さて今回は翔夢が月に行きます。では、どうぞ!
正月の忙しさも収まり、翔夢は落ち着いてカフェが経営できることに一息ついていた。
正月初めは霊夢と共に神社の参拝に対応していたが、異変を解決した後というのがあってか、例年より多くの参拝客が訪れた。同時に御賽銭も溜まり、霊夢は上機嫌で正月を迎えた。だが、参拝に来るほとんどの人に翔夢の神主姿を見て似合わないと言われたのは翔夢にとって複雑な気持ちである。普段の店の制服姿を見慣れてるのが原因なのと、翔夢自身もそう思い初めていたのだが、いざ言われるとくるものがある。
そんな正月を過ごし店も通常経営に戻り、翔夢は客が来るのを待っていると、紫が来店して来た。
紫「はーい翔夢あけおめ〜♪」
翔「おめでとさん。珍しいな、お前が普通に来店するなんて。」
紫「いやね〜。私だって普通に来る時だってあるわよ。あ、ブレンドコーヒーひとつホットで。ブレンドはいつもので。」
翔「酸味が少ないやつか。わかった。」
翔夢は豆を取り出しコーヒーを淹れ始める。しばらくして翔夢は淹れ終わったコーヒーを差し出した。
翔「お待ちどうさま。」
紫「ありがと。」
紫はコーヒーを一口飲んだ後、口を開いた。
紫「相変わらず美味しいわ。それはそうと翔夢。あなた、月に興味はないかしら?」
翔「月?前に霊夢達が行った来た月のことか?」
紫「そ。あなた月に行ってみたいと思う?」
この時点でなんとなく嫌な予感がした翔夢だが、それは別にして紫の質問に答える。
翔「まぁ向こうの人達とは面識ないからな。顔合わせくらいには行ってみようと思うがな。」
紫「へー、そう…。」
紫は妙な笑みを浮かべた。多分自分はこの後月に飛ばされる、そう思った翔夢だが、紫の行動はその斜め上をいった。
紫「じゃ、月まで出店いってらっしゃい♪」
翔「は?出店ってどういう…ってうぉ!」
紫が消えた瞬間、店自体が揺れ、翔夢はその場に伏せた。やがて揺れが収まり、翔夢は立ち上がる。
翔「出店…月…。まさか!」
翔夢は急いで窓を見る。すると目の前に広がっていたのは見慣れたいつもの光景はなく、明らかに見知らぬ場所であった。
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幻想郷
霊夢は呆然としていた。それもそうだろう。翔夢の店があるべき場所には何もなく、ただの更地があるだけなのだから。ちょうどそこへ紫が現れた。
紫「あら霊夢あけおめ〜。」
霊「紫…兄さんに何したの?」
紫「月に行きたいて言ってたから行かせたの。じゃね!」
霊夢が札を投げつけるよりも早く紫はスキマに逃げて行った。
霊「あぁ!もうっ!」
おそらく紫は外の世界に逃げて行ったのだろう。翔夢の能力ならすぐに月から戻れるかもしれないが、紫はすでに対策はしているだろう。つまり、翔夢が戻ってこれるのは紫の気分次第である。
霊(まぁ、月にはあの二人もいるし、平気かな。とはいえ、大丈夫かな兄さん…。)
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月
『まずあなたは戻ろうと試みているだろうけど、あなたの能力の境界いじくって戻れないようにしたから。戻ること以外なら能力の縛りはないから安心してね。あとすでにここの知り合いの人達とは話はしてるから。ちなみに重力なんだけど、店の敷地の中だけ地上と同じにしてあげたらわ。とりあえず一週間はここにいてね。ゆかりんより♡』
いつの間にか置いてあった手紙を読み、翔夢はこの理不尽に対し怒りに震えていた。
翔「ゆかりんより♡、じゃないっ!店ごと移動させるって何考えてるんだあのスキマ妖怪はぁぁぁ!」
確かに店ごと移動すれば月の人達が店に来て儲けも出るかもしれないが、月の技術は進んでいると聞く。なら生活水準も高いはず。とすれば、月にもカフェがある可能性もあるのだ。翔夢の店が人気なのは味はもちろん、幻想郷にはなかったカフェという店に対しての物珍しさもあるのだ。
月にカフェがあり、なおかつその味が翔夢の店より上回っていれば儲けもないので、結局何も変わらないことになる。
翔(さて、どうするか…。)
翔夢がそう思い悩んでいると、
?「へー、中も結構お洒落ね。そう思わない依姫?」
?「そうですね。ただ、ここだけ重力が重いようですね。あの妖怪から聞いた通りです。」
金髪で白い帽子を被った女性と、薄紫のポニーテールをした女性、そしてその後から鈴仙に似た格好で垂れた兎耳を生やした少女が店に入ってきた。
翔「ああ、いらっしゃいませ。あの、あなた達は?」
豊「あら、何も聞いてないの?私は綿月豊姫。初めまして。こっちは妹の依姫、それとうちのペットのレイセンよ。」
依「初めまして。綿月依姫といいます。」
レイ「は、初めまして!」
翔「こちらこそ初めまして。俺は博麗翔夢といいます。」
依「博麗?とするとあの巫女の…「ええ、兄です。」そうですか。彼女とは前にここに来た時に知り合いましてね。」
翔「ああ、あの時ですか。その節は妹がお騒がせしてすいません。」
依「別に平気ですよ、彼女達とはもう打ち解けていますから。」
豊「さ、堅い挨拶は終わりにして早く注文しましょ。」
そういい豊姫達三人はテーブルにつき、メニューを眺める。
豊「そうね〜。私はこの『今月のきまぐれブレンド』っての頼もうかしら。依姫とレイセンは?」
依「私もお姉様と同じで。」
レイ「私は野菜ジュースでお願いします。」
豊「じゃあ『今月のきまぐれブレンド』二つと野菜ジュース一つお願いします。」
翔「かしこまりました。」
翔夢は入れ物から豆を取り出し、挽き始める。やがて挽き終わった豆からコーヒーを抽出してる間に野菜ジュースを作り始める。基本的に飲み物は一度に出すのが彼のやり方である。
翔「お待たせしました。」
豊「ありがとう。」
豊姫と依姫はコーヒーの匂いを感じたあと、口に含む。それに続いてレイセンは野菜ジュースを飲む。
豊「…美味しい!香りもいいし、後味がすっきりしてるわね。」
依「中々のお味です。」
レイ「野菜ジュースも美味しいです!」
翔「ありがとうございます。それと質問なんですが、月にはカフェはあるのですか?」
豊「あるにはあるわ。けれど、ここの方が美味しいわ。」
翔「本当ですか⁉︎「ええ、本当よ。月の人達にも教えておくわ。」ありがとうございます!」
少なくとも稼ぎの問題は解決し、一安心した翔夢だが、別の問題が浮上した。
翔「そういえば豊姫さん、ここの隣に家はありましたか?」
豊「いえ、なかったわ。」
翔「やはりそうですか…。」
翔夢の予想どおり、紫は翔夢の店だけを移動させた。つまり、隣にあった翔夢の家は幻想郷にあることになる。店には寝室などない。店で寝るわけにはいかないので翔夢は困っていた。
豊「もしかして、ここに寝るとこないの?なら、私達の家に泊まる?」
翔「え?いや、そういう訳には…。」
豊「平気よ、家広いから一人くらい増えても問題ないわよ。それに、困ってる人を手助けするのは普通でしょ?」
そこまで言われて断ってしまっては豊姫の善意を無駄にしてしまう。その為翔夢はそれを了承した。
翔「…わかりました。それじゃあよろしくお願いします。」
豊「決まりね。じゃ、早速行きましょう。」
翔夢は店の戸締りをした後、豊姫達の後をついて行く。
移動の間、豊姫は翔夢に質問する。
豊「そう言えば、あなたって彼女とかいるの?」
翔「ええ。最近できましたね。」
豊「へぇー。その娘って私達が知ってる娘?」
翔「まぁ、そうですね。」
豊「えっ誰かしら?霊夢ってことはないから〜、依姫わかる?」
依「私に聞きますか?そうですね、多分ですが、咲夜ですか?」
翔「正解です。よくわかりましたね。」
豊「あーなんかわかる気がするわね。あ、あれが私達の家よ。」
見るとそこには結構な広さの家があった。
豊「じゃあ改めて、これからよろしくね、翔夢。」
翔「よろしくお願いします。」
こうして、翔夢の月一週間生活が始まったのであった。
月へ行こう× 月に行かされた○
はい豊姫達の登場です。
さてこの話は前後編に分けていこうと思います。
また感想などあればお願いします。
それでは次回まで、
豊「ゆっくりしていってね!」