に参加させていただいた時に書いたものです。毎日開催されるようなので積極的に参加していきたいです。一時間クオリティなので低クオリティですがお許し下さい。また話を作る上で一部の原作設定(妖精は死なない等)を無視しています。ホント低クオリティですみません。
人喰い妖怪とお友達
友達を食べられた。だから喰った。喰いちらかした。
…目の前の妖怪は真顔で言った。小柄な体躯に金色の髪。見た目は可憐な少女だ。…ただ一つ、全身に返り血を浴びていることを除けば。
「………」
その少女の前には、同じく金色の髪の少女が立って彼女の話を黙って聞いていた。返り血の少女より背は高く、少女と言うよりは大人の女性と言った方が的を射ているかもしれない。
「友達を食べられたんだよ?そんなの、喰ってしまったっていいじゃない…アリス…どうして駄目なの?ねぇなんで?納得できないよ」
返り血の少女はアリスと呼ばれた女性を見上げて問うた。どちらも神妙な表情を一切崩さない。
……話は少し前に遡る。
その日は風の強い日だった。春の訪れを知らせる春一番が朝から吹き付け、風が強いのにも関わらず心地よい気候だった。
「…春ね」
少女は大きな木の木陰で風を感じながらそう呟いた。里の方では人間の子供達が春の訪れを喜び走りまわっている。
「…いいなぁ」
少女はまた呟いた。不思議な一言だった。羨ましいなら混ざってくればよいのに。…否、少女には混ざれない理由があったのだ。
────彼女の名前はルーミア。
…『人喰い妖怪』である。
彼女は人を襲い喰らう恐怖の妖怪。人間と共に在ることはできない。…少なくとも彼女はそう思っていた。
そんな時だった。
「春ですよー」
突然近くで間の抜けた声がした。ルーミアが声の方へ目をやると一人の妖精が春が来たことを伝える報告を連呼していた。ふとルーミアに気づくと真っ直ぐ彼女の方へやってきて、何の躊躇いも見せずに話しかけてきた。
「何をしてるのですかー?」
「…春が来たから…風にあたってたの」
「いいですねー!私も一緒にいいですかー?」
ルーミアは変な妖精だと思った。自分は人喰いだ。人を喰わずには生きていけない存在。人間は勿論妖精も妖怪も近寄ろうとしない。
しかしルーミアはいいよと返事をした。何故そんな返事をしたのか自分でもよくわからなかった。
「いいですねー…春ですねー…」
「ええ。春ね」
妖精の名はリリーホワイトと言った。春を告げる妖精だそうだ。
「ねぇルーミアちゃん」
暫くして突然リリーホワイトが口を開いた。
「なぁに?」
「ルーミアちゃんは何故一人なんですかー?」
「え?……」
「せっかくの春ですよー?お友達と皆でいた方がこの風も気持ちいいですよー?」
ルーミアは返答に困ってしまった。この妖精、自分に対して恐怖するどころかルーミア一人でいることを心配しているのか?
「だって…わたしは人喰い妖怪だし…こんなわたしに友達なんてできるわけないよ…」
ルーミアは俯き悲しそうに言った。ルーミアには友達がいない。皆彼女の姿を見るなり逃げていってしまう。故に彼女はいつも独り、孤独な妖怪なのだ。
「…大丈夫ですよー」
「どうして…そんなことが言えるの?」
「だって私がいるじゃないですかー」
「…え?」
「私達もうお友達でしょー?もう独りじゃないですよー!」
ルーミアの目から涙が零れた。生まれて初めての友達ができた。この妖精は自分のことを恐れるどころか友達になってくれた。
「うん…うん…!」
ルーミアとリリーホワイトは固く手を握りあった。友情の証だ。
…しかし現実は非情だった。春は生き物が冬眠から目覚める啓蟄の季節。
冬眠から目覚めた生き物はひどく腹をすかしている。
バクン。
「…え?」
突然ルーミアの目の前で妖精が喰われた。
「…え、え?………」
「うわぁぁぁぁぁぁあああああぁぁあぁ!!!!!!」
迂闊だった。このあたりには大きな妖怪が冬眠していた。いつもは何もない場所だったのだが、今年に限って凶暴な妖怪が眠っていたのだ。
「よくも…よくもぉぉぉ!!!!」
「…それで、食べたってわけ?」
アリスはルーミアに問うた。
「ええ」
「ふーん…そう」
アリスはさほど興味なさそうに答えた。
「ところでルーミア。貴女はそれで満足した?」
「……ええ」
「ふーん…じゃ貴女にとって彼女はその程度だったってことね」
「そんな訳ないじゃない!!」
アリスは続ける。
「貴女は仇討ちをしたわね。立派だと思うわ。でもね、それで満足するのはただの自己満足よ。本当に彼女がそれで喜ぶと思う?胸張ってyesって言える?私はそんなんじゃあ満足しないわ。」
「でも…リリーは帰ってこないのよ…」
「ルーミア。もし私が友達を亡くしたら、まずその子の分まで生きていくって固く誓うわ。それで一生懸命生きて、生きて、生き抜いて、お婆さんになって死ぬ時、あの子の分まで生きたってそこで初めて満足するわ。仇討ち程度じゃ満足しないわよ。…これから先貴女がどうするかは貴女の自由よルーミア。ここで仇討ちをしたと決着をつけるのか、彼女の人生を引き継いでいくのか、…勿論どっちを選んだって正解だし間違いよ。貴女の残りの時間、大事に使いなさい」
そう言ってアリスはその場を去っていった。心地よい春一番が吹き抜けていった。
こんにちは。ラケットコワスターです。結局9月に間に合わず、出せた短編も一作だけと最近嘘しか言ってなくて申し訳ありません。何度も言っているので信憑性薄いですが以後気をつけます…
さて、今回のお題は「ルーミア、アリス、リリーホワイトの中から最低一人出す」の三人でした。全員出しましたが。やはりルーミア主体にすると血生臭いモノになりますね…でもなんとか一時間に間に合ってよかったです。これから頑張っていきたいと思います。