戦極ストラトス/アーマードライダーが往く! 作:超大型家族電子計算機
オリキャラが1人登場します。主に自分の趣味です。←
登場人物にも更新しなくちゃ(使命感)
戦極ストラトス 前回n───
束「それはもうやんなくていいから、さっさと始めちゃってよ~!!」
ア、ハイ・・・
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「でっでは最後に、御剣君です」
「・・・はい」
千冬と一夏が姉弟だと知られる、といった騒動を間に挟みながら再開された生徒達の自己紹介。出席番号順に進められたというのに何故か一番最後に回された桃真は、千冬の出席簿アタック(桃真命名)を喰らってできたタンコブを擦りながら立ち上がる。
「どーも、御剣桃真ッス。ISに関してはまだまだ勉強不足なんで、そこんとこヨロシク」
一夏程ではないにしろ適当に、かつ簡潔に自己紹介を終わらせようとしたが・・・
「しつも~ん!御剣君と織斑君は、ニュースで言ってた通り“アーマードライダー”って存在なんですか?」
「あ、それ私も知りたい!」
「アレってやっぱりISなの?」
「変身して~」
桃真が座ろうとした時、クラスメイト達がアーマードライダーに関する質問を次から次へと掛けてきた。最後に聞こえた声は質問ではなく要望だったが。
「静かに!アーマードライダーに関しては、全世界に報じられた通り“篠ノ之束がIS以外に開発した新たなシステム”だ。これ以上の情報は機密扱いとされている。理由は・・・まぁ、察しろ」
(おいおい・・・)
面倒になてきったのか、最後の部分は投げ遣りになる千冬。教師がそれで良いのかと心中でツッコむ桃真だったが、素直に聞き入れて静かになったクラスメイト達を見て、コレはコレでバランスが取れたクラスかと妙に納得してしまう。
ちなみに先程上がったアーマードライダーの情報は、“世間一般に知られてしまった”場合を見越して束が考案した、悪い言い方をすれば『でっち上げ』だ。
───“束さんが造った”って事にすればいいよ♪
あの『三つ巴戦』から数ヶ月後、粗方の解析を終えてやってきた束と話し合った桃真はこの案に反対したが、本当のことを言っても誰も信じてはくれないだろうという考えに至り、渋々乗ることにした。
それに自分は“この世界”からすれば
───だったら、覚悟を決めなきゃな・・・
そして昨年、アーマードライダーの存在が公に知られる事件が起こり、更なる騒動を呼び寄せてしまうのだが、それはまた別の機会に記そう・・・
閑話休題
「さあ、SHRは終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後実習が、基本動作は半月で体に染みこませろ。いいか?いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ。私の言葉には返事をしろ」
チャイムが鳴り響く中、千冬は生徒達の返事を聞いた後、真耶と共に職員室へと戻っていった。教室から退出する2人を見届けた後、ため息を吐きながら机に突っ伏す一夏。
「・・・大丈夫か?」
「おう・・・けど驚いたよ、あの千冬姉がIS学園の教師をやってたなんてな」
「自分の事はなんにも話さなかったしな、あの人(なのに俺達の事を気に掛けて・・・ったく、頭が上がらねぇや)」
2人が話していた時、1人の女子生徒が近づいてきた。
「ちょっといいか?」
「あ・・・箒」
窓際の席から睨みつけていた“箒”と呼ばれた女子生徒。彼女の瞳は、
「(コイツ、さっきガン飛ばしてきたヤツか)なんだ一夏、お前の彼女か?」
「か、かのっ!?」
突然の彼女呼ばわりに、顔を紅く染め上げる箒。
「い、いやいや違うからな!幼馴染みだよ幼馴染み!な、なぁ?」
「あ・・・あぁ、そうだ!へ、変な邪推はよせ!(一夏・・・そこまで焦るということは・・・)」
そして変な勘違いをする箒・・・
「ふぅ~ん・・・まぁどっちにしろ、邪魔しちゃ悪ぃから外すわ。ごゆっくり、お2人さん」
「なっ!?」
「おっおい、どこ行くんだよ桃真!?」
「便所」
そう言って桃真は2人を残して教室から出て廊下を歩いていく。
「(しっかし、箒って名前どっかで・・・)あっ」
途中で桃真は、ふとあることに気づいた。それは、先程の箒という女子の事・・・
「しまったぁ~・・・男子便所の場所解んねぇや・・・」
・・・ではなく、学園内を未だ把握していなかったことについてだった。
「では、私が案内しましょう」
「・・・へ?」
と、自分の迂闊さに桃真が嘆いていると、背後から声を掛けられた。
IS学園の屋上、一夏と箒はいた。
「えっと・・・久しぶり、だな」
「あ、あぁ・・・」
「・・・」
「・・・」
「(って、会話が途切れてんじゃん!う~ん、なんか話題話題はっと・・・)あ~・・・そういえば去年、新聞に載ってたの見たぜ。剣道の全国大会優勝、おめでとう」
「な、なんで新聞なんか読んでいるんだ!?」
「いや・・・読んじゃダメなのかよ?」
「あっいや、その・・・」
先程の自身の言い方が理不尽だったことに気づいた箒は言い淀んでしまうが、気を持ち直して一夏に尋ねた。
「わ、私のことはいいんだ。お前の方は今日に至るまで大変だったのだろう?その・・・先程話に上がったアーマードライダーの事とか・・・」
それを聞いた一夏は、世間に知れ渡ったアーマードライダーの内容を思い出し、束の事を聞きたいのかと箒に問い質した。
篠ノ之箒。苗字で察する通り、“天災”篠ノ之束の実妹である。
「別に“あの人”のことなどっ!・・・いや、気になると言えば気になるが・・・」
「?他に何か───」
あるのか、と言い掛ける途中で、それを遮るかのように予鈴が鳴り響く。これを聴いた一夏は慌てて箒を連れて教室へと走りだした。もし1秒でも遅れれば、SHRの時と同じように出席簿アタックをまた喰らう羽目になるだろうと恐れながら。
「悪い箒、続きはまた後でな!」
「ぜ、絶対だぞ!?逃げたら承知しないからな!」
「分かってるって!とにかく急げっ!」
しかし、屋上から1年1組の教室まで結構な距離があるため2人は間に合わず、千冬の出席簿アタックは免れなかった・・・
時間を少し遡り、男子トイレ前。そこに用を足し終えた桃真と、1人の女子生徒がいた。
「ありがとよ。おかげで助かったぜ」
「どういたしまして」
桃真は礼を言った後、改めてその女子生徒を観た。身長は同年代の女子と比べると高い方で、褐色の肌に長く伸びた金髪。制服は桃真同様に着崩していて、彼女の豊満な胸がより強調されている。
一見すれば『ギャル』である。(死語)
「あの、なにか?」
「ん?あぁ、えっと確か・・・」
「鬼柳、
「あぁ、悪ぃ・・・なんで鬼柳は、さっきからそう畏まってんだ?同じ学年なんだし敬語とか必要無ぇだろうに」
実は桃真とはクラスメイトな上、席が隣である魅咲。派手な見た目に反して落ち着いた雰囲気を醸し出す彼女に対し、桃真が抱いた第一印象は“クールなギャル”。
「『目上の方は敬うように』と、教わってきましたから」
「あぁ、そういや年齢も知られてんだったな」
しかも礼節を弁えているようで、ギャップを更に感じた桃真。
ちなみに桃真は一夏達よりも3つ年上であるためIS学園への入学はかなり渋っていたが、元々は高校生になって間もない時期にこの世界へ落とされたため中卒者扱い。「このご時世に中卒者は生き難いぞ」という千冬の一言で折れたのだ。
そこで桃真は話しやすい言葉遣いでも構わないと魅咲に伝えた。無理にとは言わないが、わざわざ気を遣わなくも自分は気にしないからと。それに対し魅咲は、気遣いは有り難いが、今の喋り方の方が自分としては話しやすいと応える。そうこう2人が話しながら移動していると、自分達のクラスに着いていた。
「っとぉ、ありがとな。場所は覚えたから、一夏には俺から伝えとくわ」
「ではもう1つ伝言を。───」
「・・・は?」
「放課後にまた案内致しますので、彼と共に教室に居てください」
では・・・と、桃真を残して先に教室へと入っていく魅咲。桃真は先程の伝言を聞いて頭の中が真っ白になったが、予鈴の音でハッとなり、慌てて自分も中へと入った。
時は進み2時限目終了後の休み時間、桃真は一夏と共に授業内容を復習していた。
ISを起動できると判明されてから2人には参考書が配られている。一夏が自身の参考書を“古い電話帳”や“桃真が読んでいた週刊漫画誌”等と一緒に捨ててしまうという珍事を起こしたが、桃真の所持する参考書を共に使う事で何とか基礎知識を学習していった。しかし基礎知識だけでもかなりの量があり、入学までには全体の7割程しか頭に詰め込めなかったそうだが・・・
途中で桃真は、魅咲からの伝言を思い出した。
「おっと、いけねぇ・・・一夏、放課後は教室に残っとくぞ」
「え?何かあるのか?」
「あぁ、実は───」
「ちょっとよろしくて?」
内容を話そうとした途中、遮るように声を掛けられる。2人が其方へ振り向くと、ロングスカートの制服に金髪縦ロールといった、如何にも御嬢様な女子生徒が立っていた。
「聞いていますの?お返事は?」
「・・・何か用か?」
「まぁ!なんですのそのお返事!?わたくしに話し掛けられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」
その女子生徒は桃真の返事に、かなりワザとらしく声を上げた。桃真達男子を見下したその姿勢は、ISの登場で女尊男卑の風潮となったこの世界の“今時の女子”である。
「・・・おい一夏、コイツはお前の知り合いか?」
「いや・・・そっちじゃないのか?」
「居るわけねぇだろ。つーかこんなドリル、こっちから願い下げだ」
「ど・・・ドリ、ルゥ~ッ!?」
露骨に嫌そうな顔をする桃真の身も蓋もない発言に、ワナワナと震える女子生徒。そんな彼らを見かねたのか、隣の席にいた魅咲がフォローする。
「彼女はセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生です」
「鬼柳・・・」
「えっと、たしかそれって・・・」
しかし一夏はまだその辺りの知識がうろ覚えなのか、いまいちピンとこなかった。そんな一夏の様子から察した魅咲は、更に補足を入れる。
「IS操縦者の国家代表、その候補生として選出されたのが彼女よ」
「そう、つまりエリートなのですわ!」
魅咲の説明に気を良くしたのか、上機嫌に“エリート”という単語を強調させる女子生徒セシリア。人差し指をビシッと桃真達へ向け、高慢な発言を続ける。
「本来なら、わたくしのような選ばれた人間とクラスが同じということだけでも奇跡・・・幸運なのよ?その現実をもう少し理解していただける?」
「そうか。それはラッキーだ」
「っ!織斑、その言い方は───」
「あなた・・・馬鹿にしていますの?」
無関心さを表したかのような一夏の発言に魅咲が注意しようとするが、セシリアがそれを遮るようにイラつきを込めた発言で噛みつく。
「大体あなた方、ISの知識が不十分なくせによくこの学園に入れましたわね。男でISを操縦できると聞いていましたから、少しくらい知的さを感じさせるかと思っていましたけど、期待外れですわね」
自分達に何かを期待されても困る。そう一夏が言おうとした時、一夏の前にスッと手を出して制した桃真。更に不機嫌さを増した彼が纏う雰囲気に、聞き耳を立てていた周りの生徒達は戸惑う。
「な、なんですの?」
セシリアはその威圧感を真正面から受けたが、それでも気丈に振る舞った。
「コッチはその“不十分な知識”を必死こいて頭に詰め込んでる最中なんだよ。邪魔すんな」
「なっ!?このわたくしが邪魔ですって!?」
「実際に邪魔してんだろうが。つーか何しに来たんだテメェは?」
「おっおい、落ち着けって桃真!」
「オルコット、あなたもこれ以上は!」
一夏と魅咲が仲裁に入ろうとした時、丁度良いタイミングで予鈴が鳴った。
「っ!また後で来ますわ!逃げないことね、よくって!?」
「うっせぇよ、二度と来んな!」
「くっ・・・グヌヌッ!!」
怒りに震えながらも自分の席へと戻っていくセシリア。成り行きを見守っていた生徒達は安堵するが、先程の遣り取りで桃真から距離を置いてしまう。
「どうしたんだよ、普段のお前らしくないぜ?」
「ケッ・・・ああやって
「それは・・・今の情勢では、仕方のないことです・・・」
「・・・悪ぃ、嫌な気分にさせちまったな」
「あ、いえ!お気になさらず・・・」
2人の会話を聞いて一夏は、何故桃真には敬語で話すのかを聞く。それに対し魅咲は、前の休み時間での桃真との会話と同じ内容を伝えた。
(むぅ・・・)
その様子を不機嫌な顔で見ている女子生徒が約1名・・・
「それではこの時間は、実践で使用する各種装備の特性について説明する」
1、2時限目を担当した真耶に代わり、3時限目の授業は千冬が教壇に立っていた。横に控えた真耶の手にあるノートとシャーペンを見るに、この授業内容の重要性が伺える。
「と、その前に・・・再来週行われる『クラス対抗戦』に出る代表者を決めなければならない」
突然のことにざわつき始める生徒達へ説明するため、千冬は更に続ける。
「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席など・・・まぁ、クラス長だな。ちなみに今回行われるクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点ではたいした差はないが、こういった競争は向上心を生む。一度決まると1年間変更はないからそのつもりで」
説明を聞き終えた生徒達は更にざわつくが、その中から1人の女子生徒が挙手をした。
「はい、織斑君を推薦します!」
「え!?お、俺っ!?」
いきなりの指名に驚く一夏。その後、「私もそれがいいと思います!」などと他の生徒達が賛成の意を示す。
「では、候補者は織斑一夏と御剣桃真・・・他にはいないか?自薦他薦は問わんぞ」
「おーいせんせぇー。俺は立候補してねぇし、誰からも推薦されてねぇんですけどー?」
先程の休み時間に起きたセシリアとの衝突が原因で一夏と魅咲以外の生徒達は距離を置いているためか、誰も桃真を推薦していなかった。だというのに何故か候補者として名を上げられているのが納得いかない桃真。
「山田先生からの推薦だ。有り難く思え」
「え、えぇ~っ!?わわわ私はまだ何も言ってませんよぉっ!?」
「ほぉ・・・『御剣は頼りになってくれそうだ』と、職員室で話していたのは誰だったかな?」
「おっ織斑先生、それ以上はぁ~っ!」
(“それ以上は”って、他に何か言ってたのかよ・・・)
他人に好感を持たれるとは思わなかった桃真は照れ臭く感じた。だが、この結果に不満を抱く者もいる。
「待ってください!納得がいきませんわ!」
バンッと机を叩いて立ち上がるセシリア。男子である桃真と一夏がクラス代表として選ばれることに納得がいかないようで、「いい恥さらし」「屈辱だ」などと吐露する。
「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!」
「あぁ、お前がやってくれんの?よかったな一夏、これで俺達クラス長にゃあならずに───」
スパァァァンッ
「済むわけないだろう。勝手に決めるな」
「ぁ、ぁぃ・・・」
これで面倒事から逃れられる。と思っていた桃真だったが、担任である千冬がそれを許さなかった。桃真に振り下ろされた出席簿アタックの威力を見て若干怯みながらも、セシリアは続けた。
「だっ大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で───」
「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。“世界一マズい料理”で何年覇者だよ?」
何故か国まで馬鹿にしてきたセシリアに、一夏もさすがに我慢ならなかった。
「なっ!?あ、あなたねぇ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
「先に侮辱してきたのはそっちだろう!」
「どっちも落ち着け、ガキのケンカじゃねぇんだからよ。つーか、話脱線してるし・・・おぉ~痛てぇ」
頭を擦りながら止めに入った桃真の例えに、熱くなっていたセシリアは言葉を詰まらせる。『怒りの沸点が低いお前に言われたくない』と一夏は言いたかったが、藪蛇になりそうな気がしたので留まった。
「オルコットだったか・・・俺達の事をどう思おうが別に構わねぇさ。ISに関しちゃド素人、そいつは事実だからな。けどなぁ、
「くっ、何を偉そうに!」
「お前もな・・・そんなに俺達が気に入らねぇってんなら、白黒ハッキリさせようじゃねぇか。俺と一夏が“ただ物珍しいだけの男”なのかどうか、テメェ自身で戦って見極めりゃあいい」
「そうだな・・・俺もそれで構わないぜ。四の五の言うより、ソッチの方が分かり易いからな」
桃真と一夏がそう言った後、クラスからドッと爆笑が巻き起こった。
「みっ御剣、織斑、それ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」
「2人は確かにISを使えるし噂のアーマードライダーかもしれないけど、それは言い過ぎよ」
戦闘機・戦車・戦艦などを遙かに凌ぐ超兵器として世に君臨したISは、女性にしか動かせない。一部の限られた人間にしか扱えないが、女性の全ては潜在的にそれらを扱える可能性が与えられているのだ。桃真や一夏といった男子5人の例外が存在するが、もし男と女が戦争すれば、男性陣営は3日どころか3時間で制圧されかねないといわれるくらいだ。『女尊男卑』の風潮となったこの世界では男性を虐げる女性達が増え、男性達は肩身の狭い思いをする一方である。
「・・・」
だが、
「ぃいっ!?」
「ハァ・・・やれやれ」
まず異変に気づいたのは、この教室内では本人のことをよく知る織斑姉弟。
「っ!御剣さん・・・」
(な!?あの男・・・)
その次に、隣の席の魅咲と一夏を心配して様子を伺っていた箒。
(こ、この男は一体・・・)
「み、御剣君・・・」
続いて、先程から睨みつけていたセシリアと、桃真を見ていた真耶だった。
他の女子達から笑われている中、桃真は静かだった。“不気味な程”に静かだった。
「ねぇ織斑君、今からでも遅くないよ?セシリアに言ってハンデ付けてもらったら?御剣君も・・・ひっ!?」
憐れに思ったのか後ろ側の席に座る女子が話し掛けてきたが、視線を一夏から桃真へ向けた途端に小さく短い悲鳴を上げた。その悲鳴を切欠に、他の生徒達も桃真の異様な雰囲気に初めて気づく。
「織斑先生、俺からも推薦いいっスか?」
「・・・言ってみろ」
「推薦すんのは、残り全員だ」
「「「・・・・・・えぇぇぇぇっっ!!!?」」」
予想外の展開に、女子達は驚きを隠せない。
「あっあなた、いきなり何をっ!?」
「当然、クラス長を決めるんだ。その権利は平等に、俺達全員にあるんだろうが」
「だからってお前、クラス全員と戦うつもりかよ!?」
「あったりめぇだろ。俺達男を嗤うくれぇだからな・・・」
テ メ ェ ら 、 強 ぇ ん だ ろ ?
桃真が向けた鋭い視線に、女子達は背筋が凍りつくような感覚に囚われ、そして理解した。自分達はとんでもない男を怒らせてしまったと。
「そこまでだ御剣。担任としてはお前の言い分を聞き入れてやりたいが、全員分のISを用意する事は出来ない。学園にある量産機は2、3年生の実技にも使われるのでな・・・だが、一機だけなら都合を付けさせてもらおう。なので候補者は後1人だ。4人ならば“勝ち抜き戦”で決められるからな」
止めに入った千冬に全員が安堵したのも束の間、最後の最後でまたもや緊張が走る。
「・・・立候補します」
そんな中で1人、魅咲が手を挙げた。
「・・・他の者たちへの気遣いからならば無用だぞ鬼柳。コレはあくまでもクラス長を決めるものだ」
「はい、承知の上です」
「そうか、ならばいい・・・これで話は纏まったな。勝負は一週間後の月曜。放課後、第3アリーナで行う。御剣、織斑、鬼柳、オルコットの4名はそれまでに用意をしておくように。それでは授業を始める」
パンッと生徒達の意識を切り替えさせるように手を打ち、改めて授業を始める千冬。桃真達の学園生活は、入学初日から波乱の幕開けとなった。
(御剣君の怒った顔、恐いけど・・・頼もしくて格好良かったな)
約1名は別の意味で、内心穏やかではなかったそうな・・・
時は過ぎて放課後。教室内にはまたもや机に突っ伏した一夏と椅子にもたれ掛かる桃真、そして誰かと連絡を取っている魅咲の3人が残っていた。
「ハァ・・・疲れたぁ~」
「爺さんかお前は」
「って、この気苦労はお前のせいでもあるんだぞ!あの後からクラスの皆に距離を置かれているんだからな!」
「どうせ俺達を珍獣くれぇにしか見てねぇヤツらだ、いちいち気にすんな。それに全員って訳でもねぇだろ?」
「そりゃそうだけどさぁ・・・」
あの3時限目の出来事の後、桃真だけでなく一夏までクラスメイト達から距離を置かれていた。しかも他のクラスにも内容が知れ渡ったらしく、セシリアのように男を見下す女子からは鋭い視線を向けられる始末。だが中にも例外は居る。普通に2人と接する魅咲や箒、それに“制服の袖が異常に長い”女子と、恐る恐るではあるがその女子の友人2人も桃真達と接している。
「あ、お2人ともまだ教室にいたんですね。よかったです」
「ん?」
「はい?」
呼ばれた方へ2人が振り返ると、真耶が何かの書類を手に教室へと入ってきた。
「えっとですね、寮の部屋が決まりました」
桃真は何となく察したが一夏はいきなりのことで理解出来ていなかったので、真耶から詳しく説明を受けた。桃真達は世界中で話題の“アーマードライダー”であり“男のIS適合者”でもある為、様々な国の研究所等に狙われる身となってしまっている。そこで身の安全を守る為に一時的な処置として、寮の部屋割りを無理矢理変更したのだとか。
「他3人の方達も、担任の先生方から説明を受けているはずです。と言う訳で此方が織斑君、そして此方が御剣君の部屋の鍵ですよ」
真耶から部屋の場所が書かれた紙と鍵を渡される2人。どうやら部屋が別々らしく、鍵に付いたタグの番号が違っていた。
「けど俺達、荷物とか持ってきてないんスけど・・・」
「だよな・・・あの、1回家に帰っても───」
「その必要は無い。私が手配しておいてやった」
一夏の言葉を遮るように、今度は千冬が入室してくる。
「てっ手配って、俺と桃真の・・・ですか?」
「他に誰が居る?まぁ、生活必需品だけだがな。着替えと携帯電話の充電器があればいいだろう」
「・・・山田先生、購買に歯ブラシとかって置いてありますか?」
「あ、はい。日用品は大体揃ってますよ」
「・・・御剣、それは私への当て付けか?」
「さて、ね」
ジト目の千冬に対して言葉を濁す桃真。その後真耶から、夕食の時間や食堂の場所、寮の各部屋はシャワー付きであることと、学園には大浴場があることを説明される。風呂好きである一夏は大浴場があることに喜んだが、自分達男子は入浴出来ないと言われ納得いかなかった。
思わず真耶に詰め寄っていくが、途中で何者かに襟首を掴まれ後ろに引かされる。振り向くとそこには、教室に戻って来た箒と連絡を終えた魅咲が呆れた顔で立っていた。
「織斑、IS学園は生徒も先生方もみんな女性・・・言ってみれば女子校よ。そこの大浴場といえば、女湯だけに決まってるでしょう」
「そうだぞ一夏。温泉や銭湯じゃないんだ、男女別になっている訳ないだろうに」
「そ、そうでした。ハァ・・・手足伸ばしてゆっくり湯船に浸かれるって、思ったのになぁ・・・」
残念そうに落ち込む一夏。その様子を見た桃真が、風呂好きだからと言って女湯に突入するなよ、と注意する。今の一夏なら本当にやりかねないと思った桃真は、割と本気で言っていた。そのせいか真に受けてしまった真耶までが必死に一夏へ注意し始める。
「おっ織斑君、女の子とお風呂に入りたいんですか!?だ、ダメですよ!」
「いっいやいや、入りたくないです!」
「ぇえっ!?女の子に興味無いんですか!?そ、それはそれで問題のような・・・」
「・・・あんた、何言ってんの?」
話をあらぬ方向へ飛躍させた真耶に、桃真は思わず暴言を吐く。真耶はそれがショックだったのか、涙目で桃真に詰め寄った。
「み、御剣くぅ~ん!先生に冷たくしないでくださぁ~い!」
「(泣くほどの事かよ・・・ていうか)あの、近いんスけど・・・」
「え、きゃっ!?」
「・・・そこの2人、校内でイチャつくな」
「お、織斑先生っ!?」
顔を真っ赤にしながら弁明し始める真耶だが、千冬には聞き流されるだけだった。
「それよりも鬼柳、更識からの連絡は?」
「はい、後は私達だけだそうです」
「ふむ、では急ぐか。篠ノ之、お前も一緒に来い」
「え?あ、あの・・・」
「待ってくれよ千冬姉、一体何処にい───」
スパァァァンッ
「織斑先生だ。予定を聞いていなかったのか?」
「いってぇ~・・・って、予定?」
「そういや、邪魔が入ってちゃんと伝えられてなかったな・・・」
一夏に詳しく伝えていなかったことを思い出した桃真は、魅咲からの伝言を思い出しながらこれからの用事を話した。
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「ではもう1つ伝言を。男子生徒、及びアーマードライダーの方々は放課後、第1アリーナに集合です」
彼らの物語は、まだ始まったばかりである・・・
お気づきかもしれませんが、彼女も転生者です(暴露)