真・恋姫無双~袁紹再臨(仮)   作:凡将モブA

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今回はややネタ重視です。良く言うとコミカル。悪く言うと悪乗り。

でもシリアスばかり続けてると疲れるから度々こういった機会にはとことん入れるのでご了承ください。

この次の話からはシリアスの連続だしね。


袁家の一日

 

 

 

 

 

これはある日の出来事であった。袁紹がこの世界で初めて武芸訓練に臨んだ時の事である。

 

 

「ふんっ!はあっ!しっ!」

 

 

袁紹は庭で訓練用の剣を持って振るっていた。

 

袁紹は名族に生まれた幸運な男である。故に転生前も数々の英才教育を受けていた。

 

当然ながら武芸、特に剣術には少しばかり嗜みがあった。

 

前線に出た事も一度もない訳ではない。敵が大将首と向かってくる度に斬り殺してきた。

 

そんな彼だから、一般兵を3人相手しても勝てる位の自信はあった。無論、まだ幼いこの体でもだ。

 

しかしすぐ隣を見てみると

 

 

「はあぁぁぁ!!!どりゃぁぁぁぁ!!」

 

「猪々子ちゃん!あんまり大振りし過ぎると隙が出来ちゃうよ!こうやって…せいっ!!」

 

「………」

 

 

力強く大剣と大きな槌を振りまわす二人の従者、文醜と顔良がそこにいた。

 

身の丈程もあるような武器を女の子が軽々と扱うこの光景を、最初見た時は何かの見間違いではないかと心底自分の目を疑ったものだ。

 

目を背けたくもなったが、現実はそこにいつもある。思昂にさえこの光景について聞いた所、

 

逆に「何かあの二人に可笑しな事がありますか?」と聞かれてしまった。この世界はこれが並み以上の武将の基準なのか…。

 

思昂曰く、「一介の将よりは強いでしょうが、稀代の猛将程ではありません。恐らく二人でようやくその域に並ぶ位でしょう」

 

との事らしい。武芸には疎い文官の思昂がそう言うのだからそうなのだろうが…。

 

では自分は一介の将にすら及ばないのだろうか?それを聞いてみた。

 

 

「………私は文官ですから分かりませんが、戻羽様は才能はあるでしょう。形は私から見ても素晴らしいかと。とても剣を振るうのが初めてだとは思えません」

 

 

とはぐらかされてしまった。いつも正直な思昂にしては珍しいと貴重な体験をしたが、

 

これはつまり肯定と同義だという事だ。あくまで思昂が褒めているのは形だけなのだから。

 

元々私は武芸もそれなりには嗜んでいるのだから形はいいのは当然の事。

 

相手の攻撃を防ぎつつ、隙を見て斬りかかる。しかし力押しも敵を圧すのには立派な戦術だ。

 

この当然な事が出来なければとてもじゃないが実戦では通用しない。

 

今の袁紹に足りない物はこの世界では多い。

 

 

(つまりはこの程度の腕では自分の身すら守れるか危ういという事だ。二人にまかせっきりにするのは厳しい。

 

最低でもそれなりの将位までは武勇を磨かねば…)

 

 

そう思考に嵌まりつつ、剣を振るっていた袁紹はいつの間にか目の前のある物があるにも関わらず、

 

少しずつ自身が前進している事に気づかなかった。

 

 

ズバッ!!

 

 

「む?」

 

 

何かが斬れたような音で意識が戻った袁紹。目の前にはスッパリと綺麗に半分に斬れた小さい木があった。

 

その先には自分の持っている刃が潰れているはずの訓練用の剣が半分になった木の間に収まっていた。

 

 

「…むむむ?」

 

 

おかしい。なぜこんな切れ味も何もないこんな剣で木が斬れているのだろう。

 

間違えて普通の剣を持ってきてしまっていただろうか?いや、確かに訓練用の剣のはずだ。

 

さすがにそこまで自分の目は節穴ではないはず…。

 

不審に思った袁紹は同じような木を探して剣を構える。

 

 

「…でやっ!!」

 

 

ズバッ!!

 

 

「………」

 

 

剣を振ったその先にはさっきの木と運命を共にした半分に斬れた木があった。

 

 

「どうなっている…?」

 

 

自分の体に異変でも起こったというのか?それからというもの、袁紹は様々な訓練を試してみた。

 

すると以下のような変化が自身に起こっている事が分かったのだ。

 

・身体能力が飛躍的に上がりやすくなっている。

・特に何故だか知らないが剣を振る時だけ自分が異常な速さになっている。

・跳躍力まで上がっている。今なら立った人間相手に上を飛び越せる。

・あくまで内面的な身体能力しかやたら成長しない。身長とか知力とかとは別。

 

このようなものだ。

 

もしや私の能力も転生した事によってこの世界基準の能力へと昇華したというのか。

 

もはやもう何があっても驚かなくなりそうだ…。

 

すると何処かで聞き覚えのある声が頭の中に響いた。

 

 

(袁紹ちゃん、調子はどうかしらん?)

 

(む…この声は…)

 

(そうよ、私はあの時あなたを転生させた漢女よ♪)

 

(もう少し後で教えようかと思ったんだけど、予想以上に気づくのが早かったみたいねん…)

 

(どういう事だ?身体能力の急激な上昇はまだ分かる。何故剣を振るう時の速さが異常に早くなっているのだ?)

 

(それはねん、あなたに対する一種の救済処置なのよん)

 

(救済処置?)

 

(そうよ。袁紹ちゃんも見たでしょ?あの二人の力。この世界ではあんな事が出来る人も、割と珍しくはないのよねん)

 

(凄まじいな…)

 

 

あの呂布だってあんな物はぎりぎり振りまわせるか…いや奴ならあれでも軽々振りまわせるもかもしれん。

 

 

(曹操ちゃんだって将来は鎌を武器にして立ちふさがる者を斬り倒していったからねん)

 

(袁紹ちゃんも何かなきゃ、不平等じゃない?)

 

(いや、曹操は武芸においても何においてもまさしく天才だ。私1人では奴には及ばない)

 

(ふふふ…謙虚な姿勢は素敵だけど、もうやっちゃったからねん)

 

(強化内容はさっきあなたが纏めてた通りで合ってるわ。袁紹ちゃんは剣が得意みたいだから、そっちの方面の才能を大きく引き上げているのよん)

 

(これで顔良ちゃんや文醜ちゃん位の相手なら互角の戦いが出来るわねん)

 

(これであの二人を相手に出来るくらいなら、十分過ぎる程だ)

 

(この世界では有名な将の中では底辺レベルの実力よん。過信は出来ないわよ?)

 

(本当か?さっきからそのような話は聞いているが、信じられん)

 

(あなたの世界の二人とはまた違うからねん。もちろん田豊ちゃんも同じ…といってもこの世界だと本当に逸材の軍師よん)

 

(可愛い女の子なんだから、手放しちゃだめよん?)

 

(………分かっている)

 

(ならいいわん。私はこれ以上は手助け出来ないから、自分の力で頑張ってねん)

 

 

そう言うと謎の声はそれっきり聞こえなくなった。

 

 

(…まあ気を取り直していくとするか)

 

 

まあつまりは強くなった、という事だが自身の体と感覚のズレはいかんしがたいものがある。

 

出来る幅が広がり力が強くなった分、制御する必要も出てくるという事だ。

 

でなければ力に振り回される事にもなりかねない。それで周りを傷つけるのは袁紹自身の本望ではない。

 

結局の所、来世においてもしっかりとした訓練はしなければならないだろう。

 

 

「…よし、もう少し今日は訓練する事にしよう」

 

 

その日は夕方になるまで訓練を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方になると食事を済ませ、それからは田豊から勉強を教わる。

 

策略、謀略は正々堂々とした戦を好む袁紹はあまり好きではなかった。

 

しかしそんな事は言っていられない。勝つには方法ばかり選んではいられないのだ。

 

それに学んでみると中々面白い物だ。敵の心理を突く快感は中々の味だ。だがやはり好きではない。

 

 

「…ですから、ここに重装歩兵を動かして…」

 

「いや、そこまで動かすには君が予想するよりもかなりの時間を要する事になるだろう…敵の喉元を突くなら強引にでもここの軽装歩兵か騎兵部隊を向かわせた方がいいと思うが…」

 

「むむ…ですがそれでは…」

 

「だが…」

 

 

しかし軍略の話になるとお互いに意見を交わすようになり、大激論になる事も度々あった。

 

袁紹は転生者故に戦の経験も知識もしっかり引き継いでいる。その為、天才である田豊相手にも互角に対話出来ていた。

 

田豊は理想論を、袁紹は現実論を、という前世では逆の立場になってお互いの意見をぶつけ合っていた。

 

袁紹はこの時になる度に懐かしさを覚えた。

 

 

(この論争をするのは本来なら随分後であるが懐かしいものだ)

 

(こうしようと言う度に田豊が駄目だししては喧嘩していた…あの亀裂の遠因ともなってしまったが、今思えばあの時は楽しかったのかもしれない)

 

 

時々そんな思い出に浸る。今となっては過去の出来事ではあるが、こうして思い出すのも悪くは無い。

 

 

「…戻羽様?」

 

「む?ああ、済まなかったな。ならばこうして敵を防ぐ事が出来れば敵は詰みになるのではないか?」

 

「しかしそれだと…」

 

 

そうして二人の討論は続く。これも学習の一環だと袁紹はこの内容をしっかり覚える事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夕方。今日は叔母達はどうやら仕事で遅くなるらしく、今日は自分達だけで食事を摂る事にした。

 

したのだが…。

 

 

「ならば私が料理をふr」

 

「止めて!今日も料理人さんがやるから思昂ちゃんがやる必要は無いから、ね?」

 

「そ、そうだぜ!それに料理人の仕事取っちゃいけないと思うぜ!?」

 

「しかし、毎日3食分を皆さんに振舞っていただいているのです。今日ぐらい彼らを労っても…」

 

「い、いえ田豊様!我々の事は大丈夫ですから!それに料理していない間十分に休憩を取らせていただいておりますから!」

 

「ヤメロー!シニタクナーイ!シニタクナーイ!」

 

「もう駄目だ…お終いだぁ…」

 

(あかん)

 

(ちくわ大明神)

 

((((誰だ今の))))

 

 

そう、あの田豊が料理しようとしているのだ。

 

田豊は袁家一の料理下手、いや料理下手という程度では済まされない毒飯を作る狂気の料理人なのだ。

 

いや、入れる食材自体は普通だし、毒飯とは言ったが毒を入れている訳ではない。それに見た目だけなら普通だ。

 

彼女はあくまで”普通に”料理をしているに過ぎない。

 

しかし何故か彼女が料理すると毒のような効力のある食事にへと変貌するのだ。それに不味い。

 

しかも彼女自身は平然と普通に食べている。失礼な言い方だが毒を研究しすぎて味覚が壊れたんじゃないかと私ですら思う。

 

だが私が美味しいと感じる料理を彼女も美味しいと言うのだから味覚が逆転している訳ではなさそうだ。

 

とにかくあれは私も食べたくはない。何とか止めなくては。

 

 

「よい。料理人は後々増やす予定だ。思昂がやる必要は無い」

 

「しかし…」

 

「主には軍師としての手腕に期待している。今は料理よりも、その頭脳を磨いてくれ」

 

「戻羽様…分かりました」

 

 

よし、何とか回避した。皆もほっと一息吐く。

 

 

「では料理人どの、お願いいたす」

 

「はっ!…ありがとうございます」

 

 

涙ながらに感謝する料理人。そこまで嫌だったのか。いや、気持ちは物凄く分かるが。

 

 

「いいさ。あれは私も食べたくはないからな。主の食事、今日も楽しみにしている」

 

「はっ!お任せください!」

 

 

そう奮起して食事の準備に取り掛かる料理人。今日の食事が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなあって今日も一日が終わる。最後はただ静かに。

 

袁家は今日も平和だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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