今回は幽々子様のご来店です。
翔夢の店の命運はいかに?
ではどうぞ!
その日、翔夢は嫌な予感がした。
生命に関わるような事ではないが、とにかく嫌な予感がした。
だが、そんな不安をお客に見せるわけにはいかない為、翔夢はそのことについては一旦忘れ、準備を進めた。
実際、その予感は的中することになる。
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この日は開店からやや忙しく、翔夢一人では少しつらかった。そこで、お客に少し待ってもらうよう言い、翔夢は奥に行った。
翔夢は三枚の札を取り出し、それを床に投げつける。
すると、そこから煙と共に三体の店の制服を着た白いマネキンのようなものが現れた。その額には1、2、3と数字があった。
この三体は式神である。式神には八雲紫の式である八雲藍や、その式である橙がそうであるように、動物に憑依させるものもあるが、このように札に霊力を込めて出すものもある。
この術は八雲藍の能力を翔夢が再現させたものではなく、翔夢が自ら身に付けたものである。翔夢は式神術にも才能があり、今は最大で八体まで出せる。
翔「一番は俺の手伝い、二番は会計、三番は食器洗いを頼む。」
翔夢がそう命じると、式神達はコクリと頷いた。彼らは喋りこそ出来ないが、聞き取ったりある程度の作業はできる。もちろん喋らせることは出来るが、そうすると翔夢の体力があまり持たなくたるので喋らせなくしている。
式神達の活躍もあり、店の回転はスムーズになり、店が少しずつ空いてきた。
そんな時に彼女はやって来た。
翔「いらっしゃいま……せ…!」
?「お久しぶり〜翔夢♪」
?「こんにちは、翔夢さん。」
桃色の髪をした女性と、銀髪のおかっぱみたいな髪型で、腰に刀を二本携えた少女が来店した。
そう、冥界にある白玉楼の主、西行寺幽々子とその従者兼庭師の魂魄妖夢である。
翔「ゆ、幽々子さん。お久しぶりです。す、少しお待ちください。」
翔夢は急いで店に『幽々子様来店につき本日閉店』の看板を掲げ、式神を最大数、つまり八体出した。このような事をしたのは意味がある。
翔「お待たせしました。では、ご注文は?」
幽「そうね〜まずはお団子を三十本と、緑茶を頂戴しようかしら。妖夢は?」
妖「えっと、私はお団子一本と、緑茶で大丈夫です。」
翔「はい、わかりました。お前ら、急いで作るぞ!」
簡単に言うと、幽々子は沢山食べるのである。それも、店の仕込みをした分まで食べ尽くしていまうのではと思う程である。
翔夢の店の食べ物は基本的に甘いものばかりで、そんなに食べれば確実に太るはずなのに、幽々子は今のスタイルをずっと保ち続けているから不思議である。
だが、ちゃんと食べた分のお金は払ってくれるので、儲かるには儲かるのだが、かなり疲れる。式神を使っているのを除いても、それはかなりの疲労がある。
翔「お待たせしました。」
幽「ありがとう。じゃ、いただきま〜す!」
そう言うなり、幽々子は団子を食べ始める。だが、翔夢が少し目を離した時にはすでに10本が串だけになっていた。
翔(なっ…!早過ぎだろ⁉︎)
団子は一本につき三つあり、それを十本あっという間に食べたということは三十個もの団子を食べたことになる。もはや飲み込んでいるのでは?と思わせるほどの早さである。(真似してはいけません。彼女だから出来ることです)
その後も幽々子はどんどん食べていき、妖夢が二個目の団子を口にする頃にはすでに平らげ、緑茶を飲んでいた。
幽「ふぅ、美味しかったわ。じゃ、次の注文いいかしら?」
翔「は、はい!」
次に頼まれたのはショートケーキ二ホールとモンブラン一ダース、それと紅茶であった。(単位がおかしすぎ笑)
ケーキ類は作り置きしてある為、式神達に運ばせ翔夢は紅茶を淹れていた。
が、翔夢が紅茶を持ってくる頃にはすでにモンブランは無くなっており、ショートケーキは半ホールだけになっていた。その光景に妖夢や式神達も唖然としていた。
幽「んー美味しい♡あ、もう次もいいかしら?」
翔「は……はい。(このままだと俺の体も店も持たないかもしれない…)」
〜三十分後〜
幽「ごちそうさま〜。美味しかったわ。」
翔「あ…ありがとう…ござい…ます。」
ようやく幽々子は食べ終わり、翔夢はヘトヘトになっていた。なにせこの短時間で店で仕込んだ量の九割も食べたのである。これで疲労しないはずがない。
無論その分儲けも多く、四、五日は休業しても平気なくらいである。(どのみち仕込みをしなくてはいけないので二日は休業するが)
妖「翔夢さん、大丈夫ですか?」
翔「ああ、大丈夫だよ。」
幽「それじゃあまたしばらくしたら来るわね〜。」
幽々子が立ち去ろうとした時、翔夢はあることに気づき、呼び止めた。
翔「幽々子さん、ほっぺにクリームついてますよ。」
幽「あら本当に?なら翔夢が取ってくれる?なんなら舐めて取ってもいいのよ?」
翔「え?いや、それはその…何というか…。」
幽々子の提案に翔夢はやや赤面しながら戸惑っていると、幽々子は冗談よ、と微笑みクリームを指ですくい取り舐めた。
翔「幽々子さん、冗談はよしてください。」
幽「ふふ、ごめんね。じゃあね〜。」
幽々子達が立ち去ったのを見届けると、翔夢は近くの椅子に座り込んだ。
翔「は〜疲れた〜。俺は休むから、片付け頼むよ。終わったら教えてくれ。」
式神達にそう告げると、翔夢は自室に向かって行った。
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白玉楼への帰りに、妖夢が幽々子に先ほどの事について質問した。
妖「幽々子様、何故あの時翔夢さんにあのようなことを?」
幽「ん?単に翔夢がどんな反応するか見たかっただけよ。深い意味はないわ。」
妖「そ、そうですか…。」
実際の事実は違った。実は幽々子が来店する前に紫が訪れ、吹き込まれていたのである。ついでに、翔夢が咲夜を好きなことを紫は幽々子に教えていた。つまり、ちょっとしたテストである。
幽(翔夢は結構一途なのね。それともお客にそういうことは出来ないって割り切ってたのかしら?それより、紫こんな大事なこと簡単に私に教えて平気なのかしら?)
密かに親友の身を案じる幽々子であった。
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その日霊夢は魔理沙と、その知り合いであるアリス・マーガトロイドと共に話をしながら翔夢の店を通りかかった。
すると、店の中には翔夢の式神が店の片付けをするのが見えた。
ア「霊夢、あれは何?」
霊「あれは兄さんの式神よ。あんなに出して、一体何があったのかしら?」
魔「ん?『幽々子様来店につき本日閉店』?なるほど、そういうことか。翔夢がいないってことは翔夢は休んでいるのか?」
霊「大変そうね。私、手伝おうかな?二人はどうする?」
ア「特に用事もないし、私も手伝うわ。」
魔「私もだぜ!もしかしたらお礼とかしてもらえるかもしれないしな。」
霊「決まりね。」
霊夢達が扉を開けると、式神達は不思議そうにした後、一体がメモ帳に「どうされたんですか、霊夢さん?」と書いた。
霊「大変そうだから、手伝いにきたのよ。」
すると式神達はいえいえ大丈夫です、と言わんばかりに身振りをしたが、霊夢は
霊「こっちが手伝いたいんだから、気にしなくていいわよ。兄さんには私から言っとくから。」
式神達は集まって審議らしいことをした後、「じゃあホールの掃除をお願いします。」と書いた紙を出した。
霊夢達の手伝いもあり、片付けは早く終わった。
霊「二人はそこで待ってて。兄さん呼んでくるから。あなた達も待ってていいわよ。」
霊夢はそう言い翔夢の部屋に向かった。
霊「兄さん、開けるわよ。」
霊夢が部屋をノックしてから入ると、そこには制服を着たまま寝ている翔夢の姿があった。着替えなかったという事はよほど疲れたいたのだろう。霊夢は起こすのに少し気が引けたが、片付けの報告をする為、翔夢に近づいていった。すると、
霊「きゃっ!」
足を滑らせ、翔夢の方へ倒れこんだ。
翔「痛っ!何だ…?」
翔夢が目を覚ました。すると目の前には霊夢の顔があった。その距離は数センチ程とかなり近かった。
二人「………。」
しばらくの沈黙の後、口を開いたのは翔夢であった。
翔「……霊夢、いくら兄妹でもやっていいことと悪いことg「ッ⁉︎何勘違いしてるのよこの馬鹿っ!」ゴフッ‼︎」
翔夢は霊夢に思い切り腹部を殴られた。
翔「馬鹿はねーだろ…。ってか、何でここに?」
霊「店の片付けしてんの偶然見つけて、魔理沙とアリスで一緒に片付け手伝だったのよ。」
翔「そうか、悪いな。お礼しなきゃな。とりあえず、下りてくれるか?」
今の霊夢の状態は顔こそ離しているが、未だ翔夢に乗りかかったままであった。
霊「あ、ごめん…。」
霊夢は翔夢から下りる。
翔「さて、行くか。」
翔夢は店に戻り、魔理沙達に紅茶と軽いお菓子を持っていき、式神達を元の札に戻した。
魔「翔夢、これから店どうするんだぜ?」
翔「どのみち明日は休業日だし、幽々子さんが食べた分の仕込みもしなきゃいけないから、四日は休業かなぁ。」
魔「ふーん。なら、そん時咲夜でも誘えば?」
その言葉に翔夢は目を向けずにはいられなかった。
翔「まて!何でそこで咲夜さんの話が出てくる⁉︎」
霊「ごめん兄さん。うっかり咲夜のこと魔理沙に話しちゃった。」
翔「おい霊夢嘘だろ⁉︎」
ア「え?翔夢さん咲夜のこと好きなの?」
翔「あーもう何なんだよ!お前ら、絶対他に話すんじゃないぞ!咲夜さんはおろか、文には知られると困るからな!」
ア「私は話さないわ。でも問題は魔理沙ね。口軽いもの。」
魔「おいおい、私にもそれくらいの事はわかってるのぜ。寝言でもない限り、話さないぜ。」
翔「頼むよ本当…。」
不安を隠せない翔夢であった。
幽々子様のほっぺのクリームを舐めたいと思った方、正直に挙手してください。
最後の霊夢と翔夢のくだりは面白そうなんで書いてみました。
それではまた次回まで、
ゆっくりしていってね!