ソードアート・オンライン~紅の心意―The Cardinal Mind   作:坂道

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SAOってなんだろう←このコメントは気にしないで下さい

文章力ねぇな~

桐ヶ谷 和人「(作者の文章)スライム相当だけどな」

作者「うるせぇよ……」


信じない、信じられてる

 ダングレスト 定例場前通り 2:45

 

 リズベットの誤解?はとりあえず棚に置くことし、先にリズベットの依頼である鉱石の運搬を再開した。レトがリヤカーの前部にある鉄の棍棒を前に引き、残り二人は後部からリヤカーを押していた。リズベットの店はダングレストの定例場付近に開いており、そこまでの道を移動している最中。

 

「「「…………」」」

 

 なぜか、三人とも無言のままリヤカーを動かしており、先ほどから喋ろうとしなかった。レトに関してはメイスで吹き飛ばされたことで少し不機嫌になっているのだろう。

 しかし後部を押している二人は顔を合わせず、その場の空気を保っていた。

 

―まずい……完全にあたしのせいよね、この空気……何か話さないと

 

 あたしはこの重い空気を一新するために話題を考えていた……想いつけるわけない。あたしだってそこまで人と気さくに喋れるほど、アグレッシブな人材ではない。

 

 今の状況は誣いて言えば、いつも話を話題を振ってくれるリーダー的存在が抜けて、残った人が気まずくなるというあの手の感じである。

 

 リズベットも元の現実世界ではあまりコミュニーケーションが上手いわけではないが、最近は接客業も板に付いてきたと思っている。だがこの場は違う……

 

 目を横に向けると、先ほどまでレトと話していた髪の長い女性が一緒にリヤカーを押すの手伝ってくれていた。

 

―やっぱり、綺麗な人だな……

 

 サラサラとした銀髪は背中の辺りまで下りており、風に靡くたび髪が浮く姿は何処かのお姫様のように煌めく。

 出ているとこも出ていて、凛とした美しい顔はどこか寂しそうにレトを後ろから見ている。

 

―そういえば、ローゼルって普通に呼ばれてたな……あたしには「さん」付けなのに……

 

「あの~ローゼルさん」

 

「……何?」

 

 ローゼルは目を合わせてはくれなかった。とはいえ、リズベットもローゼルとは正反対の方向に顔が向いているのだが。

 

「ローゼルさんは……レトと付き合ってるの……」

 

「……はぁぁぁ!?」

 

 ローゼルはリズベットの破天荒な発言に動揺して後部からリヤカーを勢い余って押してしまう。当然のように前から押しているレトは背中を強く強打し、そのまま積んでいた鉱石が彼に目掛け振り落ち埋もれてしまう。凄い騒音であったが二人はそれどころではなかった。

 

「な、何を言い出すの!?」

 

「だって! 一緒にご飯食べてながら、その……イチャイチャしてたし!」

 

 それを聞くとローゼルは先ほどの冷めた顔から一変、顔が熱を帯びたよう真っ赤に染める。

 

「バカなこと言わないで! あれをどう見ればそう見えるのよ!?、それに私とコイツはそんな関係じゃないわ!」

 

「じゃあ、どういう関係なのよ!」

 

「私とコイツは二日前に会っただけってさっき言ったでしょ!、この薄ら馬鹿!」

 

「なっ、薄ら馬鹿!? それあたしに言ってるわけ!?」

 

 勘違いとは言え、人の話を聴かないリズベットに激怒し、言葉通りに言い放つ。気に障ったのか、足を止め、後部から手を離し、リヤカーの後部を思いっきり蹴る。レトは台車の下に散らばった鉱石を腰を落として拾っているので、蹴り飛ばされたリヤカーがそのままレトの後頭部にぶつかり、踏み潰される。

 

「他にどこにいるって言うのよ、だいたいこんな変な仮面被ったおかしな奴に惚れわけないじゃない! 早とちりもいいとこよ、この馬鹿!」

 

「うぅ、バカバカうるさいわよ! それにレトは別におかしくなんかない、ただ何処か抜けてるお人好し変な仮面なだけよ、この赤面女!!」

 

「せ、せきめん女……誰に言ってのよ!!」

 

「あんたに決まってんでしょ!!」

 

目から火花を散らしそうにいつの間にか話がヒートアップしているが、一人ドス黒いオーラを身に纏った少年がゆらりとリヤカーを押しのけ立ち上がる。

 

「……おい」

 

「「何!……よ……」」

 

 レトは仮面をめくり上げると、背後から般若が浮き出てきそうな鋭い目力で二人を睨んでいた。その眼力と無言の圧力は二人を静止させてしまう。

 レトの技の一つ「目で解らす」(ソードスキルではありません)という。数秒間の間その場が時が止まったかのような錯覚に陥ると、レトが散らばった鉱石をリヤカーに乗せ動き始める。

 

「……早く行くぞ」

 

「「は……はい」」

 

 レトは二人を見て、頷き仮面を被りなおす。レトの意外な一面を見た二人はまだ少し動揺していた。

 

 

 

「お~い、何でも屋!」

 

 ほとぼりが冷めたのもつかの間、不意にレトのギルド名を呼ぶ声が前から聞こえてくる。

 趣味の悪いバンダナを巻いた鎧武者の風林火山のギルドマスターことクラインとそのギルドメンバーの五人がレトに手を振っていた。

 

「クラインさん、何かようですか」

 

「何言ってんだよ、この前の<黄金の鱗>の採取依頼、今日までだろ」

 

「あっ、忘れてた」

 

 メニューウィンドウから黄金魚から剥ぎ取った素材を出す。

 

「おお、とか言いつつもちゃんと素材は持ってたんだな」

 

「正直言ってこれは難易度が高すぎです、ヒットするの丸一日使っても釣り当てることができなかったんですから。今回は報酬額を引き上げてさせてもらいますよ」

 

「でもよ、上層プレイヤーで釣りスキルなんて持ってるのお前くらいだぜ」

 

 急な報酬の引き上げに焦るクラインに溜め息を漏らす。

 

「ちょっと、いつまで話してるのよ、サッサとこれ運ぶんでしょ」

 

ローゼルも嫌気が指したのか、少し文句を零しながら後ろから顔を出すとクラインと目が合ってしまう。

 

「はぁ~、もういいですよ。それじゃあ元の値段で……? クラインさん」

 

 クラインは口を開けたまま、目を丸くしていた。後ろにいた風林火山の男たちもローゼルを見るや否や同じく驚愕していた。リズベットも周りの様子に気付き顔を出す。

 クラインさんはどこか変であった。すると、俺の胸倉を掴み持ち上げる。

 

「レトぉぉぉぉぉ、てめぇこれはどういうおいしい状況だぁ!!」

 

「いや、何が? それに何で怒ってるんだ?」

 

「お前これを見て嫉妬しねぇ野郎がいないとでも思ってのか! 色目野郎!!」

 

 胸倉をブンブン振り回される。仮面の下は真っ青なっており、頭を勢いよくシェイクされ酔ってきたレトは、必死にクラインの腕を叩く。

 

「おい、突っ立ってないでお前らも野郎になんとか…」

 

「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」

 

 振り向くと自分のパーティがいないことに解り、見渡すとローゼルの前に45度のお辞儀をしながら右手を差し出していた。

 

「って、お前ら何抜け駆けしてんだ!」

 

 レトを横に振り払い、クラインは割って入るようにローゼルの前に立つ。

 

「クライン23歳独身恋人募集中です!、こいつら全員俺の部下です!、ギルドマスターをやっています」

 

「リーダー! あんたこの前、聖竜連合のスノウにフラれたばかりじゃないっすか!」

 

「うるせぇ! 俺はもう手段を選んで場合じゃないんだよ!」

 

「格好良いこと言って誤魔化しても無駄だぞ、クライン!」

 

 男たちはローゼルを前に小競り合いをしている、傍からうっとしい光景がである。ローゼルはもみ合う男たちを避け澄んだ目で言う。

 

「私……」

 

『?』

 

「下心丸見えの男とか絶対無理、特に髭頭らの男とか」

 

 ローゼルの冷めた鶴の一声は醜い中年男性たちの心をいとも簡単に砕いた。

 

 無様な姿を曝け出した風林火山の一同を見ていられなくなり、レトはそっとクラインたちの肩に手を置いてあげたが、振り払われた。

 

 

  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 露店前 3:00

 

 あの後、クラインさんたちにも協力してもらい鉱石を無事にリズベットさんの露店までに辿り着いた。

 リズベットさんは何故か不機嫌だったが、早く依頼が済んで俺は良かったと思っている。

 

「おいレト、そういえばエギルがお前のこと探してたぞ。ポーションの手配がどうとか」

 

「あ、そういえば追加依頼が来ていたっけ……悪いローゼル、ここでリズベットの店を手伝ってやってくれないか?」

 

「えっ、そんなの依頼には……」

 

「サービスみたいなものだ、ただ依頼をこなすだけじゃ相手の信頼は勝ち取れないぞ。それにさっき君はリズベットさんと喧嘩していただろ、ちゃんと謝っておけよ」

 

「あれはあの子が適当なこと言うから……」

 

「はぁ~、君は無愛想をだな……そうだリズベットさんみたいにオシャレしたらどうかな」

 

 店に目を向けるとリズベットがせっせと作業に取り組んでいた。彼女のコスチュームは可愛い赤いドレスに純白のエプロンが付いており、とても可愛らしい服装である。

 

「大きなお世話……」

 

「まぁいい、それじゃ頼んだぞ」

 

 レトはリズベットに歩み寄り、ローゼルのことをリズベットに任せ、クラインたちともにエギルの店へ向かっていった。

 行き場を失ったローゼルは仕方なくリズベットの店に近づく。

 

「「…………」」

 

 ローゼルは立ったまま、リズベットが武器をハンマーで打つ姿を見ていた。二人は無言の空気を保ち、他の露店の喋り声と金属がぶつかり合う音が鳴り響いていた。

 

「あの……そこにある武器とってくれる」

 

「えっ、ああ……」

 

 どこまでもぎこちない二人だが会話を持ちかけようとお互い必死であった。

 

「「さっきはごめん……あっ」」

 

 同時に声を掛けて、また気まずくなるが、でも二人が考えていることが一緒であったようだ。自然と二人は笑ってしまった。

 

「あたしはリズベット、リズでいいわ。見ての通り鍛冶職人」

 

「私は……ローゼル」

 

 互いにもう名前は知っているが、ちゃんと顔を向けて名前は言っていなかったため、仕切り直しという形である。

 

「ごめんね本当に……勘違いとはいえ勝手に暴走してた……」

 

「そんな謝らないでよ、私に非があるし……でも少し言わせて……ありがとう……」

 

 リズベットは今のローゼルのお礼に首を傾げてしまう。

 

「こんな風に同年代の女の子と喧嘩したの……初めてかもしれない……」

 

「そうなの?……まぁたしかにSAOって男性が大半を占めてるから……女性プレイヤーは中々いないもね」

 

 リズベットも最初は一人、職人仲間と協力しながら活動をしていた。それでもやはり男性プレイヤーと気安く話すのは骨が折れた。

 仮想世界で友達になったアスナと知り合ってからは女同士でしか分からない会話ができて、SAOで堪っていた事が同じ女の子に吐けて、お互い晴れ晴れしい気分になれた。

 

 しかしローゼルは違う、もっと違った感覚だった。ローゼルはSAOに囚われる前にも、同級生女の子の友達……いや、友達がいなかった。母の事件がきっかけで、横浜に引っ越すことになったローゼルは差別に遭っていた。日本は情報社会、事件はすぐにニュースになり、学校の生徒に耳に入るのは一瞬のことである。中学で知り合った友達には転校するまで距離をとられ、高校ではいじめにも遭っていた。携帯から自然と祖父母と弟、そして今なき親の連絡先だけが残った。

 ローゼルには、友達という友達が出来なくなり……離れていった。

 

 憂鬱になった自分をあざ笑い、手に握った武器をリズベットに渡す。

 

「リズは……レトのことが好きなの」

 

 すると、リズベットは片手に持ったハンマーを動揺して落としてしまう。

 

「ち、違う!、あたしは別にあいつのことなんか好きじゃ…………好きとかそういうのじゃないんだ……」

 

 リズベットは作業を止め、ローゼルに目を向ける。

 

「あたしね、レトに命を救ってもらったの。凄く感謝してるんだけど、あいつ……危なっかしくて……。あいつ優しいからさぁ……自分が平気で傷ついても他人を守ろうとする、そんなバカなお人よしだから……気になるの、ちゃんと自分のこと大切にしてるのか……」

 

 リズベットが言っていることは正にローゼルも懐いていた疑問、そして知りたい事だった。

 

―何故あそこまで誰かを信じられるのか……何でそこまで私を信じようとするのか。

 

「あいつのお人好しがうつちゃったかな、忘れていまの……ローゼル? どうかした?」

 

「ううん、何でもない。私何か飲み物買ってくるね」

 

 ローゼルは軽く手を振って、露店から逃げるように離れた。

 

 

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 今ダングレストはボス攻略の最終準備に追われている、定例場は血盟騎士団、聖竜連合、アインクラッド解放軍、他小規模ギルドが集まり、ボス攻略会議が始まっている。

 

 ローゼルはフードで顔を隠し、NPC宿でカップに入った飲み物を買い、リズベットの店に戻る最中であった。

 

 なるべく顔を見せないように俯きながら夕日が差す道を歩いていると、総合NPC店という、武器・防具・道具などを全般的に取り揃えた店の前で足を止める。店の入り口の前に目が入ったのは、赤の結晶クリスタルである。赤の結晶クリスタルの効果は蘇生であったが、今のこのSAOで使用は不可能である。

 

「レト……」

 

『君がきっと赤が好きになれる場所だよ』

 

 彼が頭の中から消えない消さしてくれない……何かに心が満たされていく。優しさ……彼は母に良く似ている。母も自身を傷つけても誰かを守っていた……私の事を守っていた。彼なら本当に私を……

 

『そうやってまた誰かの優しさに漬け込んで殺すのよね』

 

 まただ……またあの声だ……

 

『もういいでしょ? あなたが誰かに助けを求める資格なんてないんだから』

 

 悪魔の囁き……でもその声は限りなく……

 

『さぁ、誰かを殺そう……その瞬間だけが、あなたは心を満たされるのだから、ねぇ?』

 

 私の声だ……自分で自分を否定して生き続け、自身の不幸に酔う最低な人間の……

 

「見つけたぞ!!」

 

 急に背後から解き放たれた言葉に振り向く。気付けば無数大勢のプレイヤーがローゼルを囲むように迫っていた。咄嗟に転移結晶を手に取りこの場を逃げようとするが、店の屋根から他のプレイヤー二人が降下してローゼルを上から取り押さえ、転移結晶を奪われる。手に持っていたドリンクが道端に広がり消滅してしまった。

 

「くっ、くそ! 放せぇ!!」

 

「大人しくしないさい」

 

 ローゼルの腕を二人ががりで抑え込む女性プレイヤー。圏内では犯罪禁止コードが働くため態々女性プレイヤーに押さえ込ます。

 よく周りを見れば朝会った軍の連中である。

 

「ちゃんと押さえとけよ、そいつは凶悪な犯罪者の一人だからな」

 

 すると、後ろから軍ではない軽装備の男性プレイヤーが姿を現すと、そのプレイヤーは血管が怒りで膨れ上がり激怒した男が指を指しながら答える。

 

「コイツだぁぁ!!、コイツが俺の仲間を!!」

 

 男は息を荒らしながら、激しく怒り渦巻く憎悪をローゼルに向ける。

 

「うそよ……なんで」

 

「ダングレストでは次のボス攻略に向けて道具や武器で資金が大幅に動く、そこを狙ったお前らレッドプレイヤーは、この日を逃さず近付いてくると判断した。お前はその中でも血盟騎士団で顔が割れていてな、ダングレストで山を張って正解だったよ」

 

 軍の鎧の男がローゼルに顔を近付け蔑む。

 

「感謝するぜ、お前をひっ捕らえたおかげで、あそこでお前を恨んでいる男からたんまり報酬が貰えるからな」

 

 ローゼルは必死に体を動かし、逃げようとするが敵わない。

 

「ローゼル!」

 

 人ごみを分けながらリズベットが男性たちに間に割って入る。露店から騒ぎを聞きつけ様子を窺っているところに、ローゼルが取り押さえられているのが目に入り、駆けつけてきた。

 

「ちょっと放してあげてよ、ローゼルが何をしたっていうのよ」

 

 リズベットは強張り、鎧の男を睨めつく。

 

「まぁまぁ、お嬢ちゃん少し落ちついて、彼女は犯罪者なんだよ」

 

「何をそれ!?、いいからローゼルから離れて……」

 

「そうよリズ、私から離れて」

 

 ローゼルが顔を俯かせたまま、震えた声で囁く。

 

「どうしたの、急に……ローゼル…」

 

「私は……私は……」

 

「PKプレイヤーだよな」

 

 先ほどからローゼルに怒りの眼を向けている男が声を上げる。

 

「ろ、ローゼルはグリーンじゃない」

 

「うるせぇ! 目撃者がいるんだよ、部外者は離れてろ!」

 

 リズベットに平手打ちを振り払い、横に退かす。

 

「リズ!、リズに何すんのよ!?」

 

「てめぇ……よくもまぁそんな口が言えたな、おい! お前らよく聞け!」

 

 騒ぎに気付いたプレイヤーたちが続々と周りを覆っていた。男の怒った顔は涙に打ち震えている。

 

―やめて……それ以上言わないで

 

「お願いリズ!、早くこの場を去って!」

 

「ローゼル?」

 

「あなたに知られたくない、お願い……」

 

―リズとは友達になれる気がした、でもそれが悪夢になってしまう。私が生きてきて一番が不安だった悪夢が……正夢になる前に早く……ここから……

 

 

 

「コイツは俺の……俺の仲間を殺した人殺しだぁ!!」

 

 

 

 悪夢が現実になった

 

 

 




……心が痛い

次回……書くのが怖いです……
物語は悪い方向に進むのか、それとも……
ローゼルは……そしてレトは……

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