原初の機体と神才のインフィニット・ストラトス   作:赤目先生

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最終話:それぞれの未来へ

戦闘開始時と違い、先に仕掛けたのはオリジンだった。まずは自身の弱点である闇の拳の破壊を狙い、アウェイク:マキナで攻撃する。しかし、リミッターを解除したレプリカは、先程とは反応速度が段違いだ。そのせいで、避けられるが、闇以外の拳で守られてしまう。防御に使った拳には、傷一つ付いていない

 

マキナが、ビットを再展開し、ビームを撃とうとする、が

 

「(予想以上に早いわね……)」

 

ビット展開時の隙を突き、一瞬で拳の範囲内まで近づいてくる。四つの拳を自在に操り、攻撃してくる。オリジンは近距離は自分の得意距離ではない。といっても、武器が近距離に適していないだけで、オリジン自身は近接戦闘もこなせる。しかし、自分の腕で止めようとしたら、一瞬で粉々に壊されてしまうだろう

 

オリジンはレプリカの攻撃を避けながら、ユナイティリィ・ラフの準備をしながら、ビットによる射撃を行う。レプリカは、ビームを避ける為にオリジンから距離を取り、ビットまで距離を詰める。ビットを回避させる隙が無く、呆気なく壊されてしまう

 

「攻撃力も私並みか……」

 

オリジンは内心、舌打ちしていた。バーストモードとなったレプリカは、オリジンの模造品と呼ぶのに相応しい性能になっていた。攻撃力、スピード、どれを取ってもオリジンと同レベルだ。このレプリカを作った、無の天才とやらは、本物の天才なのだろう

 

一つのビットに集中したレプリカにビットによる集中攻撃を仕掛ける。破壊した直後は、避けきれず被弾するが、二発目からは縦横無尽に動き回り、被弾を最小限に抑える。攻撃中に一つを拡散射撃に切り替え、攻撃する。それを見たレプリカは、闇の拳以外で防御しながら、二度目の接近を仕掛ける

 

「フェアウェル・ゼロ 発射」

 

接近中のレプリカが、そんな声を発する。その声の直後、四つの拳が、無のオーラを纏い、掌からミサイルを発射する。ミサイルを堕とす為に拡散射撃を行う。ビームに当たったミサイルは、大爆発を起こす。その爆発は、レプリカの体を隠すのには、十分すぎる爆炎を引き起こした

 

しかも、その爆炎にはECMの効果があるらしく、ISのレーダーすら欺けるほどの性能だ。オリジンは、そのECMを払う為に、二つのビットで拡散射撃と、両手のアウェイク:マキナを撃つ。暫く射撃をしていると、ようやく煙が晴れる

 

そこには、ビットを二つ失ったレプリカがさらに傷が増えた状態で浮いていた。オリジンの射撃を避けきれず、かと言って、ECMから出るとそこを狙われるので、止むを得ず、防御に徹していたのだろう

 

「ディザスター・クライ 発射準備開始」

 

レプリカがそう言うと、肩に付いていた立方体が開く。開いた所に大量の粒子が集まり始める。オリジンはそれを止めようとするが、残り二つの拳がレプリカを守る。どの角度から撃っても全て防がれてしまう。粒子はやがて球体となり―――――

 

 

 

オリジンが無の渦の中に飲み込まれる

 

 

 

ディザスター・クライを放った後は、冷却しなければならないので、再度撃つのに時間が掛かる。レプリカのビットは四つ全て破壊されている。レーダーでISの反応を探してもどこにも無い。自立の心は歓喜に満ち溢れていた

 

オリジナルを倒した! 私の方が強いんだ! と、しかし、その幻想は早くも崩れ去る

 

「まだ……終わってないわよ……」

 

レプリカは、すぐ後ろから聞こえてきた声に反応し振り向こうとするが―――次の瞬間には、少し前に蹴り飛ばされていた。蹴り飛ばされた後、レプリカは何か異変を感じた

 

今まで在った筈の両腕が、肩から先の部分から引き千切られていたのだ。オリジンを見ると、髪を留めていた髪留めが壊れ、ロングの状態になっていた。その両手には先ほどまで付いていた腕が握られていた。だが、そこで力尽きたのだろう。海に向かって真っ逆さまに落下して行く

 

「マあああああキいいいいいナあああああ!!」

 

遠くから近づいてくる声は、マクスウェルのものだ。マキナのIS反応が無くなった時点で、こちらに向かって来ていた。マキナの元まで辿り着いたマクスウェルは、マキナを抱きかかえて、レプリカにスパナ《エクスペリメント》を構える

 

互いに睨み合う一柱と一機だが、レプリカが身を翻し、どこか遠くへと飛び去って行く。それを確認したマクスウェルは、近くの島に着地し、涙を流しながら、マキナ用の修理器具を取り出す

 

「待っててねマキナ、今直してあげるからね」

 

マキナは、修理を受けている最中、微笑みを浮かべていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 修理が終わったのは、既に月の光が差し込んできていた。旅館まで自分で行けると言ったのだが、心配だからだと言って、マクスウェル様に抱えられながら移動していた。

 

 旅館の浜辺に近付くと、千冬が腕を組んで立っているのが見えた。ご主人様が浜辺に着地し、これ以上お手を煩わせる訳にもいかないから、自分の足で立ち、千冬の所まで歩いて行く。

 

「途中で道を外したと思ったら、IS反応が消えたぞ。いったい何をしていた?」

「もう一機敵がいたから倒してきたわ」

「そうか。動いていた反応が消えたのは、ジャミングか何かのせいか。分かった、もう休んでいいぞ」

 

 意外だ。千冬のことだからすぐにでも事情聴取に取り掛かるかと思った。

 

「お前には返し切れない恩があるからな。まあ、それを抜きにしても、こんな時間に帰ってきた生徒を酷使するような事はしないさ」

 

 さらっと心を読まないでほしいわね。

 

「それじゃあ、その言葉に甘えて、私はもう休むわね」

「マキナ! また明日ね!」

 

 ご主人様の方を振り向き、笑顔で手を振ってから、自室に向かい歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

~簪side~

 

 私たち専用機持ちが、『銀の福音』を倒したのに、別の敵を発見した、と言っていたマキナが、まだ戻ってきていない。しかも、織斑先生によると、途中でISの反応が消えたらしい。それを聞いたとき、私はマキナを探しに行こうとしたが、もし、敵がまだ健在だったらどうする気だ。と言われ、思い留まった。

 

 シールドエネルギーの尽きたISで向かっても逆に負けるだけだ。篠ノ之さんのワンオフアビリティー『絢爛舞踏』を使えば何とかなるが、マキナが負けた相手に、私が勝てる訳も無い。

 

 もしかして死んじゃったんじゃ。そう思ってしまって、眠ることができないでいた。本音も同じな様で、布団に入っているだけだった。

 

 そこで、襖を開ける音が聞こえた。

 

「皆寝ちゃったのかしら?」

 

 この声は!

 

「マキナぁ!」

 

 今まで聞いてきた声が聞こえて、思わず飛びついてしまい、後ろに倒れこんでしまった。

 

「いたた……って簪じゃない、泣いてるけど、どうしたの?」

「だって! マキナが帰ってきてなかったから! 私、死んじゃったかと思って……」

 

 今まで心配させといて、どうしたの? は、無いと思う。でも、無事でよかった……

 

「そうね。心配掛けてごめんなさい」

「そうだよ。無茶しないって、約束してくれたのに」

「あ、そうだ。本音は?」

 

 そう言われて本音の方を見ると、眠ってしまっていた。その顔には、涙を流しながら、苦しそうにしていた。

その様子を見たマキナが、本音に近付いて、頭を撫で始めた。

 

「えへへぇ~マッキー」

 

 気持ちよさそうな顔と声をしながら、安心した様な顔を見せる本音。……別に羨ましくなんてないし。

 

「ほら、簪もこっち来なさい」

 

 マキナに呼ばれて、近づいて頭を撫でてもらう。うん、本音が病みつきになるのも頷ける。

 

「心配してくれてありがとう。もう寝た方がいいわよ」

「うん、そうする」

 

 マキナに言われたから、布団に入って目を閉じると、すぐに眠気がやってくる。意識がだんだんと遠のいてくると

 

「ごめんなさい」

 

 よく分からないことを言ってきた。すでに意識が朦朧としている頭では、よく考えられない。なんだか悲しそうな顔してたけど、どうしたのかな?

 

その後、簪が眠ったのを確認してから、マキナも眠りについた

 

 

 

 

 

 

~マキナside~

 

「全員乗りましたかー?」

 

 臨海学校が終わり、帰りのバスに一組全員が乗り込む。後ろには、他のクラスのバスが待機している。後は出発を待つだけ、とそこで金髪の女性が、バスに乗り込んできた。

 

「あなたが織斑一夏君ね?」

「はい。そうですが……」

 

 どうやら一夏に用があるみたいだ。一夏だということを確認したと思ったら、いきなり頬にキスをした。その様子を見た箒、セシリア、シャルロット、ラウラは驚きと怒りが湧き上がったらしく、一夏に詰め寄りだした。

 

「なんだかいつも通りの光景を見たのが、久しぶりな気がするわ」

 

 一夏の周りの娘たちが一夏を取り合う、それを尻目に本音たちとのんびりと暮らす。ここ数日、それが出来なくいことが不満だったわ。

 

 暫くしてバスが発車した。少し離れた後ろには、四組のバスが走っていた。そして、帰り道を進んでいると

 

「!?」

 

 バスが急ブレーキを踏み、バランスが崩れる。

 

「何があった!」

「そ、それが、突然目の前に巨大な扉が……!」

 

 その言葉を聞いた瞬間、運転席まで行き、

 

「バスのドアを開けなさい!」

「えっ、な、なぜ」

「いいから早く!」

 

 運転手にドアを開けさせ、扉の元まで近付く。

 

「やぁ、マキナ」

「ご主人様。来てたんですね」

「うん。バスの近くを飛んでたんだけどね」

 

 扉の近くには、既にご主人様が立っていた。

 

「マッキー!」

「マキナ!」

 

 いつの間にかバスを降りていた本音と簪が走り寄ってくる。それと同時に、扉が開いた。そこからは

 

「少し遅れちゃったけど、迎えに来たよぉ! 神才ちゃんと原初の機体ちゃん!」

 

 ニタニタとした変わらない笑みを浮かべ、顔の左半分を、ピエロの仮面で隠した、いけ好かない悪戯神が出てきた。

 

「マキナ、どういうこと?」

「簪……本音……」

 

 迎えに来た、という言葉を聞いて、信じられないといった表情を浮かべている。一緒にいる本音もだ。それを見た私は、申し訳ない声しか出せない。

 

「二人とも……ごめんなさい」

「どうして、どうして言ってくれなかったの?」

「それは……知らせが来たのが、急で、時間も取れなかったから……」

 

 これは嘘だ。伝える時間もあった。でも、伝えたせいで帰るのを止められて、いつも通りの生活が出来なくなるのが、嫌だったからだ。

 

「でも、少しでも教えてくれたって良かった筈だよ。私たちはその程度の関係なの?」

「そんなわけ……! そんなわけ無いじゃない!」

 

 本音のその言葉を皮切りに、私の中に溜まっていた感情が溢れ出してきた。

 

「私だって貴女たちと一緒に居たいわよ! もっともっと一緒に暮らしたいわよ! 一緒にお喋りして、お菓子食べて、楽しく暮らしたいわよ! もっと……一緒に……」

 

 吐き出した感情と共に、頬に何か冷たいものが伝ってくる。

 

「ごめんねマキナ。そんなに思ってくれていたなんて……」

「ぐすっ……ひっく……お別れなんて、嫌だよぉ……」

 

 二人が泣き初めてしまった。どうやら私も泣いてしまっているみたいだ。

 

「うーん。感動するねぇ。まさかあのオリジンが、ここまで成長するなんて。スゴイよスゴイよ!」

 

 後ろでロキが泣き真似をしながら、拍手をしている。……今だけでもいいから、黙ってくれないかしら。

 

「じゃあ、もういいよね」

 

 その声が聞こえたと思ったら、後ろから引っ張られる。簪たちが手を伸ばすが、何か、見えない壁があるようだ。

 

「最後にお別れの言葉でも言ったらどうだい?」

 

 ロキがニヤニヤした笑みを浮かべながら、問いかける。私が言うのは、別れの言葉じゃない。

 

「二人とも、また会いましょう。楯無にも、伝えておいてもらえる?」

 

 こちらの声は聞こえているらしく、二人が勢いよく頷いて答える。

 

「マキナ、行こっか」

「はい、行きましょう」

 

 ご主人様に手を取られ、繋ぎ、歩き出す。途中でロキの方に振り返ったかと思うと、

 

「おいクソ神。もう一度この世界に連れて来いよ。まだ集めてない技術もあるし、それに」

 

 ご主人様は、そこで言葉を一旦区切ると

 

「マキナに悲しい思いをさせたままには、したくないからな」

 

 とても嬉しいことを仰ってくれた。

 

「はいはい、わかったよ。いつになるかは分からないけど」

 

 不承不承といった様子で答えるロキ。この約束だけは、守ってもらうわよ。

 

「マキナ! また会おうね!」

「いつでもお菓子準備して待ってるからね~!」

 

 二人からの声が聞こえてきた。それに振り向くことなく扉に向かって歩み始める。振り向いてしまうと、決心が鈍ってしまいそうだから。その代わりに、後ろを向きながら、手を振って別れを告げる。

 

 

マキナとマクスウェル、二人が扉の光に包まれると、そこには最初から何も無かったかのように扉が消え去る。先程まで居たロキも、いつのまにか消えていた

 

簪と本音、二人は、否、二人と一機は再開を胸に、それぞれの未来を生きていく

 

 

彼女たちの未来に、幸あれ―――――




最終話はいかがでしたでしょうか? 二ヶ月ほど続いた作品ですが、第一部完結でございます。第一部、ということは……

まあそれはそれとして、感想を付けてくれた皆様、お気に入りに入れてくれた皆様、ありがとうございました。お気に入り数も32という、予想よりも多くなりました。本当にありがとうございます。

次もまたISで他の作品を書こうと思っております。因みに内容は、転生+クロスものとなる予定です。クロス先は、7の付く作品です。

いつものいきますよー

感想・指摘・その他諸々がありましたら、気軽に感想欄にお書き下さい。

それではまた次回!or次作! また会いましょうねー!
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