ソードアート・オンライン~紅の心意―The Cardinal Mind   作:坂道

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最近余裕がありません……気晴らしに他の小説を書いてみようと思います

SAOはこれかも続けます!!


とりあえず、今回の話をどうぞ


何でも屋

「コラルに着いたはいいんだけど……」

 

 ローゼルは村へと続く川沿いに並ぶ、レトを含めた数十人の男たちを後ろから腰を下ろして見物していた。彼らは今、見えざるものと戦っていた。手に握る竿<武器>で……

 

「なんで釣りなわけ?」

 

 コラルに着いた二人は情報収集を始めようとしていると、転移広場で居合わせたニシダというプレイヤーに会った。なんだかレトとの知り合いだったそうでそのまま歩きながら世間話をしていると何故か町外れの川に辿り着き、数名のプレイヤーとここ数時間釣りを楽しんでいる。

 

「どうですかニシダさん、今日のポイントは」

 

「う~ん、駄目ですな。これはボートを出したほうが良かったかもしれませんな~」

 

「そうですか、そちらの方はどうですか」

 

「……ああぁ、駄目だ駄目だやられてるなぁ、そっちはどう?」

 

「横に同じく……今回の獲物はなかなか苦戦しそうですね」

 

「いやいや、まだまだ。こういうのは根を詰めなければそうは上手くいきませんよ、レト君」

 

「そうそう、一場所、二餌、三に腕だな、そして七転び八起き。若いうちから諦めてはいけませんな~」

 

「恐縮です」

 

 ここにいる下層プレイヤーはどうやら全員レトと顔なじみだそうだ。皆、釣竿を握り少し深い川を睨めっこしながら年齢幅も関係なく他愛もない話をしていた。

 

「おい、掛かったぞ!?」

 

 二十代の男性が慌てながら竿を引くが川の中の獲物の力に為す統べなくプレイヤーごと川の中へと引きずり込もうとしていた。隣にいた釣り仲間が急いでフォローに入るが力が弱まることがない。

 

「「「「「スイッチだ!!」」」」」

 

 数人の男たちがこの世界での戦闘用語を叫ぶ。スイッチとは押すのボタンことではない、戦闘では仲間と連携しながら、魔物の硬直時間の隙を狙うときの掛け声である。

 この場で言ってどうするのか、ローゼルには不思議に思えた。

 

「レト君、急いで~!!」

 

 ニシダは歳柄にもなく肩腕を大きく回しながらレトを呼ぶ。それを聞いたレトは竿を放さないように呼びかけ、竿を預かり―「あとは俺に任せてください」と釣竿を握る手に力が入る。

 ローゼルはあの中に割って入ろうとは思わず、退屈そうに空を眺めていた。

 

「こんな事としてる場合じゃないんだけど……」

 

 ぼやいた言葉は誰にも届くことなく儚く消える。

 

―でもこんな風にボーっとすることなかった……

 

 朝日が昇り、小鳥が鳴き、風が吹くたび森の木々が囀りが響き、その風が心地よく眠気を誘っていた。自然に囲まれた《コラル》は他の階層の街にはない、どこか落ち着きのある安らぎ憩いに想えた。

 あまりの気持ち良さに欠伸を上げ、うとうとする。

 

―たまにはいいかな……

 

 時間とも流れていく一つ雲を目で追っていると、黒い影が顔を被い―ペチャンとローゼルの視界を奪った。鼻から透き通るように新鮮な生臭さが漂っていた。ゆっくりと手を動かし、顔についたものを取ると、目がギョロッと浮き出た紫の鱗魚が私を直視していた。

 

「…………キャーーーー!!? な、なな、何よこれ気持ち悪い!?」

 

 森全体に裏返った情けない声を響かせる。手を伸ばして魚から距離をとると、向こうで背中から倒れているレトの姿があった。どうやら釣った勢いで魚が飛び出た後、竿の耐久値が限界を越え消滅し、丁度魚がローゼルの所まで飛んできたようだ。

 

「あ~ローゼル……ナイスキャッチ、<ぺチャン>あぅ、生臭い……」

 

 倒れたまま親指を立てながらサインを送るが、ローゼルは魚をレトの顔面に目掛け投げ、それは見事に命中する、さすが投剣使い。

 

 

  ◇   ◇   ◇   ◇

 

 ニシダさんたちと別れた後、あれはギルドの依頼の一部だと聞いた。依頼内容は先ほどの紫の鱗魚《マゼル・シャークの斬鱗》の調達依頼。出現率が早朝6:00から9:00まで限られており、尚且つ希少値の高い素材アイテムで知られている、なぜ川に鮫がいるのかは謎だが。レトは下層プレイヤーの釣り師に協力を仰ぎ、ニシダさんを中心に《マゼル・シャーク》の捕獲に態々駆けつけてきてくれた。捕獲後、他にヒットした魚をプレイヤーたちに全て回し、レトは依頼品のみを貰い受けた。

 フィールドにでない下層プレイヤーには、魚は貴重な資金源になる。価値の高い魚から取れる素材アイテムは上層の商人に高く売れる。だが、素材アイテムを剥ぎ取れる魚はとても力が強く釣るためにはそれ相応の筋力パラメータが必要だ、そこでレベルが高く、且つ釣りスキルを持っているレトの協力が不可欠。釣りスキルを持っている上層プレイヤーは滅多にいない。つまりお互いが自分の利益になることをして協力する、まさにギブ&テイクである。

 

 レトはその後階層を移動し、9:30からは木工職人の上層フィールドでの護衛および採取協力、10:50からは階層街の巡回および情報収集、11:50からは中層プレイヤーの小規模ギルドのレベリング協力依頼、2:30からは鍛冶ギルドの鉱石素材の運搬、と割りとハードスケジュールである。

 街での聞き込みは中下層部でのマップ変化や期間限定モンスターの出現情報、回復アイテムの物価変化などを中層で暮らしているプレイヤーたちにコルを払い情報を買い、特ダネのネタは情報屋《鼠のアルゴ》のに提供している。とある街ではただ単にレトに愚痴を聞いてもらおうと気軽に話しかけてくる人たちもいた。レベリング依頼に至ってはコルを要求しない完全にボランティア活動である。

 

 

現在1:30 第30層《パール》転移広場

 

「いや~、助かったレト。これで内のメンバー全員レベル30代までに上がったよ」

 

 彼らは俺がレベリング依頼を引き受けたギルド《光る尻尾》という3人で構成された小規模ギルド。皆な年齢層はバラバラで、歳が違えどもでとても仲の良いフレンドリーなギルドである。彼らとは一ヶ月ほど前に第18層の迷宮区で知り合い、モンスターに苦戦を強いられているところをレトが助けに入り、その腕を見込んでレベリングの協力依頼を出してくれている。

 

「いつもありがとうレト、君と会っていないと俺たち此処まで来ることできなかった。これで最前線も夢では無くなってきたかもしれません」

 

 二十代後半の気さくな男性、《光る尻尾》ギルドマスターこと、バッカス。最初はレトの仮面に足を引いていたが、話すうちに打つ解けた。とても温厚な人で頼りない少しばかり不器用な人である。

 

「だからといってあまり調子に乗って上に行かないでくださいよバッカスさん、特に迷宮区には」

 

 すると、後ろにいたメンバーの一人がバッカスの肩に腕を掛け、見た目からして腕白そうな青年と隣で不安げに見つめる少女が話に加わる。

 

「分かってるって、あんた助けられた命は無駄にはしないって!」

 

「何言ってんのよ、今回もタロウさん、HPがイエローまで落ちてたじゃない」

 

「うっ、それをいうなよセシルちゃん」

 

 彼らような前線を夢見ているギルドや、暇だからモンスターを狩るというギルドなどが遊び半分でフィールドを出てしまい、命を落としたプレイヤーも数は少なくない。そういった様々な考え持っているプレイヤーはこの中層には沢山いる。

 

「それじゃレト、また今度頼むよ。この借りはいつか返すから」

 

 三人が手を振りながら、この場を離れホームへと帰っていた。ローゼルは彼らが離れていたのを見計らいレトの隣に立つ。

 

「……ローゼル」

 

「……何よ」

 

「依頼人会う度に俺の後ろに回って、そのつれない態度はやめたほうがいいぞ」

 

「……こういうの慣れてないのよ」

 

 顔を逸らし羞恥を隠しながら花恥ずかしくなっていた。顔を合わせるだけなら構わないがいざ積極的に話し掛けようとするのがローゼルにはできなかった。

 

 

 パールを後にした二人は、次の依頼予定が入っている夕暮れの街《ダングレスト》へと着ていた。

 ダングレストは明日の42層ボス攻略を前に様々な有力ギルドが集まっており、街中は屋台や露店で埋め尽くされていた。鍛冶職人は露店で武器の強化に追われていたり、道具屋は回復薬のSold outという文字が店の横を通るたびに視界に入る。

 

 どこも人混みで落ち着ける場所も無い中、ローゼルは一人、顔をフードで隠しながら建物の片隅で背中を預けていた。彼女の近くにレトの姿がない……すると人混みを避けるようにレトが腕に持った紙袋を大事そうに抱えながら現れた。

 

「ほら、ダングレストの名物だ」

 

 手に持った紙袋から食べ物を取り出し、ローゼルに渡す。渡されたのはパン生地のパテで挟んである緑の野菜とハンバーグのサンドイッチ。まるで極一般のファーストフード店のハンバーガーを思い正せる品物だ。

 仮面を頭の上に乗せ、レトはローゼルと同じく壁にもたれてサンドイッチをほうばる。

 

「どうした食べないのか? けっこういけるぞ」

 

 手に持ったものを見つめたまま、食べることをしないローゼルに話しかけた。

 

「何だかさ……以外だった」

 

「イガイ?」

 

 ローゼルは道を移動するプレイヤーの方を見ながら答える。

 

「正直言って、あなたの『何でも屋』はあまりいい噂は耳にしなかったから。ほら、がめついとかケチ臭いとか、その変な仮面とか」

 

「その変な仮面は余計だ」

 

「だいたい、あんな稼ぎでコルが貯まるとは到底思えないわ。前の依頼なんてただのボランティアじゃない、ギルドが崩壊するのも時間の問題ね」

 

「酷い言われようだな。そういうのは君がもう少し依頼人に愛想よくしてくれてから言って欲しいな」

 

「あ、あれは別に関係ないでしょ……」

 

 誤魔化すように手に持った食べ物を口に運ぶ。ローゼルは依頼人に会うたびに顔を逸らし、目を合わせようとしなかった。それほど他人を信じていないのか、それとも何か……違うなもっと簡単な理由だ

 

「俺だって最初の内は慣れなかったさ……いや、無理してたかな」

 

「うん?」

 

 急に心気くさく声を洩らすレトにローゼルは視線を向ける。

 

「最初は仮面なんか被らずに依頼者と話そうと思ったけど、そう上手くはいかなかった。やっぱり初対面の人に顔を向けて話すのって、結構きついからな……そうか……」

 

 頭に乗せた仮面を手に取り眺め始める。黒い仮面は丁度夕日に当たって日の光沢が映っていた。この仮面は『何でも屋』の象徴というか看板である。この前、ヒースクリフには何故仮面を被るのか聞かれたが、ようやく分かった。

 

「俺、顔を隠しているうちは凄く楽だったんだ……」

 

◇  ◇  ◇  ◇

 

 ダングレストは明日のボス攻略を控え、攻略組を中心としたギルドで賑わっている。道の広い中央通りは鍛冶職人が有力ギルドの武器を鍛えているところだが、とある鍛冶職人は道の真ん中で多くの鉱石が盛られたリヤカーを何かぶつぶつ言いながら引いていた。

 赤いドレスと白エプロン、そしてとても目立つピンク髪の少女だった。

 

「あいつ、どこで油売ってるのよ」

 

 彼女はリズベットと、鍛冶職人に中でも腕の良いプレイヤーである。彼女は『何でも屋』に依頼を出していたのだが、予定時刻の十分前までに姿を現せない黒い仮面の男にカリカリしながら重いリヤカーを引いている。

―あんたがいないと私が仕事が進まないじゃない!?

 

 リズベットにとっては今が稼ぎ時であり、すぐさまハンマーを手に取り武器を育てたいのだ、今日のために揃えた鉱石はアイテムストレージに入りきらない為、この重いリヤカーで鉱石を運んでいる。それを自分の仮の店にまで運ぶのを手伝うのが『何でも屋』―レトの依頼なのであるが、正直言って時間を掛ければ一人でも運べるが、わざわざレトに頼んだのは彼と話したいということもある。

 

「この前、久しぶり会った思えば、あたしの服装の変化に全然興味示さなかったし……」

 

 リズベットはレトと始めてあった後、血盟騎士団のアスナにコーディネイトしてもらっていた。最初は気恥ずかしかったけど、この姿が割りと好評で店の売り上げも上がった。

 しかしあの男は、「リズベットさん、髪の色とか変えたんですね」と感想はそれだけであった。

 

―それに何よ、まだリズベットさん……リズで良いって言ってるのに。「リズベットさん」から

「ベットさん」を取るだけじゃないのよ!

 

 ブツブツ言いながら進んでいると人混みの隙間から建物の隅でもたれているレトの姿があった。誰かと話しているようだが前の大男が邪魔までよく見えなかった。レトは私に気付いていなかったようなのでリヤカーを停め呼びかける。

 

「コラー! どこで油売って……」

 

 すると、綺麗な髪の長い銀髪の女性がレトの隣にいるのが映った。出した声を思わず止めてリヤカーから手を離してしまう。後ろに体重がかかりリヤカーの後部が地面に叩かれる。

 

「へっ? 誰? あの人」

 

 綺麗な髪を彩るようにルックスがいい女性がレトと話していた。別段楽しそうに話しているわけじゃないが、リズベットから凄く楽しそうに話していると想わえた。

 

 先のリヤカーの音で気付いたのかレトはリズベットに気付き、手を振る。

 

「あ、リズベットさん。どうした? そんなところで固まって、大丈夫か?」

 

「えっ!?、あ、ああ、うん、大丈夫……」

 

 気を遣ってレトが近付いてきてくれたが、リズベットはまだ混乱していた。

 

「すまない、予定時刻が過ぎていたな。これを運べばいいのか?」

 

「う、うん、そうだけど……レトさぁ、あの人は?」

 

「あの人?……ああ、ローゼルのことか」

 

 レトが壁で持たれている女性を手招きで呼ぶ。女性は長い銀髪を靡かせながら近寄ってくる。目の前で見ると女性の私でもその整った顔に見惚れてしまう。

 

「誰? この子」

 

 少し警戒しながらローゼルはリズベットに視線を向ける。

 

「そう警戒するな、俺の依頼人だよ」

 

「わ、私コイツの依頼人のか、鍛冶職人のり、リズベットっていいまふ」

 

 なぜかリズベットはアタフタしながら声を裏返して喋っていた。呂律が完全に回っていないのが窺えるが。

 

「まふ?」

 

 ローゼルは最後の語尾がおかしい事に首を傾げる。リズベットは舌が回っていなのが自覚しており恥ずかしそうに顔を両手で隠していた。

 

「紹介するよリズベットさん、俺の(*ギルドの)パートナーのローゼルだ」

 

「(*人生の)パ、パートナー!!?」

 

 リズベットは脳内でパートナーの意味を書き違えていた。ローゼルが勝手なことを言われて気が立つ。

 

「ちょっと、何よパートナーって、私とあなたは一日だけの関係のはずよ」

 

「一日だけの関係!?」

 

 ローゼルが言ったのはギルドに所属するのは一日だけという意味だが、リズベットは人間ドラマのようなその手のドロドロな関係と捉える。

 

「だいたい昨日の夜、あんなことを恥ずかしげもなくするなんて……」

 

「あ、あんなこと!!?」

 

 あんなこととは「指きり」のことであるが、リズベットは有らぬ方向で考えていた。ローゼルが少し照れくさそうな仕草で答えることでリズベットには確信に追い詰めた。

 

「俺はいつも、あんな感じだが……うん? どうしたリズベットさんメイスなんかだして……」

 

 なぜかリズベットは顔を俯かせたまま吐息をもらし、自分の自慢のメイスを手に握り締めていた。

 

「あ、あんたは……女の敵よ!? このケダモノーー!!」

 

 叫びとともに振り上げられる鉄槌……リズベットのハンマーはスキルの光を纏い、その力を発揮する。レトの横腹をえぐるようにスイングで振り飛ばし、先ほどいた建物の壁まで吹き飛ばした。レトは壁に綺麗に張り付き、ズルズルと体を地面へと落とし撃沈した。

 

「俺が……何をしたっていうんだ」

 

 地面に這いつくばったまま、自分に振りかかった災難を不幸に想って当然だろう。ローゼルは口を開けて唖然としていた。

 

「はぁ、はぁ……」

 

 顔を俯かせながら、振り切ったハンマーを地面に落とす。

 

「あのリズベットさんでいいかしら、急にどうしたの……」

 

「少し待って!?」

 

 ローゼルのほうに片手を前に出して、ローゼルの言葉をとめる。

 

 

「お願いだから気持ちの整理をさせてぇーー!!」

 

 有らぬ自分の妄想から解放されたく、中央通りで少女の魂の叫びを響かせたのは2:30の出来事である。

 

 

 

 




一向に話が進みませんが結構作者的には今の話は好きです。この作品は基本バトルに突入するまでが長い上に話を盛り上げるのに一々周りくどい書き方をしていますから……話の進行具合がかなり遅い。

PCが古いせいか、文字の打ったときの読み込みの遅さが酷い。

気分転換を試していますが……なかなか上手くいきませんね。


それでも頑張るしかない。気晴らしに他の小説を書きたいと思っています。
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