ソードアート・オンライン~紅の心意―The Cardinal Mind   作:坂道

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SAOⅡが夏放送開始!!
やったぜ!
どっちらかというとアニメを見てから原作を読むほうが好きな作者です。(キリッ!

今回は妙に更新が早くて作者どうしたと思われるかも・・・

それではどうぞ!


黒と紅の遭遇

 

 もう一度手をつかまれたとき、レトは途轍もない寂寥に苛まれた。ローゼルの弱々しく揺らす瞳がレトの良心を突き刺さる。だがずっと一緒にいることが優しさではない……いや、ただ自分が過保護で在りすぎたことが彼女の心を脆くしてしまったのではないか、行き過ぎた感情はときに人を傷つけることがある……一度は一人で空気を吸ったほうが気分転換にもなるだろうと考えた。

 ふっ、とレトは軽く吐息を漏らした後、気持ちを切り替え、木製のドアノブを引いて店内に入る。

 カランカランとなる鈴が鳴り、クラシックの効いたどこかしっとりした音楽が蓄音機によって奏でられており、仄暗い店内は居心地いい空間であった。気持ちのいいBGMに耳を傾けているとカウンターの奥からスキンヘッドの大男が渋った顔で姿を現す。

 

「いらっしゃい、おっとコイツはお得意様じゃねぇか、待ってたぜレト」

 

 その引き締まったガタイのいい店主はエギルというここで雑貨屋を構える店主。腕に抱えた重そうな木箱も大男をみれば軽い小包のように見えてしまうほどだ。

 エギルは腕に抱えた木箱を床に置くと陽気な顔で右手を前方斜め下に向けて伸ばす、レトはその手に握手で応じる。商談前に行う恒例の挨拶、現実では契約が成立して互いの了承し合った時に交わすものだが、レトとエギルは信頼し合える商売仲間だと認知しているため最初に握手を交わし合う、あまり深い意味はないが信頼の証のようなものである。

 

「受注依頼ありがとうございますエギルさん、依頼品の《紅迅石(こうじんせき)》をお持ちしました……? 今日は何だか寂れていますね、この時期に珍しい……もう閉めたんですか?」

 

一風なレトロ味を出している店内にはプレイヤーが自分とエギル以外見受けられず、レトは小首を傾げた。店頭に並んだ陳列棚に置かれた各種アイテムは《sold-close》と表示され、店内のマスターにしか手に触れることが出来なくなっていた。

 昼時、しかも明日の第四十九層BOSS討伐となるとエギルの店に集まる固定客も少なくないはず。

 

「つい数十分前にな。これでも攻略組の斧戦士で通っているからな、阿漕な商売ばかりしてられないんだよ、これから軽くレベリング(鍛え)にいくところにお前がきたってわけだ」

 

 阿漕って自覚あったんだ、と苦笑いしつつ依頼の品である《紅迅石》をアイテムストレージから選び選択欄から[TRADE]トレード選択し、交換内容の設定から【アイテム⇔コル】選び要求金額を決定するのだが店主は目の前に出た画面をおっかない眼力で凝視していた。レトはエギルの顔色を窺いながら四桁の数字を提示すると、いかつい店主はその金額ににやりと満足気に親指を立てる。

 

「また面倒な依頼品でしたよ、依頼が終えてからなんですが、強化系鉱石なら前線を支援しているパシッング系スキルの高い鍛冶職人に任せたほうが効率が良かったと思いますよ、鉱石を落す相手ならドロップ率が一〇%も違う、内容がもっと詳細だったらリズベットさんあたりを紹介したのに……」

 

「そう固いこというな、今上層部の職人のほとんどが最前線の第49層の《氷塊の洞窟》へ鉱石発掘に出ているから、上で頼める奴がお前くらいしかいなかったんだ。それに鍛治職人との素材相場の売買はかなりシビアだからな、リズベット嬢なんかに鉱石なんて手引きしてみろ、店は明日から赤字だ……その点《何でも屋》だと安くつくからな」

 

「一言余計ですよ、NPCみたいに交渉スキルは反映されませんよ俺は……気分を害したので報奨コル一桁上げるか……」

 

「おいおいこっちもジリ貧でやり繰りに困ってるだ、勘弁してくれ!? この店も仮住まいだけで、今月はレンタル料が嵩張(かさば)って正直渋くなるところでよ……」

 

「冗談ですよ、俺にも余裕ありませんから……まぁ確かに個人経営で本店を構えるとなると、雑貨屋にしては店の雰囲気が少しお洒落過ぎるかな、もう少し地味で安く……尚且つ店の戸棚を整理し易い物件あれば……案外もっと狭いほうがいいのかも、どちらかといえばここは多人数で集まるギルドホームの方が性に合っていたのか、いい物件だと思ったんですが……なんか悪いことしましたね」

 

「いいや、ここを薦められたときは、俺が現実で構える喫茶店と店内の雰囲気が似ててよ、久しぶりに現実の世界で待たせてる妻の顔が頭に浮かんださ、いずれ移転はするが思いいれはある……ありがとうよレト」

 

 エギルは微笑ましい笑みを右手の薬指へと移す、近く遠く離れた愛を誓い合った既婚者のことを思い出しているのであろう。現実の世界で待ってくれている人がいる、だからエギルは今も前線で力強く斧を振り、戦っているのだ。自分が戦う意思を持ち、そのうえ売り上げのほとんどを中層プレイヤーの育成に回している始末、その意気と人柄の良さにレトも敬意を払った振る舞いを解かないでいる、云わば尊敬しているのだ。

 商人・職人系列特有の実入り話に談笑していると、エギルは視線を少しレトの後方をキョロキョロと窺っていた。

 

「……そういえば、例の姐ちゃんはどうした? 最近はやっと口を聞くようになってくれたからよ、今日はいい珈琲豆が入って、また試飲してもらいたかっただが……」

 

 ローゼルは頑なに他のプレイヤーとの関わりを避けていたが、遂最近はエギルに少し心を開いたのか渡された珈琲を一口の身の感想を述べた―不味い、とただ一言。それでも大きな進歩である、エギルもその反応にうけて、以後その遣り取りが楽しみになっていたのか、少し残念そうに頭を掻く。

 

「彼女は店の外で待たせていますよ、少し気分が優れなくて……」

 

「おいおい良いのかよ……奴さんのこと血盟騎士団に任されているんだろ?」

 

 エギルは何と無しに少し微妙な顔で口を漏らすと、レトは少しぶっきら棒で言い返した。

 

「いいんだよ別に、あいつだって少し一人思うときくらいあったって……」

 

「それじゃ困るんだよ」

 

 反射的に後ろから響いた呆れ声に身を振り返ると、この場には似合わない凛とした騎士が腕を組んで立っていた。

 

「ら、ライン!? お前いつの間に……」

 

「その反応、悪気はあったようだね……まったく君という奴は、依頼名目上では二十四時間監視となっているのを忘れたわけじゃないだろ?」

 

 金髪に近い明るめの茶髪で癖のないショートヘアは自然と彼を清爽な少年の品格を放つ。現実で鍛えた肉体は身に装備する騎士の鎧を違和感無く着こなしていた。

 少年の名はライン、白と赤が織り成す血盟騎士団、《Knights of the Blood》に所属するレトの現実世界での幼馴染みで親友である。

 ラインの計らいでローゼルの監獄行きを免れているレトに言い返す言葉も権利も無い。ただ申し訳なく頭をうつ伏せ狼狽える他ないレトに、ヤレヤレと言わんばかりにラインは腕を挙げて頭を支えた。

 

「はぁ~……安心しろ、君がローゼルさんと別れた後、すぐにソディアを護衛に付かせた」

 

「すまん…………いや待て、別れた後ってどういうことだ?」

 

 自分に非があることは十分にわかっているが、その言い方ではまるで……

 

「君がダングレストに訪れたときにはもう君達の後を付かせてもらったよ」

 

「そんな勝手な……」

 

「必要なんだよ、彼女が《BLOOD》と暗躍してないにせよ、一番の手がかりなのは確かのなんだ。僕達上層のプレイヤーには殺人者(レッド)は障害でしかない……可能性が僅かにあるならこれほどいい餌はないんだ」

 

「まるで泳がせているような言い方だな」

 

「好きでこんなことやっているわけじゃないさ」

 

 先日の一件のことも有り、嫌な思いが胸に沸いてくる。

 互いに心苦しさに黙ったままピリピリした空気が場を濁す中、エギルが間に割って入ってきた。

 

「まっ、お二人さんよ、立ち話もなんだ、不味い珈琲ぐらい淹れてやる、そこいらに置いてある椅子にでも座りな」

 

 場の空気の重さを晴らす陽気でビックな店主に二人とも後ずさる、あの巨躯の体格良い彼の前ではレトもラインも子供同然であった。すっかり話し込んだせいで忘れていた取引きも後回しになり、トレード画面を閉じた。

 エギルが店の奥へ姿を消した後、レトとラインは一種言い難い気持ちを改め言葉を交わす。

 

「ここにはよく来るのかい?」

 

「ああ、今依頼を受けてくれる数少ないお得意様だ……ってことも知っているんじゃないのか?」

 

「そこまでの追跡(ストーキング)は控えているが、関わったPCの名前はチェックさせてもらう。……彼女の一件は僕の部隊が責任を受け持っているからね、定期的に君達を影から監視するのを条件にギルド全体から了承を得ているんだ……とは言っても殆ど君任せだ。当然だが騎士団、他攻略に参加するギルドからは、あまりこの対処をよく思っていないの者が多い、だから行動は証明(かたち)だけでも必要なんだ……すまない、趣味が悪いということは判っているさ」

 

「お前が買って出ているってことは配慮してくれているんだろ、謝るなよ……謝るのは俺のほうだ、迷惑かけてばかりだな俺は……」

 

「気にするな、僕は気にしていない」

 

 こんな独善めいた行為が出来ているのも全てラインの計らいが有ってもの、レトと一人ではどうにも出来なかった。ラインが前線で築き上げていた信頼関係に皹をいれているとしたら遣る瀬無く心を咎めてしまう。前線で戦い抜くためのリソースは新たなマップの探索が自己強化へと繋がるというのに、ラインは定期的にレッド捜索に手を回している、前線の競争に支障が出ているではないかとレトは面の下で浮かない顔で思い巡らせていた。

 ――お前は前線で必死に戦っているのに、俺の私情、我が儘まで受け持つなんて……どっちがお人よしだよ……クソ、なんて情けなんだ俺は……

 仮面の下は苦悶に満ちる、自信の不甲斐無さに沈鬱になる反面、ローゼルを捨てたくない善人気取りでいる自分がどれだけ傲慢なのかを。

 

「また自己嫌悪かい?」

 

 唐突に発せられた親友の言葉に図星を指された。顔には出ていない、ましてや仮面を被っているのに気色を読まれてしまい、唖然とする。

 

「図星か? 眼を見ればわかるよ、君は沈んでいると自然と親指と人差し指の爪を擦り付ける癖があったね、大方僕に迷惑を掛けていて自分が情けないなとか思っていたんじゃないのか」

 

「おいおい騎士かと思えばエスパーかよお前は、筒抜けじゃねぇか、ったく人の脳内を勝手に詮索されて弄ばれた感じだ」

 

「酷い言われようだな……まぁ君の考えることなら顔を見れば大体の人は推察できるんじゃないかな。あ、だから仮面を被っているんだね、納得したよ」

 

「お前遠回しに喧嘩売っているよなライン」

 

 面白半分に喉から腸に溜まっていた嫌気までも外に吐き出されたかのように悪乗りで話す二人。こんな親しみやすく話させるのも互いに同音の弱点をしていられるから、曇った気分でも和気藹々といられるのだろう。

 親友の気遣いに感謝し、話を現在の仮想世界の状勢に眼を向けた。

 

「あれから《BLOOD》に動きはあったのか?」

 

「いや特に目立った動きはない、聞くのは下層部でオレンジプレイヤーの恐喝紛いな行為があったことくらいか……これは笑う棺桶(ラフィン・コフィン)が名乗りを挙げてからの多くなった話だ、下層の人達が彼らの犯罪行為を耳にして罪という意識が薄れてきているんだと思う。このことをきっかけに《アインクラッド解放軍》の犯罪鎮圧部隊は治安の範囲を拡大したらしい、それと少し景気のいい話が前線で持ち上がっていてね、近々軍を完全に纏め上げるリーダーが出来るらしいんだ」

 

「軍を、完全に取り仕切るリーダー? 初耳だ……あの超大規模ギルドをどうやって……」

 

「まぁあくまでうわさだけどね、きっと攻略組でしかまだ話は出回っていない」

 

 現在ユーザー人口の約千五百人以上の属しているギルドの上に立つ者となると獲がたい人物に違いない。

 第二十五層のフロアボスとの戦いでアインクラッド解放軍(ALS)は多大な被害を負い主力を失い、攻略組から脱落を余儀なくされた彼らは再び勢力を揃えるべく大規模ギルド《MTD》を吸収した。

 《MTD》というと初期段階からプレイヤー間の相互補助など支援機構的な役割を担ってくれていたギルドでMTDのリーダーは虚脱した人々を進んで保護し、一部のプレイヤーからは救世主扱いにされるほど厚い人望を持っていた。

 しかし規模の拡大につれて組織を率いるリーダーとしての統制力まで力が及ばす、アイテムや情報の秘匿の横行や、派閥同士による粛清・反発が相次ぐようになり、徐々にMTDは衰退していく。

 軍が吸収後は組織強化を促進させ再度発展を狙おうとするが、最近は治安を装った犯罪者狩りや狩場の独占、徴税と処した恐喝行為など、当初の目的とはまったく別のものになっていた。

 そんな中ギルドに新たな派閥を創り名乗りを挙げたプレイヤーが現れた―それがアレス(Alles)というプレイヤー。彼の方針は根本的なゲーム概念とは違う、教育・衛生管理はまるで軍事教育に於ける新兵育成そのもの、しかしリアルな脳筋の考え方は根本的にゲーマーには理解されず、百と居たプレイヤーは一日で五人まで減少したようである。

 

「軍は前線の攻略に参加していないと聞くだろ、実は48層攻略で軍がたった5人だけの小隊を引き連れて攻略に参加したんだ。その部隊の隊長を務めるのがアレス(Alles)というサーベル使い、攻略会議にも参加せず電撃参戦だったもので僕達は彼らからは被害者が出ると思っていたが……」

 

 ラインはわざと間延びした話し方で息を呑んで答える。

 

「呆気に取られたよ……卓越した戦術指揮、状況判断能力、ボスの取り巻きの動きを瞬時に理解して戦況を我が物にした、そして何よりあの戦闘技術……団長並み、それ以上かもしれない」

 

 あの攻略組の最強と名高いヒースクリフと並ぶ人物、頭の中で在らぬ化け物染みた顔を想像するレト、といっても実際に彼らの戦いを馬路(まじ)かで見たことがないレトにしてはイメージしようがない。

 

「……どんな人物なんだ」

 

「外人の口髭を蓄えた体格の良い初老の男性だったな、きっと攻略組の中では最年長プレイヤーだと思う……天才というよりも、鍛え上げられた熟練の戦士といったほうがいいか、性格は好々爺然とした紳士的な人だったね。アレスの前線加入をきっかけに軍の主導権は彼に傾き、前線の士気があがると情報屋は騒いでいるよ」

 

 少し興奮気味に語るラインがいう人物にレトも少し興味が沸いていたが、何故今になってその男は攻略に参加したのであろうと訝しげに首を捻らせる。第一層の治安維持が改善されるのは一プレイヤーとしては嬉しい限りであるが、どうにも腑に落ちない。

 

「話が逸れたね……でも軍の影響で下層部の被害も減りつつある、BLOODと笑う棺桶が停滞を続ける要因も彼の影響が大きいのかもしれない」

 

「勘付かれている可能性は? 俺も最善の注意は払っているが……どうなんだ?」

 

「無きにしも非ず、ローゼルさんがBLOODとコンタクトを数週間取っていないとなると、頭の切れた連中なら十分ありえる話だ、それにスライという男には不確定な要素が多すぎる」

 

「不確定……」

 

「そうだな、例えるなら笑う棺桶とBLOODには大きな違いがある。笑う棺桶のリーダー《Poh(プー)》は独特な口調とカリスマ性でプレイヤーを扇動し、殺伐したこのデスゲームの状況を利用してPKという『非道』を『快楽』に変えたオレンジプレイヤーの集団、基本団体行動で活動している……こういっては何だが一般的なギルド方式に乗っかったギルドといえるんだ」

 

 ラインの端正な顔からけたたましい気立てを感じさせ、声調にも少し怒気が響く、そんな騎士の姿にレトの眼にも鋭さが帯びた。

 

「それに比べ、BLOODには主軸となる組織を束ねるものがいない、人数も不明の異色の集団……一応取り巻きを仕切るのがスライのようだが……基本レッドプレイヤーは単独行動になる節が多く、人格破綻者がほとんどだ。互いに殺人の共同意識があると自然に共犯仲間という意識も生まれて組織に発展するだろうが、それはPohのような扇動者がいればの話……そんな混沌とした集団を奴は強制させる力を持っている……」

 

「UNスキル……《筋力拘束(パワー・バインド)》」

 

 ローゼルを縛り付ける呪いの一つ、名の通り筋力値(STR)を零にして身動きを取れなくする、まるでこの剣の世界に合っていないスキル、あの男はこの力を行使しオレンジプレイヤーを支配下に置いている。レベル製のフェアルールがこのMMORPGの醍醐味であるはずが、超能力といったSF小説の架空の力そのもので、あまりにも信じ難い話だ。

 

「僕はそこが腑に落ちているんだ、プレイヤーを意志とは関係なく制御不能にする破綻したスキル能力、発動条件、スキルの範囲・制限ともに不明……もしこれが本当なら僕達はあの男に手出しが出来ない……だがそんなことこの世界にはあってはいけないんだ。このゲームはレベル以外はプレイヤーはシステムに則った力しか用意されていない、仮にユニークスキルという分類だとしても……」

 

「チートを通り越しているな、それに支配におけるならPKなんて安易に殺って退けるはず、きっとシステム的な穴があるはずだ、出なけりゃあ攻略組は今頃全滅だろうな……笑えない冗談だ、破綻したスキル……か」

 

 レトはその力の似て非なるものを認知、了得していた。

 2012年11月6日、デスゲームの開始が宣言された第一層は混沌に満ちていた頃、俺は姉とはぐれてしまったという少女―シズナと教会で独りでいた少年―キングを保護し、はじまりの街に留まることとなった。攻略に向った友と別れ数週間以上がたったある日、教会に滞留するためのコル稼ぎとSAOの基礎的なルールを把握するため一人フィールドに出た。

 しかし相応の若気の至りか、二人はレトの助言を無視し草原フィールドに出たシズナとキングは《夕闇の狼群》という時限発生キャンペーンクエストに巻き込まれる。間一髪魔物に襲われるシズナ達を見つけたレトは二人を守るために狼の軍勢に一人立ち向かうが、圧倒的な物量の前にHPを削がれ生死を彷徨った……瞬間だった、眼前に浮かび上がった謎の英数字が脳髄を焼き焦がすかのように視界を紅く染めた。我が意志とは懸け離れた、まるで自らを最強の剣士へと昇華させる無双の力、その疾風怒濤の攻撃力、電光石火の機動力で数十体に及ぶ魔物を一瞬にして斬り裂いた。

 この力はその時だけに限らない、ルプス鉱山でのシークレットBOSS《ダークインサイト》との戦闘、迷宮区での魔物の軍勢との対峙時にも行使した謎のスキル。しかし一見チートのような力は、意思的に発動することができず、詳細不明・発動条件不明、ステータス画面にも表記されない異質のスキル、そして発動後の異様までに脱力に苛まれる……比較すればどちらも別の力だが、ゲームの概念を覆す破綻したスキルであることに違いはない。

 不確定な未知の力ではあったが、あまり深く追求することもなく誰かに口外していない……というかただの妄想話だろと馬鹿にされ信じてもらえなかったのが現実だ。今となってこの強靭な謎の力はそのスキルと類似したものではないかと考えたレトは口外にしていたことを言及しようと唇を動かす。

 

「ライン、実は……」

 

 カランカラン。

 切り出しかけた言葉は扉の鈴の音に遮られる。自然と体は音が鳴った扉のほうへ身を翻ると、そこに佇む人物にレトは沈黙の意を唱えた。

 落ち着いた黒髪に童顔の細い顔立ち、背丈はレトよりも少し低く華奢な細い体に黒一式で装えた黒衣、一見女性に見えなくはなかった……その何か遠くを見るような澄んだ瞳と無表情の素顔は余りにも久しい顔立ちだった。

 

―か、和人……!?

 

 仮面に隠れた顔は驚愕に眼を見開いていることだろう。かつて同じ道場の門下生として腕を鍛えあった昔馴染の少年が今眼前に立っている。突如現実に戻ったかのような奇妙な再会に戸惑う他ないが、黒髪の少年剣士は表情が乏しいまま佇むだけであった。

 

「あんたが、何でも屋のレト……」

 

 和人とは眼は昔以上に冷ややかな眼つきでレトを凝視し、彼を見て慌てたような素振りも見せず寧ろ冷静に一歩引いて身構えていた。

 自分のことを見て何か大きな反応もせずレトは突拍子もなく首が傾ける、そのはずだ、自身が仮面を被っていることを忘れてしまうほど呆気に取られているのだから。黒の少年はレトを一目見て横を通り過ぎ、ラインに焦点を向けた。

 

「血盟騎士団の前衛を受け持っている騎士様がこんなホコリッぽい処にいらっしゃるとは不一致にもほどがあるな」

 

「そうかい? ぼくは結構ノスタルジーが感じられるこの空間が好きなんだが……まぁ確かにキリトのような風来剣士に比べれば、治まりは良くないのかもね」

 

「言ってくれるぜ、ライン隊長殿」

 

 随分砕けた調子で話し合う二人に迫る大きな巨躯の影が頭の上から茶色の液体が和人/キリトめがけ降りかかった。

 

「アッツ!……何にするんだよエギル!?」

 

 もちろんその正体はコーヒーを注いできたエギル、瞼をぴくぴくと痙攣させている店主の凶顔を見れば、あのラインも思わず眼を逸らしてしまうほどの迫力があった。

 

「いやぁ~、せっかく珍しいお客様が揃い踏みだからよ、糞不味いコーヒーでも提供してやろうと思ってよぉ、お気に召したか?」

 

「おいおい、こっちは客だぜ、もう少し丁重に扱え鬼店主」

 

「人の店にケチを付けるクレーマー様には出っていてもらえると大変ありがたいんだが」

 

 彼らを取り巻く気兼ねなく親しみやすい空気はレトにはとても新鮮である。

 独特な仲間意識……いやきっと一年間ともに戦い抜いてきた者達だけの連帯感というものがそこにはあった。その目に映る談笑に少し行き場のなく感傷を浸らせてしまうのは、自分だけが最前線という過酷な環境にいない部外者という疎遠が少しでも感じていた。一段と独りもの静けさを感じていると、黒の剣士は鷹揚(おうよう)な物言いでエギルへ問う。

 

「それより俺が頼んでいた素材アイテムはちゃんと取ってあるんだろうな?」

 

「おぉ、丁度何でも屋に手引きしてもらったところだ、まだ取引の途中だったな……レト、直接コイツに回してくれ」

 

 レトに尻目を向けていたキリトは余り浮かない顔を振り向かせる。彼からしてみればレトは初対面且つ仮面を被った怪しい人物だけで構成された只の不審者でしかないが、それとは別にもう一つ彼がレトを突き放す理由があるように見えた。レトにも少なからず嫌な過去が口を苦くするが、キリトというプレイヤーネイムを以前どこかで間接的に口にしていた。

 ―キリト……そういえばあのときの仲良しギルドに所属していた……大体半年前か……黒猫団……

 記憶の棚に引き出さないようにしていた失念を思い出そうと頭を掠めていると、

 

「いいかな……?」

 

 和人/キリトがいつの間にか目の前に何食わぬ顔で立ち尽くしていた。音を立てずに近寄ったのか、はたまた自分が思い老けていただけか、定かではないがレトは黒の剣士にせかされるがまま慌ててアイテムストレージを開いた。

 

「あ……《紅迅石》十個、千五百コルよろしいですか」

 

「ずいぶん安いな、ああ……頼む」

 

 仮面を外すタイミングを逃したレトはぎこちない遣り取りでトレード欄に指を動作させながら、和人と始めてあったときの状景が浮かばせていた。

 現実の世界での出会い……というよりも始めて交わした会話は、あの忘れもしない剣道で初勝利を修めた日の昼のこと、紅葉/レトと和人/キリトは余り仲の良い関係ではなかった……いや、日々が経ちほとぼりが冷めれば互いに友好関係を築けたはずだと思えた。

 ―和人は、あの日の試合以来、道場に姿を現さなかった……

 和人の妹―直葉に話を聞いたが、その日の家に帰宅した和人は、剣道を辞めると祖父の前で告白し強く竹刀で叩かれたそうだ。元々桐ヶ谷の家は長年に渡り剣道を鳴らし語り継がれていた先代からの伝統があったらしく、桐ヶ谷の祖父はそれは強く彼ら兄妹に情熱を注いでいたようで、和人の辞退が許せなかったらしい。

 ―その後、彼らの家内で何があったのかは他人の俺には定かではないが、何かと和人には因縁深いものがあった。

 俺は直葉と一緒に和人を呼び戻そうと家まで訪れたことがある……でもお前顔も出してくれなくて、最後にこういったよな、

 

 ”これ以上……俺を惨めにさせんなよ……”

 

 自分の心に黒濃く印象付けた黒髪の少年、六年という時が立っても未だ心の傷は癒えず、鮮明に記憶に焼きついていた……―いや、最後にあったのは俺が川越市に戻った頃の全中剣道大会のときに観客席から睨んでいったけ……奇妙だな、お前とは偶然に遭うことが多いようだ……。

 桐ヶ谷和人は自分のことを覚えているであろうか、と切り出すことを考えていてもあの苦い経験が障害になり喉が詰まったかのように声が出ない。

 答えに窮していると先に切り出したのはキリトであった。

 

「あんた……殺人者(レッド)を保護しているんだってな、善人ぶっている様なら早くやめた方がいいぞ」

 

 唐突なふてぶてしい忠告に気圧された。どうやらこの世界でのレトという存在はキリトにとって不道徳な方向で認識はされているようで、先ほどからの冷たい態度にも頷ける。

 少し尖った忠告を柔らかく受け止めてから、ぐっと押し戻すように答える。

 

「あまり……俺をよく思っていない言い草だな、気に入らないか?」

 

「一応……攻略組一員なんでね、あんた保護した狂犬にはしっかり鎖をつけたほうがいい。笑う棺桶と並ぶ殺人ギルドBLOODに所属していたオレンジプレイヤーだったな、噂は聞いているよ……前線の攻略組から資金を強奪し、最後は睡眠PKで息の根を止める短剣使い―色欲の紅眼。そのプレイヤーのために何の罪もないプレイヤーが何人脳を焼かれたと思う、無責任にもほどがあるんじゃないのか」

 

「……人を殺しておいて虫が良過ぎるのは理解している、確かに彼女は危険なプレイヤーだ……だが彼女だって好きで人殺しをしていたわけじゃない、ただギルドに殺人を強要されて仕方なくPKを……」

 

「殺人を、仕方なく?……お前それを前線で死に物狂いで戦い抜いたプレイヤーに言えた言葉か!!」

 

「ッ!?…………」

 

 あまりにも筋が取った道徳な呵責に痛々しく頭が感電したかのような耐え難い衝撃がレトを絶句させた。

 ゲーム攻略開始から一ヶ月で二千人のプレイヤーがこの地から命を絶った、数多の犠牲者が出たのは自殺、PKではない……徘徊するMobやBOSSと戦い戦死したものが殆どであった、最初は全プレイヤーがその死人の数に絶望しゲームクリアを断念した。しかし積極的に前へ進む先導者達が勇往邁進を決して今第49層まで上り詰めた。犠牲者は経験や情報を蓄積し日々階層を重ねることで刻々と死者の数は激変したが、それでも今だ誰かの屍を踏まずに進めることが出来ない。そんな混沌した世界を切り拓く希望の光に泥を吐けるのが殺人ギルド、勢力拡大により要らぬ被害者が続出している。身勝手で狂った行為でしかない、殺してカーソルがオレンジになってもカルマをこなせば何食わぬ顔でグリーンに復帰できる意味を成さない業のシステム、従来のゲームなら悪戯程度済まされていただろうが、SAOは違う、本当に死が待ち受けている。デスゲームからの解放目指すプレイヤーに恩を仇で返す殺人犯は気が狂ったものでしかない。

 攻略組は殺人者に何を凝視する、嫌厭、憎悪、障害、邪魔者、悪人……そう敵でしかない。

 キリトは憤懣に満ちている瞳を睨ませ、髪を逆立させるような怒りを言葉に綴らせた。

 

「このゲームが始まった当初からPK殺害を好む連中はいたさ、奴らは茅場晶彦が創造した仮想世界だとをいいことに合法的殺人が許されると思っている……こんな異常な状況でだぞ!?……俺は許せない、デスゲームという辛く険しい道を進み続けたプレイヤー達の(生き様)を仕方ないなんて言葉で済ませるなよ!」

 

 これは死の境地を一年渡り歩いた少年と剣士達だけが持った誇りである。その剣士達は称えられず、死の淵に陥れた殺人者に慈悲を与えるなどという行為は、遺憾である。

 

「あんたしていることは人助けでも、善でも、ましてや偽善でもない……自分だけ判ったような綺麗事しているだけで、その殺人者(レッド)を苦しめているだけなんじゃないのか!」

 

 鬼気迫った驚嘆が槍のように鋭く突き刺さった。顎が震えて歯と歯がうまく噛み合わず自身の愚かな行為に打ちひしがれる。

 あの時彼女が死を覚悟したのも、他人に向けていた刃が今度は自身に還ってきたんだと悟っていた。報いを受ける時がきたと考えていたからに違いない……殺人は悪、自分の不幸を他人に転化した時点で殺人者に人権はなどない。

 ―自分は死にたくなかった、だから仕方なく殺した、人間の戯言だ。

 ―殺人を強要されて仕方なく殺した、戯言だ。

 ―弟を救うために仕方なく人を殺した、戯言だ。

 理由は殺人を正当化させない、何の関係のない人の命を奪ったときから……ローゼルに差し伸べる手は存在しちゃならないんだ。

――分かっているさ……俺のやっている行為は彼女に猶予を与えているだけで本当に救うことにはならないってことも……これじゃまるで俺は受けなきゃいけない罰から目を背けさせている詭弁者だ……。

 そしてその偽善という善も疑わしいものだ、彼女が殺した中に俺の身内が居たら俺も迷わず彼女をただの犯罪者として扱っていたはずだろう……だから俺は偽善者でもないかもしれない……ただ都合のいい言葉であの子を惑わす詐欺師だ……。

 何から何まで道理に適っていない……だけど、いくら彼女が薄汚れた罪人だとしても、彼女の胸の奥に優しい愛情だったんだ。狂気に晒され殺人への感情を捨て、毒牙に染まったとしても希望は捨てずにずっと独りで戦っていた……。

 間違った愛情かもしれない、それでもあの子にとってはたった一つの真心なんだ。

 レトは唇が軋むほど噛んで滲み出る悲痛を堪えるが、感情表現システムが隠す感情を表に出してしまう。瞳に薄っすらと水の膜がレトの苦渋を表現している様だった。

――夜はずっと悪い夢に魘されている、現実の世界にも夢の世界にも悪夢はローゼルを蝕み戒めるようだった。自分がしてやれることは精々手を握ってあげることだけ、少しでも手放せば今にも崩れて消えてなくなってしまうじゃないかってくらい……ローゼルは冷たかった。

 溢れ出す感情は自然とレトの強張った口を淋しい波音のように漏れ出ていた。

 

「お前の言いたいことも分かる……わかるけど……彼女は、ローゼルは泣いているんだ……」

 

 自身より少し背丈が高い仮面の急に弱々しく声量にキリトは反感の言葉を失う。

 

「苦しそうで、辛そうで、壊れそうで……どんなに間違って否定されても……あいつを心から救ってやりたいんだよ……」

 

 酷く悲しみに満ちたレトの言葉に、キリトは冷えた水を浴びたかのように怒りの熱が薄れ、狼狽の色を隠せず眼を見開いていた。

 

「キリト、もう……いいだろ」

 

 苦悶の渦の僅かな間隙にラインは見るに耐え難い親友の姿に足を踏み入れた。酷く荒れたレトの肩をラインはポッと強めに置くと、心眼を射抜く強い瞳は震いただせていたレトの心を一寸にして抑制した。騎士はレトの胸を拳で小突き、胸に鈍い振動が鳴り響くと同時にラインは些か張った声でレトに問いかける。

 

「レト、君は今のままでいいと思っているのかい?」

 

「……それは、とっとローゼルを牢屋に放り込めって言っているのか」

 

「そう言っていない……ただ君は優しすぎる、便上するわけじゃないが、僕もあまり長くないほうがいいと思う。君がBLOODに命を狙われたっておかしくない……これ以上妬まれる必要もないんだ」

 

 親友はこの先の自分自身の道を見定めろといたわりの言葉を渡す。

――確かに俺がローゼルといてメリットはない、状勢は悪くなる一方だ……でも……遠く離れれば離れるほど不安なんだ。彼女を守れたときの嬉しさ、彼女と一緒にいるときの安らぎ、彼女が見せてくれた満面の笑顔……それが次の日には失くなると思うと、怖くて堪らなく嫌だった。たった数ヶ月ともに終わりの見えない世界で同じ時を過ごした彼女が…………そうか……俺は……

 コロコロと揺れ動いていた感情が正鵠(せいこく)を射た憶測にパッと霧が晴れた。レトは誰にも分からないような小さな苦笑を漏らして無垢な瞳を開く。

 

「ライン……お前は俺を誤解している、俺は優しくなんかない……たぶん、強欲なんだ」

 

 そのどことなく何かを悟ったような目は曇ることを知らず、水平線に突き抜けて綺麗な瞳であった。その無垢な眼に部屋いたものはえもいえず呆気にとられる。

 

「約束があるんだ……ローゼルが待ってる……」

 

 その振り返る背を引き止めるものは誰も居らず、扉の鈴が静けた店内に響き、レトは店の外へと姿を消した。

 

 

 

「なんで初対面の奴にあんなこと言ったんだろ……あの目、まるであいつじゃないか」

 

 キリトは一人口を呟き虚無感に浸っていた。

――レトの行動がどんな浅はかで愚かなものであろうと自身がそんなこと言えた資格はない。今亡き《月夜の黒猫団》のあの子を醜いエゴでも偽った言葉であっても救いたいという思いは少なからず……あの頃俺にはあった。

 だからこそレトという男に伝えたかったのだろう―”嘘偽りで生み出された関係はいつか失ってしまう”ということを……

 トレードされた《紅迅石》は明日あるボス戦への武器強化のためではない、聖なる夜に待つ《背教者ニコラス》討伐のための糧。俺一人がやり遂げなけらばならない使命であり、贖罪であり、罰なんだ。

 

「ったく、あんまりしんみりさせじゃねえ……《何でも屋》よ」

 

 エギルは行き場のない空しさを溜め口にして吐くしかなかった。

 そんな空気につられてラインも重たくなった肩を落とすと、キリトの背を軽く叩いた。

 

「キリト……君も君だよ、まだ一人で悪を演じるつもりかい? アスナ副団長も心配しているよ」

 

「ライン、今俺にとって『ビーター』っていう肩書きは戒めなんだ……返上する気はないさ……、ふぅ……エギル、預かってもらったポーション全部貰っていくぞ」

 

「あ、ああ……って、勝手にあがるな、少しは遠慮しろ!?」

 

 遂先程までの怒りはどこへいったのか、少し顰めた顔を眉を閉じたまま、店の倉庫に勝手に上がりこんでいった。

 

「君といい、あいつといい、自己犠牲が過ぎるよ……案外似ているのかもな……」

 

 二人の存在に既視感を浮かばせていると、ラインの目の前に突然一通の手紙が届いた。

 

 

 

 数十分前には軽かった肩も気だるく重くなっていた心情を表しているようだった。伏せた目を床の段差に向けながら吐露した。

 

「悪い、待ったせ……ローゼル……?」

 

 ヒュー、と風の澄ませた音が仄暗い路地裏に鳴き、殺風景な壁がより一層寂しく見えた。外で俺の帰りを待っているはずのローゼルの姿なく視界を左右に移しながら辺りを歩く。

――そういえばソディアさんが護衛についているんだったよな、とウィンドウを操作しフレンドリストからローゼルの居場所を位置追跡機能で検索をかける。

 

 [―Now Lording...............該当されるプレイヤーが特定できません]

 

 口を半開きにして、しばらくそのまま静止した。42層の各地区のマップを隅々まで目を通す、他の階層の街、フィールド、ダンジョンにも信号が確認できない。

 

「ローゼル……」

 

 ぐるりとその場から覚束ない足取りで辺りを見渡していると、不意に木枯らしが狭い路地から吹きふさぶ。その風は肌寒くて、何の虫の知らせか先程の和人の忠告が脳裏に掠めると妙な胸騒ぎに苛まれる。

 ドッドッと鳴り響く胸の鼓動は不快でしかない。

 光の残照が石畳の街路から遠く映る街並みまで緋色と朱色が交錯し綺麗に色褪せているが……今はその優美な夕陽(せきよう)に心を浸ることも出来ず、街路へと向けた足は徐々に速く歩幅を広くしていた。

 

 

 




物語がどんどん苦く暗い方向に進む……

今回は原作キャラ多目でしたね、
キリト君が少し暗く病んでいますね、黒猫の一件で
オリ主とキリトと仲が良くない作品って珍しいかな?(キリトの一方的な嫌気を描写してますが、作者はキリトを嫌っていません)
彼自身優しい人ですからこの作品では意外な一面が多いかもしれません。

誤字脱字報告あればよろしくお願いします、次回も更新頑張ります!
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