ソードアート・オンライン~紅の心意―The Cardinal Mind 作:坂道
14:00
道場の戸締り終えた紅葉は駐輪場に向かっていると、自転車の上に古賀が乗っていた。
「おう、遅かったなフラれ男。」
「…………」
―ガシッ!
「痛いイタイ!?無言で顔を掴むなよ、怖いって!?」
紅葉は無表情で古賀の顔面を右手で握り締めていた。
「誰のせいでこうなったと思う」
「広めたのは香奈であって、俺じゃない!?」
「その割にはずいぶん楽しそうだったな」
「あ、わかる」
ギュウゥーーー
「ギャー!?すいませんすいません!!冗談です勘弁してください!!」
14:05
古賀の調教を終えた紅葉は帰ろうとすると、
「待った紅葉!!」
「なんだ、まだ顔を握り締められたいのか?」
紅葉は右手を出し、手を構え冷めた目で睨む。
「そうじゃねぇよ!?」
(まったく、うるさい奴)
構えた手を下ろし古賀の話を聞くことにした。
「おまえ、月刊MMORPGの抽選でナーヴギアが当てたんだろ」
ナーヴギアとは民生用NERDLESマシンの第1号機。頭全体を覆う流線型のヘッドギア。世界初のNERDLES技術を用いた家庭用ゲーム機として様々なメーカーから発売されている。
「あぁ、古賀が進めてきたあのゲーム雑誌の一名様プレゼントのことだな」
「そうそう月刊MMORPG」
月刊MMORPGとはオンラインゲームを中心に扱っているゲーム雑誌である。
「お前本当に運が良いよな。しかもSAO同梱版だろ」
「俺も当たるとは思わなかったよ」
SAO、ソードアート・オンライン。完全なる仮想世界を構築する《ナーヴギア》の性能を生かした世界初のVRMMORPG。2022年10月31日に発売された。ユーザーの期待と渇望を受け、初期出荷分1万本は瞬時に完売した。
俺が《ナーヴギア》のプレゼント抽選に応募しようとしたきっかけは、今年の夏の全国中学剣道大会で優勝できなかった俺を元気づけようと古賀が今流行のMMORPGの話を持ちかけてきたことだ。正直俺はゲームになんか興味はなく、話を聞いても何も面白くなかった。
しかし、一つ気になる話があった。SAO…量子物理学者の茅場晶彦が開発担当した完全なる仮想世界に興味があった。SAOの世界はその名の通り剣を舞台にした世界、剣道している俺からしてみればすごく魅力的な世界だと思った。
とはいえ、抽選一名から選ばれることなど到底無いことだろうと思い、あまり期待せず応募したがまさか本当に当たるとは思ってもいなかった。
(あの時は5年分運を使い果たしたと思ったな)
「俺は親がゲーム会社に勤めてるからGETできたけど」
「そういえば美由はベータテスターなんだよな?」
ベータテスターとは、SAOのゲームテストに協力した者たちことで一足先にSAOを体感したテストプレイヤーのこと。
「その通り!!お前の運に比べれば、俺の妹の運のほうが何倍も上だな!!」
(何でお前が鼻を高くするんだ?、全くこいつのシスコンは重症だ)
紅葉は頭に手をつきながら呆れていた。
「話は済んだか?、俺は帰るぞ」
自転車に手を掛けると、古賀に止められた
「ちょっと待てって。話っていうのは、今日一緒にSAOをやろうって話。正式サービスは今日からだろ?なら一緒に遊ぼうぜ」
「別に構わないが……」
「えっ?本当にいいのか!?」
今日帰ってプレイする気だったから、ちょうど良いと俺は思った。
「何で俺が断る必要がある、それに誘ったのはお前だろ。」
「いやぁ~、紅葉のことだから「ゲームする暇があるなら勉強しろ」とか「お前と一緒にゲーム……ハッ、ヘドが出るぜ」とか言いそうだったから……」
「帰る」
そう一言を言い残し、もう一度自転車に手を掛ける。
「冗談です、すいません、調子に乗りました!!」
この時は、あんな事件が起こるとは誰も考えていなかっただろう。だが間違えなくあの事件は俺を変えた。
・・・・・・・短い。なんだこれ?
こんな調子でだいじょぶか?
結局SAOの世界に入れてないし!?
区切り方が悪かったかな?
今度こそはSAOへ!!?